悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   

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4   婚約

2   アトミスの婚約(2)

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 ドレスカバーにドレスを入れて、久しぶりに旅行鞄を取り出し、中に入れた。帰りは化粧品やいろんな生活必需品を買ってくるつもりだ。
 空を飛ぶとあっという間に往復できる。

「やはり早いわね」
「あっという間ですね」

 アトミスは庭で待っていた。
 ゆっくりアトミスの前に下りると、アトミスは家に招いてくれた。

「靴が小さくなってないか心配なんです」
「履いてみたら、どうかしら?」
「ここでいいですか?」
「どうぞ、試してご覧なさい」

 リリーは床に鞄を置くと、鞄を開けて、靴の箱を取り出した。箱を開けると、新品のような靴が入っている。その靴を履いてみる。

「ちょっと窮屈ですけど、履けないことはないです」
「ドレスは白でしたね。私の靴があります。鞄を持って、私の部屋にいらして」
「はい」

 靴を箱に戻すと、鞄と靴の箱を持って、アトミスの後を追って階段を上がって、アトミスの部屋に案内された。
 部屋には二人に侍女がいた。
 リリーがお辞儀をすると、二人の侍女もお辞儀をした。
 アトミスの部屋は、水色のグラデーションの壁紙だった。所々に、白い雲が描かれている。まるで空の上にいるようだ。

「素敵なお部屋ですね」
「私、空色が好きなの。なんだか雲の上のお部屋のように見えるでしょう?」
「ええ。とてもお洒落ですわ」
「今日は水色のドレスを着ますのよ」
「お姉様ならどんな色でも似合いそうですわ」

 今日のアトミスは水色のワンピースを着ている。
 好きな色だと推測できる。

「アルシェ、ゴスペル。リリーは私の大切なお友達ですの。今日のパーティーにお誘いしました。リリーの靴が少し窮屈なの、合う物を探してくださる?」
「畏まりました。靴をお借りしますね」

 侍女の一人がリリーから靴を預かり、部屋から出て行った。

「お願いします」
「リリードレスを着ましょう」
「はい」

 リリーはワンピースを脱いで、久しぶりにドレスを着た。長めなドレスだったので、身長が伸びても着られた。

「やはり素敵なドレスね」
「お姉様もとてもお似合いです」

 水色のドレスは光沢があり、美しかった。
 アトミスにとても似合っている。

「リリーお嬢様。こちらの靴は如何でしょう?」

 侍女が靴を持って来て、リリーの前に屈んだ。
 すっと足に靴を入れられ、履き心地はぴったりだ。

「ちょうどいいです」
「色合いも白なのでドレスにも合うでしょう」
「お借りします」
「リリー、私にはその靴は、もう履けないわ。どうぞお持ちくださいな」
「お姉様に洋服や靴をいただいてばかりだわ」
「私がお嫁に行ったら、着られない洋服はバザーに出されるわ。もらっておきなさい」
「ありがとうございます」

 リリーはドレスを着ていたので、正式なお辞儀をした。
 アトミスがにっこり笑った。

「そのサイズの靴ともう少し大きめな靴を何足か出しておいてくださいますか」
「畏まりました」

 侍女がまた部屋の外に出て行った。
 アトミスの胸にも笛のようなネックレスがつけられている。

「お姉様も笛のネックレスをつけていらっしゃるのね」
「婚約者からいただいたのよ。この国では、婚約者がいる者は、このネックレスをはめるしきたりですのよ」
「お嬢様、お支度いたしますね」
「お願いします」
「リリーお嬢様は、少しお待ちください」
「私はこのままでも……」
「いいから、待っていなさいね」
「はい、お姉様」

 リリーは座って、アトミスがだんだん美しくなっていくところを、じっと見ていた。


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