琴陵姉妹の異世界日記

もっけさん

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セブール

29.商業ギルドで登録だ

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 受付嬢の反応が、おかしい。
 ギリオンをボコボコにした事が、悪かったのだろうか?
 弱い奴を手配した、冒険者ギルドの落ち度だろう。
 うん、そういう事にしておこう。
 魔法具を使って、どこかに連絡を取っている。
 内線電話をしているみたいだ。
 これ状況、始まりの町の時と同じではないか。
 同じ轍を踏むことになろうとは、本当に悪運様だね!
 少ししてカツカツと音を立てながら、階段から降りてきた妖艶な美女の胸に私は釘付けになった。
 ボインですよ!
 たわわに実ったお胸が、ぶるんぶるんと揺れている。
 いやぁ、眼福ですな。
 程よくついた筋肉と、大きなバストメロンが健康的で良い。
 チラ見せを分かっているのか、鎖骨・腕と足首しか出てないのに女の私でもエロいと思った。
 滾るわ!
 容子まさこが、ここに居たら官能小説の登場人物にしただろう。
「ギリオンを気絶させた子って、貴女かしら?」
「はい」
「私は、ダリエラ。ここのギルドマスターよ。貴女が倒したギリオンは、アレでも一応元Cランクなんだけどね。無傷で、あっさりと倒されるとは思わなかったわ」
 それは、私のせいでは無いと思うのだが……。
 冒険者ギルドのランク基準が甘いだけの話である。
 確かに、ギリオンは剣豪のギフト持ってた。
 初手で躱せるくらいの実力だったし、必ずしもギフトを生かせるかと言えば、また話は違ってくるだろう。
 研鑽しなければ、ギフトも宝の持ち腐れにしかならない。
 このダリエラという女は、そこまで頭が回っていないように思える。
「棄権はなし。気絶か、死亡か、どちらか選べと言われたので試験を強制終了させる為に昏倒させただけです。一応、治癒healをかけているので死んでませんよ。昇級試験が、命懸けの試験だと知っていたら受けませんでした」
 レオンハルトから直々に受けてこいと命令されていなければ、受けなかったと断言できる。
治癒healを掛けてくれたのね。ありがとう。時々、昇級試験で死亡者が出ることがあったから不思議だったのよ。ギルドで用意した武器を使って実力を測るから、殺さないのが絶対条件なの。手加減というスキルを持っている者じゃないと、試験管にはなれないんだけど……。まさか、公平な立場でないといけない試験管が、殺人を犯していたなんて当ギルドの失態だわ」
 はぁ、と悩ましい顔で溜息を吐くダリエラにイラッとした。
 他人事のように話しているが、お前は責任者だろうと心の中でツッコミを入れた。
 トップがこれだと、他にも叩けば埃がいっぱい出てきそうだ。
「……純粋な強さも大事です。それ以上に、精神面や適性・人間性を見るのも大切だと思います」
 あんな屑でもギルド職員になれたんだろうと暗に示唆してみたら、苦虫を噛み潰したような顔をされた。
 図星だったらしい。
「貴女は、Cランク昇格を受理します。ギリオンはの件は、調査をしてから然るべき処分を下すわ。貴女、彼女のランクを上げる手続きをして頂戴。そこのカウンターで、カードを提示をすればランクの変更が出来るから。私は、これで失礼するわね」
 ダリエラは言いたいことだけ言うと、ギリオンと模擬戦をした部屋へと行ってしまった。
 気を取り直して受付嬢にカードを提出すると、手際よく魔法具を弄ってほんの数秒で返却された。
 カードは、ちゃんとCランクに変更されている。
「Cランク昇格おめでとう御座います。登録して間もないのに、こんなに早く昇格されたのは勇者様以来の快挙ですよ!」
「勇者?」
「ご存じありませんか? 古の盟約で魔王が現れた時に勇者召喚がされる御伽噺です。勇者は、成長が人の何倍も早いと言われています。過去に、冒険者として活動されていた方もいます。ギルドでは、ランクと実力が釣り合い方に対し昇級させます。これは、勇者が冒険者として活躍された時に、造られたシステムです。普通一つランク上げるのに一年は掛かります。F~Dまでは、真面目に任務をこなせば上がります。C以上は、ランクポイント以外に実力試験があります。ポイントが足りていても、実力試験で落ちることは多々あるんですよ。その点、ヒロコさんは実力も申し分ない人材です。是非とも、馬車馬の如く任務を沢山を受けて下さいね」
 ここも、ブラック企業か!
 嫌で御座る!!
 働きたくないでござる!!!
 地球では、私は無職ニートですから!
 住民税や資産税…諸々の支払いと生活費を稼ぐために、私はサイエスに出稼ぎに来ている。
 そう思っていなければ、やってられない。
 Fから一気にCランクに上がったけど、何か弊害とかないよね?
 無いと思いたい。
「Cランクになったことで、何か変わったりすることはありますか?」
「そうですね。指名依頼を受けたり、護衛や高難度のクエストを受けられます。後、ダンジョンも入れるようになりますね。ただ、有事の際は招集が掛かるので無視すると罰則はありませんが、仕事の紹介が難しくなります」
 うわぁ、面倒臭い。
 ダンジョンに入れるのは有難いが、護衛や指名依頼とかはお断り案件だ。
「例えば、招集が掛かっても移動距離が長く物理的に駆けつけられない場合も、ペナルティになりますか?」
「ギルド内で情報を共有しているので、誰がどの町に滞在し何のクエストを受けているのかまで分かります。駆けつけるのが難しいと判断された冒険者の方には招集はかかりません」
 クラウド上にデータを蓄積させて、離れた場所でもパソコン等の端末からネットを介してアクセスし情報を閲覧出来るようなものか。
 この技術が、魔法で再現されている。
 科学と魔法を融合したパソコンが開発出来れば、一財産築けそうだ。
 この技術は、サイエスでは一般的ではないが、広く普及すれば容子まさこの創作活動の幅が広くなりそうだ。
 主にBLボーイズラブや二次創作の布教活動の足掛かりにしそうで怖い。
 鍛冶スキルのレベルが上がったら、容子まさこは作るかもしれない。
 この事は、彼女自身が気付くまで黙っていよう。
「ありがとう御座います。日々精進したいと思います」
 カードをショルダーバッグを通じてアイテムボックスに仕舞い、お礼を言って冒険者ギルドを後にした。



 次に向かうところは、商業ギルドです!
 念願の塩・胡椒・砂糖の販売ですよ!!
 後、容子まさこに強制されて作るようになった自作の基礎化粧品と家にストックしていた石鹸を全部持ってきたよ。
 石鹸は、包装紙を外して無地の巾着に入れてある。
 セブールに来た本当の目的は、商業ギルドで商品を卸すこと。
 魔物討伐だけでもお金は入るけど(ただしボス戦多し)、やっぱり商売して真っ当なお金を手に入れたい!
 地図を見ると、冒険者ギルドの近くにありました。
 どうやら、ここセブールでは各ギルドが同じ地区に集められているようだ。
 これは有難い。
 商業ギルドを訪ねると、これまた立派な作りをしていた。
 商人用の商談の配慮があるのか、受付カウンターとは別に個室がいくつも見える。
 まずは、受付をしないと。
「すみません。商業ギルドに登録しに来ました。ヒロコと申します」
「登録ですね。ヒロコ様、Fランク~Sランクまでありますが、どのランクで登録されますか?」
「どう違うのか教えて下さい」
「かしこまりました。では説明を行いますので、あちらのお席へどうぞ」
 個人の商談用と思しき品のあるテーブルに案内される。
 このテーブルは、私みたいな初心者に向けて設けられた席なのだろう。
 これは、話が長くなりそうだ。
 ショルダーバッグに手を入れて、アイテムボックスから手帳とペン型ボイスレコーダーをを取り出す。
 覚えきれないので、録音をさせて貰おう。
 メモは社会人の基本なり!
「私は、ここの受付をしているアンナと申します。不躾ですが、それは何ですか?」
「手帳です。この中に紙が挟まれてまして、メモを取るのに役立つんですよ。こちらは、ボールペンです。ペンの中にインクが入っている為、インク壺に漬ける必要が無いんですよ」
 本革手帳に、録画録音機能が搭載されたボールペンで御座います、とは言えません。
「少し見せて頂いても?」
 手帳とボールペンを渡すと、細部まで見てじっくり眺めた後、返してきた。
「素晴らしい代物ですね! 他にもあるのでしょうか?」
「ありますよ。数日頂ければ、似たものをご用意することは可能です」
 どちらも用意することは出来るが、アンナの様子から察するに珍しい品であることは間違いない。
 売値は、十倍吹っかけても購入するだろう。
「それで、ランクの話なのですが……」
「失礼しました。ランクですが、Fランクは露店・委託販売。Eランクは移動式店舗。Dランクは小さな店舗。Cランクは中規模な店舗。Bランクは大きな店舗。Aランクは国内に複数支店を持っている店舗。Sランクは皇室御用達の店となります」
 お姉アンナさん、完全に手帳に心奪われていたね。
 まあ、分かるけど。
 シンプルだけど、使い込んだだけ色に深みが出る本革の手帳。
 高性能な録音・録画機能が搭載されたペン型ICレコーダー。
 ペンに関しては、他の見栄えが良いボールペンで誤魔化せるだろう。
「Sランクは、皇室御用達になれば店舗の大きさとか関係なくなれるのですか?」
「はい、そうなります。その時は、店舗を構えて頂く必要がありますが」
 うわっ、面倒臭い。
 皇室御用達にだけはなりたくないな。
「各ランクによって収める税も変わってきます。Fランクは銀貨7枚。Eランクは金貨1枚。Dランクは金貨3枚。Cランクは金貨5枚。Bランクは金貨10枚。Aランクは金貨30枚。Sランクは金貨50枚になります。」
 Bランクから一気にお金が跳ね上がった!
 B~Aは分かるけど、Sで無理矢理店持たされて皇室御用達にされた上に金貨50枚も納めないといけないなんて嫌すぎる!!
 なるべく目立たず無難なものを売り捌こう。
 カリカリと言われたことをメモに取る。
 勿論日本語でだ。
「ヒロコ様は、どのランクをご希望されますか?」
「Fランクでお願いします」
「では、銀貨7枚お願いします」
「畏まりました。少しお待ち下さい」
 アンナは、銀貨7枚を持って受付カウンターに戻った。
 ギルドカードを作ってくれているんだろうなぁ。
 数分ほどで戻ってきた彼女の手には、金板のギルドカードがあった。
「ランクが上がるにつれてギルドカードの色も変わります。魔力登録を行うので、血判をお願いします」
 トレイには、カードと針が綺麗に並べられている。
 冒険者ギルドより丁寧だわ。
 流石、商売人が集まるだけはある。
 針で指を差し、カードに押し当てる。
 すかさず、名前とギルドランク以外は非表示にした。
「当ギルドへようこそ」
 治癒healで傷を治し、話の本題に切り込んだ。
「早速なんですが、売りたいものがあるのですが」
「どのような物ですか?」
「塩と胡椒、砂糖です」
 鞄に手を入れてアイテムボックスから瓶に詰め替えた砂糖・塩・胡椒を出す。
 1瓶ずつテーブルに並べて、アンナの様子を伺った。
「手に取っても宜しいですか?」
「どうぞ」
 マジマジと瓶を手に取って眺めている。
 恐らく鑑定しているんだろう。
「すみません。こちらに来てもらえますか?」
 難しい顔をしたアンナは、席を立ち付いてきて欲しいと言った。
 瓶を回収して、私はアンナの後ろに付いて歩く。
 通されたのは、センスの良いシンプルな応接室だった。
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