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第7章 破滅の足音
不調
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携帯のアラーム音に起こされ、目を開ける。起きないといけないが、なんだか体がだるい。風邪を引いた時は喉が痛くなるが、そういう訳ではない。ただの疲れだろうか。
目を覚まそうと淹れたコーヒーを飲みながら、テレビを見る。
今日から二月が始まる。世間ではインフルエンザが流行ってるらしい。
横にある願い草に目を向けると、昨日までなかった芽が出ていた。俺はコップを置き急いで駆け寄る。芽が出てる。二つの小さな緑の葉だ。なんだかすごい嬉しい。元気が出てきた気がする。
「どんな花が咲くんだろう……」
俺は傷つけないように、葉に触った。
「タカヒロ、大丈夫?」
バイト終わり。恵理さんに挨拶をして店を出ようとした所で、呼び止められた。意図が分からず、首をかしげる。
「すみません。俺、なんかミスしましたかね?」
「違う違う、しっかりしてたよ。でもなんか、ボーっとしてるっていうか……悩ませてんじゃないかと思って」
恵理さんの言葉に、俺は慌てて首を振る。
「全然! あの、なんか最近だるくって……すみません、気をつけます! 社員の話は、本当に有難いです!……すぐに返事できなくて、すみません……」
俺の返答に、恵理さんはホッとしたように笑い、それから首を振る。
「そうか、大丈夫。今受けてるんだったね。それの結果出てからでコッチはいいから」
「本当に有難うございます」
礼をして店を出る。今日はまた一段と寒い。マフラーを巻き、急いで待ち合わせ場所の公園に向かう。今日はこれから、ツバキと会う予定だ。
「映画、面白かったですね!」
「うん。俺ちょっと泣いちゃった」
ツバキは俺の顔を見て、楽しそうに笑う。
「タカヒロさんって涙もろいんですね」
「なんか変なとこで涙腺くるんだよね」
今日見た映画は、童話を元にした作品だった。ツバキが見たいと言った映画だったが、結果として当たりだった。
「ご飯食べましょうか」
今自分たちがいるのは複合施設で、レストランもある。俺もそれに賛同し、店内に入る。
「なに食べよ~、ハンバーグいいなぁ」
ツバキは上機嫌だ。楽しそうに選ぶその姿に、癒される。俺も選ぼうとメニューを見るが、食欲が出ない。
変だ。今は夜の七時で、いつもならお腹が空くのに。サンドイッチとかにしとくか。しかしそれじゃ、ツバキが食べにくいかもしれない。
「決めた! 目玉焼きハンバーグにします。タカヒロさんは何にしますか?」
「うーん……俺もハンバーグにしようかな。和風のやつ」
「わーっそれもいいですね!」
注文して来たハンバーグは、実際に美味しかった。でもなんか、フォークが進まない。鉄板の上のハンバーグは、まだあと三分の一もある。
「お腹いっぱいですか?」
「うん。なんか……良かったら食べる?」
「え! いいですよ、そんな! でも入らないなら、食べたいです!」
「うん、助かる」
ツバキは残りも美味しそうに食べてくれた。変な見栄を張らず、食べれる分だけにすれば良かった。
「食べましたー、ありがとうございます!」
「ごめん。食べかけを頼んだりして……」
「全然! 美味しかったです。私こそごめんなさい、タカヒロさんお腹空いてなかったんですね」
「いや、違うよ。食べれると思ったんだけど、なんか最近だるくって……」
俺の言葉に、ツバキは顔を近づける。
「つ、ツバキ?」
「タカヒロさん。お兄ちゃんとはもう会ってませんよね?」
「う、うん。言ったよね、そめさんが亡くなった日に会って、それっきりだって」
俺の問いに、ツバキさんは「ですよね」と返す。
「ヤイさんもそう言ってたでしょ?」
「言ってましたけど。お兄ちゃん、嘘つきですから。でも本当ならいいんです」
「うん、心配させてごめん」
俺はそう答え、水を飲む。
食べた後だからか、喉が渇いて仕方ない。
目を覚まそうと淹れたコーヒーを飲みながら、テレビを見る。
今日から二月が始まる。世間ではインフルエンザが流行ってるらしい。
横にある願い草に目を向けると、昨日までなかった芽が出ていた。俺はコップを置き急いで駆け寄る。芽が出てる。二つの小さな緑の葉だ。なんだかすごい嬉しい。元気が出てきた気がする。
「どんな花が咲くんだろう……」
俺は傷つけないように、葉に触った。
「タカヒロ、大丈夫?」
バイト終わり。恵理さんに挨拶をして店を出ようとした所で、呼び止められた。意図が分からず、首をかしげる。
「すみません。俺、なんかミスしましたかね?」
「違う違う、しっかりしてたよ。でもなんか、ボーっとしてるっていうか……悩ませてんじゃないかと思って」
恵理さんの言葉に、俺は慌てて首を振る。
「全然! あの、なんか最近だるくって……すみません、気をつけます! 社員の話は、本当に有難いです!……すぐに返事できなくて、すみません……」
俺の返答に、恵理さんはホッとしたように笑い、それから首を振る。
「そうか、大丈夫。今受けてるんだったね。それの結果出てからでコッチはいいから」
「本当に有難うございます」
礼をして店を出る。今日はまた一段と寒い。マフラーを巻き、急いで待ち合わせ場所の公園に向かう。今日はこれから、ツバキと会う予定だ。
「映画、面白かったですね!」
「うん。俺ちょっと泣いちゃった」
ツバキは俺の顔を見て、楽しそうに笑う。
「タカヒロさんって涙もろいんですね」
「なんか変なとこで涙腺くるんだよね」
今日見た映画は、童話を元にした作品だった。ツバキが見たいと言った映画だったが、結果として当たりだった。
「ご飯食べましょうか」
今自分たちがいるのは複合施設で、レストランもある。俺もそれに賛同し、店内に入る。
「なに食べよ~、ハンバーグいいなぁ」
ツバキは上機嫌だ。楽しそうに選ぶその姿に、癒される。俺も選ぼうとメニューを見るが、食欲が出ない。
変だ。今は夜の七時で、いつもならお腹が空くのに。サンドイッチとかにしとくか。しかしそれじゃ、ツバキが食べにくいかもしれない。
「決めた! 目玉焼きハンバーグにします。タカヒロさんは何にしますか?」
「うーん……俺もハンバーグにしようかな。和風のやつ」
「わーっそれもいいですね!」
注文して来たハンバーグは、実際に美味しかった。でもなんか、フォークが進まない。鉄板の上のハンバーグは、まだあと三分の一もある。
「お腹いっぱいですか?」
「うん。なんか……良かったら食べる?」
「え! いいですよ、そんな! でも入らないなら、食べたいです!」
「うん、助かる」
ツバキは残りも美味しそうに食べてくれた。変な見栄を張らず、食べれる分だけにすれば良かった。
「食べましたー、ありがとうございます!」
「ごめん。食べかけを頼んだりして……」
「全然! 美味しかったです。私こそごめんなさい、タカヒロさんお腹空いてなかったんですね」
「いや、違うよ。食べれると思ったんだけど、なんか最近だるくって……」
俺の言葉に、ツバキは顔を近づける。
「つ、ツバキ?」
「タカヒロさん。お兄ちゃんとはもう会ってませんよね?」
「う、うん。言ったよね、そめさんが亡くなった日に会って、それっきりだって」
俺の問いに、ツバキさんは「ですよね」と返す。
「ヤイさんもそう言ってたでしょ?」
「言ってましたけど。お兄ちゃん、嘘つきですから。でも本当ならいいんです」
「うん、心配させてごめん」
俺はそう答え、水を飲む。
食べた後だからか、喉が渇いて仕方ない。
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