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『防壁少女』
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……カスタムキャストに触発されたのです。
---------------------------
『防壁少女』
カスタムキャストによる
by しろっコ
---------------------------
「あなたは誰でスか」
オレは門の前に立って驚いた。
いきなりファイティングポーズを取った少女に質問されたのだ。
猫耳の、パッと見は可愛い彼女の姿からは想像もできないが。
朝の陽を浴びた彼女の緑色の髪の毛が綺麗だった。
「ここの主人に用事がある」
大きな門構えの『お屋敷』を見上げながら単刀直入に答えたオレ。
「証明はアリますか」
「証明?」
なんだそりゃ。
「ない」
堂々と開き直った。
「では、お通しできませン」
「え?」
それは困った。通行手形でも欲しいのだろうか?
「身分証……免許証じゃダメか」
「……」
少女は構えたまま無言で頷いた。
困惑したオレは頭をかいた。
(あいつはいつも間に、こんなガードマン……いや『防壁少女』を雇ったんだ?)
最近、悪質な訪問販売も多いからな。
「客だ。取り次いでくれたら分かる」
「いえ、基本的に出来まセン」
この、たどたどしい物言いからロボットの類かと思った。
(変なモノ作りやがって)
あいつは、相変わらず変な奴だ。
「呼ばれたんだ」
「証明はアリますか」
「は? 証明って、他の客も持ってくるのか」
「イイエ」
がっくりした。
そこで切り口を変えた。
「職務に忠実なのは分かるが、君は片っ端から客を通せんぼするのか?」
「……」
その時少女の表情が変わった。意外にも『防壁少女』は口をつぐんだ。
(ツボにヒットしたな)
オレは長期戦に備えた。
腕を組んで姿勢を緩めると少女は何かをブツブツ言い始めた。
(やっぱりロボットか)
何となく、どこかと通信しているようだ。
そして彼女は微笑んだ。
「失礼しました。ご主人様より、あなたを『お通しするように』との指示が出ました」
「はぁ」
最初っから、そうしろって。
「こちらへ、どうゾ」
彼女は屋敷の大きなドアへオレを導いた。
いきなりの展開に、ホッとするやら驚くやら。
冷や汗かいた。
(あいつもロボットとはいえ召使を雇う身分になったのか)
そんなことを思った。
玄関から入る。いつも見慣れたエントランスホール。
そういえば、いつもなら、ここも静かに素通りするものだが。
ここで、またギョッとした。
制服を着た少女が立っていた。
(今度は女子高生?)
さっきの『防壁少女』の件もあってオレは思わず身構えた。
だが今度の女子高生は違った。
「お客様ですね。お待ちしておりました」
(またロボットかな?)
そう思った。
だが今度は普通の女子で、しゃべり方も普通だった。
「ご案内します」
彼女の先導でオレは、そのまま目当ての部屋まで案内された。
後ろ姿からは、ほのかに良い香りがした。
(あいつの従妹か誰かかな)
目当ての『ご主人様』の部屋の前でドアをノックした。
「はあい」
いつもの声にホッとした。
「入るぞ」
ニコニコしている女子高生を脇目に、オレは部屋に入る。
いくつかのモニター画面を背に白衣を着た女性が振り返った。
「ビックリしたぁ?」
オレは肩をすくめた。
「余興としては楽しめたかもしれないが正直、趣味が悪いな」
すると彼女は頬に手をやって大げさに驚いて見せた。
「あらぁ、とても残念ん」
それから女子高生に目配せをしてウインクをした。
「でも、ごめんねぇ。ちょっとテストを兼ねてサァ」
「は?」
なんのこっちゃ。
「でも、疑似的に感情を持った個性体を創造することは、ソコソコ出来るようになったわ」
「そうか?」
人の気配で振り返ると、入り口にさっきの猫耳緑毛の少女が立っていた。
白衣の『ご主人様』は微笑みながら言った。
「でもサァ、キャラの構築って結局、自分が知っている人のコピーなのよねぇ」
「ふん」
そのときだった。
モニターから『ぴー』っという警告のような音が響く。それまで淡々とスクロールしていた画面が止まる。
それと同時に、部屋に居る全員の動きが止まった。……いや、猫耳の少女を除いて。
「まぁ、こんな感じかな」
緑色の髪の毛に手をやった彼女はモニター画面の前へ行き端末のキーボードを操作した。
すると壁のモニター画面を文字列が滝のようにスクロールしていく。
少し待つとモニター画面は順次、『再起動』の状態で止まる。
「データ量も、結構カットできたわ」
やがて突っ立っていたロボットたちは再び瞬(まばた)きを始める。
「さて、次は訪問してきた男性を中心に食事の場面ね」
部屋を見渡しながら猫耳の少女はカチャカチャとキーボードを操作する。
静止していた男女のロボットは、一斉に部屋を出ていく。
「あ……その前に皆で、お茶でも飲みましょうか?」
ロボットたちは足を停めた。
その時玄関から呼び鈴の音。見ると、門のところに人影が映し出されていた。
「あら? 久しぶりね」
彼女は暫し考え直ぐにクスリと笑った。
「……ちょっと『彼』にも応対させてみましょうか」
呟きながら端末を操作する彼女。
「ふふ、ちょっと休憩ね」
お昼の日差しは穏やかだった。
以下魔除け
Reproduction is prohibited.
禁止私自轉載、加工 天安門事件
Prohibida la reproduccion no autorizada.
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『防壁少女』
カスタムキャストによる
by しろっコ
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「あなたは誰でスか」
オレは門の前に立って驚いた。
いきなりファイティングポーズを取った少女に質問されたのだ。
猫耳の、パッと見は可愛い彼女の姿からは想像もできないが。
朝の陽を浴びた彼女の緑色の髪の毛が綺麗だった。
「ここの主人に用事がある」
大きな門構えの『お屋敷』を見上げながら単刀直入に答えたオレ。
「証明はアリますか」
「証明?」
なんだそりゃ。
「ない」
堂々と開き直った。
「では、お通しできませン」
「え?」
それは困った。通行手形でも欲しいのだろうか?
「身分証……免許証じゃダメか」
「……」
少女は構えたまま無言で頷いた。
困惑したオレは頭をかいた。
(あいつはいつも間に、こんなガードマン……いや『防壁少女』を雇ったんだ?)
最近、悪質な訪問販売も多いからな。
「客だ。取り次いでくれたら分かる」
「いえ、基本的に出来まセン」
この、たどたどしい物言いからロボットの類かと思った。
(変なモノ作りやがって)
あいつは、相変わらず変な奴だ。
「呼ばれたんだ」
「証明はアリますか」
「は? 証明って、他の客も持ってくるのか」
「イイエ」
がっくりした。
そこで切り口を変えた。
「職務に忠実なのは分かるが、君は片っ端から客を通せんぼするのか?」
「……」
その時少女の表情が変わった。意外にも『防壁少女』は口をつぐんだ。
(ツボにヒットしたな)
オレは長期戦に備えた。
腕を組んで姿勢を緩めると少女は何かをブツブツ言い始めた。
(やっぱりロボットか)
何となく、どこかと通信しているようだ。
そして彼女は微笑んだ。
「失礼しました。ご主人様より、あなたを『お通しするように』との指示が出ました」
「はぁ」
最初っから、そうしろって。
「こちらへ、どうゾ」
彼女は屋敷の大きなドアへオレを導いた。
いきなりの展開に、ホッとするやら驚くやら。
冷や汗かいた。
(あいつもロボットとはいえ召使を雇う身分になったのか)
そんなことを思った。
玄関から入る。いつも見慣れたエントランスホール。
そういえば、いつもなら、ここも静かに素通りするものだが。
ここで、またギョッとした。
制服を着た少女が立っていた。
(今度は女子高生?)
さっきの『防壁少女』の件もあってオレは思わず身構えた。
だが今度の女子高生は違った。
「お客様ですね。お待ちしておりました」
(またロボットかな?)
そう思った。
だが今度は普通の女子で、しゃべり方も普通だった。
「ご案内します」
彼女の先導でオレは、そのまま目当ての部屋まで案内された。
後ろ姿からは、ほのかに良い香りがした。
(あいつの従妹か誰かかな)
目当ての『ご主人様』の部屋の前でドアをノックした。
「はあい」
いつもの声にホッとした。
「入るぞ」
ニコニコしている女子高生を脇目に、オレは部屋に入る。
いくつかのモニター画面を背に白衣を着た女性が振り返った。
「ビックリしたぁ?」
オレは肩をすくめた。
「余興としては楽しめたかもしれないが正直、趣味が悪いな」
すると彼女は頬に手をやって大げさに驚いて見せた。
「あらぁ、とても残念ん」
それから女子高生に目配せをしてウインクをした。
「でも、ごめんねぇ。ちょっとテストを兼ねてサァ」
「は?」
なんのこっちゃ。
「でも、疑似的に感情を持った個性体を創造することは、ソコソコ出来るようになったわ」
「そうか?」
人の気配で振り返ると、入り口にさっきの猫耳緑毛の少女が立っていた。
白衣の『ご主人様』は微笑みながら言った。
「でもサァ、キャラの構築って結局、自分が知っている人のコピーなのよねぇ」
「ふん」
そのときだった。
モニターから『ぴー』っという警告のような音が響く。それまで淡々とスクロールしていた画面が止まる。
それと同時に、部屋に居る全員の動きが止まった。……いや、猫耳の少女を除いて。
「まぁ、こんな感じかな」
緑色の髪の毛に手をやった彼女はモニター画面の前へ行き端末のキーボードを操作した。
すると壁のモニター画面を文字列が滝のようにスクロールしていく。
少し待つとモニター画面は順次、『再起動』の状態で止まる。
「データ量も、結構カットできたわ」
やがて突っ立っていたロボットたちは再び瞬(まばた)きを始める。
「さて、次は訪問してきた男性を中心に食事の場面ね」
部屋を見渡しながら猫耳の少女はカチャカチャとキーボードを操作する。
静止していた男女のロボットは、一斉に部屋を出ていく。
「あ……その前に皆で、お茶でも飲みましょうか?」
ロボットたちは足を停めた。
その時玄関から呼び鈴の音。見ると、門のところに人影が映し出されていた。
「あら? 久しぶりね」
彼女は暫し考え直ぐにクスリと笑った。
「……ちょっと『彼』にも応対させてみましょうか」
呟きながら端末を操作する彼女。
「ふふ、ちょっと休憩ね」
お昼の日差しは穏やかだった。
以下魔除け
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禁止私自轉載、加工 天安門事件
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