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第二部
欲しいのは、ただ一人の愛おしい人【side:創介】 13
しおりを挟む社を出てから直接、成城にある叔母の自宅に向かった。理人から話を聞いた日からずっと、叔母に会わなければと思っていた。その口を黙らせるために――。
「創介がうちにわざわざ来てくれるなんて、珍しいこともあるのね」
叔母が、そう言いながらも笑顔で出迎えた。
子どものいない叔母が甥である俺を可愛がっていたのは知っていた。そして、榊の家から出て嫁いでいったからこそ、丸菱に思いがあるのも知っている。でも、俺のいないところで雪野に連絡を取るなんてことをするとは思っていなかった。
そもそも、叔母と雪野が顔を合わせたのは一、二回程度。自分の親族に必要以上に雪野を会わせていない。心ある対応をするとも思えなかったし、会わせる必要もないと思っていた。
その程度の面識で、直接連絡を取るとは――。
叔母までもが出て来るとは、誤算だった。
「今日、東堂の叔父さんは?」
叔母の夫は、大手メーカーに勤めている。そこそこの役職には就いているということだったが、そんなにも出世欲はないのだといつだか叔母が零していた。
「ああ。海外視察よ。まあ、視察という名の旅行だけど」
叔母のあとに続いて、廊下を歩く。成城にあるこの家は、俺の実家ほど広くはないが、夫婦二人で暮らすには十分な広さだ。淋しささえ感じる。
「もっと早い時間に来てくれればよかったのに。お昼、一緒に食事したかったわ。ああ、でも。夕食は? ここで食べて行きなさいよ――」
俺の方を振り返りながら、叔母が弾んだ声で俺に言う。
「――いや。家で、雪野が待ってるから」
そう告げると、叔母の表情から笑みが消える。
「あら、そう」
扉の奥にある居間に通され、ソファに腰掛ける。数年前に来た時とほとんど変わらないその部屋で、俺はすぐに口を開いた。
「――今日は、別に遊びに来たわけじゃない。叔母さんと話がしたかったからだ」
正面に座る叔母は、先ほどまでの機嫌の良さはどこへ行ったのか、その顔にほとんど表情はない。
「先週、雪野を呼んだんだって?」
「……やっぱり来てくれた理由はそれ? わざわざあなたがいないときに呼んだんだから、黙っておいてってことだったのに。雪野さん、早速あなたに報告したの? 『創介さんには何も言いません』なんて言ってたのに、口ばかりじゃないの――」
恨み節を聞いているのも耐え難くて、その言葉を遮る。
「雪野から聞いたんじゃない。理人だよ。雪野は何一つ自分から話そうとはしなかった」
「……理人?」
叔母が顔をしかめた。
「叔母さんと雪野の会話を聞いたらしい」
雪野が帰って来たと理人に連絡した時に、了解をとっておいた。
『叔母さんに直接話しに行く。その時、おまえから話を聞いたと言っていいか』と理人に聞いたら『別に構わない』と言われた。
どうせ、僕は叔母さんにとってどうでもいい人間だから――と。
「本当に、親子揃ってろくでもないわね。人の話を立ち聞きするなんて――」
理人たちの話題になると、よりその表情を歪ませて行く。
「ろくでもないのは、どっちですか?」
俺は、叔母をじっと睨みつけた。
「俺のいないところで、立場の弱い雪野を呼びつけて一方的に別れを迫る。それはろくでもないことじゃないのか?」
「それじゃあまるで、私が意地悪な人間みたいじゃない。私に対してそんな言い方するなんて、創介、酷いわ。私は、ただ、あなたと雪野さんのことを思って助言しただけよ!」
甥が可愛いのか、丸菱が大切なのか。どちらにしても、その感情の向かう矛先が間違っている。
「創介は知ってるの? 雪野さん、大勢の前で恥をかいたのよ。それは、そのままうちの恥になる。これからトップに立たなきゃいけない創介にとってもマイナスに働くのよ。こんなことはこれからも起こる。雪野さんが奥さんである以上、創介までもが恥ずかしい思いをするのよ。それがいいことだとは思えない。雪野さんだって可哀想だわ。あんな風に晒しものみたいにされて。あなただって、そう思うでしょう?」
自分のしたことを正当化するために、叔母はひたすらに捲し立てる。
「真面目に聞いてちょうだい。雪野さんの噂を聞きつけて、私のところにいくつかいいお話が来てるのよ。三木商事、あなたも知っているでしょう? 商社の業界二番手の会社よ。そこの副社長のお嬢様。私、奥様とお友だちでね。それで、是非にって。一度結婚したとは言え、子供もいないし、短い期間の結婚なら気にしないって言ってくださってるのよ。もう、宮川さんレベルの方を迎えるのは難しいかもしれなけれど、三木商事の次期社長のお嬢様なら恥ずかしいということはないわ。どうかしら」
俺は黙ったまま、冷ややかに叔母を見つめていた。
「……まあ、確かに、あなたのお相手には不足かもしれないわね。だったら、慶心大の教授のお嬢様はどう? あなたの母校だもの。いいと思うわ」
何も答えない俺に、叔母が躍起になって言葉を吐き続ける。
「それでも気に入らないって言うなら、私、他にどなたか良い方がいないか探してみる……」
叔母がようやくその口を閉じた。
「――もう気が済んだ?」
「え……?」
「俺は結婚してるんだぞ? 離婚したわけでもない。どうしてそんな話が出来る? 俺はこの先も離婚するつもりはない」
「創介!」
叔母が叫ぶように俺の名前を呼んだ。
「あなたのお父様が、あんな人と再婚してしまった。だからこそ、創介にはきちんとした家の人と結婚してもらいたかったのよ。父親も息子もだなんて、恥ずかしいったらない。あなたのおばあ様もおじい様も、どれだけ落胆しているのか知ってるの?」
祖母も祖父も、もう以前ほどの気力はない。俺の結婚に対して特に意見はしなかった。それに、叔母だって。最初に雪野を紹介した時、俺に何も言って来なかった。叔母は、納得したのではなかったのだ。俺の強い意思に、一度は仕方なく折れた。そんなところなのだろう。
「創介には絶対に丸菱のトップに立ってもらいたいのよ!」
悲壮感に満ちた表情は、それはそれで叔母の想いなのだろう。でも、そんなもの、俺には一切関係ない。
「お父さんだって。叔母さんのいう”あんな人”と再婚しても、社長になっているだろう? お父さんに出来たことが俺には出来ないとでも?」
「あなたのお父さんの場合は、再婚した時にはもう副社長に就任していた。創介とは違うのよ」
「なら、お父さんより困難なことをやり遂げてみせるだけのことだ」
「そんなに甘くないのよ。あなたのお父様だって、きっと悔しいはず――」
叔母の感情的な言葉に、俺は溜息を吐き、冷めた声を放った。
「お父さんと俺の間では、この議論はとっくに終わってる。二年前にやりあって決着がついてることだ。先週、雪野を榊の家に呼んだ時に、お父さんは何か一言でも言いましたか?」
叔母は、悔しそうに口を綴んだままだ。それもそうだろう。父は、絶対に、雪野に何も言っていないはずなのだから。
「どうしてお父さんが何も言わなかったか、教えてあげようか。お父さんは分かっているからだよ。俺が絶対に雪野と別れるつもりがないってこと。俺と雪野が、どれだけの強い思いで結婚したのかを」
結婚を認めさせたのは簡単じゃなかった。時間も言葉も、尽してのこと。父は全部分かっている。
「雪野のためなら榊の家も捨てる覚悟だと、お父さんは知ってる」
俺は二年前、雪野との結婚に反対する父にそう告げた。
「創介……っ」
叔母が、驚きをそのまま表したように絶句している。
「だから、叔母さんがどれだけ喚いても意味がない」
はっきりと分からせる。俺のこの気持ちが、その辺に転がっているようなものとは全く違う次元のものだということを。
「むしろ、叔母さんが、俺のためにと雪野と俺を引き裂こうとすればするほど、俺は榊の家も丸菱も捨てなければならなくなるな」
「まさか――」
「まさか? そんなこと、信じられないか? だったら教えてあげますよ」
自分の心が叔母に対してどんどん冷めていく。それが、表情に表れているのだろう。目の前の叔母の目には怯えが滲んでいた。
「俺の方が雪野に執着しているからだよ」
みんな何かを誤解している。雪野はきっと、俺のためだと思えば、去って行くことが出来るだろう。でも、俺には無理だ。どんな手を使ってでも、雪野を俺に縛りつける。それがどんな卑怯な方法だとしても。
「雪野が身を引いて俺の元から去ろうものなら、俺は力づくでも連れ戻す。地球の果てまでだって探しに行くさ。"政略結婚"じゃないんでね。地位さえあれば代わりがきくような存在じゃないんだ」
「創介、あなた……」
「だから、叔母さんも気を付けてください。雪野に余計なことして雪野がいなくなるようなことでもあれば、俺は自分でも何をするか分からない」
叔母が何か得体の知れないものでも見ているかのように俺を見ていた。
「……それは、私を脅してるの?」
「警告ですよ」
叔母が、息を飲んだのに気付く。
「そういう訳だから、俺と雪野のことをこれからも見守っていてくれ。むしろ、雪野がこの家から離れていかないように、力になってください」
最後に叔母に笑顔を向け、俺は立ち上がった。
「……一つ、聞いていい?」
叔母が俺を見上げる。
「あなた、学生の頃まで、そんな風に誰かに執着することなんてなかったじゃない。一人の人と向き合ってお付き合いしていた気配もなかった。なのに、なぜ……」
そう疑問に思うのも無理はないか――。
「それは、雪野だったから、だな。それまで、女なんて誰だって良かったのに、今の俺は――」
ニヤリと口角を上げて叔母に言った。
「雪野にしか欲情しない」
「な……っ! なんてはしたないことを!」
叔母が口に手を当てて、顔をしかめる。
「だから、他の女と結婚なんて出来るはずもないでしょう。じゃあ、失礼します」
最後だけは丁寧に頭を下げて、居間を後にしようとした。
「……そんなにまでも雪野さんに執着するのは、雪野さんがあなたの本当の母親になんとなく似ているから?」
背後から聞こえる叔母の声に立ち止まる。
「もしそうなら、雪野さんに勝てる人がいるはずもないわね」
溜息交じりのその言葉に、俺は振り返った。
「俺にとって、理由なんてもうどうでもいいことだ。雪野しか考えられないし、今じゃ、雪野以外の女は皆かかしと同じだ」
確かに、母親の面影を雪野に見た。でもそれは、きっかけに過ぎない。雪野を知れば知るほど、そのすべてが愛おしくて大切なものになった。その存在自体が、雪野を想う理由だ。
「ふっ――」
叔母が、突然俯くと、何を思ったのか笑い出した。
「……本当に、創介には敵わないわね。もう、勝手になさい」
そして、諦めたように呆れるように、叔母が溜息まじりにそう言った。
早く、雪野の元に帰ろう。あの優しくてはにかむような笑顔を、早く見たい。
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