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2章 品川私立高校事変
第5話 蝙蝠女、討伐完了
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カオルの全力の攻撃によって蝙蝠女のHPは全損した様でカオルの背後から見ていた三咲の前でモンスターが消滅した。
振り抜いたカオルの拳は蝙蝠女の腹部を貫通しており、まるで映画やアニメの様で現実味の無い光景だった。
「……モンスター、消滅を確認したわ」
「戦闘前に女子生徒に化けてた。調査についてはどう判断する?」
「30分校舎を探索して異常が無ければモンスターは1体だけと判断して撤収よ」
「了解。探索を再開しよう」
「……」
「どうした?」
「少し休んだら?」
「ダメージは負ってないけど?」
「それでもよ」
「ん? 分かった」
三咲が気遣ったのは精神面での疲労だったのだがカオルは気付いていない。
多分、自分の精神的疲労に鈍感になってしまっている。
カオルは一般人なのに必要に迫られ戦闘員としても政治家としても異常な経験をこの半年で積んでしまった。
そのせいで自分の事に鈍感に成るという自己防衛を身に着けている。
三咲は事前にカオルのメンタル状態を聞いていた為にその事に気付けた。
未帰還者は肉体だけでなく精神も非常に貴重な研究対象だ。月に1度は採血検査と心理テストを受けている。
継続的なテストで未帰還者1人1人の心理状態はある程度、政府に把握されている。
その為、三咲はカオルとの付き合い方について上司から指示を受けていた。
……なるほど、これは重症だわ。
屋上の隅に並んで座る。
カオルは何かを気にした様子もなく星空を見上げている。
直前に女を模したモンスターを殴り殺したのだ、普通の心理構造なら高いストレスを感じるはずだ。
星空を眺める様子から高いストレスを感じているようには見えないが、高校時代のカオルを知っている三咲としてはカオルなら人にストレスを見せない事も可能だと思える。
……仕事じゃなきゃ気楽に話せるけど、深追いすると地雷原みたいなヤツね。
そんな事を思われているとは気付く様子もないカオルに事前に買っておいた缶コーヒーをボディバックから取り出して渡した。
「サンキュー」
「全く、RPGみたいな夜ね」
「都市防衛の日は毎日こんな感じだよ」
「私にとっては非日常よ」
「そりゃそうだ。そうなるように隔離都市を作ってモンスター討伐のルールを確立したんだから」
「あんた、政治家でも目指してんの?」
「まさか。本当なら株やFXを当てて40くらいで早期退職して隠居しようとしてたんだ」
「ああ、無理になっちゃったわね」
「何でこんな事になっちゃったのかなぁ」
力無く笑って床に視線を落とすカオルはどこか芝居がかっている。
三咲もその仕草がパフォーマンスだと理解している。だが本音が含まれていることも分かる。必要以上に踏み込む危険は冒さないよう言葉は選ぶ。
「本当にね。私も普通に公務員としてノンビリする予定だったのに」
「世界中で皆、アテが外れただろうな」
「ふふ。ムカつく上司が茫然としてたのはちょっとスカッとしたけどね」
「あ、確かに」
2人で缶コーヒーを飲み干し屋上を後にする。
適当に校舎を周って30分経てば予定通り撤退だ。
結局、2人は蝙蝠女以外の異常は確認できずに実質1時間程度で学校を後にした。
振り抜いたカオルの拳は蝙蝠女の腹部を貫通しており、まるで映画やアニメの様で現実味の無い光景だった。
「……モンスター、消滅を確認したわ」
「戦闘前に女子生徒に化けてた。調査についてはどう判断する?」
「30分校舎を探索して異常が無ければモンスターは1体だけと判断して撤収よ」
「了解。探索を再開しよう」
「……」
「どうした?」
「少し休んだら?」
「ダメージは負ってないけど?」
「それでもよ」
「ん? 分かった」
三咲が気遣ったのは精神面での疲労だったのだがカオルは気付いていない。
多分、自分の精神的疲労に鈍感になってしまっている。
カオルは一般人なのに必要に迫られ戦闘員としても政治家としても異常な経験をこの半年で積んでしまった。
そのせいで自分の事に鈍感に成るという自己防衛を身に着けている。
三咲は事前にカオルのメンタル状態を聞いていた為にその事に気付けた。
未帰還者は肉体だけでなく精神も非常に貴重な研究対象だ。月に1度は採血検査と心理テストを受けている。
継続的なテストで未帰還者1人1人の心理状態はある程度、政府に把握されている。
その為、三咲はカオルとの付き合い方について上司から指示を受けていた。
……なるほど、これは重症だわ。
屋上の隅に並んで座る。
カオルは何かを気にした様子もなく星空を見上げている。
直前に女を模したモンスターを殴り殺したのだ、普通の心理構造なら高いストレスを感じるはずだ。
星空を眺める様子から高いストレスを感じているようには見えないが、高校時代のカオルを知っている三咲としてはカオルなら人にストレスを見せない事も可能だと思える。
……仕事じゃなきゃ気楽に話せるけど、深追いすると地雷原みたいなヤツね。
そんな事を思われているとは気付く様子もないカオルに事前に買っておいた缶コーヒーをボディバックから取り出して渡した。
「サンキュー」
「全く、RPGみたいな夜ね」
「都市防衛の日は毎日こんな感じだよ」
「私にとっては非日常よ」
「そりゃそうだ。そうなるように隔離都市を作ってモンスター討伐のルールを確立したんだから」
「あんた、政治家でも目指してんの?」
「まさか。本当なら株やFXを当てて40くらいで早期退職して隠居しようとしてたんだ」
「ああ、無理になっちゃったわね」
「何でこんな事になっちゃったのかなぁ」
力無く笑って床に視線を落とすカオルはどこか芝居がかっている。
三咲もその仕草がパフォーマンスだと理解している。だが本音が含まれていることも分かる。必要以上に踏み込む危険は冒さないよう言葉は選ぶ。
「本当にね。私も普通に公務員としてノンビリする予定だったのに」
「世界中で皆、アテが外れただろうな」
「ふふ。ムカつく上司が茫然としてたのはちょっとスカッとしたけどね」
「あ、確かに」
2人で缶コーヒーを飲み干し屋上を後にする。
適当に校舎を周って30分経てば予定通り撤退だ。
結局、2人は蝙蝠女以外の異常は確認できずに実質1時間程度で学校を後にした。
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