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11ー14、カメ、時間をつぶす
エターナニル魔法学園特殊クラス
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「幻覚術は制御が難しいから。効果範囲もそれ程広くないから近距離に潜んでいる可能性は高いはずだよ」
四人は現場に向かった。だが、まだ日が高い時間。警察が調査をしていた。
「説得、は無理だよなー」
「言いくるめも難しそうだな」
茂みに隠れていたが、他方向からは丸見えだったらしく、先生に見つかり、厳重注意を受けた。宿題を渡されたジアル、カズ、リトアは図書館に籠って問題を消費していった。レイカはダンムガを送り返し、カーレント関係の本を考え深く探していた。そうして、時間が過ぎていく、はずだった。送迎が終わったので繋げていた空間を元に戻してもらおうとした、正にその時。物理と精神の狭間にリトアが来ていたのだ。いつも優しい光を宿している瞳は虚ろに濁っていた。
「り、リトア先輩?」
試しに袖口を掴んで揺すってみても全くと言っていいほど反応が返ってこない。まるで、レイカがそこにいることすら否定しているかのように、虚無を見つめたままだ。薄く開いた口から言葉が零れ出す。
「・・・ナツ」
「?季節がどないしはりました??」
ただ今、初夏になりかけている頃。半袖には肌寒く、長袖では日中暑い。そんな時期だ。
「こんな時にボケないでくれませんかね」
とても懐かしい声を聴いた。振り返るとそこにはゆで卵のような顔を持つ魔族がそこに立っていた。彼によく似た者ならレイカは何度か連絡を取っているが、当の本人はイスカの故郷国の事件の時にエネルギー過多で死んだはずである。いや、生きている可能性もない訳ではないのだが・・・・・・なんせあの三兄弟の見分けがレイカにはつかない。メールアドレスを持っているのが三男なことくらいか。だから・・・・・。
「えっと、サザエルドはん?」
「名誉ある戦死した一番上の兄の名を神子殿の口からとは、更なる名誉となるだろう。おっと、失礼。私、ササエルガルドと言うものであります。以後お見知りおきを」
サザエガルドが兄で、ササエルガルドという名前。その下にこれまた名前がよく似た三男がいる。これでわかった。彼が次男である。レイカが関わった時には次男も死亡している。こういうことになると、時空が違うと実感できる。
「よ、よろしくお願いします」
「相変わらずですね。それで、あなた方はどうしてここに?」
触手でリトアを抑えながらササエルガルドが尋ねる。力にものを言わせて押さえつけてくれないとどこかに行きそうでならない。その行き先が非常に危険なのだ。ここはそれ程いい場所ではない。悪いとも言い切れないが。
「その、赫々云々で」
簡単に経緯を説明する。
「それで、リトはどうしてこんな状態に?」
「リトア先輩どすか?」
「・・・・ああ、そういう事」
何か別の情報も飲み込めたらしい。
「で、リトアはどうしてこんなことに?こっちとしても非常に不味いから早期解決望んでいるんだけど」
「自殺の原因となる幻術にかかってしまったらしいんよ」
「そんなに強力なのではないのが救いか」
「よくわからはりますね?」
「私程度で何とかなるくらいですから」
「知り合いはんなんどすか?」
「そうとも言えるし、そうとも言えませんね。一方的に知っているだけですから」
今は、と呟くササエルガルドの心境は如何なるものだろうか?表情はゆで卵のようにツルッとしていて読めない。ただ、彼は残された側だということは分かった。
「リトア先輩も罪作りどすなぁ」
重力磁場魔法まで利用して止めるササエルガルド。傍から見るとタコ系魔族が襲っている様にしか見えない。
「まさか、罪があるとしたら私たちの方ですよ」
レイカの言葉は全否定されてしまった。
「しばらく、ここで押さえていてあげますから、早く解決してください」
足元が割れ、放り出された感覚がした後、気が付いたらレイカは図書館の本棚の列の中に戻っていた。
「おい、魔法反応がしたが、大丈夫か?」
「そっちにリトアが行ったけど、何かあったか?」
駆け寄ってくるジアルとカズに経緯を説明する。魔族については知り合いだと説明したのが、どの辺まで信じてくれたのだろうか。少なくとも、ジアルはもの凄く渋い顔をした。カズもあまりいい感じに受け取ってくれてはいないようだ。
「こりゃ、急ぐべきだな」
「だな」
結果、夜になりかけの時間帯に奇襲された警察官は声を上げることなく、地面に沈んだ。死んではないが、かなりいいところに入った。申し訳なくなりつつ、レイカは二人とともに屋上にやってきた。そこには、あの魔族がいた。リトアの姿は見えない。
「えっと、ササエルガルドはん?」
「あっていますので疑問符を取ってもらえませんかね、神子様」
「あ、ごめんなさい」
「謝ることじゃなくね」
ズイとジアルがレイカを押し退けて前に出る。
「リトアどうした?」
「そうだよねー。そっちにいるんでしょ?」
「いや、兄と一緒にいる」
ササエルガルドの言葉に二人の顔色がスッと冷める。
「連れ戻せ!今すぐにだ!!」
「ははっ」
「ジアルはん落ち着いて。今戻したら、たぶん、ダンムガはんの二の舞いどす」
「は?」
「ここにある魔法陣見てわからはりました。これは身内に死者がいる者を自殺に導く魔法が施してあらはります」
「・・・・・・」
「ほんに小さなことでも因に取り込まれてしまいます」
「それは本人が覚えてなくても、だったりする?」
「潜在意識に働きかけるので、おそらく」
「何属性の魔法なのかもわかりますか?」
「えっと、こっちがこうで、この色合いやから。音属性どす」
「凄いよ、大正解」
褒められて照れるレイカをカズが引き寄せる。バランスを崩してふらついた時、それまでレイカの首があったところを鋭い何かが通り過ぎていった。
「何だ?」
「な、な、何かが・・・」
刃なのはわかった。だが、何故レイカが狙われたのか、レイカ自身もわからなかった。
「・・・あなたがこちらに加担しているとは・・・・・・そうですね。ある程度可能性として受け止めておくべきだった」
「誰だ、お前?」
ヴェールが取り払われ、現れた姿にレイカは驚愕する。流れるような金髪を後ろにまとめている。海のように澄んだ碧眼がジッとレイカを見下ろしている。
「リルク先生・・・」
「知り合いっぽいな。どんな関係?」
「学園の先生どす。教科担当やけど、実力はかなりあらはります」
「ふーん、先生って色々いるって言ってもな~。なぁ、何でこいつ狙ったか教えてくれない?」
「問答無用です」
「教え子にそれって酷くねww」
槍を構えるリルクにカズも笑いながら腰に手をやり、固まった。
続く
四人は現場に向かった。だが、まだ日が高い時間。警察が調査をしていた。
「説得、は無理だよなー」
「言いくるめも難しそうだな」
茂みに隠れていたが、他方向からは丸見えだったらしく、先生に見つかり、厳重注意を受けた。宿題を渡されたジアル、カズ、リトアは図書館に籠って問題を消費していった。レイカはダンムガを送り返し、カーレント関係の本を考え深く探していた。そうして、時間が過ぎていく、はずだった。送迎が終わったので繋げていた空間を元に戻してもらおうとした、正にその時。物理と精神の狭間にリトアが来ていたのだ。いつも優しい光を宿している瞳は虚ろに濁っていた。
「り、リトア先輩?」
試しに袖口を掴んで揺すってみても全くと言っていいほど反応が返ってこない。まるで、レイカがそこにいることすら否定しているかのように、虚無を見つめたままだ。薄く開いた口から言葉が零れ出す。
「・・・ナツ」
「?季節がどないしはりました??」
ただ今、初夏になりかけている頃。半袖には肌寒く、長袖では日中暑い。そんな時期だ。
「こんな時にボケないでくれませんかね」
とても懐かしい声を聴いた。振り返るとそこにはゆで卵のような顔を持つ魔族がそこに立っていた。彼によく似た者ならレイカは何度か連絡を取っているが、当の本人はイスカの故郷国の事件の時にエネルギー過多で死んだはずである。いや、生きている可能性もない訳ではないのだが・・・・・・なんせあの三兄弟の見分けがレイカにはつかない。メールアドレスを持っているのが三男なことくらいか。だから・・・・・。
「えっと、サザエルドはん?」
「名誉ある戦死した一番上の兄の名を神子殿の口からとは、更なる名誉となるだろう。おっと、失礼。私、ササエルガルドと言うものであります。以後お見知りおきを」
サザエガルドが兄で、ササエルガルドという名前。その下にこれまた名前がよく似た三男がいる。これでわかった。彼が次男である。レイカが関わった時には次男も死亡している。こういうことになると、時空が違うと実感できる。
「よ、よろしくお願いします」
「相変わらずですね。それで、あなた方はどうしてここに?」
触手でリトアを抑えながらササエルガルドが尋ねる。力にものを言わせて押さえつけてくれないとどこかに行きそうでならない。その行き先が非常に危険なのだ。ここはそれ程いい場所ではない。悪いとも言い切れないが。
「その、赫々云々で」
簡単に経緯を説明する。
「それで、リトはどうしてこんな状態に?」
「リトア先輩どすか?」
「・・・・ああ、そういう事」
何か別の情報も飲み込めたらしい。
「で、リトアはどうしてこんなことに?こっちとしても非常に不味いから早期解決望んでいるんだけど」
「自殺の原因となる幻術にかかってしまったらしいんよ」
「そんなに強力なのではないのが救いか」
「よくわからはりますね?」
「私程度で何とかなるくらいですから」
「知り合いはんなんどすか?」
「そうとも言えるし、そうとも言えませんね。一方的に知っているだけですから」
今は、と呟くササエルガルドの心境は如何なるものだろうか?表情はゆで卵のようにツルッとしていて読めない。ただ、彼は残された側だということは分かった。
「リトア先輩も罪作りどすなぁ」
重力磁場魔法まで利用して止めるササエルガルド。傍から見るとタコ系魔族が襲っている様にしか見えない。
「まさか、罪があるとしたら私たちの方ですよ」
レイカの言葉は全否定されてしまった。
「しばらく、ここで押さえていてあげますから、早く解決してください」
足元が割れ、放り出された感覚がした後、気が付いたらレイカは図書館の本棚の列の中に戻っていた。
「おい、魔法反応がしたが、大丈夫か?」
「そっちにリトアが行ったけど、何かあったか?」
駆け寄ってくるジアルとカズに経緯を説明する。魔族については知り合いだと説明したのが、どの辺まで信じてくれたのだろうか。少なくとも、ジアルはもの凄く渋い顔をした。カズもあまりいい感じに受け取ってくれてはいないようだ。
「こりゃ、急ぐべきだな」
「だな」
結果、夜になりかけの時間帯に奇襲された警察官は声を上げることなく、地面に沈んだ。死んではないが、かなりいいところに入った。申し訳なくなりつつ、レイカは二人とともに屋上にやってきた。そこには、あの魔族がいた。リトアの姿は見えない。
「えっと、ササエルガルドはん?」
「あっていますので疑問符を取ってもらえませんかね、神子様」
「あ、ごめんなさい」
「謝ることじゃなくね」
ズイとジアルがレイカを押し退けて前に出る。
「リトアどうした?」
「そうだよねー。そっちにいるんでしょ?」
「いや、兄と一緒にいる」
ササエルガルドの言葉に二人の顔色がスッと冷める。
「連れ戻せ!今すぐにだ!!」
「ははっ」
「ジアルはん落ち着いて。今戻したら、たぶん、ダンムガはんの二の舞いどす」
「は?」
「ここにある魔法陣見てわからはりました。これは身内に死者がいる者を自殺に導く魔法が施してあらはります」
「・・・・・・」
「ほんに小さなことでも因に取り込まれてしまいます」
「それは本人が覚えてなくても、だったりする?」
「潜在意識に働きかけるので、おそらく」
「何属性の魔法なのかもわかりますか?」
「えっと、こっちがこうで、この色合いやから。音属性どす」
「凄いよ、大正解」
褒められて照れるレイカをカズが引き寄せる。バランスを崩してふらついた時、それまでレイカの首があったところを鋭い何かが通り過ぎていった。
「何だ?」
「な、な、何かが・・・」
刃なのはわかった。だが、何故レイカが狙われたのか、レイカ自身もわからなかった。
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続く
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