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第一章 セルメシア編
第10話 王子の演説と騎士の仕事
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ラマー・ゴードン・アルメスタ。
このアルメスタ王国の現国王、オスカー・スタンリー・アルメスタの息子にして次期王位継承者。
つまり、オスカー亡き後の王ということになる。
「翼、そろそろ始まるよ」
「分かってる」
ロベルトの隣にいたアイリが小声で彼にそう伝える。
広場の奥には演説のための舞台が用意され、その近くにはラマーが乗っていたパレードの車が置かれていた。
そしてその車から主役であるラマーがおりて、舞台に上って大観衆の前で両手を広げて自らをアピールした。
舞台の周りにはゼロ部隊、さらにラマーの近くには先ほどのパレードでも見かけた全身に鎧を着た4人組もいる。
「あっ、あれお姉ちゃんだ」
「ほんとだ」
アイリが指をさす場所、ラマーから少し離れた場所には白い特注の制服を着たシャルロットが真剣な顔で周囲を見張っており、その隣には黒いコートを羽織った団長のハイドも険しそうな顔をして周りを見張っていた。
流石騎士団のトップ二人だけあってその存在感はすごく、離れた場所にいるロベルトやアイリにもその雰囲気が強く伝わる。
やがて、舞台の上にたったラマーが演説台の上にあるマイクを手に取り、息を大きく吸い込んで声を出した。
「皆の者よ! 今日は私のためにこのような催し事を開いてくれたことを、心から感謝する! 私の事はこの国の者は当然知っておるだろうが……隣国の者は知らぬ者も多いだろう! 改めて自己紹介させてもらう! 私はこのアルメスタ王国の王、オスカー・スタンリー・アルメスタの息子であり、次期国王となる者……ラマー・ゴードン・アルメスタと申す!!」
ラマーは右手にマイクを握りながら、左手で手を大きく振りつつ大振りなアクションをする。
自分の存在感を大きく見せるためであろう。
ラマーの一声で広場にいる大衆も、彼の帰還を歓迎しているかのように歓声を上げる。
「キャー! ラマー様ー!」
「ラマー様ー! こっち向いてくださーい!」
彼の甘いマスクに心を奪われた女性たちが、自分を見てくれと言わんばかりにそう叫ぶ。
それに気づいたラマーは女性たちに顔を向けて笑顔を見せながら、軽く手を振って話を続ける。
「私は先日、父上からとある任務を仰せつかり、このセルメシア大陸の隣にある大陸、グラハマーツ大陸へと遠征にはせ参じた次第である。皆もご存じの通り、グラハマーツ大陸ではここセルメシア大陸と同じように魔獣が各地で暴れまわり、時には民に害をなすことが多い! さらに現在グラハマーツ大陸には時折、巨大魔獣が現れ甚大な被害をもたらすことがある!!」
「巨大魔獣……」
ラマーの口から気になる単語が出てきた。
魔獣……異世界系ファンタジーではドが付くほど定番の要素。
作品によっては魔物やモンスターともいわれるが、このルナティールでは魔獣という呼び名で通っている。
このルナティールでは魔獣は3通りの種類がある。
一つ目は家畜魔獣と呼ばれ、人間に対して害もなく、家畜やペットとして買われてる魔獣。
二つ目は有害魔獣と呼ばれ、人間相手であれば見境なく襲う魔獣であり、ロベルトたち騎士団の任務は主にこういう有害魔獣の討伐が多い。
そして三つ目がラマーの口から出た巨大魔獣。
文字通り大型の魔獣で、通常の有害魔獣がそのまま巨大化した魔獣である。
大きさとしては普通車サイズのものもあれば、滅多にないがトラックサイズの魔獣が発見されたという報告も少なからずある。
巨大魔獣については現在ここ、セルメシア大陸では目撃されたケースはなく、隣のグラハマーツ大陸ではよく見られるようだ。
「今回私に下された任務はグラハマーツ大陸で暴れる巨大魔獣の討伐であった! 同盟国であるセレニア王国の要請を受けて、二週間かけてようやく任務を達成し、帰還することができた! さすがの私も単身、巨大魔獣相手に正面から立ち向かうのは愚かだと判断し、現地の冒険者と協力をして見事巨大魔獣の討伐に成功した!!」
ラマーの迫力ある演説につられて、広場に集まっている民衆が大声を上げて喜ぶ。
その歓喜の雄叫びは空気を震わせ、ロベルトの鼓膜を今にも破ってしまいそうなほどの騒音。
あまりのうるささにロベルトとアイリは思わず両耳を塞ぐ。
「華蓮、セレニア王国って……」
「グラハマーツ大陸にある国の一つでアルメスタ王国の同盟国だね」
グラハマーツ大陸には4つの国があるが、そのうちの一つがセレニア王国だ。
アイリの言った通りアルメスタ王国の同盟国であり、水の都として有名である。
ロベルトとアイリはこのアルメスタ王国があるセルメシア大陸から出たことはないので、グラハマーツ大陸にも行ったことがない。
あと数年したら任務でいくことになるのかもしれないが。
「本日は私の任務達成及び帰還を祝して宴だ!! 皆の者! 飲め! 食え! 歌え! そして女神アリシアに祈りを!!」
ラマーの気合の入った演説で、広場にいる大観衆も心を一つにして歓喜の雄叫びを上げる。
アリシアの宗教の信者もこの中におるらしく、彼女に対して両手を合わせて祈りを捧げている者もちらほら見かけた。
しかしここにいるラマー含めた大半の民衆や信者は、真実に気づいていないのだろう。
女神アリシアが、邪悪なる者に力を奪われて今まさに死にかけていることを。
「では皆の衆! 引き続き宴を楽しんでおくれ!」
ラマーは最後にそういうと、右手を上げながら演説台を降りていき、後ろの城のほうへと向かって歩いていく。
彼の近くに立っていた全身鎧の4人組と、ゼロ部隊もラマーを護衛しながら城門を潜っていった。
ラマーによる演説が終わった後はそのまま祭りに移った。
街を見渡せば普段は見かけない屋台がちらほらと出ており、多くの屋台の店主の目には火が灯っている。
自分の店の商品を多く売ってやろうという心の叫びが、言わずとも目を見ればそれを物語っていたからだ。
現在の時刻は12時を少し回っており、飲食関係にとってはまさに書き入れ時の時間。
だが人が多いということはその分犯罪も多くなり、特に今日は祭りということもあって昼間から酒を飲んでいる連中も数多くいる。
既に騎士団の各部隊で酔っ払いの対処があちこちで見られた。
「おいこら! 暴れんな!」
「放しやがれ! こいつを一発ぶん殴らねぇと気がすまねぇんだよ!!」
どうやらさっそく事案が発生していたようで、顔が赤い酔っ払いを騎士団員が背後から羽交い絞めにして取り押さえている。
右手に一升瓶を持っており、中身がすでに底をついていることから相当な量を飲んでいるのだろう。
このように、メランシェルの至るところで酔っ払い事案が多発しており、騎士団員の仕事が増える要因にもなっている。
一方、ロベルトたちはアルトとヴィンセントと師団長含めた4人の計7人のチームを組んで街中の見回りをしていた。
「やれやれ……祭りで賑やかなのはいいことだが、問題が起こるのは勘弁してほしいぜ」
「ほんと、そうですね」
隊列を組んで先頭を移動している師団長が思わず愚痴る。
だが彼の気持ちもわからなくはない。
犯罪も多くなれば騎士団の仕事も増えるため、問題は起こらないほうがいいものだ。
「ロベルト、あっちの方に目を見張らせておけよ。アルト、ヴィンセントは反対側な」
「分かりました」
「了解っす」
ロベルトは師団長の指示に従い右側に目を配り、アルトとヴィンセントは反対側を見張る。
祭りの騒ぎに乗じて犯罪を起こす輩というのは必ずいるものだ。
例えば……こういう人が多い場所では窃盗である。
鞄などをとって人込みに紛れてしまえば、追跡は困難だからだ。
特に手慣れたものがそれを実行すれば、あっという間に消えてしまうだろう。
「キャー! 泥棒ー!」
どうやらさっそくお出ましのようである。
絹を裂くような女性の悲鳴が聞こえたほうにロベルトは顔を向けると、細身の男が女性もののバッグを抱えて走っていた。
状況から察するに、あの男が女性のバッグをひったくったということで間違いない。
男は人込みのせいでロベルトたち騎士団に気づいていないのか、こちらのほうに向かって走ってきた。
「ロベルト! アルト! 行け!!」
「はい!」
「お任せを!」
師団長の指示でロベルトとアルトはすぐさま動き出す。
実のところ、アルメスタ王国では一番よく起こる犯罪は窃盗である。
こういった人込みの中だと、身動きが取れなくなり犯人を取り逃がしてしまいそうだが、ロベルトたちは人込みの中での追跡訓練を受けている。
そのため今日のような祭りで人がたくさんいようが、既にロベルトの瞳には犯人の姿をしっかりと捉えていた。
「やっべ!」
ここで犯人の男が接近するロベルトに気づいたのか、すぐ横にあった路地裏に逃げ込む。
彼らもその路地裏に入り、引き続き追跡を続ける。
おそらく男は路地の入り組んだ道を使い、ロベルト達を撒くつもりなのだろう。
「こんな路地で俺たちを撒く気か? 面白いじゃないか」
だがアルトの顔には薄っすらと笑みが浮かべており、その表情から自身が満ちていた。
なぜなら彼らは騎士団に配属された頃からこの地域を何回も見回っており、当然こういった路地裏の地理も既に頭の中に叩きこまれている。
絶対に逃がしはしない、とアルトは表情でそう言っているのが見て伝わった。
「ん? あっ! ロベルト、左だ!」
アルトの一声でロベルトは左のほうに顔を向けると、先ほどの犯人の男の背中が見えた。
だが男は逃げることで精一杯のようで、幸いにも追跡してきたロベルトとアルトに気づいていない。
これはチャンスである。
「アルト! 回り込むぞ! お前はそのままあいつを追え!」
「了解!」
ロベルトは別ルートから回り込んで挟み込む作戦で男を捕獲しようと考えた。
そのためアルトはそのまま男を追跡し、ロベルトは別方面に向かって走っていく。
道中、地面に散乱している樽や瓶などに足を引っかけながらも、少し迂回しつつロベルトは曲がり角を曲がった瞬間、逃げる男と出くわした。
「さーもう大人しくしな」
「くっ、くそ!」
焦った男は左手で鞄を抱きかかえつつ、右手で懐からナイフを取り出した。
見たところ質も悪く、所々さび付いており碌に手入れもされていないようなナイフ。
しかしそれでも人を殺すには十分である。
「まったく……往生際が悪いな」
凶器を出されたとあれば、こちらもそれなりの対処をしなければならない。
そう思ったロベルトは腰に差している短剣、クロスを抜いて逆手持ちで構える。
こういう狭い路地では剣のような長物は逆に振り回しにくいため、ナイフのほうが有利なのだ。
「畜生! 死ね!」
男は手に持ったナイフの刃先をロベルトに向けたまま走り出す。
このままではその凶刃が目の前にいるロベルトの心臓に立ってしまうだろう。
だが、肝心のロベルトはいたって冷静である。
「仕方ない。じゃあこっちもやるとしましょうか」
右手にもったクロスを構えたロベルトは、腰を少し下ろして己に向かって突っ込んできた男のナイフを軽くいなす。
二度、三度、四度と鉄と鉄のぶつかる音が路地裏に残響する。
もし生前の海堂翼であれば、ナイフを出された瞬間ビビってその場で動けなくなっていたであろう。
だが転生して騎士学校で訓練を積み、現在も任務で実践を積んでいるロベルトにとっては、もはや慣れたものだ。
男は戦いの経験はないのか、動きも荒くナイフの振り方が素人そのもの。
訓練や実践を積んできたロベルトと比べても天と地の差である。
「ちっ! おらぁ!」
男は雑な動きでロベルトに向かってナイフを縦に振り下ろすが、ロベルトは一歩下がって簡単によける。
こういうのは動きをよく見れば、意外と簡単に対処できるものだ。
「くそがぁ!」
男は自分の攻撃が全く当たらないためかだんだんとイラつき始め、感情的になって今度はナイフを横に振る。
だがロベルトはこの時勝機と見たか、ナイフを振るタイミングを見てその場でしゃがんでよけた。
「おらよっと!」
さらにしゃがんだまま男の足元を右足で追撃し、男は姿勢を崩してそのまま転倒した。
「アルト!」
「あいよ!」
転んだ今がチャンスと言わんばかりに傍で待機していたアルトがすかさず男に接近し、腰につけていたロープで手足を拘束する。
これにて一見落着だ。
「くそ! 放せ!」
「あのな、捕まえた犯人をはいそうですかって放す奴いないだろ?」
男は最後の悪あがきなのか、その場でじたばたする。
「おいアルト、そんなんじゃ生ぬるいぞ」
「え?」
「どけ」
ロベルトは自分の腰につけていたロープに手をかけて、地面に寝転がっている男に馬乗りし、ロープでさらにぐるぐるぐるぐると巻き付ける。
最終的には……
「んー! んーんんーー!!」
男は全身簀巻き状態となり、さらに口までロープで塞がれる。
そしてロベルトは男をそのまま神輿のように担ぎあげた。
「ロベルト……やりすぎじゃね?」
「これくらいやらないと仕事にならないだろ?」
「相変わらずだなぁ……」
どうやらロベルトにとっては犯人を簀巻きにすることは日常茶飯事のようだ。
このようにしておけばマジシャンでもない限り、ロープを振りほどくのはまず不可能だからである。
「ほら、手伝え」
「はいはい。おっと、その前に……これこれ」
アルトは傍に落ちていた鞄を回収すると、そのまま簀巻きにされた男をロベルトと共に担いで路地裏を出ていった。
この状態で表に出れば、簀巻きにされた犯人は注目され、男にとっては一生の恥ともなろう。
現に今、路地裏から出てきた瞬間、犯人には多くの民の視線が集中した。
その多くは、犯罪を犯した人間に対する軽蔑の視線。
人間、悪いことをすれば自分にもその報いが返ってくるのだから。
「ありがとうございます! なんとお礼を言ったらいいか……」
「お礼なんて結構ですよ。騎士団として当然のことをしただけです。それよりお怪我はありませんでしたか?」
ヴィンセントは先ほど鞄をとられた女性の対応をしていた。
あの鞄にはいくつか現金が入っていたものの、すぐにロベルトたちが追跡をしたおかげで現金のほうは手が付けられておらず、結果的に鞄もお金も無事に帰ってきた。
自分の鞄が戻ってきたことに女性はとても嬉しそうで、今にも泣きだしそうな顔をしている。
もしかしたらこの鞄は女性にとっては大切な思い出が詰まっているものなのかもしれない。
こういう人たちのために、騎士団が存在するのだ。
そしてロベルトのほうはと言うと……
「んー! んんーー!!」
「ワッショイワッショイ!!」
「わっしょいわっしょい!!」
「わしょいわしょい?」
簀巻きにした犯人をアルトや他の団員と共に神輿のように担ぎあげてそのまま署のほうに連行していった。
神輿を上げてワッショイというのは生前の日本の祭り文化なので、異世界人である彼らにとっては意味が分からず、ロベルトの後に続いてとりあえずワッショイと言っていた。
アルトに関してはもはやノリで言っている。
時刻は夜の7時を少し過ぎた頃、普段であればこの時間帯になれば静かになるメランシェルの街だが、今日は違う。
お祭りのため、どの店でも営業時間が延長されて客によるどんちゃん騒ぎが始まっていた。
だが今の時間帯はお昼の時間帯と同じように飲食店を警戒せねばなるまい。
夜になれば酒に酔って暴れる客が再び多発するため、酔っ払い客同士による殴り合いも珍しいことではない。
「はーなーせーよー! はーなーせーよー!」
上半身裸の男が一人の騎士団員にズルズルと引きずられていく。
特にこういう日はこの手の連中が増えるのだ。
「うわぁ……酒臭いな」
「酒は飲んでも飲まれるなってね」
付近を巡回しているロベルトとアルトは、横で他の騎士団員に引きずられていく男を見てそう言った。
彼らにとってああいう人間は反面教師、将来ああなりたくないものである。
「そういえば、今何時だ?」
「7時を少し過ぎたところ。後一時間だ」
普段であれば彼らはもう仕事は終わって帰路についているのだが、今日に限ってはあと一時間ある。
これが終われば別部隊による巡回が始まって交代するので、あと少しの辛抱だ。
早く終わらないかな、と思っていたロベルトだが一緒に巡回していた師団長の腰から電子音が聞こえた。
師団長は腰につけている音が鳴っているモノを手に取ると、それを耳に当てた。
「はい、こちら13部隊87警ら隊」
『こちら13区警備署。13区のマリアナ食堂にて酒に酔って暴れている男がいるとの通報あり』
「了解。ただちに向かう」
師団長が手に取ったのは無線機だ。
アルメスタ王国では既に電話機だけではなく、無線機もオスカーの手によって開発されて実用化されている。
十数年前は事件が発生しても近くの警備署に人を走らせて伝達しなければならなかったのだが、それだと時間がかかるし犯人にも逃げられるとのことで開発したとのこと。
異世界ではこうした機械文明が発達していないことが多いので、このルナティールはある意味異質だろう。
ただし、無線機が使えるのはこのメランシェルの街中のみだ。
「マリアナ食堂にて酒で暴れている男がいるそうだ。すぐに向かうぞ」
「了解!」
師団長の言葉でロベルトたちは本日最後の仕事になるだろうと考え、気合を入れて現場へと走る。
今いる場所から現場であるマリアナ食堂へはそんなに遠くはない。
5分後、現場であるマリアナ食堂前へとたどり着くと、既にひと悶着が起こっていた。
だが騒ぎを聞きつけた野次馬が集まっていたため、今いる位置からでは状況が不明である。
「なんだなんだ!?」
「すみません! ちょっと通してください!」
ロベルトとアルトは密集している野次馬をかき分けるようによけて、騒ぎの元凶へと向かう。
するとそこには男二人が口論しており、顔がお互い腫れていた。
どうやらロベルトたちが到着する前に殴り合っていたようだ。
「そっちこそ変な言いがかりつけてんじゃねーよ!!」
「ふざけんな!! ぶっ殺すぞ!!」
問題の男たちは相当酔っぱらっており、既に臨戦態勢に入っていた。
このまま殺傷沙汰になると判断し、二人は男たちの間に入ってすぐさま引きはがし、落ち着くように説得をする。
最悪、それでも落ち着かずに抵抗して手が出るようであればその場で拘束し、署の牢屋の中で酔いが覚めるまで放っておく。
荒っぽいやり方ではあるものの実はこれ、騎士団では普通にマニュアル通りのやり方なのだ。
「はいはい兄さん、落ち着いて。何があったの?」
「あいつが俺のつまみを盗みやがったんだよ!!」
話を聞く限り、しょうもないことが原因でこうなったらしい。
だが人間かなり酔っぱらうと、こうしたくだらないことでも本気で怒りだすものだからたちが悪い。
改めてお酒の力というのは恐ろしいものだとわかる場面である。
ロベルトたちが酔っ払いの説得をしていた時だった。
ここからかなり離れた地区のほうで大きな爆発音が発生し、ロベルトをはじめとした多くの人間の鼓膜が今にも破れかねない勢いで震えた。
「な……何だ!?」
突然の爆音で辺りが急に騒がしくなる。
男はその場でパニックになり、女性は何名か泣き出す人も続出し、この場がカオスな空気に包まれた。
遠くのほうをよく見ると、街の明かりに紛れて黒煙が星空に向かって立ち上るのが見えた。
せっかく綺麗な夜空が天に浮かんでいるのにも関わらず、この黒煙のせいで台無しである。
だが今はそんなことを言っている場合ではない。
「おいロベルト……何が起こったんだ?」
「俺にもわからん。だがヤバいことが起こったのは確かだろう」
「あの爆発って……まさか」
ロベルトやアルト、ヴィンセントも突然の事で驚くものの、ヴィンセントはあの爆発が何なのか心当たりがあるようだ。
しかも音の大きさからしてかなりの規模であり、最悪死人が出ている可能性もある。
先ほどから無線機を手に取って誰かと会話をしていた師団長がロベルトたちのほうへ向かった。
「ロベルト、アルト、ヴィンセント。お前たちは今日はもう終わりだから帰っていいぞ」
「「「えっ!?」」」
と、ここでまさかの仕事終了。
だがあんなことがあってじゃあ帰ります、ってわけにはいかないだろう。
「いやいや!! 帰っていいぞ。じゃないでしょ!?」
「今の爆発ですよね? 向かわなくていいんですか?」
流石にあの爆発の事が気になるのか、アルトとヴィンセントが師団長に食らいつく。
だが……
「今、署に確認をとったらハイド団長が現場に向かっているそうだ。団長自ら対処するとのことだからお前たちが気にすることではない。それに現場は17地区で俺たちの管轄外だ。下手に他所の部署の領域に足を踏み入れるものじゃないからな」
「いや、それはそうですけど……まぁ分かりました」
アルトはいまいち納得できていないものの師団長の言う通り、現場がロベルトたちが担当している地区とは違う場所であるなら、他所の管轄に勝手に入ってはいけない。
そうすればその部署の担当騎士団員といざこざを招くのは目に目ている。
師団長は気にすることではないとは言ったものの、いくら何でもあの爆発は気になるものだ。
結局この件はハイドが対応するとのことなので、ロベルトたちは納得いかないままそのまま帰路についた。
帰りの道中、周りを見れば人がまだ多い中、ロベルトとアルトはメランシェルの大通りを歩いていた。
流石に昼間ほど人はいないので、子供に限っては既に姿が見えなくなり、今から大人の時間と言わんばかりに多くの酔っ払いが歩いている。
先ほどまではヴィンセントも一緒だったのだが、彼は家が離れているのですぐに二人と別れた。
「さっきの爆発、なんだったんだろうな?」
やはりアルトはあの爆発が気になるようだ。
だが実のところ、ロベルトもあの爆発の事は気になってはいた。
「粉塵爆発とかガス爆発とかか?」
「ありえるな。だがあの爆発はなんかこう……ちょっと違うっていうか」
「は?」
「粉塵爆発やガス爆発って規模にもよるけど、もっとすごいだろ。だけどあの爆発はあそこまで大きくなかったんだよ」
粉塵爆発は可燃性の粉塵……小麦粉や金属粉などが密閉空間といった空気中の酸素に触れあっている状態で火に触れると爆発を起こす。
だがアルトはあの爆発は音こそは大きかったものの、爆発そのものはあまり大きくなかったと分析する。
「じゃああの爆発の原因ってなんだよ?」
「流石に俺も分からん。だがロベルト。ヴィンセントの奴が何か知っているみたいだぞ」
「え? どういうこと?」
「あの時な、ヴィンセントの反応が少し妙だったんだよ。あの爆発の正体、何か心当たりがあるって顔してたし」
この男、そういうところはよく見ている。
あの時ヴィンセントは確かにあの爆発について何かを知っていた反応をし、アルトはそれを見逃さなかったのだ。
「明日ヴィンセントを問い詰めればわかることだけどさ。せっかくだからちょっと現場に行ってくるわ」
「はぁ!? いやいや、まずいだろ!? 団長に見つかったらどうするつもりだ!?」
「平気だって! 別に現場には入らないし、近くによっていくだけだから。じゃあロベルト、また明日なー!」
「お、おい! アルト!」
アルトはそう言って爆発の現場のほうに向かって走って去っていった。
どうなっても知らないが、別に現場に入るわけでもないので放っておいても問題はないとロベルトは判断した。
仮にハイドに見つかってもそれはアルトの自業自得なのだから。
実際のところ、ロベルトもあの爆発のことは気になるのも事実であり、明日になったら彼から聞き出そうと思った。
「やれやれしょうがないなまったく……さて、俺も帰るとしようか」
一人残ったロベルトはそうぼやき、自分の屋敷のあるほうに向かって歩きだす。
腕にはめている時計を見ると、もうすぐ9時になる。
家に帰ればご飯は用意してあるのかは不明だが、そうであれば早く食べてさっさと風呂に入って寝たいものだ。
「……月が綺麗だな」
何気なく空を見上げると、ロベルトの瞳には綺麗な月が映った。
本日の月は左側がほんの少しだけかけている十三夜。
こうした日は月を見ながら月見団子を食べて、酒を飲むのが最高である。
残念ながらアルメスタ王国では月見という風習はないが、隣国のヤクモ国ならあるかもしれない。
「そういえば……」
ロベルトは己の右手の甲に刻まれたアリシアの紋章に目を移す。
おしとやかに控えめに花を開く百合の花を、三日月がやさしく包む。
本日は三日月ではなく十三夜ではあるものの、この世界の三日月もまた綺麗なのだろう。
「この世界の神たちは、あの月を見てルナティールと名付けたのかな」
この世界の名前、ルナティール。
遥か大昔にこの世界に降り立った神々たちは、もしかしたらあの空に浮かぶ綺麗な月を見て、そう名付けたのかもしれない。
ロベルトは無意識に右手を月に向けて、手の甲のに刻まれた三日月と空の十三夜を見比べる。
形は違うが、あの空の十三夜に白百合の華が一瞬見えた気がした。
夜更けの月が沈む時間の時まで、夜空に浮かぶ十三夜はメランシェルの街を照らし続けた。
太陽が顔を出すその時まで。
このアルメスタ王国の現国王、オスカー・スタンリー・アルメスタの息子にして次期王位継承者。
つまり、オスカー亡き後の王ということになる。
「翼、そろそろ始まるよ」
「分かってる」
ロベルトの隣にいたアイリが小声で彼にそう伝える。
広場の奥には演説のための舞台が用意され、その近くにはラマーが乗っていたパレードの車が置かれていた。
そしてその車から主役であるラマーがおりて、舞台に上って大観衆の前で両手を広げて自らをアピールした。
舞台の周りにはゼロ部隊、さらにラマーの近くには先ほどのパレードでも見かけた全身に鎧を着た4人組もいる。
「あっ、あれお姉ちゃんだ」
「ほんとだ」
アイリが指をさす場所、ラマーから少し離れた場所には白い特注の制服を着たシャルロットが真剣な顔で周囲を見張っており、その隣には黒いコートを羽織った団長のハイドも険しそうな顔をして周りを見張っていた。
流石騎士団のトップ二人だけあってその存在感はすごく、離れた場所にいるロベルトやアイリにもその雰囲気が強く伝わる。
やがて、舞台の上にたったラマーが演説台の上にあるマイクを手に取り、息を大きく吸い込んで声を出した。
「皆の者よ! 今日は私のためにこのような催し事を開いてくれたことを、心から感謝する! 私の事はこの国の者は当然知っておるだろうが……隣国の者は知らぬ者も多いだろう! 改めて自己紹介させてもらう! 私はこのアルメスタ王国の王、オスカー・スタンリー・アルメスタの息子であり、次期国王となる者……ラマー・ゴードン・アルメスタと申す!!」
ラマーは右手にマイクを握りながら、左手で手を大きく振りつつ大振りなアクションをする。
自分の存在感を大きく見せるためであろう。
ラマーの一声で広場にいる大衆も、彼の帰還を歓迎しているかのように歓声を上げる。
「キャー! ラマー様ー!」
「ラマー様ー! こっち向いてくださーい!」
彼の甘いマスクに心を奪われた女性たちが、自分を見てくれと言わんばかりにそう叫ぶ。
それに気づいたラマーは女性たちに顔を向けて笑顔を見せながら、軽く手を振って話を続ける。
「私は先日、父上からとある任務を仰せつかり、このセルメシア大陸の隣にある大陸、グラハマーツ大陸へと遠征にはせ参じた次第である。皆もご存じの通り、グラハマーツ大陸ではここセルメシア大陸と同じように魔獣が各地で暴れまわり、時には民に害をなすことが多い! さらに現在グラハマーツ大陸には時折、巨大魔獣が現れ甚大な被害をもたらすことがある!!」
「巨大魔獣……」
ラマーの口から気になる単語が出てきた。
魔獣……異世界系ファンタジーではドが付くほど定番の要素。
作品によっては魔物やモンスターともいわれるが、このルナティールでは魔獣という呼び名で通っている。
このルナティールでは魔獣は3通りの種類がある。
一つ目は家畜魔獣と呼ばれ、人間に対して害もなく、家畜やペットとして買われてる魔獣。
二つ目は有害魔獣と呼ばれ、人間相手であれば見境なく襲う魔獣であり、ロベルトたち騎士団の任務は主にこういう有害魔獣の討伐が多い。
そして三つ目がラマーの口から出た巨大魔獣。
文字通り大型の魔獣で、通常の有害魔獣がそのまま巨大化した魔獣である。
大きさとしては普通車サイズのものもあれば、滅多にないがトラックサイズの魔獣が発見されたという報告も少なからずある。
巨大魔獣については現在ここ、セルメシア大陸では目撃されたケースはなく、隣のグラハマーツ大陸ではよく見られるようだ。
「今回私に下された任務はグラハマーツ大陸で暴れる巨大魔獣の討伐であった! 同盟国であるセレニア王国の要請を受けて、二週間かけてようやく任務を達成し、帰還することができた! さすがの私も単身、巨大魔獣相手に正面から立ち向かうのは愚かだと判断し、現地の冒険者と協力をして見事巨大魔獣の討伐に成功した!!」
ラマーの迫力ある演説につられて、広場に集まっている民衆が大声を上げて喜ぶ。
その歓喜の雄叫びは空気を震わせ、ロベルトの鼓膜を今にも破ってしまいそうなほどの騒音。
あまりのうるささにロベルトとアイリは思わず両耳を塞ぐ。
「華蓮、セレニア王国って……」
「グラハマーツ大陸にある国の一つでアルメスタ王国の同盟国だね」
グラハマーツ大陸には4つの国があるが、そのうちの一つがセレニア王国だ。
アイリの言った通りアルメスタ王国の同盟国であり、水の都として有名である。
ロベルトとアイリはこのアルメスタ王国があるセルメシア大陸から出たことはないので、グラハマーツ大陸にも行ったことがない。
あと数年したら任務でいくことになるのかもしれないが。
「本日は私の任務達成及び帰還を祝して宴だ!! 皆の者! 飲め! 食え! 歌え! そして女神アリシアに祈りを!!」
ラマーの気合の入った演説で、広場にいる大観衆も心を一つにして歓喜の雄叫びを上げる。
アリシアの宗教の信者もこの中におるらしく、彼女に対して両手を合わせて祈りを捧げている者もちらほら見かけた。
しかしここにいるラマー含めた大半の民衆や信者は、真実に気づいていないのだろう。
女神アリシアが、邪悪なる者に力を奪われて今まさに死にかけていることを。
「では皆の衆! 引き続き宴を楽しんでおくれ!」
ラマーは最後にそういうと、右手を上げながら演説台を降りていき、後ろの城のほうへと向かって歩いていく。
彼の近くに立っていた全身鎧の4人組と、ゼロ部隊もラマーを護衛しながら城門を潜っていった。
ラマーによる演説が終わった後はそのまま祭りに移った。
街を見渡せば普段は見かけない屋台がちらほらと出ており、多くの屋台の店主の目には火が灯っている。
自分の店の商品を多く売ってやろうという心の叫びが、言わずとも目を見ればそれを物語っていたからだ。
現在の時刻は12時を少し回っており、飲食関係にとってはまさに書き入れ時の時間。
だが人が多いということはその分犯罪も多くなり、特に今日は祭りということもあって昼間から酒を飲んでいる連中も数多くいる。
既に騎士団の各部隊で酔っ払いの対処があちこちで見られた。
「おいこら! 暴れんな!」
「放しやがれ! こいつを一発ぶん殴らねぇと気がすまねぇんだよ!!」
どうやらさっそく事案が発生していたようで、顔が赤い酔っ払いを騎士団員が背後から羽交い絞めにして取り押さえている。
右手に一升瓶を持っており、中身がすでに底をついていることから相当な量を飲んでいるのだろう。
このように、メランシェルの至るところで酔っ払い事案が多発しており、騎士団員の仕事が増える要因にもなっている。
一方、ロベルトたちはアルトとヴィンセントと師団長含めた4人の計7人のチームを組んで街中の見回りをしていた。
「やれやれ……祭りで賑やかなのはいいことだが、問題が起こるのは勘弁してほしいぜ」
「ほんと、そうですね」
隊列を組んで先頭を移動している師団長が思わず愚痴る。
だが彼の気持ちもわからなくはない。
犯罪も多くなれば騎士団の仕事も増えるため、問題は起こらないほうがいいものだ。
「ロベルト、あっちの方に目を見張らせておけよ。アルト、ヴィンセントは反対側な」
「分かりました」
「了解っす」
ロベルトは師団長の指示に従い右側に目を配り、アルトとヴィンセントは反対側を見張る。
祭りの騒ぎに乗じて犯罪を起こす輩というのは必ずいるものだ。
例えば……こういう人が多い場所では窃盗である。
鞄などをとって人込みに紛れてしまえば、追跡は困難だからだ。
特に手慣れたものがそれを実行すれば、あっという間に消えてしまうだろう。
「キャー! 泥棒ー!」
どうやらさっそくお出ましのようである。
絹を裂くような女性の悲鳴が聞こえたほうにロベルトは顔を向けると、細身の男が女性もののバッグを抱えて走っていた。
状況から察するに、あの男が女性のバッグをひったくったということで間違いない。
男は人込みのせいでロベルトたち騎士団に気づいていないのか、こちらのほうに向かって走ってきた。
「ロベルト! アルト! 行け!!」
「はい!」
「お任せを!」
師団長の指示でロベルトとアルトはすぐさま動き出す。
実のところ、アルメスタ王国では一番よく起こる犯罪は窃盗である。
こういった人込みの中だと、身動きが取れなくなり犯人を取り逃がしてしまいそうだが、ロベルトたちは人込みの中での追跡訓練を受けている。
そのため今日のような祭りで人がたくさんいようが、既にロベルトの瞳には犯人の姿をしっかりと捉えていた。
「やっべ!」
ここで犯人の男が接近するロベルトに気づいたのか、すぐ横にあった路地裏に逃げ込む。
彼らもその路地裏に入り、引き続き追跡を続ける。
おそらく男は路地の入り組んだ道を使い、ロベルト達を撒くつもりなのだろう。
「こんな路地で俺たちを撒く気か? 面白いじゃないか」
だがアルトの顔には薄っすらと笑みが浮かべており、その表情から自身が満ちていた。
なぜなら彼らは騎士団に配属された頃からこの地域を何回も見回っており、当然こういった路地裏の地理も既に頭の中に叩きこまれている。
絶対に逃がしはしない、とアルトは表情でそう言っているのが見て伝わった。
「ん? あっ! ロベルト、左だ!」
アルトの一声でロベルトは左のほうに顔を向けると、先ほどの犯人の男の背中が見えた。
だが男は逃げることで精一杯のようで、幸いにも追跡してきたロベルトとアルトに気づいていない。
これはチャンスである。
「アルト! 回り込むぞ! お前はそのままあいつを追え!」
「了解!」
ロベルトは別ルートから回り込んで挟み込む作戦で男を捕獲しようと考えた。
そのためアルトはそのまま男を追跡し、ロベルトは別方面に向かって走っていく。
道中、地面に散乱している樽や瓶などに足を引っかけながらも、少し迂回しつつロベルトは曲がり角を曲がった瞬間、逃げる男と出くわした。
「さーもう大人しくしな」
「くっ、くそ!」
焦った男は左手で鞄を抱きかかえつつ、右手で懐からナイフを取り出した。
見たところ質も悪く、所々さび付いており碌に手入れもされていないようなナイフ。
しかしそれでも人を殺すには十分である。
「まったく……往生際が悪いな」
凶器を出されたとあれば、こちらもそれなりの対処をしなければならない。
そう思ったロベルトは腰に差している短剣、クロスを抜いて逆手持ちで構える。
こういう狭い路地では剣のような長物は逆に振り回しにくいため、ナイフのほうが有利なのだ。
「畜生! 死ね!」
男は手に持ったナイフの刃先をロベルトに向けたまま走り出す。
このままではその凶刃が目の前にいるロベルトの心臓に立ってしまうだろう。
だが、肝心のロベルトはいたって冷静である。
「仕方ない。じゃあこっちもやるとしましょうか」
右手にもったクロスを構えたロベルトは、腰を少し下ろして己に向かって突っ込んできた男のナイフを軽くいなす。
二度、三度、四度と鉄と鉄のぶつかる音が路地裏に残響する。
もし生前の海堂翼であれば、ナイフを出された瞬間ビビってその場で動けなくなっていたであろう。
だが転生して騎士学校で訓練を積み、現在も任務で実践を積んでいるロベルトにとっては、もはや慣れたものだ。
男は戦いの経験はないのか、動きも荒くナイフの振り方が素人そのもの。
訓練や実践を積んできたロベルトと比べても天と地の差である。
「ちっ! おらぁ!」
男は雑な動きでロベルトに向かってナイフを縦に振り下ろすが、ロベルトは一歩下がって簡単によける。
こういうのは動きをよく見れば、意外と簡単に対処できるものだ。
「くそがぁ!」
男は自分の攻撃が全く当たらないためかだんだんとイラつき始め、感情的になって今度はナイフを横に振る。
だがロベルトはこの時勝機と見たか、ナイフを振るタイミングを見てその場でしゃがんでよけた。
「おらよっと!」
さらにしゃがんだまま男の足元を右足で追撃し、男は姿勢を崩してそのまま転倒した。
「アルト!」
「あいよ!」
転んだ今がチャンスと言わんばかりに傍で待機していたアルトがすかさず男に接近し、腰につけていたロープで手足を拘束する。
これにて一見落着だ。
「くそ! 放せ!」
「あのな、捕まえた犯人をはいそうですかって放す奴いないだろ?」
男は最後の悪あがきなのか、その場でじたばたする。
「おいアルト、そんなんじゃ生ぬるいぞ」
「え?」
「どけ」
ロベルトは自分の腰につけていたロープに手をかけて、地面に寝転がっている男に馬乗りし、ロープでさらにぐるぐるぐるぐると巻き付ける。
最終的には……
「んー! んーんんーー!!」
男は全身簀巻き状態となり、さらに口までロープで塞がれる。
そしてロベルトは男をそのまま神輿のように担ぎあげた。
「ロベルト……やりすぎじゃね?」
「これくらいやらないと仕事にならないだろ?」
「相変わらずだなぁ……」
どうやらロベルトにとっては犯人を簀巻きにすることは日常茶飯事のようだ。
このようにしておけばマジシャンでもない限り、ロープを振りほどくのはまず不可能だからである。
「ほら、手伝え」
「はいはい。おっと、その前に……これこれ」
アルトは傍に落ちていた鞄を回収すると、そのまま簀巻きにされた男をロベルトと共に担いで路地裏を出ていった。
この状態で表に出れば、簀巻きにされた犯人は注目され、男にとっては一生の恥ともなろう。
現に今、路地裏から出てきた瞬間、犯人には多くの民の視線が集中した。
その多くは、犯罪を犯した人間に対する軽蔑の視線。
人間、悪いことをすれば自分にもその報いが返ってくるのだから。
「ありがとうございます! なんとお礼を言ったらいいか……」
「お礼なんて結構ですよ。騎士団として当然のことをしただけです。それよりお怪我はありませんでしたか?」
ヴィンセントは先ほど鞄をとられた女性の対応をしていた。
あの鞄にはいくつか現金が入っていたものの、すぐにロベルトたちが追跡をしたおかげで現金のほうは手が付けられておらず、結果的に鞄もお金も無事に帰ってきた。
自分の鞄が戻ってきたことに女性はとても嬉しそうで、今にも泣きだしそうな顔をしている。
もしかしたらこの鞄は女性にとっては大切な思い出が詰まっているものなのかもしれない。
こういう人たちのために、騎士団が存在するのだ。
そしてロベルトのほうはと言うと……
「んー! んんーー!!」
「ワッショイワッショイ!!」
「わっしょいわっしょい!!」
「わしょいわしょい?」
簀巻きにした犯人をアルトや他の団員と共に神輿のように担ぎあげてそのまま署のほうに連行していった。
神輿を上げてワッショイというのは生前の日本の祭り文化なので、異世界人である彼らにとっては意味が分からず、ロベルトの後に続いてとりあえずワッショイと言っていた。
アルトに関してはもはやノリで言っている。
時刻は夜の7時を少し過ぎた頃、普段であればこの時間帯になれば静かになるメランシェルの街だが、今日は違う。
お祭りのため、どの店でも営業時間が延長されて客によるどんちゃん騒ぎが始まっていた。
だが今の時間帯はお昼の時間帯と同じように飲食店を警戒せねばなるまい。
夜になれば酒に酔って暴れる客が再び多発するため、酔っ払い客同士による殴り合いも珍しいことではない。
「はーなーせーよー! はーなーせーよー!」
上半身裸の男が一人の騎士団員にズルズルと引きずられていく。
特にこういう日はこの手の連中が増えるのだ。
「うわぁ……酒臭いな」
「酒は飲んでも飲まれるなってね」
付近を巡回しているロベルトとアルトは、横で他の騎士団員に引きずられていく男を見てそう言った。
彼らにとってああいう人間は反面教師、将来ああなりたくないものである。
「そういえば、今何時だ?」
「7時を少し過ぎたところ。後一時間だ」
普段であれば彼らはもう仕事は終わって帰路についているのだが、今日に限ってはあと一時間ある。
これが終われば別部隊による巡回が始まって交代するので、あと少しの辛抱だ。
早く終わらないかな、と思っていたロベルトだが一緒に巡回していた師団長の腰から電子音が聞こえた。
師団長は腰につけている音が鳴っているモノを手に取ると、それを耳に当てた。
「はい、こちら13部隊87警ら隊」
『こちら13区警備署。13区のマリアナ食堂にて酒に酔って暴れている男がいるとの通報あり』
「了解。ただちに向かう」
師団長が手に取ったのは無線機だ。
アルメスタ王国では既に電話機だけではなく、無線機もオスカーの手によって開発されて実用化されている。
十数年前は事件が発生しても近くの警備署に人を走らせて伝達しなければならなかったのだが、それだと時間がかかるし犯人にも逃げられるとのことで開発したとのこと。
異世界ではこうした機械文明が発達していないことが多いので、このルナティールはある意味異質だろう。
ただし、無線機が使えるのはこのメランシェルの街中のみだ。
「マリアナ食堂にて酒で暴れている男がいるそうだ。すぐに向かうぞ」
「了解!」
師団長の言葉でロベルトたちは本日最後の仕事になるだろうと考え、気合を入れて現場へと走る。
今いる場所から現場であるマリアナ食堂へはそんなに遠くはない。
5分後、現場であるマリアナ食堂前へとたどり着くと、既にひと悶着が起こっていた。
だが騒ぎを聞きつけた野次馬が集まっていたため、今いる位置からでは状況が不明である。
「なんだなんだ!?」
「すみません! ちょっと通してください!」
ロベルトとアルトは密集している野次馬をかき分けるようによけて、騒ぎの元凶へと向かう。
するとそこには男二人が口論しており、顔がお互い腫れていた。
どうやらロベルトたちが到着する前に殴り合っていたようだ。
「そっちこそ変な言いがかりつけてんじゃねーよ!!」
「ふざけんな!! ぶっ殺すぞ!!」
問題の男たちは相当酔っぱらっており、既に臨戦態勢に入っていた。
このまま殺傷沙汰になると判断し、二人は男たちの間に入ってすぐさま引きはがし、落ち着くように説得をする。
最悪、それでも落ち着かずに抵抗して手が出るようであればその場で拘束し、署の牢屋の中で酔いが覚めるまで放っておく。
荒っぽいやり方ではあるものの実はこれ、騎士団では普通にマニュアル通りのやり方なのだ。
「はいはい兄さん、落ち着いて。何があったの?」
「あいつが俺のつまみを盗みやがったんだよ!!」
話を聞く限り、しょうもないことが原因でこうなったらしい。
だが人間かなり酔っぱらうと、こうしたくだらないことでも本気で怒りだすものだからたちが悪い。
改めてお酒の力というのは恐ろしいものだとわかる場面である。
ロベルトたちが酔っ払いの説得をしていた時だった。
ここからかなり離れた地区のほうで大きな爆発音が発生し、ロベルトをはじめとした多くの人間の鼓膜が今にも破れかねない勢いで震えた。
「な……何だ!?」
突然の爆音で辺りが急に騒がしくなる。
男はその場でパニックになり、女性は何名か泣き出す人も続出し、この場がカオスな空気に包まれた。
遠くのほうをよく見ると、街の明かりに紛れて黒煙が星空に向かって立ち上るのが見えた。
せっかく綺麗な夜空が天に浮かんでいるのにも関わらず、この黒煙のせいで台無しである。
だが今はそんなことを言っている場合ではない。
「おいロベルト……何が起こったんだ?」
「俺にもわからん。だがヤバいことが起こったのは確かだろう」
「あの爆発って……まさか」
ロベルトやアルト、ヴィンセントも突然の事で驚くものの、ヴィンセントはあの爆発が何なのか心当たりがあるようだ。
しかも音の大きさからしてかなりの規模であり、最悪死人が出ている可能性もある。
先ほどから無線機を手に取って誰かと会話をしていた師団長がロベルトたちのほうへ向かった。
「ロベルト、アルト、ヴィンセント。お前たちは今日はもう終わりだから帰っていいぞ」
「「「えっ!?」」」
と、ここでまさかの仕事終了。
だがあんなことがあってじゃあ帰ります、ってわけにはいかないだろう。
「いやいや!! 帰っていいぞ。じゃないでしょ!?」
「今の爆発ですよね? 向かわなくていいんですか?」
流石にあの爆発の事が気になるのか、アルトとヴィンセントが師団長に食らいつく。
だが……
「今、署に確認をとったらハイド団長が現場に向かっているそうだ。団長自ら対処するとのことだからお前たちが気にすることではない。それに現場は17地区で俺たちの管轄外だ。下手に他所の部署の領域に足を踏み入れるものじゃないからな」
「いや、それはそうですけど……まぁ分かりました」
アルトはいまいち納得できていないものの師団長の言う通り、現場がロベルトたちが担当している地区とは違う場所であるなら、他所の管轄に勝手に入ってはいけない。
そうすればその部署の担当騎士団員といざこざを招くのは目に目ている。
師団長は気にすることではないとは言ったものの、いくら何でもあの爆発は気になるものだ。
結局この件はハイドが対応するとのことなので、ロベルトたちは納得いかないままそのまま帰路についた。
帰りの道中、周りを見れば人がまだ多い中、ロベルトとアルトはメランシェルの大通りを歩いていた。
流石に昼間ほど人はいないので、子供に限っては既に姿が見えなくなり、今から大人の時間と言わんばかりに多くの酔っ払いが歩いている。
先ほどまではヴィンセントも一緒だったのだが、彼は家が離れているのですぐに二人と別れた。
「さっきの爆発、なんだったんだろうな?」
やはりアルトはあの爆発が気になるようだ。
だが実のところ、ロベルトもあの爆発の事は気になってはいた。
「粉塵爆発とかガス爆発とかか?」
「ありえるな。だがあの爆発はなんかこう……ちょっと違うっていうか」
「は?」
「粉塵爆発やガス爆発って規模にもよるけど、もっとすごいだろ。だけどあの爆発はあそこまで大きくなかったんだよ」
粉塵爆発は可燃性の粉塵……小麦粉や金属粉などが密閉空間といった空気中の酸素に触れあっている状態で火に触れると爆発を起こす。
だがアルトはあの爆発は音こそは大きかったものの、爆発そのものはあまり大きくなかったと分析する。
「じゃああの爆発の原因ってなんだよ?」
「流石に俺も分からん。だがロベルト。ヴィンセントの奴が何か知っているみたいだぞ」
「え? どういうこと?」
「あの時な、ヴィンセントの反応が少し妙だったんだよ。あの爆発の正体、何か心当たりがあるって顔してたし」
この男、そういうところはよく見ている。
あの時ヴィンセントは確かにあの爆発について何かを知っていた反応をし、アルトはそれを見逃さなかったのだ。
「明日ヴィンセントを問い詰めればわかることだけどさ。せっかくだからちょっと現場に行ってくるわ」
「はぁ!? いやいや、まずいだろ!? 団長に見つかったらどうするつもりだ!?」
「平気だって! 別に現場には入らないし、近くによっていくだけだから。じゃあロベルト、また明日なー!」
「お、おい! アルト!」
アルトはそう言って爆発の現場のほうに向かって走って去っていった。
どうなっても知らないが、別に現場に入るわけでもないので放っておいても問題はないとロベルトは判断した。
仮にハイドに見つかってもそれはアルトの自業自得なのだから。
実際のところ、ロベルトもあの爆発のことは気になるのも事実であり、明日になったら彼から聞き出そうと思った。
「やれやれしょうがないなまったく……さて、俺も帰るとしようか」
一人残ったロベルトはそうぼやき、自分の屋敷のあるほうに向かって歩きだす。
腕にはめている時計を見ると、もうすぐ9時になる。
家に帰ればご飯は用意してあるのかは不明だが、そうであれば早く食べてさっさと風呂に入って寝たいものだ。
「……月が綺麗だな」
何気なく空を見上げると、ロベルトの瞳には綺麗な月が映った。
本日の月は左側がほんの少しだけかけている十三夜。
こうした日は月を見ながら月見団子を食べて、酒を飲むのが最高である。
残念ながらアルメスタ王国では月見という風習はないが、隣国のヤクモ国ならあるかもしれない。
「そういえば……」
ロベルトは己の右手の甲に刻まれたアリシアの紋章に目を移す。
おしとやかに控えめに花を開く百合の花を、三日月がやさしく包む。
本日は三日月ではなく十三夜ではあるものの、この世界の三日月もまた綺麗なのだろう。
「この世界の神たちは、あの月を見てルナティールと名付けたのかな」
この世界の名前、ルナティール。
遥か大昔にこの世界に降り立った神々たちは、もしかしたらあの空に浮かぶ綺麗な月を見て、そう名付けたのかもしれない。
ロベルトは無意識に右手を月に向けて、手の甲のに刻まれた三日月と空の十三夜を見比べる。
形は違うが、あの空の十三夜に白百合の華が一瞬見えた気がした。
夜更けの月が沈む時間の時まで、夜空に浮かぶ十三夜はメランシェルの街を照らし続けた。
太陽が顔を出すその時まで。
0
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