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「お。いやー、ちょっと王妃に用があったんだけど佐藤の言う通りやっぱ許可が無いと入れないんだと」
「ウミハラ殿が母様になんの用で?」
「この深山がさ、俺らが行った国では聖女って呼ばれてて…まあその奇跡の力の証明のために王妃をちょちょいと治そうと思ってな」
「聖女…聖女ミヤマか!君が、あの…!この方達を今直ぐにお通ししろ!」
王子の問いに俺が用件を説明すると深山を見て驚いた後に警護の兵達に命令した。
「ですが王子…ご存知の通り、許可が無いと…」
「責任は全て私が取る。今すぐにドアを開けるんだ」
「…分かりました。では」
命令に渋った兵士達も『責任を取る』という王子の言葉に負けたのか顔を見合わせてドアを開ける。
「お邪魔~」
「失礼します」
「…誰ですか?あなた達は?入室の許可を出した覚えは…ゴホッ!」
勝手に部屋に入った俺らを見てお婆さんはベッドから上半身を少し起こして尋ね、それだけで身体に障ったのか咳をした。
「母様、私が許可を出しました。責任は全て私にあります。いかような処罰でも受け入れる覚悟はできております」
「ギル…バート…」
王子が自分の胸に手を当てながら軽く頭を下げると王妃が名前を呟く。
「ああもう…!だからダメだ、って言ったのに…!海原!あなた私やギルにここまで迷惑をかけてまでも無理やり部屋に入ったんだから『何もありませんでした』とかだったら流石の私も怒るからね!」
「へーへー。深山頼む」
「うん」
既に怒りながら指を差してまくし立てる佐藤に俺は適当にあしらうような返事をして深山にお願いする。
「う…!」
「なに、これ…!」
深山が手をかざしてスキルを使うとお婆さんの身体が光り始めて一瞬だけ眩しい光が部屋を包む。
「…胸の痛みが消えた…!?…それだけじゃない…お腹の苦しさも、指の動き辛さも、足の痺れも…嘘みたいに…!」
「母様!ああ…良かった!母様が元気になれたのであれば、私はどんな処罰を受けようとも後悔はありません…!」
お婆さんは慌ててベッドから降りると急に軽くジャンプしたかと思えば膝を曲げての屈伸運動をしてから驚き…
その様子を見た王子が晴れやかに笑う。
「なにを言うのですギルバート!あなたの言動、選択に非の打ち所はありません!よって全てを不問といたします!」
「ホント!?やった!やったね、ギル!」
「ああ…後悔が無いという心に嘘は無いが少しだけホッとした」
お婆さんが威厳に満ちた声で叱るように力強く言うと佐藤は喜び王子も安堵の表情を浮かべた。
「ウミハラ殿が母様になんの用で?」
「この深山がさ、俺らが行った国では聖女って呼ばれてて…まあその奇跡の力の証明のために王妃をちょちょいと治そうと思ってな」
「聖女…聖女ミヤマか!君が、あの…!この方達を今直ぐにお通ししろ!」
王子の問いに俺が用件を説明すると深山を見て驚いた後に警護の兵達に命令した。
「ですが王子…ご存知の通り、許可が無いと…」
「責任は全て私が取る。今すぐにドアを開けるんだ」
「…分かりました。では」
命令に渋った兵士達も『責任を取る』という王子の言葉に負けたのか顔を見合わせてドアを開ける。
「お邪魔~」
「失礼します」
「…誰ですか?あなた達は?入室の許可を出した覚えは…ゴホッ!」
勝手に部屋に入った俺らを見てお婆さんはベッドから上半身を少し起こして尋ね、それだけで身体に障ったのか咳をした。
「母様、私が許可を出しました。責任は全て私にあります。いかような処罰でも受け入れる覚悟はできております」
「ギル…バート…」
王子が自分の胸に手を当てながら軽く頭を下げると王妃が名前を呟く。
「ああもう…!だからダメだ、って言ったのに…!海原!あなた私やギルにここまで迷惑をかけてまでも無理やり部屋に入ったんだから『何もありませんでした』とかだったら流石の私も怒るからね!」
「へーへー。深山頼む」
「うん」
既に怒りながら指を差してまくし立てる佐藤に俺は適当にあしらうような返事をして深山にお願いする。
「う…!」
「なに、これ…!」
深山が手をかざしてスキルを使うとお婆さんの身体が光り始めて一瞬だけ眩しい光が部屋を包む。
「…胸の痛みが消えた…!?…それだけじゃない…お腹の苦しさも、指の動き辛さも、足の痺れも…嘘みたいに…!」
「母様!ああ…良かった!母様が元気になれたのであれば、私はどんな処罰を受けようとも後悔はありません…!」
お婆さんは慌ててベッドから降りると急に軽くジャンプしたかと思えば膝を曲げての屈伸運動をしてから驚き…
その様子を見た王子が晴れやかに笑う。
「なにを言うのですギルバート!あなたの言動、選択に非の打ち所はありません!よって全てを不問といたします!」
「ホント!?やった!やったね、ギル!」
「ああ…後悔が無いという心に嘘は無いが少しだけホッとした」
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