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(2話) 恋するカナリア
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翔さんが帰って数日、寂しさを埋め合わせる様に
私はレッスンに没頭した、そんな時オーディション募集の知らせに私は、飛びついた。
翔さんに連絡すると約束通り良い返事をもらった
今度は、お母さん、ああは言ったものの、女の子が男の人の部屋にお泊りはオーディションとは言え
心配をよそに母からも良い返事が頂け母から
翔さんへの手紙を託された私は、はやる気持ちを
抑えながらも、準備を進めるのでした。
憧れの夢への第一歩と、大好きな翔さんの所に、この想いを乗せて出発するのでした。
しかし同級生で、幼馴染の堀川海斗が、別の車両に乗り合わせ、私を追って来ている事を、この時の私は、知る由もなかったのです。
やっぱり遠い!8時過ぎに出発して着いたのは、
15時過ぎ!やっと着いた......の思いと、人の多さにドキドキしながらも、翔さんに連絡、待ち合わせ
場所で待つ事、数十分、懐かしい声と顔に、気持ちが抑えきれずに、駆け寄る私!
如何にも仕事途中の営業マンのような雰囲気で、私の荷物をさっと持ってくれて、優しく背中に手を添えると人波から守るように案内してくれました
乗り換えての駅から歩く事数十分、レンガ調の
マンションに到着、玄関を開け中に入ると2LDK
くらいの間取りの綺麗な、お部屋でした。
宅配の不在届に少し不機嫌な翔さん!
携帯を取り出して、やり取りする事数分、
「ごめん!お布団の再配達を依頼したけど明日に
なるらしい」と申し訳なさそうに言う翔さん
「私は、ソファでもいいよ」と真っ先に目に付いた大きなソファを指差して私は笑顔で、そう言った。
「だったらさ俺のベッド使いなよ、部屋は二つとも内から施錠出来るから安心だし、ソファの方に俺が寝るから、オーディション前日だから布団で寝た方がいいよ」その優しい言葉に頷いた。
「じゃあ!お礼に、今晩私が食事作るね!冷蔵庫見せてもらっていい?」翔さんが頷いた時には私の手は扉を掴んでいた、中を覗くと......
「うんうん!これなら、あと少し買い足せばオムライスくらいなら作れるよ」そう言うと嬉しいそうな笑顔に、こっちがキュンとしそう。
「ねっ!部屋見せてもらっていい?」そう言うと
頷きながら照れ臭そうに中に入れてくれた。
小説家志望だけあって、見た事無いような、本が沢山あり、日の目を浴びて無い原稿の綴りが無造作にダンボールに入れてあった。
私は好奇心から原稿を指差し、両手を合わせて、お願いのポーズをしてみる!
「見てもいい?」すかさず翔さんが、
「いいけど、感想は良いも悪いも無しな!そう言うのに、右往左往するのにトラウマになってるから」
私は、お礼を言いながら、ベッドの下とかを
覗いて見る。
「何!やってんの?」
「男の人の部屋だからベッドの下とか、やらしい本とか無いのかなぁって」
「ねぇよ!母親か?」と笑いながら私を見る翔さん
「翔さんの事信用してるし......すき......だし、一緒のお布団でも、良いよ」
「そんな訳!いかないよ!」少し赤くなった翔さん
私は揶揄う、つもりでベッドに座りスカートを短くして脚をパタパタとさせた。
すると突然翔さんが私の両手首を押さえ馬乗りになり、顔が近ずいて来る!気持ちは嬉しいような
でも強引なのは、ちょっと......私は怖くなり目を閉じてしまい、薄っすらと涙が出てしまった。
すると、翔さんの力が解け、目を閉じた感覚に
少し光が差し込んで来た、恐る恐る目を開けると
「女子高生が、大人を揶揄うな!男は怖いんだぞ!
そうゆうのを駆け引きに使うなよ!
頼むから!もっと自分を大切にしろ!」
私は好きな人の前で、調子に乗って軽はずみな
事をしたと反省、バツの悪さから小声で、
「ご......ごめん......なさい」
リビングに向かう翔さん
私も髪と服を直しながら翔さんに付いていった。
私は、預かった手紙を思い出して、
翔さんに、手渡した。
「何て書いてあったの?」と訊いても
「大人の秘密だ」って言って見せても、内容も
教えてはくれなかった。
ただ翔さんのその眼差しが一層優しく見えた事で私の気持ちは安堵に包まれていった。
「オーディション場所と買い物に行こうか!」
私は頷き翔さんの後をついて行った。
道中コンビニを見つけ角を二つ程曲がった所が
オーディション場所でした。
「これなら迷わないでしょう!帰りにさっきの
コンビニで買い物しょう」
買い物を済ませて、私に、鍵と袋を持たせると!
「そろそろ会社に戻らないと!先に帰ってて」と
言われ今更ながら仕事の途中に私の為に時間を作ってくれた翔さんに、わがまましてた自分が急に、
恥ずかしくなり、今私が出来る一番の笑顔で
手を振り翔さんを見送った。
部屋に戻ると 暫く余韻を楽しみながらも、
いい時間に成り私は家から持って来た、
エプロンをしてオムライスの準備をする為、
キッチンを借りた。
我ながら此の姿は、宛ら新妻のよう?
ニコニコしながら支度をしていると玄関が開いた。
「わりと早かったね!」と玄関を覗くと、
そこに居たのは、幼馴染の海斗でした。
「海斗!何やってんの?なんで此処に?」
「お前こそ、何やってんだよ」
「私は明日のオーディションの準備だよ」
「エプロン着て料理してるのがか?」
「海斗には関係ないし!それより学校は?」
「お前が心配で学校なんて行ってられるか!
お前こそ男の部屋で......何考えてんだ!」
するとまた玄関のドアが開き
「田舎じゃないんだから、鍵!かけとかないと」と翔さんが帰って来た。
「誰?この人!」すると突然海斗が翔さんの胸ぐらを掴んで壁に押し付けた。
「いい歳した、おっさんが女子高生引っ張りこんで恥ずかしく無いのか!」
私は海斗の腕を掴んで
「やめて海斗!翔さんに乱暴しないで!」
「この手!離してくれないか?ここは俺の家だ!
それとも警察沙汰にでもしたいのか?」
翔さんがそう言うと、海斗は渋々帰って行った。
「ごめんなさい!」
「別に美月ちゃんが謝る事じゃないけど......
海斗君、って言ったっけ?
彼!美月ちゃんの事好きだね!
じゃないと、ここまでは追ってこないでしょう」
「海斗とは、幼馴染で小さい頃からずっと一緒で私......同級生とか歳下に興味ないし......」
「たとえ、美月ちゃんが、そうでも彼は違うみたいだよ、とにかく気を付けた方がいい」
気を取り直し、オムライスの続きを作る私
二人でテーブルに出来たものを並べるうちに
違う話題に変えて努めて、明るく!楽しく!
二人は席に着き、いただきますのポーズ。
「ねぇ!これ何?」
「オムライス!」
「いや......オムライスの上のハート!」
「私のラブアロー......なんて!」
二人で、顔を見合わせ笑顔に
「でも、味は最高に!うまいよ!」
翔さんの優しさにまた触れた私でした。
オーディション当日!翔さんのベッドのお陰で、ぐっすり眠れた私は、コンディションは抜群
二人で朝食を済ませ翔さんを見送り、後片付けや
洗濯にお掃除、ゆっくりと流れて行く時間の中で、新妻気分にハマっていく、笑顔の私......
身支度も終わりそろそろ出掛ける時間の頃に、
携帯が鳴る、画面には翔さんの文字
「送り迎え出来なくてごめんな!オーディション頑張って!済んだらメールちょうだい!」
翔さんの 優しい言葉は私に勇気をくれた。
自己PRに課題曲と特別に自由曲も歌わせて頂き
其れなりに手応えを感じ約束通りに翔さんにメール
家に帰ると出先から直帰と言う事で翔さんが居た
「あれ?鍵私が持ってたのに?」
「それ合鍵な!作ってもらったから、
美月ちゃんの鍵だから、無くさないようにな」
私の宝物が、またひとつ増えました。
「でも凄いよな!また夢に一歩近づいたね」
「結果は帰ってからだと思うけど、手応えはあったと思う、これも翔さんのお陰!」
翔さんが、前祝いと称し夕食に、誘ってくれた
お母さんから明日は早く帰るようにと言われて
折角の食事も気持ちはブルー。
でも、ここまで寛大に許してもらってるから
贅沢は言えない。
最後の夜、私の部屋として置かれた新しい香りのベッドと布団、元から置いてあるテーブルや椅子カラーボックス等まだ少しガランとしているけど
翔さんの優しさが一杯詰まってる部屋!
朝なんて来なければいいのに、そう思いながらも
眠りに落ちた私でした。
翌朝、リビングに向かうと腕まくりをした翔さん
「おはよう!部屋の鍵!忘れずに、ちゃんとかけてたな、偉い偉い!簡単だけど、俺の手作りの朝食」
私は思わず泣き出してしまった、今日帰ったら、また暫く逢えない......そう想うと......
「泣くなよ、もう逢えないんじゃ無いんだからさ
顔、洗っといで!」
洗顔を済ませ翔さんのところへ、
「私卒業したら此処に来る!夢も翔さんも、
諦めたくない!私の事......キライ?」
「好きか嫌いかで言えば、好きだ!でも愛かどうかは......未だわからない!だから大切にゆっくり時間をかけよう」
私は小さい頷くと背伸びをし翔さんの胸に手を置いた、そして囁くように恥ずかしさを抑え
「約束を信じる証しが欲しい......キス......して」
翔さんの柔らかな唇が私と重なり、私の心は
優しさと、幸せに満ちてゆくのでした。
サプライズな朝食を済ませ思い出の部屋を後に仕事で見送りに行けない事を詫びる翔さん!
お互い手を振り別れた
私の手には思い出の部屋の鍵が握り締めて有り
心には翔さんとの忘れられないファーストキスが、しっかりと焼き付いてあり、
その想いが私の背中を次へと押して行くのです。
帰宅すると、珍しくお母さんが居ました。
「ただいま!あれ?お母さん定休日、明日だよね」
「うん、マスターがね、美月が今日帰るって
言ったら帰って良いって」
それから手伝いや、食事をしながら、翔さんの
事や、オーディションの事を、色々話した、それに
海斗の事も!これには、お母さんもびっくりしてた
明日からまた学校とレッスンとアルバイトの毎日が続く、海斗とは、あれ以来少しギクシャクしてる
ただ学校や周りには黙っててくれてるみたいで
海斗自身が休んだのは、さぼりだと言って私の事は言わないでいてくれてる。
その事は感謝してるけど、翔さんへの態度は
絶対に許せないでいる私!
そんな数週間が過ぎた頃に、待ちに待った通知が届いた、〇〇プロダクション養成所採用合格通知!
「やったぁ!」これぞ天にも昇る心地に、
私は知り得る全ての人に連絡。
賞賛の嵐の中夢に一歩前進、あれ以来喋って
無かった海斗からも
「おめでとう!アイツの所から通うのか?アイツの事好きなのか?」と聞かれ二度頷く私
「そっか!俺もそっちに、行くんだ!お前に会った日は採用試験で思いっきり背伸びしたけど合格した
なんかあったら、相談しろよ」
「うん、おめでとう!海斗も夢!持ってたんだね」
「俺!ずっとお前の事が好きだったんだ」
「ありがとう......でも私......」
「わかってる!言えて良かった!応援するからな」
少し辛く当たってた私、思えば海斗の気持ちも
薄々は気付いていた......でも......ごめんね、海斗!
華やかだった高校生活を卒業し私も皆んなも
新たなステージに旅立つのでした。
私はレッスンに没頭した、そんな時オーディション募集の知らせに私は、飛びついた。
翔さんに連絡すると約束通り良い返事をもらった
今度は、お母さん、ああは言ったものの、女の子が男の人の部屋にお泊りはオーディションとは言え
心配をよそに母からも良い返事が頂け母から
翔さんへの手紙を託された私は、はやる気持ちを
抑えながらも、準備を進めるのでした。
憧れの夢への第一歩と、大好きな翔さんの所に、この想いを乗せて出発するのでした。
しかし同級生で、幼馴染の堀川海斗が、別の車両に乗り合わせ、私を追って来ている事を、この時の私は、知る由もなかったのです。
やっぱり遠い!8時過ぎに出発して着いたのは、
15時過ぎ!やっと着いた......の思いと、人の多さにドキドキしながらも、翔さんに連絡、待ち合わせ
場所で待つ事、数十分、懐かしい声と顔に、気持ちが抑えきれずに、駆け寄る私!
如何にも仕事途中の営業マンのような雰囲気で、私の荷物をさっと持ってくれて、優しく背中に手を添えると人波から守るように案内してくれました
乗り換えての駅から歩く事数十分、レンガ調の
マンションに到着、玄関を開け中に入ると2LDK
くらいの間取りの綺麗な、お部屋でした。
宅配の不在届に少し不機嫌な翔さん!
携帯を取り出して、やり取りする事数分、
「ごめん!お布団の再配達を依頼したけど明日に
なるらしい」と申し訳なさそうに言う翔さん
「私は、ソファでもいいよ」と真っ先に目に付いた大きなソファを指差して私は笑顔で、そう言った。
「だったらさ俺のベッド使いなよ、部屋は二つとも内から施錠出来るから安心だし、ソファの方に俺が寝るから、オーディション前日だから布団で寝た方がいいよ」その優しい言葉に頷いた。
「じゃあ!お礼に、今晩私が食事作るね!冷蔵庫見せてもらっていい?」翔さんが頷いた時には私の手は扉を掴んでいた、中を覗くと......
「うんうん!これなら、あと少し買い足せばオムライスくらいなら作れるよ」そう言うと嬉しいそうな笑顔に、こっちがキュンとしそう。
「ねっ!部屋見せてもらっていい?」そう言うと
頷きながら照れ臭そうに中に入れてくれた。
小説家志望だけあって、見た事無いような、本が沢山あり、日の目を浴びて無い原稿の綴りが無造作にダンボールに入れてあった。
私は好奇心から原稿を指差し、両手を合わせて、お願いのポーズをしてみる!
「見てもいい?」すかさず翔さんが、
「いいけど、感想は良いも悪いも無しな!そう言うのに、右往左往するのにトラウマになってるから」
私は、お礼を言いながら、ベッドの下とかを
覗いて見る。
「何!やってんの?」
「男の人の部屋だからベッドの下とか、やらしい本とか無いのかなぁって」
「ねぇよ!母親か?」と笑いながら私を見る翔さん
「翔さんの事信用してるし......すき......だし、一緒のお布団でも、良いよ」
「そんな訳!いかないよ!」少し赤くなった翔さん
私は揶揄う、つもりでベッドに座りスカートを短くして脚をパタパタとさせた。
すると突然翔さんが私の両手首を押さえ馬乗りになり、顔が近ずいて来る!気持ちは嬉しいような
でも強引なのは、ちょっと......私は怖くなり目を閉じてしまい、薄っすらと涙が出てしまった。
すると、翔さんの力が解け、目を閉じた感覚に
少し光が差し込んで来た、恐る恐る目を開けると
「女子高生が、大人を揶揄うな!男は怖いんだぞ!
そうゆうのを駆け引きに使うなよ!
頼むから!もっと自分を大切にしろ!」
私は好きな人の前で、調子に乗って軽はずみな
事をしたと反省、バツの悪さから小声で、
「ご......ごめん......なさい」
リビングに向かう翔さん
私も髪と服を直しながら翔さんに付いていった。
私は、預かった手紙を思い出して、
翔さんに、手渡した。
「何て書いてあったの?」と訊いても
「大人の秘密だ」って言って見せても、内容も
教えてはくれなかった。
ただ翔さんのその眼差しが一層優しく見えた事で私の気持ちは安堵に包まれていった。
「オーディション場所と買い物に行こうか!」
私は頷き翔さんの後をついて行った。
道中コンビニを見つけ角を二つ程曲がった所が
オーディション場所でした。
「これなら迷わないでしょう!帰りにさっきの
コンビニで買い物しょう」
買い物を済ませて、私に、鍵と袋を持たせると!
「そろそろ会社に戻らないと!先に帰ってて」と
言われ今更ながら仕事の途中に私の為に時間を作ってくれた翔さんに、わがまましてた自分が急に、
恥ずかしくなり、今私が出来る一番の笑顔で
手を振り翔さんを見送った。
部屋に戻ると 暫く余韻を楽しみながらも、
いい時間に成り私は家から持って来た、
エプロンをしてオムライスの準備をする為、
キッチンを借りた。
我ながら此の姿は、宛ら新妻のよう?
ニコニコしながら支度をしていると玄関が開いた。
「わりと早かったね!」と玄関を覗くと、
そこに居たのは、幼馴染の海斗でした。
「海斗!何やってんの?なんで此処に?」
「お前こそ、何やってんだよ」
「私は明日のオーディションの準備だよ」
「エプロン着て料理してるのがか?」
「海斗には関係ないし!それより学校は?」
「お前が心配で学校なんて行ってられるか!
お前こそ男の部屋で......何考えてんだ!」
するとまた玄関のドアが開き
「田舎じゃないんだから、鍵!かけとかないと」と翔さんが帰って来た。
「誰?この人!」すると突然海斗が翔さんの胸ぐらを掴んで壁に押し付けた。
「いい歳した、おっさんが女子高生引っ張りこんで恥ずかしく無いのか!」
私は海斗の腕を掴んで
「やめて海斗!翔さんに乱暴しないで!」
「この手!離してくれないか?ここは俺の家だ!
それとも警察沙汰にでもしたいのか?」
翔さんがそう言うと、海斗は渋々帰って行った。
「ごめんなさい!」
「別に美月ちゃんが謝る事じゃないけど......
海斗君、って言ったっけ?
彼!美月ちゃんの事好きだね!
じゃないと、ここまでは追ってこないでしょう」
「海斗とは、幼馴染で小さい頃からずっと一緒で私......同級生とか歳下に興味ないし......」
「たとえ、美月ちゃんが、そうでも彼は違うみたいだよ、とにかく気を付けた方がいい」
気を取り直し、オムライスの続きを作る私
二人でテーブルに出来たものを並べるうちに
違う話題に変えて努めて、明るく!楽しく!
二人は席に着き、いただきますのポーズ。
「ねぇ!これ何?」
「オムライス!」
「いや......オムライスの上のハート!」
「私のラブアロー......なんて!」
二人で、顔を見合わせ笑顔に
「でも、味は最高に!うまいよ!」
翔さんの優しさにまた触れた私でした。
オーディション当日!翔さんのベッドのお陰で、ぐっすり眠れた私は、コンディションは抜群
二人で朝食を済ませ翔さんを見送り、後片付けや
洗濯にお掃除、ゆっくりと流れて行く時間の中で、新妻気分にハマっていく、笑顔の私......
身支度も終わりそろそろ出掛ける時間の頃に、
携帯が鳴る、画面には翔さんの文字
「送り迎え出来なくてごめんな!オーディション頑張って!済んだらメールちょうだい!」
翔さんの 優しい言葉は私に勇気をくれた。
自己PRに課題曲と特別に自由曲も歌わせて頂き
其れなりに手応えを感じ約束通りに翔さんにメール
家に帰ると出先から直帰と言う事で翔さんが居た
「あれ?鍵私が持ってたのに?」
「それ合鍵な!作ってもらったから、
美月ちゃんの鍵だから、無くさないようにな」
私の宝物が、またひとつ増えました。
「でも凄いよな!また夢に一歩近づいたね」
「結果は帰ってからだと思うけど、手応えはあったと思う、これも翔さんのお陰!」
翔さんが、前祝いと称し夕食に、誘ってくれた
お母さんから明日は早く帰るようにと言われて
折角の食事も気持ちはブルー。
でも、ここまで寛大に許してもらってるから
贅沢は言えない。
最後の夜、私の部屋として置かれた新しい香りのベッドと布団、元から置いてあるテーブルや椅子カラーボックス等まだ少しガランとしているけど
翔さんの優しさが一杯詰まってる部屋!
朝なんて来なければいいのに、そう思いながらも
眠りに落ちた私でした。
翌朝、リビングに向かうと腕まくりをした翔さん
「おはよう!部屋の鍵!忘れずに、ちゃんとかけてたな、偉い偉い!簡単だけど、俺の手作りの朝食」
私は思わず泣き出してしまった、今日帰ったら、また暫く逢えない......そう想うと......
「泣くなよ、もう逢えないんじゃ無いんだからさ
顔、洗っといで!」
洗顔を済ませ翔さんのところへ、
「私卒業したら此処に来る!夢も翔さんも、
諦めたくない!私の事......キライ?」
「好きか嫌いかで言えば、好きだ!でも愛かどうかは......未だわからない!だから大切にゆっくり時間をかけよう」
私は小さい頷くと背伸びをし翔さんの胸に手を置いた、そして囁くように恥ずかしさを抑え
「約束を信じる証しが欲しい......キス......して」
翔さんの柔らかな唇が私と重なり、私の心は
優しさと、幸せに満ちてゆくのでした。
サプライズな朝食を済ませ思い出の部屋を後に仕事で見送りに行けない事を詫びる翔さん!
お互い手を振り別れた
私の手には思い出の部屋の鍵が握り締めて有り
心には翔さんとの忘れられないファーストキスが、しっかりと焼き付いてあり、
その想いが私の背中を次へと押して行くのです。
帰宅すると、珍しくお母さんが居ました。
「ただいま!あれ?お母さん定休日、明日だよね」
「うん、マスターがね、美月が今日帰るって
言ったら帰って良いって」
それから手伝いや、食事をしながら、翔さんの
事や、オーディションの事を、色々話した、それに
海斗の事も!これには、お母さんもびっくりしてた
明日からまた学校とレッスンとアルバイトの毎日が続く、海斗とは、あれ以来少しギクシャクしてる
ただ学校や周りには黙っててくれてるみたいで
海斗自身が休んだのは、さぼりだと言って私の事は言わないでいてくれてる。
その事は感謝してるけど、翔さんへの態度は
絶対に許せないでいる私!
そんな数週間が過ぎた頃に、待ちに待った通知が届いた、〇〇プロダクション養成所採用合格通知!
「やったぁ!」これぞ天にも昇る心地に、
私は知り得る全ての人に連絡。
賞賛の嵐の中夢に一歩前進、あれ以来喋って
無かった海斗からも
「おめでとう!アイツの所から通うのか?アイツの事好きなのか?」と聞かれ二度頷く私
「そっか!俺もそっちに、行くんだ!お前に会った日は採用試験で思いっきり背伸びしたけど合格した
なんかあったら、相談しろよ」
「うん、おめでとう!海斗も夢!持ってたんだね」
「俺!ずっとお前の事が好きだったんだ」
「ありがとう......でも私......」
「わかってる!言えて良かった!応援するからな」
少し辛く当たってた私、思えば海斗の気持ちも
薄々は気付いていた......でも......ごめんね、海斗!
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