転移者と転生者と現地チート

シロ

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86、

さりげない冒険者能力

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 結局、荒れ屋敷に残っているかもしれない宝物を求めてやってきたことを元モヒカンは白状した。そりゃ、顔が原型をとどめないほど腫れるまで殴られれば正直に話す。なお、ナナの案だったのだが、本人は力が足りず、防寒着の冒険者は拒否したので、顔殴り代行は召喚された小鬼が嬉々として行った。
「彼はお金に困っていたのですか?」
「そうですね。働き口紹介すればよかったでしょうか?」
「2人とも追い打ちかけないでやってくれ」
アイデンティティを奪われ、泣いて帰って行った男に同情する男声だった。同じ男性として思うところがあるのだろう。
「まぁ、窃盗か強盗かしているだろうから連絡しておきましょう」
「そうなのです?」
「たぶん、これ奪った罪で服役終了したんだと思います」
「わかるのです?」
「正確な鑑定はできませんが、宝石の気を読むくらいは」
できるらしい。十分凄い。そっちの方が凄い。冒険者の必須スキルだったらどうしようと思うナナだった。そして、問題の宝石は防寒着の冒険者曰く、黒い気のようなものが付着しているので素手で触らない方がいい。
「それは瘴気なのです?」
「ううん、悪い気だけれどそこまで巨悪ではないですよ。そうですね・・・・・・良い気が開運を引き寄せるなら、悪い気は不運を呼び寄せる。そんな感じです」
運気は大切である。主に攻撃がクリティカルするかどうかだけだと思われるようだが、実は違う。命中回避の運こそ重要なのである。先人様は言いました。当たらなければ意味がないのですよ。
「これは貰ってもいいです?」
持ち主不明の宝石だ。ギルド預かりになるにしても警察?届け出になるにしても、持ち帰ることには変わらない。礼金も出るだろう。
「ちゃんと提出するのならギルドまで持たせてもいいんじゃないか?」
「そうですね。忘れずシサさんに渡してください」
「はーい」
宝石ゲットだぜ(仮)。


                                続く
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