エターナニル魔法学園特殊クラス

シロ

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12ー5、カメ、寝付けない

エターナニル魔法学園特殊クラス

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 たっぷり20分、2人はお風呂を楽しんだ。それぞれお気に入りのパジャマに着替え、床に就く。馴染の布団が2人を包む。程なくするとレイカの耳には規則正しい寝息が聞こえてきた。
「・・・・・・」
ベッドの上段を眺めながら、レイカは考えた。イスカの様子がおかしい。偽物にすり替わっているという訳ではなく、勉学についていけてないのはいつものことな訳で。問題は、イスカが前回を記憶していない可能性があるということである。ごろりと寝返りを打つ。記憶と言えば、ジアルも記憶保持者であった。だが、彼はこれと言って何かをしているとは思えなかった。日常的に会えていないから確認のしようがないからかもしれない。だが、これまでの彼の性格を鑑みるに、今回は何かしら行動を起こすだろう。ロイズに伝えないとなると、こっちも何かしら行動を起こさなければならない。だが、レイカはそういう事が苦手だった。
「あの事件でわかりはったことは・・・・・・」
先生であっても敵になるってこと。選択肢次第なのだろうが・・・・・・。
「分岐点いつなんやろか?」
タイムワープは助かるのだが、タイミングとスパンがわからない。タイミングは何らかのスイッチがあるのだろう。レイカの記憶が残っているのは、レイカがカーレンティアンなのがあげられる。だが、スパンに関しては全くもってわからない。徐々に進んでいっているのか、一定期間しか戻れないから進んでいくのか。
「えっと、今4回目どすか?」
自覚しているのではそうのはずだ。指折り数えながらレイカはふーっと息を吐いた。お風呂でイスカは確かに3回と言った(かなり顔が赤かったのは気にしてはいけない)。つまり、イスカとレイカの間では1回のブランクがある。これも何か意味があるのかもしれない。だが、そこからが思いつかない。何の法則性も見いだせないからだ。とりあえず、今があるということは、レイカはあの時死ななかったことになる。いや、あの事件が丸ごと消失していると考えるべきかもしれない。だとしたら、被害者も加害者もいなくなった。魔法学園と騎士学校は何事もなく普通の授業を続けたのだろう。
で、これまたレイカの記憶が正しければ、リトアは依頼を終えて学園に帰ってきている。ロン情報で、ロイズが新薬を開発し終えて暇なことも得ている。でなければ、研究室を勉強部屋として貸したりはしないだろう。彼は学者肌ではないが、生粋の研究命さんだ。
あと気にかかるのはジアルのこと。彼は自分をタイムトリップの経験者だと言っていた。解決方法はレイカには真似できるものではなかったが、ちょっとおもしろい話が聞けたと思っている。彼が体験したものと今回の事件が類似しているなら、この事件、神様か、それに相当する力の持ち主が主犯か共犯でいることになる。
「神様・・・出てこんでほしいわぁ」
エターナニルの神事情は詳しくないが、カーレントで神が出てくるとロクなことがない、とレイカは書物及び神卸で知っていた。彼らは彼女らも含めて一癖も二癖もある者なのだ。能力も千差万別だが、それより複雑なのが、身内事情と性格。願い?気紛れで偶になら叶えてくれるかもしれない、程度がほとんどである、と神卸の際に再三警告する(それでもしてほしいという人がほとんどだが)。そして、レイカは知っている。神が関わる事件はやっぱりロクなことにならない、と。
「たぶん、図書館でも無理やろうなぁ」
タイムトリップについて調べようとしたが、閲覧禁止棚にあると司書から言われたのだ。神について帰された書物もたぶん同等かそれ以上の扱いだろう。伝承的なものなら貸し出ししているかもしれない。それから探りを入れていこう。
「テスト終わったらやなぁ」
今度のテストは初めてのテスト。今までのように積み重ねがない。学費を払ってもらっている身としてはトップ賞の学費免除は非常に魅力的であり経済的であり助かるのだ。それに、その後に控える体育祭に影響するとのこと。こっちに来て運動量が上がったとはいえ、まだまだ体を動かすことが苦手なレイカが献身できる貴重なチャンスだ。チーム分けは特別クラス別+先生チームなので比率計算されると思うが、それでもたった6枠しかない特待生枠を狙わない意味がない。寧ろ、それでしか貢献できないとレイカは思っている。なんたって、レイカはカーレント、それも平和ボケした日本出身&育ち。そして、人間族。訳ありではあるが、やはり運動面では獣人やインセクターに劣っている。
「まさか、勉強好きが役に立つとは思わんかったわぁ」
同室の友人からもらった指輪を一撫でする。彼が赤点取った場合もフォローできるような点数を取ろう。そう覚悟して眠りにつく前に単語帳を見返すのだった。
上からゴンと何かがぶつかった音がしたのだが、その頃にはレイカは夢の世界にいた。


                        続く
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