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第4章
81 出陣
しおりを挟むお兄様が集めた騎士は、この中央都市を守っている騎士達だ。総勢200人はいる。そこに、ホテルの関係者が集めた騎士が約100名が夜明け前に王宮の前に集まった。
皆、中央都市を守っている騎士達だ。
待てと言われていた私と私の侍女と御者が、箒を持って向かった。
私達の姿を見たお兄様は、ぶはっと吹き出して笑っている。
「お兄様、一大事ですよ。笑っている場合ではありません」
「ああ、危険だから来るなと言ったが」
「違いますわ。迎えに行くまで待てと言ったのですわ。お兄様は、忘れておいでだと思ったのですわ」
「分かった、後ろの方にいなさい。子に何かあれば、レインが泣くぞ」
「分かりましたわ」
レインの泣き顔を想像したら、急に寂しくなった。
会いたい。
会いたいけれど、子を守る役目もあるのです。
迎えが来るまで待っています。
でも、今は緊急事態です。
お兄様は、王宮内の地図を開き、突入方法を話している。
後から合流した者に話しておかなくては、上手く片付けられない。
「では、行くぞ」
一斉に人が走り出した。
壮観です。
鍛え抜かれた漢達が戦いに行くのです。
お兄様は、大丈夫でしょうか?
お兄様は、騎士ではありません。
想像した通り、入り口に人はいませんでした。
扉は、全部開けられて、王宮内に入ると、静かに進んで行きます。
騎士団の姿が見えましたが、皆、座っております。よく見ると、手を後ろで縛られております。
動くに動けない状態なのでしょう。
こそっと小柄な騎士が、騎士団の後方に駆けていきます。
王宮内は、まだ薄暗く、よく見えないのです。
小柄な騎士はナイフを配ったのか、後ろの者が前の者のロープを切っているようです。
そうして、中の様子を聞いてきました。お兄様は、いったん、後方に下がると皆に中での様子を伝えます。
この時間なら寝ている可能性もありますが、興奮状態の者は眠りがやってこない場合もあります。
賭けですね。
捕らわれている部屋に続きの部屋があったような気がします。
その部屋に盗賊が寝ている可能性は大ですが、私は地図に載っていない部屋の存在を話しました。
武器は皆、奪われているようなので、我々が倒さなくてはなりません。
正面からと隣の部屋からも突入することになりました。
いざ、出陣ですわ!
私は箒を掲げて、静かに走って行きます。
隣の部屋では、寝ていたようですわ。次々に足の靱帯を切って、縛っております。悲鳴を上げる前に、口を塞ぐ者もおりますので、素早い制圧ですわ。
国王陛下の部屋では、サンシャインは起きておりました。
騎士達が戦っております。
私はベッドの中でブルーアイに涙を貯めたゴードン王子を見つけました。
箒を捨てると、後ろですっころんだ者がおりましたが、敵なので知りませんわ。
私はゴードン王子を抱っこして、静かな場所に向かいました。
指を吸って、泣き出しました。
きっとミルクももらっていなかったのでしょう。
私はまだ母乳が出ません。マリアは大きいけれど無理ね。
「王妃様を」
お兄様は、エイドリック王子と王妃様を連れてきました。
「王妃様、ゴードン王子に母乳をあげてください。脱水してしまうわ」
「乳母があげているのよ。ミーヤ」
ミーヤはいないようです。
乳母ならば、自分の子もいるはずです。
この場にいたなら、急いで自分の子の様子を見に行った可能性もありますし、ここにはいなかった可能性もあります。
「王妃様しかおりません」
「出るかしら?」
「出すんですよ」
王妃様を引っ張って、応接室に入った。
王妃様は、どのように乳をあげるか分からないようで、困っておいででした。
「王妃様、失礼します。私は看護師でございます。肌に触れる事をお許しください」と言って、王妃様のドレスを上半身脱がせると胸をマッサージした。すると、徐々に乳が出てきました。そっとゴードン王子に乳を含ませる。
ゴードン王子は泣きながら乳を吸っている。
乳が出ているようで安心した。
「吸っているわ」
「もう大丈夫ですわ、途中で、反対の乳も吸わせてくださいね」
「分かったわ」
王妃様も落ち着いて参りました。
「姫様達はどこに?」
「盗賊達に襲われているわ。ヴィオレ王女も」と言って、王妃様は泣き出しました。
「捕らわれていたサンシャインを逃がしたのは誰ですか?」
「第二夫人のリアンよ、一生許さない。私の可愛い娘達を傷つけた。ニナ妃、助けに行ってください。姫達を助けてください。できたら、この部屋の前に騎士を立たせてください」
「承知しました。ラソ、王妃様をお守りしてください」
「承知しました」
私は素早く部屋から出ると、縛られていて出遅れた騎士を連れてきて「王妃様がここにいます。王妃様を守って」とお願いした。
「承知しました」
私は素早く王女達を探し始めた。
王宮には部屋がたくさんある。
「ニナ様、もっとゆっくり歩かれた方がいいと思いますわ。ニナ様の赤ちゃんも大切ですわ」
「そうね」と膨らんできたお腹を撫でる。
「私とレインの子ですもの。丈夫ですわ」
「どこにそんな根拠がありますの?」とマリアが呆れています。
「国王陛下の執務室から一番近い寝室は何処ですか?」
「それなら、こちらですわ」
マリアとシェロが箒を掲げて、歩いて行きます。
皆が王女達を探しているように見えるが、まだ見付からないようです。
一番近い部屋にはいなかった。
既に、騎士が確認している。
サンシャインならどうするか考える。
一番屈辱的なところは何処?
まさか、牢屋?
「マリア、牢屋に連れて行って」
「牢屋ですか?」
「サンシャインの指示なら、もしや?」
マリアは牢屋の場所を知らなかったので、王女を捜索している騎士に連れて行ってもらった。
牢屋へ向かう途中で、王女の泣き声が聞こえて、騎士は仲間を呼びに行った。
牢屋はジメジメしていて、床ではなく土で造られている。布団もなく毛布もない。そんなところで、初めて抱かれるのは、辛いだろうと思う。
犯人を逃がしてはならない。
後方から、素早く走ってきたのは、エイドリック王子とお兄様でした。遅れて、騎士が二人。
四人牢へと入ったようです。
私の後ろにいたマリアが走っていきました。
「キルトを持ってくると言っておりました」とシュロが言いました。
姫達の心に深い傷ができませんようにと、私は神様に祈りを捧げました。
バシバシと体術の音が、まだ続いています。
いったい、何人いたのでしょう。
マリアが戻って来ました。
「外に騎士達が待機しております」
「そう」
姫達の姿をなるべく見せないように配慮しているのだろう。
「キルトを」とエイドリック王子の声が聞こえた。
マリアが私にキルトを渡してくれた。
「キルトです」と言って、4つの牢を通った。
賊の数は4~5人でしょうか。
私はなるべく姫を見ないように、手早く渡していく。
「騎士を入れてくれ」
「はい」
私は外にいる騎士に「捕らえてください」と伝えた。
エイドリック王子に抱かれた乙女はヴィオレ王女でした。
お兄様は、まだ幼いローズ王女を抱いていました。
騎士に抱かれているのは、ナターシャ第一王女とエリーゼ第二王女でした。
ナターシャ王女とエリーゼ王女は顔を隠しておいででしたけれど、泣いてはいません。
王女の威厳を感じられます。
私なら、きっと泣いてしまう。
二人の王女を見習わなくてはと思う。
国王陛下の執務室に戻ると、扉の外に騎士達がおりました。
私には使命があります。
「すみません」と騎士の間に入り、国王陛下に報せなければならないことがあります。
「国王陛下、王女3人とも無事に保護しました。ヴィオレ王女も無事に保護しました」
「ありがとう、ニナ妃」
国王陛下は、剣を抜いておりました。
剣先は、第二夫人のリアン妃に向いております。
「盗賊を逃がし、王宮を盗賊に明け渡した罰は、軽くはない」
「忘れられておりましたので、名前を思い出して欲しかったのですわ」
「馬鹿げたことを言う。子供のような理由で大罪を犯した。盗賊と一緒に処罰をしてやろう」
「貴方の子供は見ていただけですわ」
「同罪であろう」
シル王女は、俯いていた。
騎士達が入って来て、二人を縛り上げている。
サンシャインも縛られ、外に連れて行かれる。
すれ違いざまにサンシャインは、私を見ていた。
足がお腹めがけて蹴りを入れられたが、お兄様がその足を剣で斬り付けた。
「危険だ、後ろに下がっていなさい」
「はい」
私もお兄様もサンシャインを睨み付けていた。
リリーを殺した犯人だ。
殺したいほど、憎らしい。
盗賊は全て極刑を言い渡された。
王宮の前にある公園に連れて行かれて、騎士が盗賊の首を落としていく。
王女達を犯した盗賊は、性器を露出され、根元から切り落とされてから、首を落とされた。
お兄様は国王陛下から、サンシャインの処刑をしてもいいと許可を頂いた。
首を差し出した格好で、他の騎士が逃げ出さないように、押さえつけている。
「リリーをどうして殺した?」
「生意気で鬱陶しいのは、遺伝か?」
「最後の言葉は何だ?」
「忘れたね」
答える気はそもそもないようだ。
「殺せ!」とサンシャインが叫んだ。
お兄様は、首を落とす為の剣を振り上げて、サンシャインの首を落とした。
敵討ちにするには、生ぬるいが、お兄様は、剣を置き、サンシャインの頭を踏みつけた。
「国王陛下、リリーの敵討ちをさせていただき感謝します」
お兄様は、深く頭を下げた。
私も頭を下げた。
サンシャインを殺しても、リリーは帰ってこないけれど、それでも、気持ちは楽になる。
お兄様が頭から足を下ろすと、今度は国王陛下がサンシャインの頭を踏みつけた。
骨が折れて、眼球が出て、形も変わっていく。
脳も潰れて、耳や鼻からもどろっとしたものが出てきた。
「大切な姫を穢したことは、死んでも許さん」
国王陛下は、サンシャインの頭をぐしゃぐしゃになるほど踏み潰した。
国王陛下はご自身で殺したいのを、お兄様に譲ってくださったのだと思った。
首が数え切れないほど落とされて、最後に燃やされた。
シル王女も同罪にされてしまった。
貴族の者は、爵位剥奪の上に、国外追放となった。
国外には、ブルーリングス王国も含まれると追記された。
一週間以内に出て行かねば、死罪だとお触れが回った。
盗賊に犯されたヴィオレ王女に、エイドリック王子は、結婚を申し込んだが、穢れた身であるからと、いい返事は返ってこなかった。
だが、エイドリック王子は、そんなヴィオレ王女を強く抱きしめて、優しいキスをしたという。
ヴィオレ王女はエイドリック王子の胸で、泣いたという。
預かった王女を傷物にした責任もある。
国王陛下はプルルス王国の国王陛下に謝罪をして、正式に結婚式を行うと約束した。
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「妊娠おめでとう。レインがいないが、困ったことがあれば、なんでも言ってくれ。このウエディングドレスが出来上がったら、お子の産着からおしめも作っておくから、他で買うなよ」
「ありがとうございます」
「どういたしまして」
また忙しいと言い始めたので、私はお店から出て行った。
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凄いのは、数も凄かった。
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お祝い事なので、まあいいかと思った。
従者は王家の従者だ。
たくさんの荷物を馬車に積んでいる。
「ニナ様、馬車に乗りましょう」
「はい」
私の手を取ったのはマリアです。
住処は、お兄様の邸から、王宮に替わりました。
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