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今日から夏休み。

僕にとっては天国の始まりだった。


「隼くんは、夏休みの予定どんな感じなの?」


いつもの公園の近くにあるベンチ。

輝く夏の空の下、元気な蝉の声に包まれながら、僕と菜摘さんは隣に腰掛けていた。


「午前は毎日勉強します。月曜、水曜、土曜の午後はテニスの練習があって、その他の曜日は午後からは自由に遊べますよ。」

「夏休みなのに毎日勉強するの偉いね!」

「実は…旭堂中きょくどうちゅうの受験をしたいんです。その為に、今から勉強する習慣をつけたくて…」

「旭堂中!確か偏差値が80くらいあるところよね?すごいね!!隼くんなら入れると思うよ!」

「ありがとうございます…!頑張ります。」

「じゃあ隼くん。午後から暇なときは私と遊ぼうよ。夏休み中だから、いつもより長い時間遊べるよ!」

「遊びたいです!!でも……菜摘さんはいいんですか?週に何度も僕と遊んでくれて」

「もちろんよ!むしろ、私が隼くんと遊びたいから誘ったの。」



僕は、夏休みがこんなに嬉しいと思ったことはなかった。

学校に行かなくても良いからいじめられなくて済むし、何より週に4回も菜摘さんと会えることが嬉しかった。

菜摘さんはもともと、放課後に僕たちの学校の児童と遊んでくれる人だった。

そんな人気者を、夏休み中は僕が独り占めできると思うと、心なしか体温が更に上がったような気がした。
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