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第5章 お猿と行く温泉旅行
不満そうな顔をしているね
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俺たちはビリだった。
その事実に、俺は打ちのめされた。
冷静に考えたら順当な結果だ。俺たちがスタートする前に両名はいなくなっていたし、その後も姿を見なかった。
でも、洞窟に散らされたピンクの葉を見た時、これは見つけたのかもしれないと思った。誰かが踏み荒らした跡もなかったし、自分たちが一番かもしれない。コテツ様もそう思ったはずだ。
なのに、結果はこれだ。
「皆さん、どうやってここに……?」
俺の問いに、エンジ様は俺の肩についた葉を拾い上げた。
「お前たちは、ピンクの葉を追ってきたんだろう」
「そうです」
「青や黄色、他の色もあったはずだ。それぞれの葉にルートがあり、どれを目指しても此処にたどり着く」
「……そうだったんですね……」
俺は呆然としたまま答える。コテツ様は余程ショックなのか、言葉を発さない。
「一番はじめに着いたのは、リテツだ。長はリテツで決まりだ」
「……そうですか……」
コテツ様はようやく言葉を返した。うつむいていて表情は見えない。覗きこもうとしたところで、顔があがった。リテツ様に目を向ける。
「おめでとう」
「ああ、ありがとう」
「ちぇっ、俺惜しかったんだぜ。あと十秒速かったら、俺の勝ちだったのに」
サテツ様が拗ねた口調でそう主張するのに、コテツ様は笑って応える。その姿は、さっき泣いていた子どもと同じようには見えない。
「では、リテツ。湯につかれ」
「はい!」
リテツ様は、服を脱ぎ湯の中に浸かった。彼の足が湯に触れたその瞬間、湯の光が増す。彼の体の毛が、金色に光ったと思うと強い光に包まれた。
彼は湯に肩まで浸かり、俺たちはその様子を十分くらい見守っていた。湯の光がおさまったところで、エンジ様が頷いた。
「終わったのう。これで、お前は後継ぎの証、金彩光を体内に宿した事になる」
「はい! 父上」
俺は、そのキラキラした光景を、どこか寂しい気持ちで見ていた。入る事が叶わなかったサテツ様とコテツ様は、ただジッとその光景を眺めていた。
「不満そうな顔をしているね」
御殿に帰り、俺とヤイさんは百合の間に帰った。隣は、始まる前とはうってかわって静かだ。
「……ヤイさん。俺がお供な事は、幸運だって言いましたよね」
「うん。言ったかな?」
「俺、何も役に立てませんでした」
俺の言葉に、ヤイさんは何も答えない。
「変に励まして、期待させて……ひどい事をしました」
「私たちはただそこに居合わせただけの存在だ。君が気に病む必要はない」
その言葉は励ましのようで、冷酷だった。でも実際そうなんだろう。
「それに、君たちが選んだ道が一番最短で障害もない。幸運だった事は事実だ。活かしきれなかったがな」
ヤイさんの言葉に、俺は彼の方をじっと見る。
「青を辿れば滝の中、黄を辿れば熊の寝床に行き着く。リテツ様は滝の中を妖傘を使い、抵抗を無くし進んだという。サテツ様は熊と格闘した後和解し通行したが、僅かにリテツ様に及ばなかった」
「そんな事が……」
知らなかった。自分たちの道が、本来最短コースだった。他の二組は困難な道を選んだにも関わらず、打ち勝った。
「おい、人間」
呼びかけられ、振り返る。そこには、エンジ様が立っていた。
「絵を描いてくれる約束じゃろう。梅の間に来てくれ」
その事実に、俺は打ちのめされた。
冷静に考えたら順当な結果だ。俺たちがスタートする前に両名はいなくなっていたし、その後も姿を見なかった。
でも、洞窟に散らされたピンクの葉を見た時、これは見つけたのかもしれないと思った。誰かが踏み荒らした跡もなかったし、自分たちが一番かもしれない。コテツ様もそう思ったはずだ。
なのに、結果はこれだ。
「皆さん、どうやってここに……?」
俺の問いに、エンジ様は俺の肩についた葉を拾い上げた。
「お前たちは、ピンクの葉を追ってきたんだろう」
「そうです」
「青や黄色、他の色もあったはずだ。それぞれの葉にルートがあり、どれを目指しても此処にたどり着く」
「……そうだったんですね……」
俺は呆然としたまま答える。コテツ様は余程ショックなのか、言葉を発さない。
「一番はじめに着いたのは、リテツだ。長はリテツで決まりだ」
「……そうですか……」
コテツ様はようやく言葉を返した。うつむいていて表情は見えない。覗きこもうとしたところで、顔があがった。リテツ様に目を向ける。
「おめでとう」
「ああ、ありがとう」
「ちぇっ、俺惜しかったんだぜ。あと十秒速かったら、俺の勝ちだったのに」
サテツ様が拗ねた口調でそう主張するのに、コテツ様は笑って応える。その姿は、さっき泣いていた子どもと同じようには見えない。
「では、リテツ。湯につかれ」
「はい!」
リテツ様は、服を脱ぎ湯の中に浸かった。彼の足が湯に触れたその瞬間、湯の光が増す。彼の体の毛が、金色に光ったと思うと強い光に包まれた。
彼は湯に肩まで浸かり、俺たちはその様子を十分くらい見守っていた。湯の光がおさまったところで、エンジ様が頷いた。
「終わったのう。これで、お前は後継ぎの証、金彩光を体内に宿した事になる」
「はい! 父上」
俺は、そのキラキラした光景を、どこか寂しい気持ちで見ていた。入る事が叶わなかったサテツ様とコテツ様は、ただジッとその光景を眺めていた。
「不満そうな顔をしているね」
御殿に帰り、俺とヤイさんは百合の間に帰った。隣は、始まる前とはうってかわって静かだ。
「……ヤイさん。俺がお供な事は、幸運だって言いましたよね」
「うん。言ったかな?」
「俺、何も役に立てませんでした」
俺の言葉に、ヤイさんは何も答えない。
「変に励まして、期待させて……ひどい事をしました」
「私たちはただそこに居合わせただけの存在だ。君が気に病む必要はない」
その言葉は励ましのようで、冷酷だった。でも実際そうなんだろう。
「それに、君たちが選んだ道が一番最短で障害もない。幸運だった事は事実だ。活かしきれなかったがな」
ヤイさんの言葉に、俺は彼の方をじっと見る。
「青を辿れば滝の中、黄を辿れば熊の寝床に行き着く。リテツ様は滝の中を妖傘を使い、抵抗を無くし進んだという。サテツ様は熊と格闘した後和解し通行したが、僅かにリテツ様に及ばなかった」
「そんな事が……」
知らなかった。自分たちの道が、本来最短コースだった。他の二組は困難な道を選んだにも関わらず、打ち勝った。
「おい、人間」
呼びかけられ、振り返る。そこには、エンジ様が立っていた。
「絵を描いてくれる約束じゃろう。梅の間に来てくれ」
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