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9ー15、カメ、目が痛い
エターナニル魔法学園特殊クラス
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「やあやあ、そのチケット。ひょっとして君達サーカスを見に来てくれたのかい?」
とぼけた声で丘を登ってきたのは目の下にダイヤのペイントをした赤鼻のピエロだった。ドタドタと独特の走り方で近寄ってくるとハイッとペロペロキャンディをポケットから取り出した。次の瞬間、一つが三つになった。
「凄いね」
「早業だな」
キョトンとしているレイカの目の前にペロペロキャンディが差し出される。バチッと目があった。リトアの後ろに隠れる。クルクル回った後、結局リトアに取ってもらった。口に運んだそれはちょっと酸っぱかった。
「そろそろパレードが始まるよ。ここからでも見えるけれどもうちょっと近くがいいよ。楽しいよ。うん、きっと楽しいよ」
「せっかくだから見に行こうぜ」
「賛成かな」
「う、うちも行く」
「盛大なパレード、楽しんでいってよ」
そう言って三人を送り出した後、ピエロはポケットから煙草を取りだし、火をつけたのだった。
「・・・団にほしいな~」
呟きながら吐かれた煙はゆっくりと形を成して空へ消えていった。
パレードはそれはそれは盛大なものだった。行進していくオーケストラ。ライトアップされた馬車を変わった動物が轢いて行く。サイドには何十人もの踊り子たちが観客の声援に答えるように全身を使って自己をアピールする。大男が炎を吹き、小男がジャグリングを披露する。町中の人々が見に来ているようだった。列はそれほど長いものではないが、ゆっくりと終点であるテントへ向かっている。パレードが終わるのと同時にサーカスのテントの表が音を立てて開いた。ノッポにチケットを渡して中に入るとすでに混雑していた。席を巡って争っている客がいる中、3人は自分達の席へ辿り着いた。見るに丁度いい席だった。ジアルの席はリトアの隣だった。ふくよかな女性の隣だったことにレイカは感謝した。ファンファーレが鳴り響き、スポットライトが中央にいる人物を照らし出す。シルクハットを目深に被ったその人は深々とお辞儀をして、
「レディース&ジェントルメン。老若男女の皆様我がサーカス団にようこそ」
四方八方から大きな音がした。途端に色とりどりの華が空中に咲き乱れる。目の前でさらに弾けた花火に驚く。皮膚に触れたように見えたが、熱さは感じなかった。幻術の類のものらしい。カーレントでいう3D映像みたいなものだろう。魔法をハッキリ見ることができるレイカにとってこれは視覚情報過多の状態だった。開始早々なのに非常に目が疲れた。
「歓迎の花火が終わったところで、花の精による綱渡りをご覧ください」
ようやく解放されたと思ったら、今度は魔法の花が空中から落ちてくる。これも幻覚を利用した魔法だなと思いながら術者である綱の上の少女に目を向ける。手元で魔法陣を操りながら器用に綱を渡っていく。それが終わったら火吹き男、カメレオン人間のダンス、空中ブランコと続く。怪力男の100人持ち上げは大いに盛り上がったが、タネが見えたレイカにはちょっと白けるものだった。30人持ち上げられるのは純粋に凄いと思うが。
「レイカちゃん、大丈夫かな?」
「平気どす」
ちょっと目が痛いが、視界の端でウロウロしている酔っ払いが気になって席を立てない。そう思っていると、冷たいおしぼりをリトアがくれた。一息ついているとファンファーレが鳴り響き、可愛い犬達が現れた。劇でよく見る犬種、トイプードルである。
「虎とかやあらへんの?」
「たぶん、獣化疑惑解消のためかな?」
野生動物として存在するのは獣人族が変化できる動物であることが多い。特に肉食獣はより多い傾向にある。逆に家畜や愛玩動物は獣人族が作られた後に生まれた人の手によって作られたものなので獣人族といえど変化できる者はいない。
「だから、こっちの動物ショーは愛玩動物がメインとなっていることが多いよ。犬とか、猫とか、鳥とかかな」
「鳥もどすか?」
「鳥人族はもういないとされているからね」
記録によると2000年以上前、旧歴の時に人数を減らし、その見目の美しさから奴隷狩り全盛期にて絶滅に追いやられた、とあった。ワンちゃん達の芸はそれはそれは可愛らしいものだった。パートナーのお姉さんと一緒に元気良く退場していく。
「次だな」
「何かあらはるの?」
「ああ、ちょっとな」
全照明が落とされ、冷たい空気が辺りに充満する。白い煙はドライアイスとしても、黒い靄は何なのだろうか?他の人は見えていないのか舞台に置かれた箱に注目している。伸ばそうとした手は白い手によって止められた。
「ダメだよ。瘴気だから」
「かき集めるとかしない限り大丈夫だろ」
「何で瘴気がここに?」
目で追っていくとそれの出所は箱の中からだとわかった。ドラムが鳴り響き、箱がゆっくりと開いて行く。出てきたのは奇妙な姿の人だった。奇妙といっても手足が逆についているとかそんな些細なものではない。手の位置に足があるというまで奇妙なものでもない。関節が全て外れている状態である。唯一しっかりしている頭から這い出てくる。ズルズルと体をくねらせて音に合わせて動いている。
「あれは、魔族なんどすか?」
「うん、魔族だね」
見分けるコツは白目のところにあると教えてもらった。魔族の目は白目の部分が黒くなっている。たしかに、あそこにいる人物の目は真っ黒とまではいかないが、黒っぽい。
「白濁化しかかってるな」
黒目が白く濁ってくる現象らしい。魔族にしか見られない症状で、黒目が次第に白く変色していくものだ。正気度が下がっている指標でもある。狂暴化し、ゼロになると回復させられなくなってしまう。空気が合わないのが原因とされている。魔族以外の種族が魔界に行った時に同様な症例が見られる。こちらは黒濁化という。
「まだ黒が多いし、今のうちに帰せば」
「入院は免れんが、戻れるだろうな」
周りの熱狂、熱狂できる見世物だろうか?魔族が人の仲間だと知っているからレイカは盛り上がらないのだろうか?ギュッとリトアの手を握ると少しだけ落ち着けた気がした。
「なぁ、あの魔族は自分で望んでこっちに来たんじゃないんどすか?」
そう質問するとリトアはちょっと考えた。
「魔族の中には好戦的な人や策略家がいるけれど、それは人間も変わらないでしょう」
異世界の存在を知っていて侵略しようとしているのは一部の魔族のみ、
「戦争で異界の存在は知れ渡ってるぜ」
というわけではないらしい。時流壁が薄いとされている世界が魔族の世界セヴァ―ニブルである。
「あの様子、無理やり召喚されたんだろ」
「一般人かな」
「だろうな。こっちの神子とのコンタクトはないんだ。そうだ。お前ら銃と科学の世界の神子への連絡は取れるか?」
エターナニルが剣と魔法の世界だからか、カーレントのことは銃と科学の世界と言われている。ファンタジー要素が逆転しているのだ。
「学園を通じてなら。時間はかかるけれど」
「ほな、ユーキ姉はんに頼んでみる?」
2人にカーレントの護りの神子だと紹介する。レイカ自身も教えてもらうまで知らなかったのだからどうしようもない。説明するのが難しいのが神子だ。証明するのはとても簡単である。この時界に自力で来ることができればそれだけで十分名乗る資格を持っている。あくまで、エターナニルでの神子の定義だ。
「後でにしようか」
しかし、今携帯を出す訳にはいかない。撮影禁止は講演前に注意されている。下手に携帯を取り出すと没収されかねない。そうこうしている間に次の演目になった。ジアルもリトアもそれに集中している。そして、喝采が沸き起こり、静寂が生まれを繰り返した後、サーカスは大盛況の中幕を下ろした。
「んじゃ、情報収集してくるぜ。あの星が真上に上った頃にあの木の下な」
「レイカちゃんも頑張ってね」
え、と思う間に2人の姿は人混みの中に消えていった。何だかんだで要領のいいジアルならすぐに人と溶け込めるだろう。リトアも人付き合いはいい方なので情報収集向きかもしれない。しかし、レイカはそうではない。聞き込みができるのは女性に限るという欠点を持っている。そして、口下手でもある。試しにと貴婦人相手にチャレンジしてみたが、変な目で見られて終わった。あのチケットを買えるのは相当な金持ち連中だと言うのを失念していた。仕方がないので、物陰に隠れて聞き耳を立てることにした。こういうのはいつもだとイスカの仕事である。
続く
とぼけた声で丘を登ってきたのは目の下にダイヤのペイントをした赤鼻のピエロだった。ドタドタと独特の走り方で近寄ってくるとハイッとペロペロキャンディをポケットから取り出した。次の瞬間、一つが三つになった。
「凄いね」
「早業だな」
キョトンとしているレイカの目の前にペロペロキャンディが差し出される。バチッと目があった。リトアの後ろに隠れる。クルクル回った後、結局リトアに取ってもらった。口に運んだそれはちょっと酸っぱかった。
「そろそろパレードが始まるよ。ここからでも見えるけれどもうちょっと近くがいいよ。楽しいよ。うん、きっと楽しいよ」
「せっかくだから見に行こうぜ」
「賛成かな」
「う、うちも行く」
「盛大なパレード、楽しんでいってよ」
そう言って三人を送り出した後、ピエロはポケットから煙草を取りだし、火をつけたのだった。
「・・・団にほしいな~」
呟きながら吐かれた煙はゆっくりと形を成して空へ消えていった。
パレードはそれはそれは盛大なものだった。行進していくオーケストラ。ライトアップされた馬車を変わった動物が轢いて行く。サイドには何十人もの踊り子たちが観客の声援に答えるように全身を使って自己をアピールする。大男が炎を吹き、小男がジャグリングを披露する。町中の人々が見に来ているようだった。列はそれほど長いものではないが、ゆっくりと終点であるテントへ向かっている。パレードが終わるのと同時にサーカスのテントの表が音を立てて開いた。ノッポにチケットを渡して中に入るとすでに混雑していた。席を巡って争っている客がいる中、3人は自分達の席へ辿り着いた。見るに丁度いい席だった。ジアルの席はリトアの隣だった。ふくよかな女性の隣だったことにレイカは感謝した。ファンファーレが鳴り響き、スポットライトが中央にいる人物を照らし出す。シルクハットを目深に被ったその人は深々とお辞儀をして、
「レディース&ジェントルメン。老若男女の皆様我がサーカス団にようこそ」
四方八方から大きな音がした。途端に色とりどりの華が空中に咲き乱れる。目の前でさらに弾けた花火に驚く。皮膚に触れたように見えたが、熱さは感じなかった。幻術の類のものらしい。カーレントでいう3D映像みたいなものだろう。魔法をハッキリ見ることができるレイカにとってこれは視覚情報過多の状態だった。開始早々なのに非常に目が疲れた。
「歓迎の花火が終わったところで、花の精による綱渡りをご覧ください」
ようやく解放されたと思ったら、今度は魔法の花が空中から落ちてくる。これも幻覚を利用した魔法だなと思いながら術者である綱の上の少女に目を向ける。手元で魔法陣を操りながら器用に綱を渡っていく。それが終わったら火吹き男、カメレオン人間のダンス、空中ブランコと続く。怪力男の100人持ち上げは大いに盛り上がったが、タネが見えたレイカにはちょっと白けるものだった。30人持ち上げられるのは純粋に凄いと思うが。
「レイカちゃん、大丈夫かな?」
「平気どす」
ちょっと目が痛いが、視界の端でウロウロしている酔っ払いが気になって席を立てない。そう思っていると、冷たいおしぼりをリトアがくれた。一息ついているとファンファーレが鳴り響き、可愛い犬達が現れた。劇でよく見る犬種、トイプードルである。
「虎とかやあらへんの?」
「たぶん、獣化疑惑解消のためかな?」
野生動物として存在するのは獣人族が変化できる動物であることが多い。特に肉食獣はより多い傾向にある。逆に家畜や愛玩動物は獣人族が作られた後に生まれた人の手によって作られたものなので獣人族といえど変化できる者はいない。
「だから、こっちの動物ショーは愛玩動物がメインとなっていることが多いよ。犬とか、猫とか、鳥とかかな」
「鳥もどすか?」
「鳥人族はもういないとされているからね」
記録によると2000年以上前、旧歴の時に人数を減らし、その見目の美しさから奴隷狩り全盛期にて絶滅に追いやられた、とあった。ワンちゃん達の芸はそれはそれは可愛らしいものだった。パートナーのお姉さんと一緒に元気良く退場していく。
「次だな」
「何かあらはるの?」
「ああ、ちょっとな」
全照明が落とされ、冷たい空気が辺りに充満する。白い煙はドライアイスとしても、黒い靄は何なのだろうか?他の人は見えていないのか舞台に置かれた箱に注目している。伸ばそうとした手は白い手によって止められた。
「ダメだよ。瘴気だから」
「かき集めるとかしない限り大丈夫だろ」
「何で瘴気がここに?」
目で追っていくとそれの出所は箱の中からだとわかった。ドラムが鳴り響き、箱がゆっくりと開いて行く。出てきたのは奇妙な姿の人だった。奇妙といっても手足が逆についているとかそんな些細なものではない。手の位置に足があるというまで奇妙なものでもない。関節が全て外れている状態である。唯一しっかりしている頭から這い出てくる。ズルズルと体をくねらせて音に合わせて動いている。
「あれは、魔族なんどすか?」
「うん、魔族だね」
見分けるコツは白目のところにあると教えてもらった。魔族の目は白目の部分が黒くなっている。たしかに、あそこにいる人物の目は真っ黒とまではいかないが、黒っぽい。
「白濁化しかかってるな」
黒目が白く濁ってくる現象らしい。魔族にしか見られない症状で、黒目が次第に白く変色していくものだ。正気度が下がっている指標でもある。狂暴化し、ゼロになると回復させられなくなってしまう。空気が合わないのが原因とされている。魔族以外の種族が魔界に行った時に同様な症例が見られる。こちらは黒濁化という。
「まだ黒が多いし、今のうちに帰せば」
「入院は免れんが、戻れるだろうな」
周りの熱狂、熱狂できる見世物だろうか?魔族が人の仲間だと知っているからレイカは盛り上がらないのだろうか?ギュッとリトアの手を握ると少しだけ落ち着けた気がした。
「なぁ、あの魔族は自分で望んでこっちに来たんじゃないんどすか?」
そう質問するとリトアはちょっと考えた。
「魔族の中には好戦的な人や策略家がいるけれど、それは人間も変わらないでしょう」
異世界の存在を知っていて侵略しようとしているのは一部の魔族のみ、
「戦争で異界の存在は知れ渡ってるぜ」
というわけではないらしい。時流壁が薄いとされている世界が魔族の世界セヴァ―ニブルである。
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「一般人かな」
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「後でにしようか」
しかし、今携帯を出す訳にはいかない。撮影禁止は講演前に注意されている。下手に携帯を取り出すと没収されかねない。そうこうしている間に次の演目になった。ジアルもリトアもそれに集中している。そして、喝采が沸き起こり、静寂が生まれを繰り返した後、サーカスは大盛況の中幕を下ろした。
「んじゃ、情報収集してくるぜ。あの星が真上に上った頃にあの木の下な」
「レイカちゃんも頑張ってね」
え、と思う間に2人の姿は人混みの中に消えていった。何だかんだで要領のいいジアルならすぐに人と溶け込めるだろう。リトアも人付き合いはいい方なので情報収集向きかもしれない。しかし、レイカはそうではない。聞き込みができるのは女性に限るという欠点を持っている。そして、口下手でもある。試しにと貴婦人相手にチャレンジしてみたが、変な目で見られて終わった。あのチケットを買えるのは相当な金持ち連中だと言うのを失念していた。仕方がないので、物陰に隠れて聞き耳を立てることにした。こういうのはいつもだとイスカの仕事である。
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