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あのチートアイテム
しおりを挟む「あら、この辺では見ない子達ね」
噴水に腰かけて話していたら、朝焼け色を薄く伸ばしたような髪を持つ女子だ。ナナより5つほど上だろう。髪の色以外にはあまり特徴のなさそうな少女だった。手には花籠を持っている。中には色とりどりの花が入っている。チューリップ、ひまわり、コスモス、水仙。知らない物がほとんどだったが、この4つは独特の形だったのでそうだとわかった。
「こんにちはー。お花いらない?」
無邪気な笑顔で話しかけてきた。
「お姉さん、ここの人なのです?」
「そうとも言えるし、そうじゃないとも言えるわ」
「はっきりしねーな」
「訳アリなのだろう」
意外なことに女の子がフォローした。
「戦争が終わったのだ。浮浪児がいてもおかしくはあるまい」
「そういう事。ところで、お花いかが?どれも綺麗よ」
確かに、綺麗である。
「季節感がないな」
「匂い混ざり合って気持ち悪ぃ」
「珍しい花なんだけれどな~」
救いを求めるかのようにチラッチラッと花売りのお姉さんがナナを見る。
「古今東西どんな花でもあるのです?」
「ええ、花と名の付くものはそろえられるわよ」
「でしたら、リコの花が欲しいのです」
「はい、どうぞ」
花売りのお姉さんがナナに手渡したのは、まさにあの作品のリコの花だった。蓮に似た5つの花弁は薄ピンク色。
「身に着けていたらいいのです?」
「ええ、その通り。ダメージを一度だけ無力化できるの。けれど、よく知っているわね。薬にもならない、観賞用にも華やかさが足りない花なのに」
「そうなのです?」
某漫画で出てきた有名なマジックアイテム(強)である。装備者に対する物理・魔法・呪いを1度だけ無効化してくれる。
「なら、安いのですね」
「とてもとても、一個10Gとなります」
それでも硬貨の値段になるのかとナナは財布から銅貨を1枚取り出し、渡した。カイにもと思ったのだが、断られた。趣味じゃないそうだ。
続く
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