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エピソード11、リアルと門限
FGO【フリーゲームオンライン】リアル中
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ゲーム時間で7日後、リアルで1日後、
「よww打ち上げ兼ねてリアルで会わねーか?」
外は夜だった。結局、始まりの街にデスルーラーで戻ってきた4人は怪我と疲弊のため、街人に送られながらの神殿送りとなった。関わったプレイヤーが少ないのか、それとも陰ながら称えているのか、あの事件は大きな騒ぎにはならなかった。神殿での回復に1日、調子の回復に1日かけたところであの日の私のゲーム時間は終わった。一狩り出かけようとせがむウォルに事情を話し、ログアウトした。それからリアル用事を終わらせ、再度ログインした私を待っていたのは意外にもカーズだった。
「いや、リアル会うの抵抗あんならここで止めとくけど」
大抵の人はゲームはゲームと割り切ってプレイしている。私だって女性っぽいPLだし、がっかりされるかもしれない心配もある。ただ、たった5人であれだけの事件を解決したのだ。記念みたいなのは欲しいと思っていた。
「いえ、私も賛成。ただ、結構忙しいからこっちが予定合わせしましょ」
「お、いいの」
「ええ、リアルそのうち運営からメール届くと思うから楽しみに待ってて」
狩りに出かけて行った私の後ろ姿にカーズはこう呟いた。
「え、何者www?」
苦笑付きで。
それから、リアル時間で2週間後の午後18時。
「先輩、待ってっす!!」
自分の行方を探し当てた後輩と共にとあるファミリーレストランを目指していた。まさか、九州まで突撃してくるとはちょっと予想外であった。
「遅い!待ち合わせ場所には5分前集合だろうが!!」
拳骨が啓の頭上に落ちる。
「うう、モデルの頭に酷いっす」
「それにしても、お前よく無事だったな」
ダンジョン崩壊から逃げ延びた時、啓のPCである魔王は仲間内にいなかった。彼の話を聞くに、真反対の壁を闇魔法で消し飛ばして脱出したそうだ。
「運が良かったっすよ」
「本当にな」
ダンジョンは決まった道がある。それを壊して進もうとした場合、トラップが発動するようになっている・・・・・・はずなのだが、発動しなかったのか、発動したが魔王判定に邪魔されたか。真相は謎である。
「先輩、戻ってきてくれないっすか?皆皆待ってるっすよ」
「仕事はしただろ」
「そうっすけど・・・・・・」
「うぃーす、遅れたっす」
「こいつよりはマシだ!!」
間延びした挨拶をしてきた後輩その2に拳骨を落とすのであった。こいつも啓と違った意味で問題児である。遅刻はするわ、サボるわ。俺の部活学校生活の半分はこいつらの調教に使ったと言っても過言ではない。次の部長から泣きつかれたのはいい思い出である。その二人が人気モデルと人気クリエイターなのだから世の中わからない。才能の鱗片は見えていたが。
「お前ら、何で謝るのかわかってるだろうな」
「試作イベントに試作のモンスター使ったことっすね」
「イベントのR指定間違ったことだな」
「何の通告もなく、イベント引き起こして巻き込んだ詫びが先だ!」
待ち合わせ場所につく頃には体力が半分くらい減っていた。運動部から足を洗って10年。年かもしれないが、これ以上の体力低下は避けたい。ジム通いするか。
「いらっしゃいませー」
「七瀬の名で予約している者っす」
「はい、承りました。こちらへどうぞ」
ここはファミリーレストランだが、和風テイストで、予約OKな個室がある。宴会もOKなところだ(ツマミ料理もそれなりにそろっている)。案内されたのは一番奥にある少し広めの個室だった。襖を開くと、中には3人の男がお茶を飲んでいた。一人は、職人気質な大男で、仕事帰りなのか汗が滲んでいる。一人は学生で、あの制服は東京の有名校だ。最後の一人は、スーツ姿の如何にもインテリ風の男で、眼鏡をかけていてノートパソコンをいじっている。
「やっぱり、ネトゲの女の子はリアル女子じゃなかったっすね」
「こら、失礼だろうが」
「うん?一人足りなくねーか?」
集合する予定の人達は、私に、魔法の中の人こと啓。運営側代表の後輩その2。マシロの中の人、カーズの中の人、ウォルの中の人。数は合っているように見えるが、ウォルが二人一役、一つのPCを二人共同で使っていることは判明している。なので、確かに一人足りないのだ。
「いえ、これで全員です。始めましょうか」
「そうなんっすか?」
それぞれ、座ったところで、通しの枝豆とビール、コーラが運ばれてくる。
「それでは、ゴブリン軍団の侵略をクリアした記念としてかんぱーい!」
「「「「「「「かんぱーい!!」」」」」」」
かちゃんと合わせたところでピタリと止まる。今、9種類の声がした。しかも、学生くらいの若者の声と同じくらいの女性の声が。
「いやー、ホラーっすね」
「ホラーwwマジでwww」
カーズの中の人と啓のおかげで場が沈むということはなかった。空気を読んだのか、元の軽い性格からのセリフか。
「とりあえず、自己紹介をしようではないか?」
「あ、ゲームのキャラ名だけにしません?」
高校生の言葉に職人が頷く。
「ワシからいくぞ。気付いていると思うが、ドワーフのマシロじゃ」
「うぃーす、ワーウルフのカーズでっす☆あ、高校生だから20時までしかいられません」
「この人の後輩で、魔王やってまっす」
「仲間だし、マオウでよくないか?」
「それもそうっすね」
名前はまだもらってなかったらしい。NPCだからか。それにしても、あんまりな名前だと思うのだが、それでいいのか?後輩その1。
「私はホワィトだ・・・・よ」
「いやいやいや、無理してつけることないって」
「そうじゃ、現実で男な女性PCはよくあると聞いたぞ」
「そう言ってもらえると助かります」
「あれ、先輩のPC男性っすよ?」
「ああ、男だったな」
「「「あの見た目で!!」」」
「よっしゃー!!」
「そんなー!!」
私も驚いてしまった。女性男性決める時に宅配便が来たので急いでクリックしたからどちらを選んだのか正直覚えてなかった。なので、背丈と体重以外の見た目をコンピューターに頼んだのだ。で、出来上がったのがあの顔である。なので、正直な話、女性だと思っていた。
「ところで、喜びと落胆の声はいったい?」
「PCから聞こえてきたような・・・」
「あ、私の自己紹介がまだでしたね」
眼鏡を押し上げてスーツの男性が咳払いをして話し始める。
「初めまして、ウォルの保護者です」
「R15に引っかかったとは思えないんだが?」
15歳以下は残酷描写軽減などの処置が強制的に施される。他にも保護者同伴プレイでないといけないとか、がある。その中の一つにフレコの個人受け渡し禁止がある。だから、15歳以上だと思っていた。
「その辺りは運営側と相談済みです。これからの社会のことを鑑みて特例として16歳扱いでゲームさせてもらっています。頭脳はそれくらいありますし、電子頭脳ですから大した問題ではないでしょう」
十分大した問題だと思う。
「電子頭脳って、人工頭脳だろ。そんなんありなんww?」
「スマホが闊歩する時代に不思議なことを言いますね。それに、性格も与えているので、個性豊かですよ。まぁ、二人だけですけれど」
オーバーテクノロジーではないらしい。FGOができるくらいだからそのくらいいても驚かないが。
「本来ならボディで来る予定だったのですが、目立つからやめろと上司からストップをくらいまして。仕方がなく、PCに人格を映して持ってきたのです」
上司にナイス判断と心で拍手を送る。ウォルの中の人達には悪いが、そんなものが来たら、祝い事どころではなくなる。
「ハジめまして!!ウォルのナカのヒト、カクトウカのホウだ、です」
弟の方です、と保護者が付け加える。
「は、初めまして、ウォルの中の人、水魔法使いの方です」
姉の方です、と保護者が追加説明する。性格はゲームで出ている性格そのままだそうだ。つまり、姉は非常に内向的、弟は非常に好戦的。姉はともかくとして、弟に身体を与えていいものか。
「じゃあ、カク君にスイちゃんだな」
「オレら、おマエとオナじネンレイセッテイだぞ」
「人生経験の差さ、なーんてなw」
「ナルホドな!」
個性はあるが、知性未発達なのではないのだろうか。思考が6歳児程度だ。
それぞれの冒険談(主にカーズの話)を聞きながら、ワイワイとやっていた時だった。
「あ、あの、あなたがホワィトさんなのですよね」
「ああ、そうだが?」
おずおずとウォルの中の人(電子少女)が尋ねてきた。
「男の方、です?」
「こっちで訊かれるとは思わなかったな」
苦笑しながらも「そうだよ」と返す。30過ぎた大人に尋ねることではない。骨格だってはっきりしているし、何より15以上も前に声変り済みだ。久しぶりに着たスーツがちょっとぶかぶかだったのは、筋肉が落ちたから、だったら悲しい。
「ほら、やっぱり男の方だったでしょう」
「ちぇ、いやワンチャンあるかもだぜ」
「ありませんわ」
ワイノワイノの中に不穏な言葉が混ざる。嫌な予感が・・・・・・。
「ああああ、あの、あのあの」
「どうした?」
「あたしと付き合ってください」
はい、アウト。
「・・・・・・」
お酒が一瞬で冷める威力だった。久しぶりのお酒なのに、いやだからか?悪酔いしたのかもしれない。
「今なら聞かなかったことに・・・」
「だったら、オレとツきアえ!!」
「・・・・・・」
これはバッチリ全員に聞かれた。ちらりと保護者を見る。彼にも届いただろうその言葉にどんな反応を示すのか。鬼のような形相をしていてくれたらよかったのだが、
(^o^)
非常にいい笑顔だ。孫の成長を喜ぶ感じか?いや、あれは事態を面白がっている観測者の、いや傍観者の視線だ。
「ダメっすよ。先輩、結婚してるっすから」
「そこを!!」
「ナンとか!!」
拝み倒されてしまった。
「リアルはこいつにユズるから!」
「それは違う。性別男性男性だったのだから、どちらとも私に譲るべき」
「はー、アネのくせにヨクバるんかよ」
「同性は引っ込んでなさい」
「マてよ。ゲームナイはセイベツカンケイないってキいたぞ。ドウチャン」
「ふふふ、モラルは何よりも勝ります」
「は、それこそセダイやジョウキョウによってヘンカするもののマチガいだろーが」
「おやおや、性別が同じだから焦っているのは分かりますが」
「へへーん、オナじだからこそわかるってもんだ」
「あら、違うからこそできるものもあるのですよ」
「ナンだと!」
「何ですって!」
喧嘩になってしまった。手足がないので口喧嘩になっている。ボリュームを下げてもらったので店には迷惑かけないだろうが、言い合い丸聞こえである。
「あの、お困りなのはわかりますが、返事はお早めにお願いします」
コンピューターウイルスを作り合って送り合った前科があるそうだ。それは、開発者として確かに困る。致命傷になるだろうに・・・・・・加減がわからない子供の喧嘩で大事故になりかねない、あれと同じか。
「先輩、断るっすよね。あんなにラブラブだったんすから」
「そうだな・・・・・・」
「「「「wktk」」」」
四人は傍観者を決め込んでいるし、相談できる内容でもないし。それにそろそろカーズが帰る時間だ。残りのカルアミルクをグイッと飲み干すと、言った。
「続きはゲームの中で!!」
END
「よww打ち上げ兼ねてリアルで会わねーか?」
外は夜だった。結局、始まりの街にデスルーラーで戻ってきた4人は怪我と疲弊のため、街人に送られながらの神殿送りとなった。関わったプレイヤーが少ないのか、それとも陰ながら称えているのか、あの事件は大きな騒ぎにはならなかった。神殿での回復に1日、調子の回復に1日かけたところであの日の私のゲーム時間は終わった。一狩り出かけようとせがむウォルに事情を話し、ログアウトした。それからリアル用事を終わらせ、再度ログインした私を待っていたのは意外にもカーズだった。
「いや、リアル会うの抵抗あんならここで止めとくけど」
大抵の人はゲームはゲームと割り切ってプレイしている。私だって女性っぽいPLだし、がっかりされるかもしれない心配もある。ただ、たった5人であれだけの事件を解決したのだ。記念みたいなのは欲しいと思っていた。
「いえ、私も賛成。ただ、結構忙しいからこっちが予定合わせしましょ」
「お、いいの」
「ええ、リアルそのうち運営からメール届くと思うから楽しみに待ってて」
狩りに出かけて行った私の後ろ姿にカーズはこう呟いた。
「え、何者www?」
苦笑付きで。
それから、リアル時間で2週間後の午後18時。
「先輩、待ってっす!!」
自分の行方を探し当てた後輩と共にとあるファミリーレストランを目指していた。まさか、九州まで突撃してくるとはちょっと予想外であった。
「遅い!待ち合わせ場所には5分前集合だろうが!!」
拳骨が啓の頭上に落ちる。
「うう、モデルの頭に酷いっす」
「それにしても、お前よく無事だったな」
ダンジョン崩壊から逃げ延びた時、啓のPCである魔王は仲間内にいなかった。彼の話を聞くに、真反対の壁を闇魔法で消し飛ばして脱出したそうだ。
「運が良かったっすよ」
「本当にな」
ダンジョンは決まった道がある。それを壊して進もうとした場合、トラップが発動するようになっている・・・・・・はずなのだが、発動しなかったのか、発動したが魔王判定に邪魔されたか。真相は謎である。
「先輩、戻ってきてくれないっすか?皆皆待ってるっすよ」
「仕事はしただろ」
「そうっすけど・・・・・・」
「うぃーす、遅れたっす」
「こいつよりはマシだ!!」
間延びした挨拶をしてきた後輩その2に拳骨を落とすのであった。こいつも啓と違った意味で問題児である。遅刻はするわ、サボるわ。俺の部活学校生活の半分はこいつらの調教に使ったと言っても過言ではない。次の部長から泣きつかれたのはいい思い出である。その二人が人気モデルと人気クリエイターなのだから世の中わからない。才能の鱗片は見えていたが。
「お前ら、何で謝るのかわかってるだろうな」
「試作イベントに試作のモンスター使ったことっすね」
「イベントのR指定間違ったことだな」
「何の通告もなく、イベント引き起こして巻き込んだ詫びが先だ!」
待ち合わせ場所につく頃には体力が半分くらい減っていた。運動部から足を洗って10年。年かもしれないが、これ以上の体力低下は避けたい。ジム通いするか。
「いらっしゃいませー」
「七瀬の名で予約している者っす」
「はい、承りました。こちらへどうぞ」
ここはファミリーレストランだが、和風テイストで、予約OKな個室がある。宴会もOKなところだ(ツマミ料理もそれなりにそろっている)。案内されたのは一番奥にある少し広めの個室だった。襖を開くと、中には3人の男がお茶を飲んでいた。一人は、職人気質な大男で、仕事帰りなのか汗が滲んでいる。一人は学生で、あの制服は東京の有名校だ。最後の一人は、スーツ姿の如何にもインテリ風の男で、眼鏡をかけていてノートパソコンをいじっている。
「やっぱり、ネトゲの女の子はリアル女子じゃなかったっすね」
「こら、失礼だろうが」
「うん?一人足りなくねーか?」
集合する予定の人達は、私に、魔法の中の人こと啓。運営側代表の後輩その2。マシロの中の人、カーズの中の人、ウォルの中の人。数は合っているように見えるが、ウォルが二人一役、一つのPCを二人共同で使っていることは判明している。なので、確かに一人足りないのだ。
「いえ、これで全員です。始めましょうか」
「そうなんっすか?」
それぞれ、座ったところで、通しの枝豆とビール、コーラが運ばれてくる。
「それでは、ゴブリン軍団の侵略をクリアした記念としてかんぱーい!」
「「「「「「「かんぱーい!!」」」」」」」
かちゃんと合わせたところでピタリと止まる。今、9種類の声がした。しかも、学生くらいの若者の声と同じくらいの女性の声が。
「いやー、ホラーっすね」
「ホラーwwマジでwww」
カーズの中の人と啓のおかげで場が沈むということはなかった。空気を読んだのか、元の軽い性格からのセリフか。
「とりあえず、自己紹介をしようではないか?」
「あ、ゲームのキャラ名だけにしません?」
高校生の言葉に職人が頷く。
「ワシからいくぞ。気付いていると思うが、ドワーフのマシロじゃ」
「うぃーす、ワーウルフのカーズでっす☆あ、高校生だから20時までしかいられません」
「この人の後輩で、魔王やってまっす」
「仲間だし、マオウでよくないか?」
「それもそうっすね」
名前はまだもらってなかったらしい。NPCだからか。それにしても、あんまりな名前だと思うのだが、それでいいのか?後輩その1。
「私はホワィトだ・・・・よ」
「いやいやいや、無理してつけることないって」
「そうじゃ、現実で男な女性PCはよくあると聞いたぞ」
「そう言ってもらえると助かります」
「あれ、先輩のPC男性っすよ?」
「ああ、男だったな」
「「「あの見た目で!!」」」
「よっしゃー!!」
「そんなー!!」
私も驚いてしまった。女性男性決める時に宅配便が来たので急いでクリックしたからどちらを選んだのか正直覚えてなかった。なので、背丈と体重以外の見た目をコンピューターに頼んだのだ。で、出来上がったのがあの顔である。なので、正直な話、女性だと思っていた。
「ところで、喜びと落胆の声はいったい?」
「PCから聞こえてきたような・・・」
「あ、私の自己紹介がまだでしたね」
眼鏡を押し上げてスーツの男性が咳払いをして話し始める。
「初めまして、ウォルの保護者です」
「R15に引っかかったとは思えないんだが?」
15歳以下は残酷描写軽減などの処置が強制的に施される。他にも保護者同伴プレイでないといけないとか、がある。その中の一つにフレコの個人受け渡し禁止がある。だから、15歳以上だと思っていた。
「その辺りは運営側と相談済みです。これからの社会のことを鑑みて特例として16歳扱いでゲームさせてもらっています。頭脳はそれくらいありますし、電子頭脳ですから大した問題ではないでしょう」
十分大した問題だと思う。
「電子頭脳って、人工頭脳だろ。そんなんありなんww?」
「スマホが闊歩する時代に不思議なことを言いますね。それに、性格も与えているので、個性豊かですよ。まぁ、二人だけですけれど」
オーバーテクノロジーではないらしい。FGOができるくらいだからそのくらいいても驚かないが。
「本来ならボディで来る予定だったのですが、目立つからやめろと上司からストップをくらいまして。仕方がなく、PCに人格を映して持ってきたのです」
上司にナイス判断と心で拍手を送る。ウォルの中の人達には悪いが、そんなものが来たら、祝い事どころではなくなる。
「ハジめまして!!ウォルのナカのヒト、カクトウカのホウだ、です」
弟の方です、と保護者が付け加える。
「は、初めまして、ウォルの中の人、水魔法使いの方です」
姉の方です、と保護者が追加説明する。性格はゲームで出ている性格そのままだそうだ。つまり、姉は非常に内向的、弟は非常に好戦的。姉はともかくとして、弟に身体を与えていいものか。
「じゃあ、カク君にスイちゃんだな」
「オレら、おマエとオナじネンレイセッテイだぞ」
「人生経験の差さ、なーんてなw」
「ナルホドな!」
個性はあるが、知性未発達なのではないのだろうか。思考が6歳児程度だ。
それぞれの冒険談(主にカーズの話)を聞きながら、ワイワイとやっていた時だった。
「あ、あの、あなたがホワィトさんなのですよね」
「ああ、そうだが?」
おずおずとウォルの中の人(電子少女)が尋ねてきた。
「男の方、です?」
「こっちで訊かれるとは思わなかったな」
苦笑しながらも「そうだよ」と返す。30過ぎた大人に尋ねることではない。骨格だってはっきりしているし、何より15以上も前に声変り済みだ。久しぶりに着たスーツがちょっとぶかぶかだったのは、筋肉が落ちたから、だったら悲しい。
「ほら、やっぱり男の方だったでしょう」
「ちぇ、いやワンチャンあるかもだぜ」
「ありませんわ」
ワイノワイノの中に不穏な言葉が混ざる。嫌な予感が・・・・・・。
「ああああ、あの、あのあの」
「どうした?」
「あたしと付き合ってください」
はい、アウト。
「・・・・・・」
お酒が一瞬で冷める威力だった。久しぶりのお酒なのに、いやだからか?悪酔いしたのかもしれない。
「今なら聞かなかったことに・・・」
「だったら、オレとツきアえ!!」
「・・・・・・」
これはバッチリ全員に聞かれた。ちらりと保護者を見る。彼にも届いただろうその言葉にどんな反応を示すのか。鬼のような形相をしていてくれたらよかったのだが、
(^o^)
非常にいい笑顔だ。孫の成長を喜ぶ感じか?いや、あれは事態を面白がっている観測者の、いや傍観者の視線だ。
「ダメっすよ。先輩、結婚してるっすから」
「そこを!!」
「ナンとか!!」
拝み倒されてしまった。
「リアルはこいつにユズるから!」
「それは違う。性別男性男性だったのだから、どちらとも私に譲るべき」
「はー、アネのくせにヨクバるんかよ」
「同性は引っ込んでなさい」
「マてよ。ゲームナイはセイベツカンケイないってキいたぞ。ドウチャン」
「ふふふ、モラルは何よりも勝ります」
「は、それこそセダイやジョウキョウによってヘンカするもののマチガいだろーが」
「おやおや、性別が同じだから焦っているのは分かりますが」
「へへーん、オナじだからこそわかるってもんだ」
「あら、違うからこそできるものもあるのですよ」
「ナンだと!」
「何ですって!」
喧嘩になってしまった。手足がないので口喧嘩になっている。ボリュームを下げてもらったので店には迷惑かけないだろうが、言い合い丸聞こえである。
「あの、お困りなのはわかりますが、返事はお早めにお願いします」
コンピューターウイルスを作り合って送り合った前科があるそうだ。それは、開発者として確かに困る。致命傷になるだろうに・・・・・・加減がわからない子供の喧嘩で大事故になりかねない、あれと同じか。
「先輩、断るっすよね。あんなにラブラブだったんすから」
「そうだな・・・・・・」
「「「「wktk」」」」
四人は傍観者を決め込んでいるし、相談できる内容でもないし。それにそろそろカーズが帰る時間だ。残りのカルアミルクをグイッと飲み干すと、言った。
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