転移者と転生者と現地チート

シロ

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ざっくばらんな魔法解説

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「わかったのです。コアはあの首の辺りにあるのです」
「なら、そこを壊す訳にはいかないか」
「あと、弱点は全体で火属性の魔法なのです」
 チラリと呪文一覧を見る。訳の分からないものが多いが、ポピュラーな魔法も掲載されている。ファイアーボールやブリザードがあって安心する。
「弾けろ、ファイヤーボール!」
ビー 距離内に対象が存在しません
 かなり大きな音がしたが、ゴーレムも冒険者もカイも反応がなかった。この警報音、ナナにのみ聞こえるようだ。しかも、どんなエラーなのか教えてもらえる、親切。
 しかも、これでファイアーボールに説明が・・・・・・
「はれ?」
「うん、快晴です」
 この防寒着の冒険者、結構ほけほけしている。大丈夫かな、今回の敵、剣も矢も効かない相手なのに。不安になったのをいち早く察知したカイがポンとナナの肩に片手を乗せる。
「俺を信じろ」
 ますます、不安になったナナだった。
「あの、魔法詳しいのですか?」
 物珍しいのか、ステータス画面を操作しまくっている防寒着の冒険者に尋ねる。ナナは知っている。こういう時は上目遣いでちょっと首を傾げながらすると効果的だと。人が良さそうなので、なしでも反応をくれるとは思う。
「魔法・・・か・・・・・・」
 ちょっと考えて、防寒着の冒険者は言った。
「光属性の神聖魔法と妖精魔法ならわかるよ」
「風属性の神聖魔法と魔動機術なら少しですが」
 男声の方に聞いた方がいいだろう、とナナは判断し、質問を続けた。
「ファイアーボールって難しい魔法なのですか?」
「攻撃魔法は割と難しい魔法に入るよ。複雑属性持ちと特殊系もそう。一般的に簡単と言われるのは単純魔法だね」
 火をつけたり、水を出したり、方向を知ったりするのは単純な魔法である。訓練さえすれば、ある程度魔力を持つ一般人でも身に付けられる。単純属性魔法と言われる類のものだ。必要となる魔力も少なめなのが特徴。
 ファイアーボールのように対象に攻撃を与える魔法になると必要魔力が多くなり、制御も難しくなる。また、対象の行動を阻害する魔法も抵抗されるので突破させようとすれば必然的に高い魔力が必要となる。
 魔法の難しさ、それは制御の程度と受動者の抵抗の程度と珍しさで決まる。
 消費魔力の多さ、もこれに準ずる。ようは、RPGでよく見る攻撃魔法と同じである。そうナナは結論付けた。広範囲高威力の攻撃魔法連打は夢と消えた。

                               続く
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