エターナニル魔法学園特殊クラス

シロ

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10ー15、カメ、悲鳴を上げる

エターナニル魔法学園特殊クラス

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「って、話してたら着いたぞ」
派手な看板が来賓者を歓迎してくれる。夜にはネオンが灯るのだろう。ナギサカエクストラパークのマスコットキャラは猫だか犬だか鼠だかよくわからない何かである。シュールで、よく見ると可愛い、かも。
「まず、小手調べにこれ入ろうぜ」
ジアルが指示したのはお化け屋敷だった。絶叫系を覚悟していたレイカにとって嬉しかったが、確かイスカは苦手だったはずだ。
「全アトラクションクリアするならまずこれだな」
「何でよりにもよってこれなのよ」
案の定、イスカから異議が出た。
「全員が苦手意識を持っているのがこれだからな」
「うちも?」
レイカはお化けは苦手ではない。幽霊退治を生業としているだけあって、嘗められる訳にはいかないのだ。傾向が読めるので同年齢の女友達より付き合いがいい場合がある。もう一層のことクラスメイトを殺そうかと幼心に思ったことか。実行はしなかった。
「おぅ、絶叫系前に全員で楽しめるもの行こうぜ」
「そこまで言うんやったら・・・・」
どうせ絶叫系で嫌というほど叫ぶ羽目になるのだ。その前に一呼吸するのもいいだろう。学園に入って体力は付いたが、ここに来るまでの間の徒歩でレイカはちょっと疲れていた。
「なら、決まりな。おじちゃーん、三人入るぞ」
入り口の係員にフリーパスを見せる。平日の夕方だからか、前に入った人以外に待っている人はいなかった。楽しんで行けよと言われ、思わず愛想笑いを返す三人。入り口からは冷やりとした気が漂ってきている。雰囲気はいかにも出そうである。歩いていくアトラクションなので一歩を踏み出さなければ先に進めない。
「行くか」
「そうね」
「何時までもここに行く訳にもいかへんからなぁ」
と言って踏み出したのはレイカだけだった。入り口の所に、除霊浄化(物理)お断り、と書かれていた。注意書きをするということは、中々期待できそうだ。
「うう、病院なんていかにもって雰囲気じゃない」
「お化け屋敷やからなー」
「く、暗ぇ」
「ジアルはん、暗いの苦手なんどすか?」
ジアルは狼の獣人族、人狼なので嗅覚に優れている。視覚情報は普通の人間程度だが、嗅覚情報があるから暗闇でも得られる情報は多い。
「幽霊って臭いんだよなー。それがちょっと嫌だ」
「腐乱臭混じってはるから仕方あらへんなぁ」
鋭過ぎる嗅覚が仇になっている。口を押えながらレイカ達の後をついてくるジアルの表情は少し青い。相当きついのだろう。
「うっ」
「ちょ、不吉な音出さないでよ」
「何か来はる」
イスカとレイカが身構える。除霊がダメだったことを思い出して数珠を直そうとした次の瞬間。三者三様の悲鳴が幽霊屋敷を揺るがした。


                             続く
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