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4-27、狸、参る
エターナニル魔法学園特殊クラス
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「ほな、行きましょか」
「「へ?」」
急に話をこっちにふらないでほしい。
「全部言わへんと理解できんわけやあらへんよなぁ。あんさんら、何のために来はったん?」
「そりゃ、元特殊クラスの人に運動会で一緒に暴れようってお誘いに」
「あの子と共に戦うなど何年ぶりになるんやろなぁ」
「それじゃあ!」
「はんなりと頑張りましょか」
色々と不安があるが、頼もしい仲間が増えた。行こうとする前に体の痺れをとってほしい。二人が言うとユーキは今気がついたと反応された。本気で忘れていたらしい。
「それじゃあ、自分が納得して参戦してくれる手紙書いてもらえる?」
「なんや、うちが参戦できるわけやあらへんの?」
「OBじゃダメだって教頭から言われたのよ。だから、今の時代の人を説得して、その人本人から過去の自分を説得してもらおうと」
「京ことばより回りくどいどすなぁ。そないこと、その時代の人に直接言ってくればええんとちゃいます?転移魔法の無駄遣いどす」
「あ、それもあるんです」
チヤが言っていたことをザリとユーキに補足してもらいながらもイスカは途切れ途切れに説明すると、ちょっと考え込み、奥に引っ込んでしまった。
しばらくして戻ってきたのは巫女装束に着替えてきたユーキとボロボロになったカノウだった。先程の女性の体罰によって負傷した怪我は治せない&治してもらっていないため、そのまま残っている。そのおかげで緩いウエーブのかかった赤毛の彼がカノウであるとすぐに理解できた。
「学園へ向かいましょか?」
「え、過去に送ってくれるんじゃないの?」
「同じ場所にいた方が移動魔法使わんでええと思えへん?」
笑顔でそう返された。
やはり、レイカと違って含みのあるユーキの笑みは怖い。
「あれ?」
「どうしたの?」
「いや、縁の下から音が聞こえたので」
耳を澄ますとカタコトと確かに何かがいる気配がする。
「まさか、ネズミ」
「などいるはずあらへんなぁ」
笑顔で即否定された。
「ネコのおかあさんがいはるさかい」
「それは残念」
微かにする音は子猫が動いているからだろう。そして唸り声がかなり低い。発している音からして親猫はかなり緊張している。覗いたら爪あとの七つは覚悟しないといけない。顔を拝んでみたかったが、イスカは諦めた。
「ユーキさんはわかるけど、カノウ先輩もくるの?」
イスカの見解が正しければ、彼は攻撃魔法特化型だ。なら、クラスは魔闘だろう。敵の戦力アップになるから来てほしくない。
「クラスメイトと連絡が取れなくてな。今月の課題も届かない」
カノウは魔法学園の六年生。どこのかと聞いたらやはり魔闘クラスだと返された。見た目どおりの人である。
ついでにユーキについて尋ねてみたが、苦笑いで口を濁された。
「ほな、行きましょか?」
ユーキが魔方陣から召喚したのは美しい藤の水墨画が描かれた衾だった。チヤさんは門だった。何か関連性でもあるのだろうか。術者に最も縁のあるものであることは間違いないだろう。ユーキの家にも神社にももっと立派で古い物がたくさんあった。
「ザーちゃんも早うせな。置いて行きますえ」
あの笑顔は心からのものだ・・・・・・こういう状況でしないでほしい。ザリは心の中で泪する。飛び級で授業受けていると評判の憧れの先輩なのに。
続く
「「へ?」」
急に話をこっちにふらないでほしい。
「全部言わへんと理解できんわけやあらへんよなぁ。あんさんら、何のために来はったん?」
「そりゃ、元特殊クラスの人に運動会で一緒に暴れようってお誘いに」
「あの子と共に戦うなど何年ぶりになるんやろなぁ」
「それじゃあ!」
「はんなりと頑張りましょか」
色々と不安があるが、頼もしい仲間が増えた。行こうとする前に体の痺れをとってほしい。二人が言うとユーキは今気がついたと反応された。本気で忘れていたらしい。
「それじゃあ、自分が納得して参戦してくれる手紙書いてもらえる?」
「なんや、うちが参戦できるわけやあらへんの?」
「OBじゃダメだって教頭から言われたのよ。だから、今の時代の人を説得して、その人本人から過去の自分を説得してもらおうと」
「京ことばより回りくどいどすなぁ。そないこと、その時代の人に直接言ってくればええんとちゃいます?転移魔法の無駄遣いどす」
「あ、それもあるんです」
チヤが言っていたことをザリとユーキに補足してもらいながらもイスカは途切れ途切れに説明すると、ちょっと考え込み、奥に引っ込んでしまった。
しばらくして戻ってきたのは巫女装束に着替えてきたユーキとボロボロになったカノウだった。先程の女性の体罰によって負傷した怪我は治せない&治してもらっていないため、そのまま残っている。そのおかげで緩いウエーブのかかった赤毛の彼がカノウであるとすぐに理解できた。
「学園へ向かいましょか?」
「え、過去に送ってくれるんじゃないの?」
「同じ場所にいた方が移動魔法使わんでええと思えへん?」
笑顔でそう返された。
やはり、レイカと違って含みのあるユーキの笑みは怖い。
「あれ?」
「どうしたの?」
「いや、縁の下から音が聞こえたので」
耳を澄ますとカタコトと確かに何かがいる気配がする。
「まさか、ネズミ」
「などいるはずあらへんなぁ」
笑顔で即否定された。
「ネコのおかあさんがいはるさかい」
「それは残念」
微かにする音は子猫が動いているからだろう。そして唸り声がかなり低い。発している音からして親猫はかなり緊張している。覗いたら爪あとの七つは覚悟しないといけない。顔を拝んでみたかったが、イスカは諦めた。
「ユーキさんはわかるけど、カノウ先輩もくるの?」
イスカの見解が正しければ、彼は攻撃魔法特化型だ。なら、クラスは魔闘だろう。敵の戦力アップになるから来てほしくない。
「クラスメイトと連絡が取れなくてな。今月の課題も届かない」
カノウは魔法学園の六年生。どこのかと聞いたらやはり魔闘クラスだと返された。見た目どおりの人である。
ついでにユーキについて尋ねてみたが、苦笑いで口を濁された。
「ほな、行きましょか?」
ユーキが魔方陣から召喚したのは美しい藤の水墨画が描かれた衾だった。チヤさんは門だった。何か関連性でもあるのだろうか。術者に最も縁のあるものであることは間違いないだろう。ユーキの家にも神社にももっと立派で古い物がたくさんあった。
「ザーちゃんも早うせな。置いて行きますえ」
あの笑顔は心からのものだ・・・・・・こういう状況でしないでほしい。ザリは心の中で泪する。飛び級で授業受けていると評判の憧れの先輩なのに。
続く
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