子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神

文字の大きさ
455 / 480

壮年期 29

…更に翌日。


この日も結局、徐々に劣勢に追い込まれていってるだけで特に変化なく終わった。


と、思いきや…夜遅くに伝令だかの人が急報を伝えに来て、どうやら静観していた隣国『ヴェルヘルム』の軍勢が動き出したとの事。


なので援軍の到着が大幅に遅れる事になるらしくなんとか今の状態で踏ん張って欲しい…という指示が出たようだ。


「…自分達に兵の指揮を任せてもらえれば今の状況からでもなんとか挽回出来ますが…」

「ありがたい申し出だが、最初に申したはずだ。これはアーデンの戦いであって我々はラスタの手など借りぬ。それよりもヴェルヘルム方面の援軍へと向かってくれると助かるのだが…」


分身の俺が打開策を提案するもおじさんは断固として断った後に追い出すかのように移動を指示してくる。


「…分かりました。では我々は夜が明けたらヴェルヘルム方面へと援軍に参ります」

「うむ、頼んだ。ついでに『こちらの心配は要らぬ、ヴェルヘルム軍勢の方は任せた』と、あちらに伝言を」

「はい。伝えておきます」

「感謝申し上げる」


分身の俺は説得も面倒なのでそのまま受け入れるとやけに強気で自信に溢れた伝言を頼み、分身の俺がとりあえず了承するとおじさんは軽く頭を下げてお礼を言う。


「…とりあえず首都に戻って二、三日観光してから行こうか」

「分かりました」

「って事は今日はその首都の宿屋に泊まるのかい?」

「あー…そうしようか」


分身の俺がテントに戻って予定を告げると分身の女性が確認してくるので分身の俺は少し考えて肯定し、直ぐに首都へと移動する事にした。


「…しかしあの司令官はえらく強気だったけど…やっぱり何か策を用意してたりするんだろうね?」

「…どうでしょう?見ていた感じでは基本的な事をただ続けてるだけでしたけど…」

「時間稼ぎや足止めが目的ならあのままでも良いんだろうけど…あの司令官の態度や口振りさらして何か切り札や奥の手は残してるようには思えたよ」


分身の俺はドラゴンに変身して首都に向かって飛行しながら適当な世間話として聞くと…


分身のお姉さんが微妙な感じで判断しかねるように返し、分身の女性は考えながら予想を話す。


「これで結局逆転の策が無くてそのままジリ貧で負けたら笑えるけど流石にソレはないか」

「もしかしたら騎士団に相当する戦力の高い援軍を待つための時間稼ぎの可能性もありますから」

「…そういえば騎士らしき格好の兵は指揮官や司令官といった極小数しか見てないような…」


分身の俺の想定に分身のお姉さんが予想を告げると分身の女性が思い出すように呟く。


…それから首都の宿屋に泊まってからの翌日。


「あ」

「あ」


朝早くから市場へと行こうと大通りを歩いていると帝国の女の子やその部下達と遭遇した。


「あれ?前線行くって言ってなかった?」

「なんかヴェルヘルムが軍事行動を開始したからソコに援軍に行け、って言われてな」

「へー、セリィア方面はそんな余裕があるんだ。結構押し込まれてるらしい、って聞いたのに」


女の子の不思議そうな問いに分身の俺がココに戻って来た理由を話すと意外そうにちょっと驚いたような反応をする。


「まあ明らかに形勢不利ではあったな。地味にだが劣勢に追い込まれてる感じだった。俺らが見てた感じだと」

「そんな状況なのに…?じゃあよっぽどヴェルヘルムを警戒してるんだ」

「かもしれん。アッチの大将は妙に強気で自信たっぷりだったからもしかしたら何か必殺の策があって、余所者の俺らには見せられない感じのヤツとかの可能性もある」

「あー…なるほど。確かに」


分身の俺が状況を軽く話すと女の子はまたしても意外そうにちょっと驚いた感じの反応をして予想し、分身の俺の肯定と適当な予想に納得したように返した。


「まあでもこれで進軍のために国境の封鎖は解かれるだろうし、今が帰るチャンスだな」

「そう。だから今から帰還する」

「じゃあな。まあなんかあったら手紙くれ」

「ん。メロンを食べられなかったのだけが残念だけど…最初に見かけた時に買っとけば良かった」


分身の俺の発言に女の子が肯定するので別れの挨拶をすると女の子は後ろ髪引かれてるような心残りを呟く。


「メロン?」

「そ。露店で売られてた。結構な値段がしてたから買うのを迷ってて…せっかくだからって帰る前にさっき見に行ったら売り切れてた」


まさかあんな高い果物を買う人があんなにいたなんて…と、女の子はため息を吐きながら残念そうに呟いた。


「そんなに欲しいなら貰うか?」

「え。いいの!?ってか持ってんの!?」

「多分売り切れたのは俺のせいだ。誰も買わないと思って12個中10個買ったからな」

「…領地収入とかほとんど無いハズなのになんでそんなに金持ってんの…?てか貴族の金銭感覚えっぐ…」


分身の俺が餞別として確認すると女の子は驚きながら確認し返し、因果関係を予想して話すと女の子がなんとも言えない微妙な顔でドン引きしたように呟く。


「三個あれば十分か?」

「三つもくれんの!?ホントに!?」

「一個は道中にでもみんなで食べて、もう一個は皇帝陛下かマスタークラスのお兄さんにでもあげてくれ」


空間魔法の施されたポーチから物を取り出して確認すると驚きながら確認し返され、複数渡す理由を教えると…


「…私の分は?」

「じゃあ、はいよ」

「やったー!ありがとー!」


女の子が上目遣いで追加を要求してくるので更に一つ増やすと両手を上げて大喜びしながら受け取る。
感想 50

あなたにおすすめの小説

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ
ファンタジー
※2025年12月に第4巻が発売されました  2024年6月中旬に第一巻が発売されます  2024年6月16日出荷、19日販売となります  発売に伴い、題名を「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、元気いっぱいに無自覚チートで街の人を笑顔にします~」→「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします~」 中世ヨーロッパに似ているようで少し違う世界。 数少ないですが魔法使いがが存在し、様々な魔導具も生産され、人々の生活を支えています。 また、未開発の土地も多く、数多くの冒険者が活動しています この世界のとある地域では、シェルフィード王国とタターランド帝国という二つの国が争いを続けています 戦争を行る理由は様ながら長年戦争をしては停戦を繰り返していて、今は辛うじて平和な時が訪れています そんな世界の田舎で、男の子は産まれました 男の子の両親は浪費家で、親の資産を一気に食いつぶしてしまい、あろうことかお金を得るために両親は行商人に幼い男の子を売ってしまいました 男の子は行商人に連れていかれながら街道を進んでいくが、ここで行商人一行が盗賊に襲われます そして盗賊により行商人一行が殺害される中、男の子にも命の危険が迫ります 絶体絶命の中、男の子の中に眠っていた力が目覚めて…… この物語は、男の子が各地を旅しながら自分というものを探すものです 各地で出会う人との繋がりを通じて、男の子は少しずつ成長していきます そして、自分の中にある魔法の力と向かいながら、色々な事を覚えていきます カクヨム様と小説家になろう様にも投稿しております

生活魔法は万能です

浜柔
ファンタジー
 生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。  それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。  ――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。