146 / 556
146
しおりを挟む
「ま、とりあえずコレで終わりだな」
「え?…あ」
指定された畑は魔導兵の魔法で全て耕し終えたので俺がそう言うと佐藤は今気づいたかのように均された畑を見る。
「…早くない?だってまだ30分も経ってないじゃん」
「そりゃ魔法を使ったからな。どっかの国の研究に感謝するこった」
時計を取り出した佐藤が驚きながら聞いてくるので俺は今まで話題に挙がっていた国に功績を押し付けた。
「そだね。王都に帰ったら調べてお礼の品でも送っとく」
「んじゃ、コレで仕事は終わりだな」
「うん、ありがと。あとは種を蒔いて水撒きして育つのを気長に待つ!」
俺が依頼の達成を確認すると佐藤はお礼を言って予定を立て始める。
「お嬢様。失礼ながら…ここら一帯の土地は塩害により不毛の地と呼ばれておりまして…」
「大丈夫大丈夫。ある程度塩分があった方が美味しい物が育つって」
今まで影のように黙って存在感を消していた執事のおじさんも流石にコレは黙ってられなかったのか、困った様子で佐藤に教えるもポジティブに解釈された。
「…佐藤おめーもしかして理科苦手じゃね?」
「え?全然苦手じゃないけど?なんで?」
「嘘つけ!塩害について知らねーとかお前流石にソレはやべーだろ」
「つーか海がせっかく耕したのに塩漬けの土とか無駄な労力じゃねーか!」
俺の問いに佐藤が素で否定すると柴田と藤原がツッコむ。
「塩漬け……あっ!塩害って塩の事だったの!?えっ?ウソでしょ!?」
「「「ええー…」」」
今土地の問題点に気づいて慌て始める佐藤に俺らは言葉が出ずにヒいた。
「干ばつとか土が固いとかそんな問題だと思ってたのに…」
「いや、今更勘違いって無理があるだろ」
「さっき思いっきり『塩分がある方が育つ』とか言ってたしな」
「う…そうだよ!土壌の塩の影響は今指摘されるまで忘れてました!これでいい!?」
なんとかごまかそうとする佐藤に俺と藤原がツッコむと何故か逆ギレされる。
「ちょっと待ってよ…じゃあせっかく耕したのに全部無駄だった、ってこと…?お金の無駄使い…?」
「耕したのは俺だけどな」
「「確かに」」
佐藤の絶望したような呟きに俺が雰囲気を明るくしようとツッコむと柴田と藤原も察してか俺の言葉に頷く。
「う…手間かけてゴメン。一応お金は払うから…次もお願い」
「そんな落ち込むなよ。追加報酬を払えばなんとか出来るぜ?」
「「「え?」」」
うなだれながらしおらしく謝ってきた佐藤に俺がそう返すと柴田と藤原も一緒に驚いた。
「え?…あ」
指定された畑は魔導兵の魔法で全て耕し終えたので俺がそう言うと佐藤は今気づいたかのように均された畑を見る。
「…早くない?だってまだ30分も経ってないじゃん」
「そりゃ魔法を使ったからな。どっかの国の研究に感謝するこった」
時計を取り出した佐藤が驚きながら聞いてくるので俺は今まで話題に挙がっていた国に功績を押し付けた。
「そだね。王都に帰ったら調べてお礼の品でも送っとく」
「んじゃ、コレで仕事は終わりだな」
「うん、ありがと。あとは種を蒔いて水撒きして育つのを気長に待つ!」
俺が依頼の達成を確認すると佐藤はお礼を言って予定を立て始める。
「お嬢様。失礼ながら…ここら一帯の土地は塩害により不毛の地と呼ばれておりまして…」
「大丈夫大丈夫。ある程度塩分があった方が美味しい物が育つって」
今まで影のように黙って存在感を消していた執事のおじさんも流石にコレは黙ってられなかったのか、困った様子で佐藤に教えるもポジティブに解釈された。
「…佐藤おめーもしかして理科苦手じゃね?」
「え?全然苦手じゃないけど?なんで?」
「嘘つけ!塩害について知らねーとかお前流石にソレはやべーだろ」
「つーか海がせっかく耕したのに塩漬けの土とか無駄な労力じゃねーか!」
俺の問いに佐藤が素で否定すると柴田と藤原がツッコむ。
「塩漬け……あっ!塩害って塩の事だったの!?えっ?ウソでしょ!?」
「「「ええー…」」」
今土地の問題点に気づいて慌て始める佐藤に俺らは言葉が出ずにヒいた。
「干ばつとか土が固いとかそんな問題だと思ってたのに…」
「いや、今更勘違いって無理があるだろ」
「さっき思いっきり『塩分がある方が育つ』とか言ってたしな」
「う…そうだよ!土壌の塩の影響は今指摘されるまで忘れてました!これでいい!?」
なんとかごまかそうとする佐藤に俺と藤原がツッコむと何故か逆ギレされる。
「ちょっと待ってよ…じゃあせっかく耕したのに全部無駄だった、ってこと…?お金の無駄使い…?」
「耕したのは俺だけどな」
「「確かに」」
佐藤の絶望したような呟きに俺が雰囲気を明るくしようとツッコむと柴田と藤原も察してか俺の言葉に頷く。
「う…手間かけてゴメン。一応お金は払うから…次もお願い」
「そんな落ち込むなよ。追加報酬を払えばなんとか出来るぜ?」
「「「え?」」」
うなだれながらしおらしく謝ってきた佐藤に俺がそう返すと柴田と藤原も一緒に驚いた。
10
あなたにおすすめの小説
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
世の中は意外と魔術で何とかなる
ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。
神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。
『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』
平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。
異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる