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戦闘天使クリス1 「遭遇」
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しなやかな銀髪を持ち、幻想的な青い瞳を持つハーフの女子高生が居た。
その女性の名は「ミタ=クリス」
その顔立ちは神の寵愛をうけたかのように、見事なまでに整った目鼻。
細く白い首の下には、モデルを彷彿させるスレンダーな体型を合わせ持つ。
だが、最も特筆すべき点は強調される豊かな胸と、魅力的なお尻だろう。
胸の大きさは、同世代と比べても明らかに大きい。クリスが多少大きな動作を取ると、その胸が揺れ、周囲の視線を釘付けにする。
大きさもさることながら、張りと弾力もある一級品の胸である。
もし、触れる事が出来れば、その柔らかさは何物にも替えがたいものを感じられるだろう。
高校内でも、絶世の美女と噂される彼女だが、その容姿とは裏腹にヤンチャで男勝りな性格を持つ。
だが、その性格が功を奏し、他の人間との交友関係を円滑にしていた。
当然、そんな美女の宿命というべきか、異性に告白されたのは数知れず。
高校にいる男子生徒全員、クリスに告白したのではないか? と噂されるほどであった。
そんな絵にかいたような美女であるクリスだが、彼女には秘密があった。
この日、クリスは体育の授業を終えて更衣室で他の女性と一緒に着替えを行っている最中であった。
クリスが汗まみれの体操服を脱ぐと、そこからレースの下着に覆われた形の良い乳房が現れる。
それを隣で着替えていた女の子が羨ましそうに見つめる。
「ねぇ、クリスちゃん。また大きくなった?」
「そ、そんなことねぇよ! これ以上大きくなるのはアタシだって嫌なんだよ」
「イヤミ―。いいなぁ、私もクリスちゃんぐらいの胸があれば、意中の男のハートをわしづかみできそうなのに」
「あのな、胸の大きさで全部決まるわけじゃないだろ。そういう小春だって、良い物もってるじゃん」
「メロンのような胸と、林檎のような私の胸を比べられても……はぁー、羨ましい」
「そ、そんなにジロジロ見るなよ……恥ずかしいだろ」
ジロジロ見つめる小春の視線が気になり、クリスは胸を腕で隠す。だが、腕で隠すとその大きい胸が零れそうになるのを小春は見て、更にショックを受ける。
「学校の男子生徒がクリスに夢中になるのも分かるわ。完璧だもんね、性格も容姿も」
「おだてたって、なにも無いからな」
「できる事ならその大きな胸を少しだけ分けて」
「あのなぁー! そういうの、セクハラだぞ!」
二人の会話に割り込むように、クリスの正面のロッカーから電子音が響く。
おもむろにロッカーに入れていた携帯電話を取り出すと、画面には「フィン」と表示が出ていた。
それを見たクリスの表情が一気に険しくなり、直ぐに電話に出る。
「もしもし、クリスだ」
「クリス! 『インパイア』が現れた! 至急向かってくれ!」
「了解!」
直ぐに電話を切ると、クリスは急いで着替えを済ませ始める。
「クリスちゃん、もしかしてインパイアなの?」
「ああ。直ぐに現場に向かわないとな」
「気を付けてね? クリスちゃんに何かあったら……」
「だいじょーぶだよ。今更インパイア如き、アタシの敵じゃないよ!」
良い笑顔を見せると、クリスはその場を後にする。
そんなクリスの背中を小春は心配そうにずっと眺めていた。
☆
十年前、突如地球に飛来した地球外生命体。それらは不定形な形を持ちながら触手を持つ生物と、スライムのような軟体生物であった。
彼等は地球に住む人類に容赦なく牙を剥き、襲われた人類は食料として食べられるか、または殺害される。
飛来した地球外生命体の数は日に日に増えていく。世界は地球外生命体の呼称を「インパイア」と統一し、その対処に追われていた。
日本政府は独自の組織「フィン」を作り、インパイアの対処に当たっていた。
そんな中、インパイアの出現に合わせたように日本に見た事もない遺跡が発掘される。
そこには現代科学の遥か上を行く技術の機械と、インパイアに関しての情報が記載されていた。
インパイアが地球を襲ったのはこれが初めてでは無かったのだ。
遺跡から発掘されたスーツのような機械を基に、現代の技術を照らし合わせ「フィン」は対インパイア用戦闘スーツ「リベリオン」を作成することに成功した。
だが、これには遺跡に残されていた『コアエレメント』と呼ばれるスーツの核の部分が重要であり、それを動かすには波長の合う人間でなければ動かすことは出来ない。
もし、その適合者が存在すれば「着装」の掛け声と共に、作動する。
身に着けていた衣服がコアエレメントにより、物質の再構築化が行われ、どんな衣服であろうと直ぐに戦闘スーツへと変貌する仕様となっている。
戦闘スーツを着用すると、何の武術の心得の無い女の子でも、軍隊を相手にしても勝ってしまうほどの戦力を身に着けることができる。
クリスはその適合者の一人として、組織「フィン」に身を置いていた。
スーツの適合はほぼ百パーセント女性が適合される。そのため「フィン」の隊員は女性だけで構成されていた。
☆
クリスは更衣室から出ると、真っ先に駐輪してあった組織の開発したモニター付きの大型バイクの下に向かい、ライダースーツに身を包み、颯爽と学校から出ていく。バイクを移動させると、モニターに簡易的なMAPと赤く光る点が記される。
「敵の数は?」
クリスはバイクを操縦しながらモニターに向かって話しかける。
『約20体だ。何時ものアメーバタイプと、ローパータイプの二種類だと思われる』
モニターからは壮年の男の声が返ってくる。
「20……まぁ、アタシの敵じゃないな」
『浮かれるなよ。油断は禁物だ』
「上等! 見てな、一瞬で片付けてやるから!」
バイクのハンドルを大きく捻り、更に速度を加速させて目的地へと急ぐクリス。
クリスがモニターに記された目的地へ辿り着いたのは5分後の事だった。
そこは郊外にある元工場地帯で、製鉄所として栄えていた時期があり、その時に多数の工場が建設されていた。
しかし、時代の移り変わりで製鉄場は廃れていき、その名残りとしての廃棄された工場が今も多数残っている。
そんな工場地帯で、我が物顔で歩くインパイアの姿があった。
自分達の家だと言わんばかりに周辺を闊歩している。
そこに、けたたましいブレーキ音と共に、彼等を駆逐する者が現れる。
バイクから降りてヘルメットを取り外し、スーツを脱ぎ捨てる。突如現れた者を、インパイア達は敵とみなしたのか、闊歩をやめて明らかに敵対心をむき出しにする。
数で上回るインパイア達を見て、怯むどころかクリスは不敵に笑う。
「さて、と。それじゃあ、一気に片付けさせてもらうぜ! 『着装』!」
クリスが唱えると、眩い閃光がクリスを包んだ。
身に着けていた制服が光の粒子となり、再構築されて他の衣装へと一瞬に早変わりする。
閃光が解けると、そこには別の衣装に身を包んだクリスの姿があった。
真紅に染まったレオタードの衣装。
だが、肩と胸元を大きく露出させ、背中の部分までもが露出された状態。
スーツというには柔軟性と伸縮性に長けており、その見事な胸をぴったりと包み込んでいた。
また、股間やお尻に当たる布地はV字の際どいもので、腰には金属製のポーチが両サイドに備わっており、背中にはコンテナのようなバックパックを背負っていた。
頭部にはヘッドホンをほうふつとさせる頭飾りと大きな耳当てが取り付けられる。
それらすべては重さを全く感じさせなかった。
「それじゃあああ、いくぜぇえええ!」
腰に備わっていたポーチから、二挺の拳銃を取り出す。
カートリッジ式の弾薬を銃身下部に接続しており、引き金を引き続ける事で、その弾薬を連射することが可能となる。
クリスはインパイア目掛けて、拳銃をぶっ放した。
バラララララララ! と、銃口から絶え間ない銃弾の雨がインパイアを襲う。
インパイアもその銃弾の雨を掻い潜ってクリスを襲おうとするが、クリスの敏捷性はその遥か上を行く。
音もなく、後方に飛び退いたかと思えば、垂直にジャンプをして上から容赦ない銃弾を浴びせる。
風のように素早いクリスを捕まえる事はできず、一瞬でインパイアはその姿をミンチと化した。
空になったカートリッジを外し、背部コンテナからクリスの脇腹を掠めるようにレールが飛び出し、そこから瞬時に新しいカートリッジが支給される。それを受け取り銃に取り付ける。
動いているインパイアがいない事を確認し、銃をクルクルと回し、再び腰のポーチの中に納めた。
「はい、余裕っと」
宣言通り一瞬で仕事を終わらせたクリスは、ご満悦な様子。
そんなクリスの気分に水を差すかのように、耳当ての機器から通信が聞こえる。
『クリス、まだ終わっていないぞ』
「あん? どういう事だよ?」
『その工場地帯で、人の姿が確認されている。至急捜索に当たってくれ』
「こんな場所に人? 本気かよ? もう死んでるんじゃないのか?」
『つべこべ言わず、捜索に当たれ。こちらからも人員を派遣する』
「ハイハイ、りょーかいっと」
通信が切られ、クリスは腰に手を当て不満げ。
「なんだよ……こっちは頑張ってるんだから、労いの言葉の一つぐらいくれてもいいだろ」
愚痴を零しつつ、クリスは工場周辺を歩き始める。
既には廃工場ということもあり、人の気配は全くなく、草木がそこら中で生え放題だった。
捜索というよりも散歩といった様子のクリス。一人で探すよりも、後から来るフィンの人員と共同で捜した方が早いと考えていたからだ。
「おーい、居たら返事してくれよ」
呼びかける声にヤル気は微塵も感じられず、覇気もない。
ぐるりと工場周辺を見終わったクリスは、戻ろうとした時、工場の陰に一瞬人影を見た気がした。
(今の……気のせいか?)
とりあえず確認するため、クリスは人影のいた工場の陰に足を進める。すると、また視線の先で動く人影。
今度もまた工場の陰に隠れていく。その行動が奇妙に感じたクリスは、腰に納めていた銃を二挺とも取り出す。
(まるでアタシから逃げてる感じだ。いや、おびきだしてる?)
人型のインパイアをクリスは見た事も無ければ聞いたことも無かった。
耳当ての通信機器にクリスが手を触れると、瞬時にフィンへと繋がる。
『どうした? 何かあったのか?』
「今、人らしきものを発見したんだけどな……どうも様子がおかしいんだよ」
『どういう意味だ?』
「アタシの姿を見て何故か逃げてるんだ。もしかしたらインパイアの可能性があるかもって思ってさ」
『現状、そのようなインパイアの存在は確認されていない。だが、危険だと思ったらすぐに引け。お前の無事が一番だ』
その言葉を聞いて、クリスはくすっと嬉しそうに笑う。
「何言ってんだよ、司令官のくせに。アタシがそんなヘマするわけないだろ」
『気を付けろよ。まだ組織の応援がそちらに着くには時間がかかる』
クリスは再び移動を始め、人影を見失った場所まで着くと、銃口を構えて角から飛び出す。
しかし、再び人影は遥か先でクリスに見えるように隠れる。
「いい加減、この追いかけっこも飽きてきた」
今度はスーツの力を使い、一瞬にして見失った人影の場所まで移動をする。その先で見たのは、大きな倉庫だった。
廃れて大分経つというのに、その倉庫は明らかに場違いな新品。
そして、その入口は完全に開け放たれていた。明らかに、クリスを誘っているとしか思えない状況だった。
とりあえずクリスは開いている入口から中を覗いた。
倉庫らしく、様々な備品と段ボールの山。それと、鉄骨が隅に置かれている程度。倉庫の大きさを考えればガラガラだった。
(さてと、どうするかな……?)
口元に指をあてがい、考える。
何もないこの倉庫の先に、さっきの人影が隠れているかどうかが焦点だった。
これから来る応援を待って臨んでも良い筈。だが、そうこうしているうちに人影が逃げてしまう可能性もあった。
(アタシは逃げるっていうのは性に合わないんだよ……!)
入口の大きさから、背中に背負ったバックパックを持っては入れないと判断してその場に捨てるクリス。
そして、二挺の拳銃を構えながらゆっくりと倉庫の中へと入っていった。
その女性の名は「ミタ=クリス」
その顔立ちは神の寵愛をうけたかのように、見事なまでに整った目鼻。
細く白い首の下には、モデルを彷彿させるスレンダーな体型を合わせ持つ。
だが、最も特筆すべき点は強調される豊かな胸と、魅力的なお尻だろう。
胸の大きさは、同世代と比べても明らかに大きい。クリスが多少大きな動作を取ると、その胸が揺れ、周囲の視線を釘付けにする。
大きさもさることながら、張りと弾力もある一級品の胸である。
もし、触れる事が出来れば、その柔らかさは何物にも替えがたいものを感じられるだろう。
高校内でも、絶世の美女と噂される彼女だが、その容姿とは裏腹にヤンチャで男勝りな性格を持つ。
だが、その性格が功を奏し、他の人間との交友関係を円滑にしていた。
当然、そんな美女の宿命というべきか、異性に告白されたのは数知れず。
高校にいる男子生徒全員、クリスに告白したのではないか? と噂されるほどであった。
そんな絵にかいたような美女であるクリスだが、彼女には秘密があった。
この日、クリスは体育の授業を終えて更衣室で他の女性と一緒に着替えを行っている最中であった。
クリスが汗まみれの体操服を脱ぐと、そこからレースの下着に覆われた形の良い乳房が現れる。
それを隣で着替えていた女の子が羨ましそうに見つめる。
「ねぇ、クリスちゃん。また大きくなった?」
「そ、そんなことねぇよ! これ以上大きくなるのはアタシだって嫌なんだよ」
「イヤミ―。いいなぁ、私もクリスちゃんぐらいの胸があれば、意中の男のハートをわしづかみできそうなのに」
「あのな、胸の大きさで全部決まるわけじゃないだろ。そういう小春だって、良い物もってるじゃん」
「メロンのような胸と、林檎のような私の胸を比べられても……はぁー、羨ましい」
「そ、そんなにジロジロ見るなよ……恥ずかしいだろ」
ジロジロ見つめる小春の視線が気になり、クリスは胸を腕で隠す。だが、腕で隠すとその大きい胸が零れそうになるのを小春は見て、更にショックを受ける。
「学校の男子生徒がクリスに夢中になるのも分かるわ。完璧だもんね、性格も容姿も」
「おだてたって、なにも無いからな」
「できる事ならその大きな胸を少しだけ分けて」
「あのなぁー! そういうの、セクハラだぞ!」
二人の会話に割り込むように、クリスの正面のロッカーから電子音が響く。
おもむろにロッカーに入れていた携帯電話を取り出すと、画面には「フィン」と表示が出ていた。
それを見たクリスの表情が一気に険しくなり、直ぐに電話に出る。
「もしもし、クリスだ」
「クリス! 『インパイア』が現れた! 至急向かってくれ!」
「了解!」
直ぐに電話を切ると、クリスは急いで着替えを済ませ始める。
「クリスちゃん、もしかしてインパイアなの?」
「ああ。直ぐに現場に向かわないとな」
「気を付けてね? クリスちゃんに何かあったら……」
「だいじょーぶだよ。今更インパイア如き、アタシの敵じゃないよ!」
良い笑顔を見せると、クリスはその場を後にする。
そんなクリスの背中を小春は心配そうにずっと眺めていた。
☆
十年前、突如地球に飛来した地球外生命体。それらは不定形な形を持ちながら触手を持つ生物と、スライムのような軟体生物であった。
彼等は地球に住む人類に容赦なく牙を剥き、襲われた人類は食料として食べられるか、または殺害される。
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日本政府は独自の組織「フィン」を作り、インパイアの対処に当たっていた。
そんな中、インパイアの出現に合わせたように日本に見た事もない遺跡が発掘される。
そこには現代科学の遥か上を行く技術の機械と、インパイアに関しての情報が記載されていた。
インパイアが地球を襲ったのはこれが初めてでは無かったのだ。
遺跡から発掘されたスーツのような機械を基に、現代の技術を照らし合わせ「フィン」は対インパイア用戦闘スーツ「リベリオン」を作成することに成功した。
だが、これには遺跡に残されていた『コアエレメント』と呼ばれるスーツの核の部分が重要であり、それを動かすには波長の合う人間でなければ動かすことは出来ない。
もし、その適合者が存在すれば「着装」の掛け声と共に、作動する。
身に着けていた衣服がコアエレメントにより、物質の再構築化が行われ、どんな衣服であろうと直ぐに戦闘スーツへと変貌する仕様となっている。
戦闘スーツを着用すると、何の武術の心得の無い女の子でも、軍隊を相手にしても勝ってしまうほどの戦力を身に着けることができる。
クリスはその適合者の一人として、組織「フィン」に身を置いていた。
スーツの適合はほぼ百パーセント女性が適合される。そのため「フィン」の隊員は女性だけで構成されていた。
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「敵の数は?」
クリスはバイクを操縦しながらモニターに向かって話しかける。
『約20体だ。何時ものアメーバタイプと、ローパータイプの二種類だと思われる』
モニターからは壮年の男の声が返ってくる。
「20……まぁ、アタシの敵じゃないな」
『浮かれるなよ。油断は禁物だ』
「上等! 見てな、一瞬で片付けてやるから!」
バイクのハンドルを大きく捻り、更に速度を加速させて目的地へと急ぐクリス。
クリスがモニターに記された目的地へ辿り着いたのは5分後の事だった。
そこは郊外にある元工場地帯で、製鉄所として栄えていた時期があり、その時に多数の工場が建設されていた。
しかし、時代の移り変わりで製鉄場は廃れていき、その名残りとしての廃棄された工場が今も多数残っている。
そんな工場地帯で、我が物顔で歩くインパイアの姿があった。
自分達の家だと言わんばかりに周辺を闊歩している。
そこに、けたたましいブレーキ音と共に、彼等を駆逐する者が現れる。
バイクから降りてヘルメットを取り外し、スーツを脱ぎ捨てる。突如現れた者を、インパイア達は敵とみなしたのか、闊歩をやめて明らかに敵対心をむき出しにする。
数で上回るインパイア達を見て、怯むどころかクリスは不敵に笑う。
「さて、と。それじゃあ、一気に片付けさせてもらうぜ! 『着装』!」
クリスが唱えると、眩い閃光がクリスを包んだ。
身に着けていた制服が光の粒子となり、再構築されて他の衣装へと一瞬に早変わりする。
閃光が解けると、そこには別の衣装に身を包んだクリスの姿があった。
真紅に染まったレオタードの衣装。
だが、肩と胸元を大きく露出させ、背中の部分までもが露出された状態。
スーツというには柔軟性と伸縮性に長けており、その見事な胸をぴったりと包み込んでいた。
また、股間やお尻に当たる布地はV字の際どいもので、腰には金属製のポーチが両サイドに備わっており、背中にはコンテナのようなバックパックを背負っていた。
頭部にはヘッドホンをほうふつとさせる頭飾りと大きな耳当てが取り付けられる。
それらすべては重さを全く感じさせなかった。
「それじゃあああ、いくぜぇえええ!」
腰に備わっていたポーチから、二挺の拳銃を取り出す。
カートリッジ式の弾薬を銃身下部に接続しており、引き金を引き続ける事で、その弾薬を連射することが可能となる。
クリスはインパイア目掛けて、拳銃をぶっ放した。
バラララララララ! と、銃口から絶え間ない銃弾の雨がインパイアを襲う。
インパイアもその銃弾の雨を掻い潜ってクリスを襲おうとするが、クリスの敏捷性はその遥か上を行く。
音もなく、後方に飛び退いたかと思えば、垂直にジャンプをして上から容赦ない銃弾を浴びせる。
風のように素早いクリスを捕まえる事はできず、一瞬でインパイアはその姿をミンチと化した。
空になったカートリッジを外し、背部コンテナからクリスの脇腹を掠めるようにレールが飛び出し、そこから瞬時に新しいカートリッジが支給される。それを受け取り銃に取り付ける。
動いているインパイアがいない事を確認し、銃をクルクルと回し、再び腰のポーチの中に納めた。
「はい、余裕っと」
宣言通り一瞬で仕事を終わらせたクリスは、ご満悦な様子。
そんなクリスの気分に水を差すかのように、耳当ての機器から通信が聞こえる。
『クリス、まだ終わっていないぞ』
「あん? どういう事だよ?」
『その工場地帯で、人の姿が確認されている。至急捜索に当たってくれ』
「こんな場所に人? 本気かよ? もう死んでるんじゃないのか?」
『つべこべ言わず、捜索に当たれ。こちらからも人員を派遣する』
「ハイハイ、りょーかいっと」
通信が切られ、クリスは腰に手を当て不満げ。
「なんだよ……こっちは頑張ってるんだから、労いの言葉の一つぐらいくれてもいいだろ」
愚痴を零しつつ、クリスは工場周辺を歩き始める。
既には廃工場ということもあり、人の気配は全くなく、草木がそこら中で生え放題だった。
捜索というよりも散歩といった様子のクリス。一人で探すよりも、後から来るフィンの人員と共同で捜した方が早いと考えていたからだ。
「おーい、居たら返事してくれよ」
呼びかける声にヤル気は微塵も感じられず、覇気もない。
ぐるりと工場周辺を見終わったクリスは、戻ろうとした時、工場の陰に一瞬人影を見た気がした。
(今の……気のせいか?)
とりあえず確認するため、クリスは人影のいた工場の陰に足を進める。すると、また視線の先で動く人影。
今度もまた工場の陰に隠れていく。その行動が奇妙に感じたクリスは、腰に納めていた銃を二挺とも取り出す。
(まるでアタシから逃げてる感じだ。いや、おびきだしてる?)
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その言葉を聞いて、クリスはくすっと嬉しそうに笑う。
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『気を付けろよ。まだ組織の応援がそちらに着くには時間がかかる』
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しかし、再び人影は遥か先でクリスに見えるように隠れる。
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廃れて大分経つというのに、その倉庫は明らかに場違いな新品。
そして、その入口は完全に開け放たれていた。明らかに、クリスを誘っているとしか思えない状況だった。
とりあえずクリスは開いている入口から中を覗いた。
倉庫らしく、様々な備品と段ボールの山。それと、鉄骨が隅に置かれている程度。倉庫の大きさを考えればガラガラだった。
(さてと、どうするかな……?)
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何もないこの倉庫の先に、さっきの人影が隠れているかどうかが焦点だった。
これから来る応援を待って臨んでも良い筈。だが、そうこうしているうちに人影が逃げてしまう可能性もあった。
(アタシは逃げるっていうのは性に合わないんだよ……!)
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そして、二挺の拳銃を構えながらゆっくりと倉庫の中へと入っていった。
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