エターナニル魔法学園特殊クラス

シロ

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4-24、ウサギ、石像と対峙する

エターナニル魔法学園特殊クラス

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 門を出るとそこは階段だった。
急な段差の変化に足を取られ、思いっきりこけた二人は痛む膝小僧を意識しないようにしながら立ち上がった。周囲を見渡すが、人影は見えない。
「長いね」
「長いな」
 境内に続く階段を地道に登っていく。数えきれない鳥居の数に、無限が見えるだろう階段が続く。辿り着ける気がしない。
 何とか、階段の終わりが見えてきた頃には二人ともクタクタになっていた。炎天下での階段の上り下りはかなり体力が消耗する。
「うわ~、犬の置物がある」
「石製か。つなぎ目がないってことは結構な大きさの石から彫られたんだな」
 まるで生きているみたいだ。
 何故、階段を降りて町に行かずに登ったのか。ここに送られたならここに自分達の求める何かがあるように思えてならなかったからだ。完全に勘である。
「それにここの空気ってレイカの発する気に似てるのよね」
「そうか?」
「あんたって本当に勉学のみよね」
「五月蝿い」
 露骨に不機嫌になってザリはそう言い捨てた。
自覚したのはついこの間だから時間的にイスカに分があるし、イスカが実践タイプであることも秘かにだが認めている。だからこそ、ライバルに自分も認めた弱点を指摘されるのは腹立たしいのだ。
 同性の分不利なはずなのに何故こんなにも不安に感じるのだろうか。
「筋トレから始めて・・・自分に合った武器を至急に探さないと・・・・・兄上に稽古つけてもらおうかな」
「何ブツブツ言ってるのよ。それに外でも通用するようになるには勘だって必要スキルなのよ。こうやって勘を働かせて何時襲ってくるかわからない相手を察知するの」
 そうこんな感じに、背中に悪寒が走るのは危険な証拠、とまで言ってイスカは思いっきりザリを突き飛ばした。
 文句を言おうとしたザリと同時に反対側に跳んだイスカの間に思い何かが落下して石畳をヒビ割る。
「な、何にあれ?!」
「嘘だろ」
 上から降ってきたもの、それはつい先程横を通り過ぎた狛犬の内の一匹だった。急いで振り向くと居た場所には石台だけが残っていた。
「ザリ、気をつけてもう一匹潜んでるわよ」
「ああ、わかってる」
 傍に落ちていた木の枝を拾い、正面に構える。
「石造って動く物なの?」
「普通は動かないさ。動くとしたらゴーレムと石英体生命の擬態の可能性が高い」
「どう違うのよ?」
「石英生命体は鋼人同様物理防御力が高い生き物だ。高威力の物理攻撃が不可能なら魔法攻撃を中心に戦うしかない。違いは自然生命体か人工生命体かのどちらかくらいだ」
「十分違うじゃない!」
「知能指数はこっちが上だ。なにしろ、命令以外にも目的を持って戦うんだからな」
「十分厄介じゃない!」
 どこかに潜む相手より目の前の相手を先に片付ける。拳に炎を宿して一気に接近すると狛犬も闘争心剥き出しで向かってきたイスカに反応した。
「今だ!縛せよ、パパライスピア!!」
 ・・・・・・効果はないようだ。
「何も起こらないじゃない!」
「何でだ?!」
「ここは反魔法素が強い科学の世界。魔法の威力は半減以下してますえ。並みの魔法使いやったら発動すらせぇへんなぁ」


                           続く
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