雪降る夜はあなたに会いたい【本編・番外編完結】

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第二部

待ちに待った日【side:創介】 3


 
 二人で暮らす部屋に足を踏み入れたと同時に、その細い腰を引き寄せ、開く小さな唇を塞ぐ。

「――んっ」

雪野の手が俺の腕をトントンと叩く。

「そ、創介さん、急用は――」

唇を離したと同時に、雪野の声が漏れる。でも、それもすぐに遮った。

「昨日から、俺がせっかく耐えてやっていたのに。おまえが煽るからだ」
「え? 煽る? なんのことですか――きゃっ」

訳が分からないとその頭の中を疑問で一杯にしている雪野を、そのまま抱き上げた。

「創介さん、どうしたの? 私、靴、まだ、履いたままで……っ」

俺の腕の中でバタバタと動く雪野に言い放つ。

「おまえは何もしなくていい。俺に可愛いがられていろ」

一瞬にして、雪野が顔を赤くした。それは、俺がこれからしようとしていることを察知したという証。

「いいな?」

俺の目を見ていられなくなったのか、雪野が目を逸らす。そして、こくんと頷いた。

 ウエディングドレス姿を見た時から欲情していた。そのまま連れ去って、ドレスを剥ぎ取りたい。そんな、実際に出来るはずもないことを考えて。
 そして、二人で暮らす部屋で迎えた初めての夜。本当なら、疲れなんて無視して、思いっきり抱いてしまいたかった。そうやって、我慢に我慢を重ねていたところだった。

 雪野を抱きかかえたまま、リビングへと向かう。新居に合わせて選んだ大きめのソファにそのまま腰掛ける。俺の膝の上に載せられた雪野が、少し怯えたように俺を見た。

「創介さん、ここで……?」
「ここで、何だ? 何をされると思ってる?」

そうわざと答えを逸らしておきながら、雪野のカーディガンのボタンを一つ一つ外していく。

「――ここ、明るいです……っ」

身体を隠すように俺の首に顔を埋める。それでも、ボタンを外す手を止めてはやらない。広がっていく胸元に手のひらを忍び込ませ、下着越しにその膨らみに触れた。

「創介さん……待って」
「もう、充分、待ったよ」
「あ……んっ」

雪野の俺にしがみつく手に力が入る。

「恥ずかしい、の」
「恥ずかしさなんて、全部投げ捨てろ。ただ、俺のことだけ感じていればいい」

すべてのボタンを外し切ったカーディガンを肩から滑らせていく。露わになった肩に唇を這わせ、手のひら全体で雪野の膨らみの片方を覆いつくす。最初はゆっくりと規則正しく手のひらを動かす。

「やっ……、創介さんっ」
「どうした? まだ、恥ずかしいのか? ここはこんなに欲しがって尖っているのに」

布を押し上げるように膨らんだ蕾を指ではじく。その度に控えめに喘ぐ声でさえ、下半身に響いて耐えられなくなりそうになる。でも、自分の欲望はまだ抑える。もっと、もっと、雪野を乱れさせてからだ。

 真昼間の明るさの中、雪野の上半身が晒される。そう言えば、こんなにも明るいところで行為に及んだことはないかもしれない。

「……ホック、外すか? それとも、このまま?」

まだ直には触れていない。その代り、最初はゆっくりだった動きを次第に激しくして揉みしだく。びくびくと身体を跳ねさせているのに、頑なに俺の肩に顔を埋めている。

「……」

何も答えない雪野からは、漏れるように吐息が聞こえた。

「何も答えないなら、ここに聞こうか」
「――やっ」

脚を揃えて俺の膝の上にいた雪野を、俺に跨がせるように座らせる。露になった太ももに手のひらを滑らせ、奥へと入って行く。
 雪野が慌てたように激しく身を捩った。反射的に脚を閉じようとしても、俺の脚に邪魔されてそれも出来ない。

「ダメ、です。そこ、触らないで……っ」
「どうして?」
「そ、それは――っ」

ここでやめてやる気なんてさらさらない。

「ひゃっ……ん」

脚の付け根まで撫でまわしながらも、そこには触れない。雪野の身体を支える手のひらは背中を愛撫し、唇は首筋から胸元へと滑らせる。
 それでいて、一番の快感を得られる場所には触れない。雪野が苦しそうに眉間にしわを寄せて、唇を噛み締めていた。
 これだけ苛めても雪野が耐えている。早くそんな理性を吹っ飛ばしてほしくて、さらに攻めたてた。
 太ももから尻へと揉み上げながら、雪野の唇を塞ぐ。言葉には出来ないくせに、待っていたかのように口を開いて、すぐに俺の舌を引き入れた。
 その小さな舌を吸い上げて、激しく絡み合わせる。そんな貪るようなキスを繰り返していると、無意識なのか、雪野が下半身も胸も俺に押し付けて来た。身体はこんなにも正直だ。
 いつもの雪野なら絶対に言わないような言葉を吐かせたい。

「そ、すけさん……っ」
「ん? どうした?」
「そうすけ、さん」

キスの合間に零す声は、乱れた息のせいで舌足らずになる。してほしいことを言えない代わりに、俺の名前ばかり呼んで。

「言わないと、分からない」

雪野が潤んだ目で俺に訴えて来る。

その顔――。

あと、もう少しだ。

「……さ、わって、ください」
「どこを?」

羞恥心と欲望の狭間で揺れる瞳を逃さない。

「……ここ?」
「そこも、だけど――」
「他にも?」

胸に手を当てれば、手のひらに尖りを感じる。さっきよりもさらに硬くなっていた。

「胸だけじゃない? でも、ここは触ってほしくなかったんじゃないのか……?」

手のひらをゆっくりと滑らせていくと、雪野が脚を開いて俺の指を導こうとする。

「いいのか?」
「もう、焦らさないで……。お願いっ」

泣きそうな声で懇願する雪野は、めちゃくちゃにしてしまいたくなるほど可愛い。

「……すごいな。こんなに溢れさせてたのか? キスと胸だけで、とろとろじゃねーか。だから、俺に知られたくなかった?」

指でそっとなぞっただけで、雪野が大きく背をのけぞらせた。

「恥ずかしくて……や、あっ」

下着は濡れまくっていて、何の役にも立っていない。

「これはもう脱がせるぞ。ほら、腰を浮かせろ」

俺の言うなりに腰を浮かせて、ソファに膝を立てた。片足ずつ引き抜く時、雪野がまだ靴を履いたままだったということを思い出す。

「すごい恰好だな。スカートは履いたままで、下着は身に着けてない。おまけに、靴は履いてるときてる」
「だ、だって、創介さんが、靴、脱がせてくれないからっ」

膝立ちしていた雪野の背中に手を回し、ホックをはずした。それと同時に、待ちわびていたように二つの膨らみが弾んだ。

「いやらしくて、いい眺めだ」
「はずかしい、です」

咄嗟に両胸を隠そうとした雪野の腕を掴む。俺の目の前に晒された二つの膨らみは、触れてくれと訴えるようにつんと上を向いていた。
 腰を掴み、ソファに横たえる。雪野の脚を掴み、大きく広げるとスカートが腰のあたりまで捲れて、いつもの雪野からは考えられないほどに淫らな姿になった。

「こんな……っ、やぁ……」

陽の光が差し込む明るいリビングのソファの上で、秘部を晒されて。雪野が羞恥で耐えられなくなるのも無理はない。

「すぐに恥ずかしさなんて忘れさせてやる」

靴を取り、雪野の脚の間に身体を入り込ませる。潤み切ったそこは、今にも滴り落ちそうだ。指をあてがえば、すぐにでも飲み込もうとする。

「もう、焦らしたりしないから。安心して快感だけ感じてろ」
「あぁ……っ」

指を中に入れただけで絡みついて来る。奥へ奥へと進むほどに溢れ出して、俺の指までも蕩けてしまいそうだ。

 焦らしに焦らしたからか、雪野が身体をびくびくと何度も跳ねさせた。

「はぁ……っ、やっ」

内壁を擦るように何度も指を出し入れする。

「雪野は、最初は、これくらいが好きだろ?」

 以前は、セックスなんて自分の中の性欲を吐き出すためだけのだと思っていた。身体の赴くままに、動くだけだった。
 でも、雪野にはそんな風に出来なかった。自分のことより、雪野のことばかり気になった。

もっと感じさせたい。気持ちよくさせたい。喘がせたい――。

そう思えば、抱いている最中の雪野の声、表情、仕草……それら全部を見逃さないように目に焼き付けていた。
 どうすれば、どう反応するか。どんな反応が、気持ちいいと感じている時か。それも分かるようになっていた。

「……やっ、もう」

しかめた表情は、もっと欲しくなったとき。

「足りなくなったか?」
「そ、すけ、さん……んっ、あぁっ」

人差し指を入れたまま、親指で膨らみきったものを弾く。

「私、もう……」

呼吸が短くなって、ひくつかせて。その姿を見ているだけで興奮する。

「まだまだ、だろ?」

指はそのままに、溢れたそこに唇を当てた。

「ひゃぁっ……、待って、まっ、そ――」
「本当にやめてもいい? 舐めても舐めても溢れてくるぞ」
「だ、ダメっ、喋らない、で――っ」

白い肌を赤く染めて、髪を振り乱して身を捩る。乱れたその姿に激しく欲情した。

 でも今日は、雪野を一番に気持ちよくさせてやりたい。本当なら一息にその中を貫いてしまいたいけれど、指と舌で、この甘く淫らな身体を丁寧に愛したい。

「なんでも、してやるから。言えよ」
「私ばっかり、ダメです……、そうすけ、さんも、気持ちよくなって……ぁっ」

雪野の手が俺の肩を、必死で押して来る。その程度の力で俺を引きはがせると思っているのか。

「そんな声で可愛いことを言うな。めちゃくちゃにしたくなる」
「して……もっと、好きに、してっ」

切羽詰まったような雪野の喘ぐ声。快感に飲まれて我を忘れたその声が聞きたかった。

「雪野……っ」
「――んっ」

衝動的に、震える身体を抱き起こし唇を塞いだ。
 舌を擦り合わせる音が激しく響く。互いの舌を吸い尽すようなキスに、俺の余裕はなくなりつつある。抱き起した身体を俺の膝に跨がせて食らいつくようなキスをしあえば、雪野がきつく俺の首に腕を回してきた。

「創介さ……んっ」

唇を離すと、雪野が声を上げた。

「どうした……?」
「創介さんに、触れたい。私も、さわりたい……っ」

雪野が俺を誘うように腰を揺らして、潤んだ目で訴えて来る。雪野のそんな顔を見て、耐えられるはずもない。
 勢いよく着ていたニットを脱ぎ捨て、素肌になった身体で雪野をもう一度強く抱きしめた。
 触れ合う胸を離し、その蕾に吸いつく。触れるだけだったそこを舌で転がせば、雪野が一際大きな声を漏らし喉を逸らせた。

「や……っ、もう、ダメです、私――」

執拗に舐めあげて転がして、強く吸って。揉みしだく手のひらの力を強めれば、それと同じだけ雪野が激しく腰を前後に揺らす。

「どうした? 当たってるぞ」

硬くなりきったものと雪野の溢れた場所がこすれ合う。既に濡れそぼっているから、ぬるぬると滑って、気が狂いそうになるほどに気持ちいい。互いに腰の動きを止められない。

「あぁ……っ、いやっ」

胸を舌で弄り、秘部を俺のもので擦って、同時に両方を攻められている雪野は、ただ身体をぶるぶると震わせて揺れていた。

「ダメ、おかしくなる、もう、や……っ」
「もっと、乱れろ。いくらでもおかしくなっていい」

みっともないほどに掠れた自分の声に、余裕の欠片もないことが分かる。

「そうすけ、さんっ、お願い――」

腰を掴んで、起立したそれを雪野の中に埋める。すべてを飲み込んだ時、雪野が激しく喘いだ。

「なんだ、入れただけで、イッたのか?」
「ご、ごめんなさ――」

びくびくと痙攣する雪野の身体。唇を塞ぎ、舌を重ねれば、雪野の中がきつく締まる。
 耐えていた分、俺だってすぐにでもイキそうで。

「動くぞ」
「やっ、待って、まだ私――」

乱れた髪が頬に張りついて、妖艶な表情がまた俺を煽る。

もっと、乱れさせる――。

突きまくりたいのを必死で抑え、最初はゆっくりと押し広げるように雪野の腰を落とした。

「やっ……」

俺の形を感じさせるようにじっくりと動く。雪野の肌がじっとりと汗ばんで、赤く染まる。

「可愛いな。どこもかしこも、たまらなく、可愛い」
「やっ……、はぁ……ん」

雪野の腰をしっかりと掴み、規則的に上下させる。雪野の漏らす声が、甘く切ないいものに変わり、俺の肩を強く掴んだ。

「す、き……っ。そうすけさん、好き」

雪野の顔を見上げながら、腰を揺らした。

「もっと――」
「もっと、激しく、突いてほしいのか……?」

息も途切れ途切れになる。

「もっと、して……、奥までっ」

可愛い唇が、もっととねだる。白い控えめの胸が、激しく揺れる。細い腰が、淫らに動く。俺にだけ見せる淫靡な姿態に、もう抑えが効かない。

「雪野――」

愛おしすぎて、壊してしまいそうで。だから、必死で優しく抱くのだ。雪野が苦痛に歪む顔は見たくない。

「愛してる……雪野――っ」

それでも、狂おしい雪野への欲情は、激しく昂ぶる。

 抱き締めても抱きしめても、足りない。どれだけ愛しても、満足できない。もっともっとと、欲しくなる。


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