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二つの異能者組織

情報捜索

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執事生活を送って一日が経とうとしていた。未だにこの仕事には慣れない。
 移り住みということで、俺の部屋にあった家具は全て鷹宮家の新・俺の部屋に移動されている。勝手にするなと抗議したが、「電話で両親に許可とったからだいじょぶだいじょぶ」だそうだ。  

……マジでビビった。彩乃が俺の両親の連絡先を知っていたことに。
 しかも了承するとか、どんな脳みそしてるんだお二方。そもそも子供を放置している時点で察してたけどさ。


「……そろそろ、本格的に動き出すか」


夜も更け、明日は学校というのに、俺は移設されたPCと数時間睨めっこを続けている。その内容はやはり、《鷹宮》関連だ。
 堂本充の素性が分からないのなら、鷹宮清十郎に関する情報を漁れば少しは手掛かりがあるかもしれない。その一心で、続けてきた。

しかしながら、結果はご察しの通り。会長とはいえ周囲からも慕われていたようだし、何より温厚な性格故に恨みを買うような心当たりはなかった。彩乃にも聞いてみたが、先述の通りだ。

──やはり、普通の情報網だけでは不十分だな。
 そう判断した俺は、手元に置いておいたスマホを手に取り、とある番号に電話を掛ける。
 この時間だ、流石に寝ているだろうと思っていたのだが、思いの外、それは早く出た。 


『もしもし?』
 「もしもし、俺だ。仙藤志津二だ。……こんな夜遅くにすまないな。実は頼みがあるんだが──」
 『……頼み、とは?』


受話器の向こうから聴こえてきたのは、大人びた、透き通った少女の声。その声に懐かしさを覚えつつも、俺は要件を口早に告げた。
 

「異能者組織《鷹宮》から個人特定を依頼された。お前も知っているとは思うが、そこの会長の鷹宮清十郎が事故で亡くなったろう? 被疑者の名前は、堂本充。俺がお前に調べて欲しいのは、その男だ」
『分かりました。お任せ下さい。……しかし何故、《鷹宮》と交流を?』
「詳しい話は後だ。とにかく今は、その男に関する情報を調べろ。なるべく早い方がいい。この件はお前に任せたからな、桔梗ききょう


そう言い終えて、俺は手にしているスマホをデスクの上に置く。
 そしてベッドの上にゴロンと寝転がってから、電気を消して目を閉じた。



~to be continued.
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