キャバクラに体験入店してきたフワモコ猫が突然Ｎｏ．2になったのに性格良すぎてまあまあツライ

それって秋元真夏かよ！

たまに顔を見せるオーナーには気づかれないように、嬢たちはボーイも仲間に加えて、
静かな処刑を始めようとしていた。


若い芽を摘むため。

出過ぎそうな杭を出過ぎる前に打つため。

女の園の和を乱す悪性腫瘍を取り除くため。



辞めてもらうなら早い方がいい。
それも彼女のためだ。
猫だろうと関係ない。
己の立場が危うくなる前に、ヤるだけ。



ほとんどの嬢がそう思っていた。
思っていたのだが…




「あれ、何してんのクリームちゃん？
もう、お店閉めちゃうんですけど…
どうかされました？」


薄暗くなった控え室に一人ぽつんと残り、
床で香箱座りのような体勢のまま
小さな手帳を広げていたクリームちゃんに、
一番若いボーイの男の子が声をかけた。


声をかけたのは、最後まで店に残り、
後片付けを任されていた
一番若いボーイの中村くん。


中村くんは
キャバクラの世界には相応しくないほど
人当たりが良くて素朴で、
不純物が混じっていない
高級料亭の「すまし汁」のような匂いがする。 
(出汁の匂いじゃないよ)


刺々しい他のボーイとは違う、
柔らかい空気がフワフワと浮いているような、
そんな感覚をクリームちゃんは抱いていた。



「あ、すいません！今日のお客様の…