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6-9、ネコ、飛ぶ
エターナニル魔法学園特殊クラス
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剣を握ったオコが窓から飛び出す。同時に部屋の中から何かが転げ出た。それを見た時に2人は驚愕した。1人はポーチから取り出しておいた魔晶石を宙に投げ、唱えていた呪文を解き放った。
「シールド!」
チュッドーーーン
「き、」
「き、」
「「危機一髪だった!」リトア先輩ありがとうございます」
ダイナマイトが飛んでくると三人とも思わなかった。咄嗟にシールドを貼ったリトアも正体を知って驚いている。
「走れ!」
真っ先に我に返ったのはオコだった。レイカの手を引くとリトアも走り出した。よろけつつもレイカは必死に足を前に出した。
「xcvbんm!!」
後ろから斧や鎌を持った村人達が追いかけてくる。走るのに一生懸命なレイカの耳に流麗な歌が届いた。
「オコちゃん、捕まって」
「おう!」
飛び交う鎌を避けてオコはリトアの手を握った。
「時空間を渡れ、ワープ!」
目の前の景色が一瞬歪み、気が付いたら三人は岩の上にいた。走っていた所からは丁度死角となっている。距離もかなり稼いでいて、村人が蟻くらいの大きさで下をウロウロしていく。
「相変わらず凄ーな。けど大丈夫か?」
「うん、ちょっと休みたいかな」
心配そうに覗き込むレイカの傍でリトアは肩で息をしていた。純粋な魔法は身体負荷が激しい。上位3属性ともなるとそれが顕著に表れる。今のリトアの負荷は二人を抱えて同距離を全力移動したのより大きい。魔力減少できない分の疲労だ。
「何なんだあの村?」
「盗賊村、だと思うよ」
通常の村だと勘違いした村人から金品を巻き上げるために作くられた村のことだ。ばれた時のリスクを考えるとまず実践しないのだが、誰もしないと言い切れないのが世の常である。
「それにしてはしつこくないか?」
「それはそうだよ。魂入魔石って10万単位で取引されてるから」
「銀貨?」
「金だって」
「マジか」
都心の家を土地付きで一地区ニコニコ一括払いで買える値段である。血眼になって追いかけてくるはずだ。
「何で高いんだ?レアメタルってわけでもなさそうだし」
「人の魂を閉じ込めた宝石だからだよ。人一人生贄にしているわけだから魔石としての価値も高くなるね」
観賞用として取引されることもあるが、儀式用に生産されることが多い。
「それどうすんだ?」
「先生に届けようと思っているよ」
「それに賛成だな。確か前の件もそうなったんだ」
「任せっぱなしってのもしゃくやけど、被害者からするとそれが一番なんどすな」
「sdfghjkk!」
「まずい、見つかった?!」
そう叫ぶとオコは手前にあった岩を崖下に転がした。かなり大きなものだったため、何人かを巻き込んで下に落ちていく。
「レイカちゃんもう一走りだからね」
「はい、頑張りますぇ」
足を叩いてレイカは答えた。昔の自分ではとっくにギブアップしていただろう。魔法学園での訓練の賜物である。
「まずいな。大分日が陰ってきた」
「日没前に都市まで行きたいんだけれど・・・・・・」
「先輩、ワープは使えないのですか?」
「う~ん、何とかやってみるよ」
3人は一旦止まることにした。レイカとオコは周囲の警戒に入る。先程の音と都市の方向だからか村人が集まってくるだろう。剣を抜き、扇を開く。
「「「「lkjhgfds!!」」」」
「来たぞ!」
「迎え撃ちますぅ」
ターンターンターンターン
乾いた音が四発響く。四方に放たれた弾丸から魔法陣が出現し、それらが線で結ばれる。
「座標固定、目標ポイント***」
リトアの言葉に共鳴するように魔法陣の発光量が増す。光の壁に触れた村人が奥に素っ飛んで行く。発動者を守る魔障壁でこの力だ。非常に強力な魔法が発動されようとしていることは容易に想像できた。
「移動距離確認、魔法出力オールクリア、オーバルエナジー充填完了 ワープ」
光の柱に三人は包まれる。あまりの眩しさにレイカは目を瞑った。途端に浮遊感に襲われる。
続く
「シールド!」
チュッドーーーン
「き、」
「き、」
「「危機一髪だった!」リトア先輩ありがとうございます」
ダイナマイトが飛んでくると三人とも思わなかった。咄嗟にシールドを貼ったリトアも正体を知って驚いている。
「走れ!」
真っ先に我に返ったのはオコだった。レイカの手を引くとリトアも走り出した。よろけつつもレイカは必死に足を前に出した。
「xcvbんm!!」
後ろから斧や鎌を持った村人達が追いかけてくる。走るのに一生懸命なレイカの耳に流麗な歌が届いた。
「オコちゃん、捕まって」
「おう!」
飛び交う鎌を避けてオコはリトアの手を握った。
「時空間を渡れ、ワープ!」
目の前の景色が一瞬歪み、気が付いたら三人は岩の上にいた。走っていた所からは丁度死角となっている。距離もかなり稼いでいて、村人が蟻くらいの大きさで下をウロウロしていく。
「相変わらず凄ーな。けど大丈夫か?」
「うん、ちょっと休みたいかな」
心配そうに覗き込むレイカの傍でリトアは肩で息をしていた。純粋な魔法は身体負荷が激しい。上位3属性ともなるとそれが顕著に表れる。今のリトアの負荷は二人を抱えて同距離を全力移動したのより大きい。魔力減少できない分の疲労だ。
「何なんだあの村?」
「盗賊村、だと思うよ」
通常の村だと勘違いした村人から金品を巻き上げるために作くられた村のことだ。ばれた時のリスクを考えるとまず実践しないのだが、誰もしないと言い切れないのが世の常である。
「それにしてはしつこくないか?」
「それはそうだよ。魂入魔石って10万単位で取引されてるから」
「銀貨?」
「金だって」
「マジか」
都心の家を土地付きで一地区ニコニコ一括払いで買える値段である。血眼になって追いかけてくるはずだ。
「何で高いんだ?レアメタルってわけでもなさそうだし」
「人の魂を閉じ込めた宝石だからだよ。人一人生贄にしているわけだから魔石としての価値も高くなるね」
観賞用として取引されることもあるが、儀式用に生産されることが多い。
「それどうすんだ?」
「先生に届けようと思っているよ」
「それに賛成だな。確か前の件もそうなったんだ」
「任せっぱなしってのもしゃくやけど、被害者からするとそれが一番なんどすな」
「sdfghjkk!」
「まずい、見つかった?!」
そう叫ぶとオコは手前にあった岩を崖下に転がした。かなり大きなものだったため、何人かを巻き込んで下に落ちていく。
「レイカちゃんもう一走りだからね」
「はい、頑張りますぇ」
足を叩いてレイカは答えた。昔の自分ではとっくにギブアップしていただろう。魔法学園での訓練の賜物である。
「まずいな。大分日が陰ってきた」
「日没前に都市まで行きたいんだけれど・・・・・・」
「先輩、ワープは使えないのですか?」
「う~ん、何とかやってみるよ」
3人は一旦止まることにした。レイカとオコは周囲の警戒に入る。先程の音と都市の方向だからか村人が集まってくるだろう。剣を抜き、扇を開く。
「「「「lkjhgfds!!」」」」
「来たぞ!」
「迎え撃ちますぅ」
ターンターンターンターン
乾いた音が四発響く。四方に放たれた弾丸から魔法陣が出現し、それらが線で結ばれる。
「座標固定、目標ポイント***」
リトアの言葉に共鳴するように魔法陣の発光量が増す。光の壁に触れた村人が奥に素っ飛んで行く。発動者を守る魔障壁でこの力だ。非常に強力な魔法が発動されようとしていることは容易に想像できた。
「移動距離確認、魔法出力オールクリア、オーバルエナジー充填完了 ワープ」
光の柱に三人は包まれる。あまりの眩しさにレイカは目を瞑った。途端に浮遊感に襲われる。
続く
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