転移者と転生者と現地チート

シロ

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22、

魔法を発動する

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「痛ぇ!!!」
 ゴーレムの胴体のど真ん中に、思いっきりグーパンしたカイの拳に襲いかかったのは、慣性の法則によって発生したフィードバックだった。拳が赤くなる。かなりいい感じに入ったので、ダメージもなかなかいいようだ。腕を抑えて悶えている。
「戦いの時に止まるなら、相手から距離を取ってからにして」
 ゴーレムがもう一つの拳を振り上げた直後、防寒着の冒険者がカイを抱えてナナの元に戻ってきた。背丈が多少違うだけの相手に抱え上げられるのはちょっとショックなカイだった。大人ならいざ知れず、背の高さや声の感じからして、成人前って感じだ。
「えっと、えっと・・・・・」
 ワタワタしているナナの手を取り、防寒着の冒険者はゴーレムからかなりの距離を取った。どうやらあのゴーレム稼働距離があるらしく、範囲内から敵対反応が消えたと判断したら、少し開けた場所を徘徊し始めた。それを確認してから、防寒着の冒険者は二人の体勢を立て直させた。
「叶えて、フェアウィシュ!」
 ナナがそう叫んで手を掲げると、淡い光がクルクルと彼女の周りに飛び始めた。日光よりも儚く、今にも消えてしまいそうな光だ。自分の変化に戸惑いつつ、ナナは助けを求めるように防寒着の冒険者を見上げた。

                           続く
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