16 / 93
第1章
16 結婚式
しおりを挟む
古びた小さい教会に、レインに手を引かれて入って行く。
前方に、小さめな机があり、その後ろに、簡素な長椅子が5列ほどある。
古いマリア様が前方の端に立っている。
この教会は、かなり古いと分かる。
木を削られて作られたマリア像は、磨かれて、黒い艶を放っている。
村人が管理しているのか、窓は開いていた。
一歩前に出ると、ギシッと床が鳴る。底が抜けてしまいそうで、少し怖い。
「ここも補修をしなくては」
レインは、教会の中を見ていた。
「床が抜けそうね」
「ああ、この場所は、戦いに出ていた息子や夫、父親の無事を願うために村人が利用していた場所だ。これほど朽ちてきているのなら、修復をしても村人は文句を言わないであろう」
私は頷いた。
レインの腕にしっかりしがみついて、二人で前方に歩いて行く。
本来あるはずの、教会の装飾品は全てない。
蝋燭立てすらない。
略奪などもあるのだろう。
マリア様は大きく、私の背丈ほどだが、足には釘が刺さって、床に貼り付けられていた。
あまりに痛々しいそのお姿に、私は祈りを捧げる。
床に貼り付けなければ、略奪されてしまうのだろう。
村も安全とは言えないのだろうか?
それとも戦の後の惨状なのか。
「ここの教会でも構わないか?」
「はい」
「いずれ教会も建て直す。その時、もう一度、誓い直そう」
「はい」
机の前に並んで立った。
「この先、どんな試練が起きようと、ニナを生涯愛することを、ここに誓う。互いに力を合わせて、試練も乗り越えていく。必ず、ニナと一緒にブルーリングス王国を立て直す」
「ニナ・アイドリースは、一生の伴侶を、レインフィールド・ブルーリングスといたします。どんな困難が起きようと、二人で力を合わせ乗り越えていきます」
二人で誓い合って、見つめ合う。
レインは私に触れるだけの、キスをくれた。
そっと手を繋ぎ、何もない、そこに一礼をする。
背後から、拍手が聞こえた。
アルク様が、拍手をしてくださった。
「僭越ながら、私が保証人だ。いいですか?レインフィールド」
「よろしくお願いします」
レインは、アルク様に一礼した。
続けて、私も一礼した。
「ニナ、行こう」
「はい」
狭い通路を手を引かれながら歩いて行く。
出口にアルク様がいて、まだ拍手をしてくださっている。
アルク様の前に立ち止まり、二人で頭を下げた。
「おめでとう」
「ありがとうございます」
私は頭を下げた。
私は、今、レインと結婚した。
ウエディングドレスはなかったけれど、清楚な白いドレスを着ているので、ウエディングドレスとよく似ている。
私はそのドレスで、満足していた。
前方に、小さめな机があり、その後ろに、簡素な長椅子が5列ほどある。
古いマリア様が前方の端に立っている。
この教会は、かなり古いと分かる。
木を削られて作られたマリア像は、磨かれて、黒い艶を放っている。
村人が管理しているのか、窓は開いていた。
一歩前に出ると、ギシッと床が鳴る。底が抜けてしまいそうで、少し怖い。
「ここも補修をしなくては」
レインは、教会の中を見ていた。
「床が抜けそうね」
「ああ、この場所は、戦いに出ていた息子や夫、父親の無事を願うために村人が利用していた場所だ。これほど朽ちてきているのなら、修復をしても村人は文句を言わないであろう」
私は頷いた。
レインの腕にしっかりしがみついて、二人で前方に歩いて行く。
本来あるはずの、教会の装飾品は全てない。
蝋燭立てすらない。
略奪などもあるのだろう。
マリア様は大きく、私の背丈ほどだが、足には釘が刺さって、床に貼り付けられていた。
あまりに痛々しいそのお姿に、私は祈りを捧げる。
床に貼り付けなければ、略奪されてしまうのだろう。
村も安全とは言えないのだろうか?
それとも戦の後の惨状なのか。
「ここの教会でも構わないか?」
「はい」
「いずれ教会も建て直す。その時、もう一度、誓い直そう」
「はい」
机の前に並んで立った。
「この先、どんな試練が起きようと、ニナを生涯愛することを、ここに誓う。互いに力を合わせて、試練も乗り越えていく。必ず、ニナと一緒にブルーリングス王国を立て直す」
「ニナ・アイドリースは、一生の伴侶を、レインフィールド・ブルーリングスといたします。どんな困難が起きようと、二人で力を合わせ乗り越えていきます」
二人で誓い合って、見つめ合う。
レインは私に触れるだけの、キスをくれた。
そっと手を繋ぎ、何もない、そこに一礼をする。
背後から、拍手が聞こえた。
アルク様が、拍手をしてくださった。
「僭越ながら、私が保証人だ。いいですか?レインフィールド」
「よろしくお願いします」
レインは、アルク様に一礼した。
続けて、私も一礼した。
「ニナ、行こう」
「はい」
狭い通路を手を引かれながら歩いて行く。
出口にアルク様がいて、まだ拍手をしてくださっている。
アルク様の前に立ち止まり、二人で頭を下げた。
「おめでとう」
「ありがとうございます」
私は頭を下げた。
私は、今、レインと結婚した。
ウエディングドレスはなかったけれど、清楚な白いドレスを着ているので、ウエディングドレスとよく似ている。
私はそのドレスで、満足していた。
14
あなたにおすすめの小説
王命って何ですか? 虐げられ才女は理不尽な我慢をやめることにした
まるまる⭐️
恋愛
【第18回恋愛小説大賞において優秀賞を頂戴致しました。応援頂いた読者の皆様に心よりの感謝を申し上げます。本当にありがとうございました】
その日、貴族裁判所前には多くの貴族達が傍聴券を求め、所狭しと行列を作っていた。
貴族達にとって注目すべき裁判が開かれるからだ。
現国王の妹王女の嫁ぎ先である建国以来の名門侯爵家が、新興貴族である伯爵家から訴えを起こされたこの裁判。
人々の関心を集めないはずがない。
裁判の冒頭、証言台に立った伯爵家長女は涙ながらに訴えた。
「私には婚約者がいました…。
彼を愛していました。でも、私とその方の婚約は破棄され、私は意に沿わぬ男性の元へと嫁ぎ、侯爵夫人となったのです。
そう…。誰も覆す事の出来ない王命と言う理不尽な制度によって…。
ですが、理不尽な制度には理不尽な扱いが待っていました…」
裁判開始早々、王命を理不尽だと公衆の面前で公言した彼女。裁判での証言でなければ不敬罪に問われても可笑しくはない発言だ。
だが、彼女はそんな事は全て承知の上であえてこの言葉を発した。
彼女はこれより少し前、嫁ぎ先の侯爵家から彼女の有責で離縁されている。原因は彼女の不貞行為だ。彼女はそれを否定し、この裁判に於いて自身の無実を証明しようとしているのだ。
次々に積み重ねられていく証言に次第に追い込まれていく侯爵家。明らかになっていく真実を傍聴席の貴族達は息を飲んで見守る。
裁判の最後、彼女は傍聴席に向かって訴えかけた。
「王命って何ですか?」と。
✳︎不定期更新、設定ゆるゆるです。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
〖完結〗もうあなたを愛する事はありません。
藍川みいな
恋愛
愛していた旦那様が、妹と口付けをしていました…。
「……旦那様、何をしているのですか?」
その光景を見ている事が出来ず、部屋の中へと入り問いかけていた。
そして妹は、
「あら、お姉様は何か勘違いをなさってますよ? 私とは口づけしかしていません。お義兄様は他の方とはもっと凄いことをなさっています。」と…
旦那様には愛人がいて、その愛人には子供が出来たようです。しかも、旦那様は愛人の子を私達2人の子として育てようとおっしゃいました。
信じていた旦那様に裏切られ、もう旦那様を信じる事が出来なくなった私は、離縁を決意し、実家に帰ります。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全8話で完結になります。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi(がっち)
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【完結】亡くなった人を愛する貴方を、愛し続ける事はできませんでした
凛蓮月
恋愛
【おかげさまで完全完結致しました。閲覧頂きありがとうございます】
いつか見た、貴方と婚約者の仲睦まじい姿。
婚約者を失い悲しみにくれている貴方と新たに婚約をした私。
貴方は私を愛する事は無いと言ったけれど、私は貴方をお慕いしておりました。
例え貴方が今でも、亡くなった婚約者の女性を愛していても。
私は貴方が生きてさえいれば
それで良いと思っていたのです──。
【早速のホトラン入りありがとうございます!】
※作者の脳内異世界のお話です。
※小説家になろうにも同時掲載しています。
※諸事情により感想欄は閉じています。詳しくは近況ボードをご覧下さい。(追記12/31〜1/2迄受付る事に致しました)
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
その事実だけを抱えて、離縁をつきつけ家を出た。
そこで待っていたのは、
最悪の出来事――
けれど同時に、人生の転機だった。
夫は、愛人と好きに生きればいい。
けれど、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
彼女が選び直す人生と、
辿り着く本当の幸せの行方とは。
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。
〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】記憶を失ったらあなたへの恋心も消えました。
ごろごろみかん。
恋愛
婚約者には、何よりも大切にしている義妹がいる、らしい。
ある日、私は階段から転がり落ち、目が覚めた時には全てを忘れていた。
対面した婚約者は、
「お前がどうしても、というからこの婚約を結んだ。そんなことも覚えていないのか」
……とても偉そう。日記を見るに、以前の私は彼を慕っていたらしいけれど。
「階段から転げ落ちた衝撃であなたへの恋心もなくなったみたいです。ですから婚約は解消していただいて構いません。今まで無理を言って申し訳ありませんでした」
今の私はあなたを愛していません。
気弱令嬢(だった)シャーロットの逆襲が始まる。
☆タイトルコロコロ変えてすみません、これで決定、のはず。
☆商業化が決定したため取り下げ予定です(完結まで更新します)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる