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1、始まりの逃避とウサギの国での活劇
カラス、ペナルティを受ける
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少しがっかりするイスカの視界の端で何かが鈍く光った。クレーターの底からジワリと湧き出てきた赤い発光液に気が付く。術による爆発がマグマ溜り近くまで地面を削ったらしい。結構良質である。
町はなくなったが、いいものが見つかったかも。
そう思った途端、マグマが大きく膨れ上がり4人に向かって襲い掛かった。火ウサギ族であるイスカにとってマグマは人間における水と同じだが、レイカやロン、ロボットでない生身のロイズでは被ったら焼け死んでしまう。
「くっ」
魔導歌を唱える暇はない。そう判断したロンは覚悟を決めた。祈るように手を組んで集中すると彼の背中から光る透明な大翼が現れ、4人に覆い被さる。
その羽に触れたマグマが一瞬にして氷りつく。氷はマグマを走っていき、全ての火液を氷塊へと変化させる。冷えて土になったのではない。文字通り氷に包まれたのだ。隙間には霜柱が作られ、岩同士の結合を切り絶っている。それだけではない。空中に現れた雪の結晶が場の魔法を凍結させている。
「何この魔法。術自体は単純な氷結魔法だけど魔力の量が半端じゃないわ。それを一瞬にして操るなんて、やっぱりロンは物凄い魔法コントロール技術を持ってる。実技が免除されるはずね」
火を封じ込めた氷の威力によってもたらされた沈黙はその術者であるロンの悲鳴によって破られた。
3人が慌てて視線をロンに移すと細い鎖で作られたブレスレットとアンクレットから電撃が流れていた。そのあまりの威力にロンは胸を押さえて倒れる。
「・・・来るな。雷撃で心臓麻痺を起こしてしまう」
駆け寄ろうとした3人を戒めた。
これがロンに科せられた罰。攻撃魔法を使うとそれと同量の雷系の魔法が四肢の装備品から流れる仕組みである。対象が攻撃魔法なので回復魔法や対象にダメージを与えない魔法は使えるが、相手に魔力でダメージを与えたとみなすと容赦なく放電される。
あの溶岩を防げるシールドを作り出す魔導歌を唱えている時間はなかった。だったら、自身の力を解放する際に発せられる膨大な魔力を魔法に変換するしかない。
こうなることはわかっていたのでロンも覚悟の上の行動だった。不安そうに見守る3人に大丈夫だからと告げるとゆっくりと立ち上がる。
よろけた体をロイズが抱き支える。電撃のダメージを気にしてロンは力のない手を振りほどこうとした。
「この体は金属体だ。雷系の術は効かない。おまえは水属性でもあるからダメージでかいだろ。こういう時は大人しく甘えてろ」
なぁ、とロイズがウインクすると観念したのかロンは抵抗を止めた。ダメージが大きかったのは事実らしく、珍しく大人しく体を預けている。
「それはそうと、おまえまた絶食しただろ」
ロイズの言葉にバツが悪そうにロンは視線を逸らす。こうしているとロンも自分たちと同じくらいの年齢なんだなと思えてイスカは微笑ましく思った。
「まぁ、これで・・・・・・」
一件落着。そう言おうとした時だった。
続く
町はなくなったが、いいものが見つかったかも。
そう思った途端、マグマが大きく膨れ上がり4人に向かって襲い掛かった。火ウサギ族であるイスカにとってマグマは人間における水と同じだが、レイカやロン、ロボットでない生身のロイズでは被ったら焼け死んでしまう。
「くっ」
魔導歌を唱える暇はない。そう判断したロンは覚悟を決めた。祈るように手を組んで集中すると彼の背中から光る透明な大翼が現れ、4人に覆い被さる。
その羽に触れたマグマが一瞬にして氷りつく。氷はマグマを走っていき、全ての火液を氷塊へと変化させる。冷えて土になったのではない。文字通り氷に包まれたのだ。隙間には霜柱が作られ、岩同士の結合を切り絶っている。それだけではない。空中に現れた雪の結晶が場の魔法を凍結させている。
「何この魔法。術自体は単純な氷結魔法だけど魔力の量が半端じゃないわ。それを一瞬にして操るなんて、やっぱりロンは物凄い魔法コントロール技術を持ってる。実技が免除されるはずね」
火を封じ込めた氷の威力によってもたらされた沈黙はその術者であるロンの悲鳴によって破られた。
3人が慌てて視線をロンに移すと細い鎖で作られたブレスレットとアンクレットから電撃が流れていた。そのあまりの威力にロンは胸を押さえて倒れる。
「・・・来るな。雷撃で心臓麻痺を起こしてしまう」
駆け寄ろうとした3人を戒めた。
これがロンに科せられた罰。攻撃魔法を使うとそれと同量の雷系の魔法が四肢の装備品から流れる仕組みである。対象が攻撃魔法なので回復魔法や対象にダメージを与えない魔法は使えるが、相手に魔力でダメージを与えたとみなすと容赦なく放電される。
あの溶岩を防げるシールドを作り出す魔導歌を唱えている時間はなかった。だったら、自身の力を解放する際に発せられる膨大な魔力を魔法に変換するしかない。
こうなることはわかっていたのでロンも覚悟の上の行動だった。不安そうに見守る3人に大丈夫だからと告げるとゆっくりと立ち上がる。
よろけた体をロイズが抱き支える。電撃のダメージを気にしてロンは力のない手を振りほどこうとした。
「この体は金属体だ。雷系の術は効かない。おまえは水属性でもあるからダメージでかいだろ。こういう時は大人しく甘えてろ」
なぁ、とロイズがウインクすると観念したのかロンは抵抗を止めた。ダメージが大きかったのは事実らしく、珍しく大人しく体を預けている。
「それはそうと、おまえまた絶食しただろ」
ロイズの言葉にバツが悪そうにロンは視線を逸らす。こうしているとロンも自分たちと同じくらいの年齢なんだなと思えてイスカは微笑ましく思った。
「まぁ、これで・・・・・・」
一件落着。そう言おうとした時だった。
続く
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