私小説「僕のこの恋は何色?」ゲイとして生きる僕の道のり(改訂版)

歴野理久♂

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第2章 思春期男子の性と生理

23)自販機が切っ掛けに…

【小学5年生のお話】

 ここで根本的な疑問を明かそう。
 なぜ「女性週刊紙」なのか?
 さすがにこれは波奈ではない。実は祖母である。

 何度かちょろちょろ出てくる話題だが、母と祖母の仲はあまりよろしくなかった。
 母は芸能界にも興味が薄く、家には女性週刊誌と言うものが殆ど無かったけれど、祖母の家に行くと、これがまた山積みだった。祖母は芸能ネタが好物だった。
 これのみならず、母と祖母ではあらゆる価値観に相違が多く、到底仲良くなる方が不自然と割り切るほどの不仲だった。

 で、僕は祖母の家に行く事が多かった。近所だったし、おやつが格段に良かった。
 その頃はまだピアノは置いていなかったけれど、その代わり豪華な菓子が常備されていた。
 今にして思えば、あれも可愛い孫息子をおびき寄せるための餌えさだったのだろう。僕は簡単に釣られていた。
 不思議と波奈と一緒の記憶がない。どうやら祖母は理久の一本釣りだったようだ。

 そこで事あるごとに凝視していたのが、山積みされた女性週刊誌からの性知識だった。
 思春期で性に興味を持ったと言っても、特に誰と何がしたいとか、誰のどこを見たい、触りたいと言う類いではなかった。
 もちろん女性誌だから、男性受けするグラビアなどは皆無だったし、ことさら官能的な記事が載っている訳ではない。

 僕の興味は、例えば赤ちゃんはどうやって出来るとか、どこから産まれるとか、極めて生理的な内容が主だったと記憶している。
 ことさら自分の身体には興味津々で、当時の女性週刊誌には男性の生理を解説する内容も多かった。
 だから「射精」とか「自慰」とか言うワードは、これ全て女性週刊誌で学んだ記憶がある。

 思うに母なら、もし何かで女性週刊誌を買う事があっても、決して子供の目に触れるような場所には放置しなかったであろうと予測する。案外それが真実だったのかも知れない。
 ところが祖母は、その辺のところが大らかと言うか大雑把と言うか、あまり気にしている風は見られなかった。

(やはりあの父を産んだ人だから…)

 僕が女性週刊誌の、しかも性的な記事を読んでいても平然とお茶を入れてくれるような祖母だった。
 だから僕が「性」や「生理」について、妙に耳年増な子供だった事は間違いない。
 現に僕は同級生の生理にやたらと関わる事になり、相談役と言うか保健係と言うか、そんな訳の分からないポジションいた事も事実だった。

 さて、そこで僕自身の体験だ。

 それは5年生になったばかりの頃だった。ある日僕は気付いてしまった。
 薬局の入口脇に設置された小さな自動販売機。そこで販売されている物については、僕は女性週刊誌により十分に理解していた。
 ただ、そうやって自動販売機で売られている事は知らなかった。

 そこに気付いてしまったのだ。



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