英雄に食べられました

まちゃまま

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番外 同僚たちは見た

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マヂでオチてたの…?


ナディルが隊長付きになってからは、ずいぶん楽になった。なんせナディルは隊長の不機嫌にも動じず、当たり前に側にいて平気で文句を言う。どんなに作戦が長引こうと、ナディルさえ側にいれば、隊長は不思議と安定してる。おかげで俺たちも萎縮せずに仕事が捗るってものだ。
「ナディル様々だな。」
「本当になあ。」
「アイツ来てくれて、良かったぜ。」

「・・・なあ。おかしくないか?」
「何がだよ。」
「アイツ、男だよな?」
「そうだろ?」
「なんか、隊長の態度って、ツガイを前にしてる感じじゃねえ?」
「「「「「・・・」」」」」
誰もが目を背けていたことを…!
「いや、まさか・・・」
「は、はは・・・」
「そんなはずは、なあ?」
「(目をそらし)」

そんな話しもありつつ、ナディルにその気が全くなさそうだから生暖かく見守ることにした。なんせ、隊長の娼館通いも呆れているだけだしな。たまに尊敬、たいていため息とか…全く嫉妬を感じない。
逆に、隊長の方が…いや、まさかな。娼館の後でもカラダはすっきり、心はモヤモヤ、とか…。不機嫌とはちょっと違い、構ってもらえず拗ねた大型獣…これ以上は危険だな、やめよう。

ちなみに、男同士の番となると、対応は両極端に分かれる。カラダの繋がりまで求める場合とお互いが別の伴侶を得て相棒として過ごす場合。
カラダの繋がりを求める場合は、どちらかが女役として引いてくれたらいいが、両方譲らず大変な闘いになることが多いと聞く。血で血を洗う闘いとか…
あの2人に関しては、隊長は引かないだろう。ナディルは…分からん。むしろ、逃げそう。危険察知能力に秀でてるし、隠密もスゴいし。たまに、目の前から消えるからな。そうなると、ナディルに逃げられた隊長が大変なことに…?そうなる前に力ずくとか…まさか、な?

何となく怖い考えに行きつき、周りを見渡して、頷きあった。俺たちはなにも気付かなかった、隊長がマヂオチとか、ナイナイ。

そんなある日。
夜会の後の初出勤で、ナディルがおかしかった。
皆で(;゚Д゚)呆然としてしまう。
…え?なんでそんなに隊長の匂いついてんの…?
ヤッチマッタナ!隊長ーっ!
しかもすっげー甘ったるいし。
夜会でナニがあったんだ…!

「何か?」
…気付いてないのか…?
「あ、いや。
・・・その、夜会でなんかあったか?」

…おいっ!俺一人に押し付けんなよ。
誰かこの役代わってくれ!(魂の叫び)
誰も目を合わせねえし(泣)。

「そうですね、ありましたが。」
だよな?

「マジで?何が、その・・・」
ニッコリ
「黙秘します。大したことはありませんよ。」

ビックウ!いや、その笑顔こわいって…!
「あ、そ、そうか・・・」
これ以外、ナニを言えば…。

(おい、これ大丈夫なんかよ?ニオイがすっげえんだけどっ!)
(ああ、くそっ!隊長、何ヤってんだよ!)
(マーキングスゲー)
(コイツ、気付いてないよな?)
(これ、絶対牽制だろ?男にコレって…)
(いや、ヤバイって。)
(こんだけ甘ったるいの、たぶん相当だぞ?
俺ら、大丈夫か…?)
(つうか、これ逃げ出さねえ?)
(隊長の愛が重い…)

そこへ、隊長が登場した。
(なんでいきなりケツなでてるかな!)
(牽制?牽制なの?俺ら巻きこまないでくれー!)
(むっちゃ威嚇されとる…)
((((…ナディル、御愁傷様…))))


この日から、隊長とナディルの攻防が続くのであった。ナディルが逃げ出さなくて助かったけども。
…俺たちの安寧はどこに…!


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