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1、始まりの逃避とウサギの国での活劇
カメとカラス、似たもの
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それはこっちに来てから感じることのなかった心の動き。別れで内側まで凍り付いていた自分の心がイスカやレイカ、ロイズによってゆっくりと解凍されていたのか。
失ったと思っていた心がまだ内にある。姿無き人は何と言ったか。自分がいない間は事の善悪を教えられない。なら、外から学び内の心に従えと。
「・・・従うのは自分の心・・・・・・感情だったら困る」
ポツリと呟いたロンは肩深くに刺さった大剣を弾き飛ばすと岩に縫い付けられた足を無理やり動かして自由を得る。
だが、左足の傷はかなり深い。痛みさえ耐えられれば動かせなくもないが、通常のようにはいかない。それがロンにとって死活問題となっていた。
相手の攻撃を受け流し、その隙をついて攻撃する。カウンター戦法がロンの戦い方であり、1対1の試合形式の戦いでは彼はそれしか使わない。
いや、それしか使えない、そうでしか戦えないのだ。
元々格闘家などが攻撃時に必要としている感情の爆発が苦手であるのに加え、仕事や依頼を受けていない時のロンは戦いを好まない大人しい性格である。売られた喧嘩も極力買わないようにしているし、殴られてすむのならそうしてきた。自分から攻めていかないし、私闘などしたことがない。それが戦いのないときのロンの姿だった。経緯に差があれ、ロンが1番レイカの性格に近いだろう。
もっとも、これまで周りの事情により戦いに関わらなければならなかったのだが、彼の戦歴は1対多数が圧倒的に多かった。正面きっての白兵戦、特に1対1の戦いはどちらかといえば不得意としているし、不慣れだ。
そして今、風にしなる柳のように柔軟な体と俊敏な身のこなしもこの足では満足にできなくなった。レイカが心配するのは、足よりも重傷なのは左肩の傷なのだが、ロンは痛みを堪えている様子はあっても何故か足ほど気にしている様子はない。
片肺が使い物にならなくなり、無事な方も地形属性の影響を受けた熱い空気がジリジリと焼いていく。でも、苦しくはない。元々エネルギーを得るためだけで生命維持には必要ないのだから。
続く
失ったと思っていた心がまだ内にある。姿無き人は何と言ったか。自分がいない間は事の善悪を教えられない。なら、外から学び内の心に従えと。
「・・・従うのは自分の心・・・・・・感情だったら困る」
ポツリと呟いたロンは肩深くに刺さった大剣を弾き飛ばすと岩に縫い付けられた足を無理やり動かして自由を得る。
だが、左足の傷はかなり深い。痛みさえ耐えられれば動かせなくもないが、通常のようにはいかない。それがロンにとって死活問題となっていた。
相手の攻撃を受け流し、その隙をついて攻撃する。カウンター戦法がロンの戦い方であり、1対1の試合形式の戦いでは彼はそれしか使わない。
いや、それしか使えない、そうでしか戦えないのだ。
元々格闘家などが攻撃時に必要としている感情の爆発が苦手であるのに加え、仕事や依頼を受けていない時のロンは戦いを好まない大人しい性格である。売られた喧嘩も極力買わないようにしているし、殴られてすむのならそうしてきた。自分から攻めていかないし、私闘などしたことがない。それが戦いのないときのロンの姿だった。経緯に差があれ、ロンが1番レイカの性格に近いだろう。
もっとも、これまで周りの事情により戦いに関わらなければならなかったのだが、彼の戦歴は1対多数が圧倒的に多かった。正面きっての白兵戦、特に1対1の戦いはどちらかといえば不得意としているし、不慣れだ。
そして今、風にしなる柳のように柔軟な体と俊敏な身のこなしもこの足では満足にできなくなった。レイカが心配するのは、足よりも重傷なのは左肩の傷なのだが、ロンは痛みを堪えている様子はあっても何故か足ほど気にしている様子はない。
片肺が使い物にならなくなり、無事な方も地形属性の影響を受けた熱い空気がジリジリと焼いていく。でも、苦しくはない。元々エネルギーを得るためだけで生命維持には必要ないのだから。
続く
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