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第2章
54 夜の色気のない睦言 ♡
それにしても、ハルマ様が戻って来ない。
リリーを連れて、避暑地巡りはいいが、実家が大変なことになっているのに、暢気なものだ。
ハルマ様もレインと同期だと聞いた。
学校を卒業してから実家を出たのなら、実家にも帰ってなかった可能性はあるが、全く家族を気にしないものなのか?
「レイン、ハルマ様に両親が逮捕されたことを報せなくてもいいのかしら?邸はレアルタが成人するまで、お兄様が預かることになったのだわ。ハルマ様が自分がすると言えば、邸の運営もすることができるわ」
「ハルマとサーシャは兄妹とされているが、本物の兄妹ではないのだ」
「それは、どういうこと?」
「ハルマのルーツは分かっているが、両親は盗賊に殺されている。まだ幼かったハルマは、一緒に盗賊に捕らわれていたサーシャの母が、保護したのだ。刃物で刺されそうになったサーシャの母を身を挺して守ったそうだ。ハルマの背中には貫かれた刀傷がある」
ハルマ様は秘密の合い言葉を知っていた。サーシャの両親も秘密の合い言葉を知っていた。婚礼を控えていたサーシャの母は、ハルマを連れて結婚をしたという。
「俺はその話を聞いたとき、サーシャの母を助けたのではなく、自分も殺されたかったのではないかと思ったのだ。死ぬつもりが美談にされて、自分が思う以上に大切にされたことを戸惑っていたのではないかと考えていた」とレインは言った。
学校でレインはハルマと出会った。
順位別の教室にハルマの姿はなかったそうだが、レインが卒業後、辺境区に行くと聞いたハルマは、一緒に行くと付いてきたという。
一緒に来たのはビストリも同じだが、ハルマとビストリは仲がよかったそうだ。
「一緒にいた時間が長くて、俺はハルマのこともビストリのことを何でも知っているようで、何も知らないのだと思ったよ」とレインは言った。
「多分、ハルマはリックに弟妹を預けて、邸のことも国王陛下が決めたようにするだろう」
「でも、弟妹達に会いたいと思わないかしら?」
「自分が助けた奥方様が、子供を殺そうとしたと聞けば、助けたことを後悔するかもしれない」
「複雑だわ」
私は、今一緒にいるリリーが心配だった。
「私、リリーが心配なの。いつもみたいに脳天気に遊んでいるならいいのだけれど、ハルマ様は気が短いわ。それに、私に求婚していたのに、急に心変わりをするものかしら?」
「それは俺も気にかかっていた。ニナに結婚を申し込んでいた口が、リリー嬢と結婚するか?一日も経っていないのに、俺にはハルマの気持ちの変化が分からない」
そんな事を言われたから、ますます、心配になってきた。
リリーは脳天気以外に長所はないような気がするのよ。
「そうだわ、私は今日、マフィンのお店で、妖精と呼ばれたのよ」とレインに言った。
すると、レインの顔色が変わる。
「もう、一人での外出は禁止だ。危険すぎる」
「それは嫌だわ、サーシャにも会いたいし、マフィンも食べたいのよ」
「外で命を狙われたら、どうするつもりだ?」
「でも、私、普通にここに暮らしていたんだわ」
「ニナは出会った頃より、美しくなったのだ?」
「ほえ?お兄様も同じ事を言っていたわ」
「頼む」と言って、レインが抱きしめてきた。
少し髪を伸ばしてきたレインのフワフワの髪に、顔を埋めて、私もレインを抱きしめる。
鍛え抜かれたレインの硬い腕や胸が私を包み込むみたいだわ。
夏のネグリジェは露出も多くて、直ぐに触れ合える。
ベッドで話すことではなかったかしら?
でも、今日中に知ってもらいたい。
私は私に触れるレインに、話しかける。
「ねえ、レイン。今日、思ったのだけれど、私やレインの様に白い髪やブルーアイで生まれてきた子を異端者として殺してしまう親がいるかもしれないと思ったのよ?民衆はブルーリングス王国の事を知らないわ。ニクス王国の民とブルーリングス王国の民が想像以上に混ざっている可能性もあると思うの。
国王陛下と相談をしてくださらない?
ストールが落ちただけよ。白い髪が現れたのは一瞬の事だったのよ?
近衛騎士が、直ぐに馬車に戻るように誘導してくださって、シュロが買ったマフィンを受け取りに残ってくれたから騒ぎは直ぐに収まったけれど、なんか怖かったわ。
そんなことが起きたから、誕生を待っていた子供が白い髪で、ブルーアイを持っていたら、生んだばかりのお母さんは驚いてしまうのではないかと思ったのよ」
「明日にでも、国王陛下と相談をしよう。この事は早めに解決できるようにするつもりだから、それまではおとなしくしていてくれ」
「宮殿の掃除をしていた方がいいかしら?」
「ニナ、掃除もしなくていいから」
身体の中にレインが入って来て、身をこわばらすと、濃厚なキスが私の思考をクチャクチャにする。
私は、辺境区から中央都市にある王宮に来てから、頻繁に抱かれるようになった。
大切な話をしていたのだから、忘れないでね。
私達のところにも赤ちゃんが来ますように。
絶対に大切にするわ。
レインは私の思考をクチャクチャにしてしまう。でも、ちゃんと忘れない言葉は囁いてくれるのよ。
「ニナ、愛している」って。
私はその囁きだけで、幸せだと思えるの。
リリーを連れて、避暑地巡りはいいが、実家が大変なことになっているのに、暢気なものだ。
ハルマ様もレインと同期だと聞いた。
学校を卒業してから実家を出たのなら、実家にも帰ってなかった可能性はあるが、全く家族を気にしないものなのか?
「レイン、ハルマ様に両親が逮捕されたことを報せなくてもいいのかしら?邸はレアルタが成人するまで、お兄様が預かることになったのだわ。ハルマ様が自分がすると言えば、邸の運営もすることができるわ」
「ハルマとサーシャは兄妹とされているが、本物の兄妹ではないのだ」
「それは、どういうこと?」
「ハルマのルーツは分かっているが、両親は盗賊に殺されている。まだ幼かったハルマは、一緒に盗賊に捕らわれていたサーシャの母が、保護したのだ。刃物で刺されそうになったサーシャの母を身を挺して守ったそうだ。ハルマの背中には貫かれた刀傷がある」
ハルマ様は秘密の合い言葉を知っていた。サーシャの両親も秘密の合い言葉を知っていた。婚礼を控えていたサーシャの母は、ハルマを連れて結婚をしたという。
「俺はその話を聞いたとき、サーシャの母を助けたのではなく、自分も殺されたかったのではないかと思ったのだ。死ぬつもりが美談にされて、自分が思う以上に大切にされたことを戸惑っていたのではないかと考えていた」とレインは言った。
学校でレインはハルマと出会った。
順位別の教室にハルマの姿はなかったそうだが、レインが卒業後、辺境区に行くと聞いたハルマは、一緒に行くと付いてきたという。
一緒に来たのはビストリも同じだが、ハルマとビストリは仲がよかったそうだ。
「一緒にいた時間が長くて、俺はハルマのこともビストリのことを何でも知っているようで、何も知らないのだと思ったよ」とレインは言った。
「多分、ハルマはリックに弟妹を預けて、邸のことも国王陛下が決めたようにするだろう」
「でも、弟妹達に会いたいと思わないかしら?」
「自分が助けた奥方様が、子供を殺そうとしたと聞けば、助けたことを後悔するかもしれない」
「複雑だわ」
私は、今一緒にいるリリーが心配だった。
「私、リリーが心配なの。いつもみたいに脳天気に遊んでいるならいいのだけれど、ハルマ様は気が短いわ。それに、私に求婚していたのに、急に心変わりをするものかしら?」
「それは俺も気にかかっていた。ニナに結婚を申し込んでいた口が、リリー嬢と結婚するか?一日も経っていないのに、俺にはハルマの気持ちの変化が分からない」
そんな事を言われたから、ますます、心配になってきた。
リリーは脳天気以外に長所はないような気がするのよ。
「そうだわ、私は今日、マフィンのお店で、妖精と呼ばれたのよ」とレインに言った。
すると、レインの顔色が変わる。
「もう、一人での外出は禁止だ。危険すぎる」
「それは嫌だわ、サーシャにも会いたいし、マフィンも食べたいのよ」
「外で命を狙われたら、どうするつもりだ?」
「でも、私、普通にここに暮らしていたんだわ」
「ニナは出会った頃より、美しくなったのだ?」
「ほえ?お兄様も同じ事を言っていたわ」
「頼む」と言って、レインが抱きしめてきた。
少し髪を伸ばしてきたレインのフワフワの髪に、顔を埋めて、私もレインを抱きしめる。
鍛え抜かれたレインの硬い腕や胸が私を包み込むみたいだわ。
夏のネグリジェは露出も多くて、直ぐに触れ合える。
ベッドで話すことではなかったかしら?
でも、今日中に知ってもらいたい。
私は私に触れるレインに、話しかける。
「ねえ、レイン。今日、思ったのだけれど、私やレインの様に白い髪やブルーアイで生まれてきた子を異端者として殺してしまう親がいるかもしれないと思ったのよ?民衆はブルーリングス王国の事を知らないわ。ニクス王国の民とブルーリングス王国の民が想像以上に混ざっている可能性もあると思うの。
国王陛下と相談をしてくださらない?
ストールが落ちただけよ。白い髪が現れたのは一瞬の事だったのよ?
近衛騎士が、直ぐに馬車に戻るように誘導してくださって、シュロが買ったマフィンを受け取りに残ってくれたから騒ぎは直ぐに収まったけれど、なんか怖かったわ。
そんなことが起きたから、誕生を待っていた子供が白い髪で、ブルーアイを持っていたら、生んだばかりのお母さんは驚いてしまうのではないかと思ったのよ」
「明日にでも、国王陛下と相談をしよう。この事は早めに解決できるようにするつもりだから、それまではおとなしくしていてくれ」
「宮殿の掃除をしていた方がいいかしら?」
「ニナ、掃除もしなくていいから」
身体の中にレインが入って来て、身をこわばらすと、濃厚なキスが私の思考をクチャクチャにする。
私は、辺境区から中央都市にある王宮に来てから、頻繁に抱かれるようになった。
大切な話をしていたのだから、忘れないでね。
私達のところにも赤ちゃんが来ますように。
絶対に大切にするわ。
レインは私の思考をクチャクチャにしてしまう。でも、ちゃんと忘れない言葉は囁いてくれるのよ。
「ニナ、愛している」って。
私はその囁きだけで、幸せだと思えるの。
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