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フリードリヒが目を覚ますとそこは白い部屋だった。
自分の部屋では無い、 この上なく混乱していた。
「何処だ、 ここ・・・俺は・・・フリードリヒ
王子で王立学院に通っていて婚約者は聖女候補のロザリア・・・
うん、 ちゃんと頭は働いているな」
きょろきょろと周囲を伺っていると外から白衣の男性が入って来た。
「おや、 フリードリヒさん、 目が覚めましたか
ここが何処かお分かりですか?」
「いや・・・分からない」
「ここは病院です、 奥さんを庇おうと代わりに馬車に撥ねられたんですが
覚えていらっしゃらない?」
「奥さん? 俺はまだ学生ですよ? 婚約者は居るが・・・」
「?」
首を傾げる白衣の男性。
「失礼ですが、 今は何年だと思っていますか?」
白衣の男性が尋ねる。
「今は王歴1445年でしょう?」
「なるほど、 頭を強く打って記憶が飛んでいる様ですね」
「・・・何だって?」
「今は王歴1460年です」
フリードリヒは驚いた。
「1460年? 15年も経っていると言うのか? そんな馬鹿な・・・」
「うーん・・・それではこれを御覧ください」
白衣の男性が鏡を見せると、 そこには頭に傷がついている
何処かで見た様な男が映っていた。
「・・・」
フリードリヒは手を動かしたりして、 鏡を認識した。
「驚いた・・・本当に15年経っていたのか・・・」
「えぇ、 先週この病院に運ばれて来たんですよ」
「魔物との戦いなら兎も角、 事故で病院に来るとは情けない・・・」
しょげるフリードリヒ。
「魔物との戦い? あぁそういえば15年前はまだ魔王との戦争をしていた頃でしたね」
「え? ・・・まさか15年の間に魔王を打ち倒したのか!?」
「いえ、 魔王とは和解しました」
「和解!? 馬鹿な!? 魔王と!? 何時!?」
「王歴1446年に・・・」
「・・・・・」
驚くフリードリヒ。
「そ、 それじゃあ対魔王の為の聖女制度は一体如何なった!?」
「聖女様? 聖女様なら今も恵まれない人々の為に施しをしていますよ」
「・・・今の聖女は誰だ?」
「聖女様はロザリア様ですね」
ほっ、 と息を吐くフリードリヒ。
自分の婚約者が聖女になっていて安心する。
「良かった・・・」
「?」
首を傾げる白衣の男。
「あぁ、 そうだ、 貴方が目を覚ました事を家族や御友人に伝えておきますか?」
「そうしてくれ」
「分かりました」
白衣の男が外に出て行った。
「・・・ここは病院なのか・・・だけど俺は王子・・・いや
15年後なら・・・父上も還暦を過ぎて居る筈、 王位を俺に譲っているのか?
俺は王になったのか? それならば王室で医療を受けて居る筈・・・
ここは何処の病院だ?」
窓の外を見るフリードリヒ、 外には行きかう人々の姿が見え
ここが街中だと言う事が分かる。
「・・・何で町医者の病院なんかに俺は居るんだ?」
首を傾げるフリードリヒ。
そんな事を考えていると部屋に見知らぬ男が入って来た。
「起きたかフリードリヒ」
「誰?」
「マジで記憶失くしたのか、 お前の親友のジョージだよ」
「ジョージ? 悪いが記憶に無いな・・・何処の家の奴だ?」
「南の方だよ」
「何処だよ、 何家のジョージだ?」
「何家? おいおい俺は貴族じゃないぜ? 見れば分かるだろ」
確かに見てみるとそんなに身形は良くない。
「貴族じゃないのに俺と親友になれたのか?」
「貴族じゃないのはお互い様だろう」
「王族って貴族の上に位置すると知っているか?」
「知っているぞ? でもお前王族でも無いじゃ無いか」
「・・・・・・・え?」
一瞬何を言っているか分からず、 目が点になるフリードリヒ。
「ど、 どういう事だ!? まさか俺が記憶を失った期間に革命でも有ったのか!?」
「いや、 無いけど?」
「じゃあ何で俺は王族を辞めたんだ!?」
「何でって嫁さんの為だろう?」
「嫁!?」
そこまで言ってフリードリヒはハッとなった、 恐らく魔王との戦争が終わった事で
聖女の政治的立ち位置が低くなり、 結婚に反対した父から離れる為に
自分は市井になったのだ、 と把握したのだった。
「そうか・・・そうだったのか・・・俺は市井の人間になったのだな・・・」
「そうだよ、 それも忘れてたのか?」
「らしいな・・・」
「じゃあ息子さんの事は覚えているか?」
「息子!? 俺に息子が!?」
「あぁ、 家計を助ける為に働いている立派な息子さんだよ」
「な、 なんだって!?」
フリードリヒは驚愕した。
「俺は自分の子供も働きに出す様な甲斐性無しになったのか・・・」
「いや、 あの年頃ならもう働いても大丈夫だろう
やっている仕事も見習い程度だし問題無いさ」
「あの年頃? 俺の息子って何歳だ?」
「14だと聞いているぞ」
「14!?」
それが確かならば自分は学生の頃にロザリアを孕ませた事になる。
自分はそこまで見境の無い男だったのか、 と愕然とする。
「親孝行な息子さんだよ、 この花を見て見ろ
息子さんが毎日変えているんだ」
そう言ってジョージは花瓶を指差す。
「そうなのか・・・苦労を掛けるな」
「息子さんに言ってやれよ」
「そうだな・・・息子の名前は何という?」
「ケネスだったかな?」
「ケネス、 か、 センス無いな」
「お前が名付け親だったんじゃないか? と言うかケネスは今は凄い多い名前だぞ?」
「そうなのか?」
「魔王との外交を務めて和解調停をした外交官がケネス、 とかだった気がする」
「そうなのか・・・」
ドタドタと足音が響く。
「何だ?」
「息子さんじゃないか?」
バンッ、 と扉が開く、 そこから桃色の髪の毛をした少年が入って来る。
「父さん!! 目が覚めましたか!!」
「・・・・・誰だ?」
「記憶を失ったって本当だったんですか・・・父さんの息子のケネスです!!」
「・・・・・・・・・・・いや、 そんな訳は無いだろう」
フリードリヒは確信をもってそう答えた。
「お、 おいフリードリヒ、 こいつは間違い無くお前の息子だぞ?
何でそんな事を言うんだ?」
「・・・髪の毛の色だ」
「髪の毛の色?」
「俺の髪の毛は金色、 ロザリアも金髪だ
それなのに何で桃色の髪の毛の息子が生まれるんだ?」
「そりゃ嫁さんが桃色の髪だからだろ?」
「は? いやロザリアって金髪だろ?」
「そうだな、 ロザリア様は金髪だな」
「何でそこでロザリア様の話になるんだよ父さん」
「いや、 俺の妻はロザリアだろ?」
「?」
「???」
首を傾げるジョージとケネス。
「・・・・・え、 違うのか?」
「違うぞ? お前の嫁さんの名前はメメだ」
「母さんの事を忘れてしまったのですか?」
「メメ・・・?」
聞き覚えの無い名前だ、 15年の間に一体何が・・・
いや違う、 ケネスが14歳なら1年の間に自分はメメと言う女と関係を持ったと言う事だ。
「・・・・・そんな馬鹿な!! 俺がロザリアを捨てただと!?」
「急に如何した?」
ロザリアの治癒には魔物との戦いで随分と助けられ
彼女の事は人生をかけて幸せにすると誓った、 筈だった。
にも拘わらず自分は出会って一年もしない女性と子を成した?
何の冗談だ。
「ありえない・・・ありえない・・・そもそもそのメメと言う女は如何した!?」
「母さんは仕事中ですよ、 父さんが倒れたから入院費も支払わなければならないですし・・・」
「・・・・・」
フリードリヒは自分が入院しているのに見舞いにも来ない女を妻にしたのか。
と絶望していた。
「所でフリードリヒ、 お前が居ない間大変だったんだが仕事に戻れるか?」
「仕事? ・・・悪いがどんな仕事だか分からないんだが・・・」
「なぁに馬鹿でも出来る仕事だし問題ねぇよ」
「馬鹿でも出来る仕事だと?」
「そうそう、 俺みたいな馬鹿でも出来る仕事だ」
ジョージは笑って言っていた。
自分はこんな馬鹿と同列の扱いを今受けているのかと絶望していた。
「・・・新聞は有るか?」
「新聞? 貴族様でも無いのにそんなの個人で買える訳無いだろ?」
「・・・・・」
フリードリヒは下を向いていた。
「今の王って誰だ?」
「ロドリゲス様だな、 フリードリヒの弟だっけ?」
「ロドリゲス!? あの臆病者が!?」
ロドリゲスは第二王子だが、 王子は自分とロドリゲスしかいないから
仕方ないのかとフリードリヒは思った。
それでも臆病な彼が王になるのは何の冗談だと思った。
「なぁ・・・何で俺はロザリアと結婚していないんだ?」
「母さんとは恋愛結婚だと聞いてますよ?」
10年以上の付き合いのロザリアを捨てて
出会って1年の娘と結婚するって過去の自分は馬鹿じゃないのか? と打ん殴りたくなった。
自分の部屋では無い、 この上なく混乱していた。
「何処だ、 ここ・・・俺は・・・フリードリヒ
王子で王立学院に通っていて婚約者は聖女候補のロザリア・・・
うん、 ちゃんと頭は働いているな」
きょろきょろと周囲を伺っていると外から白衣の男性が入って来た。
「おや、 フリードリヒさん、 目が覚めましたか
ここが何処かお分かりですか?」
「いや・・・分からない」
「ここは病院です、 奥さんを庇おうと代わりに馬車に撥ねられたんですが
覚えていらっしゃらない?」
「奥さん? 俺はまだ学生ですよ? 婚約者は居るが・・・」
「?」
首を傾げる白衣の男性。
「失礼ですが、 今は何年だと思っていますか?」
白衣の男性が尋ねる。
「今は王歴1445年でしょう?」
「なるほど、 頭を強く打って記憶が飛んでいる様ですね」
「・・・何だって?」
「今は王歴1460年です」
フリードリヒは驚いた。
「1460年? 15年も経っていると言うのか? そんな馬鹿な・・・」
「うーん・・・それではこれを御覧ください」
白衣の男性が鏡を見せると、 そこには頭に傷がついている
何処かで見た様な男が映っていた。
「・・・」
フリードリヒは手を動かしたりして、 鏡を認識した。
「驚いた・・・本当に15年経っていたのか・・・」
「えぇ、 先週この病院に運ばれて来たんですよ」
「魔物との戦いなら兎も角、 事故で病院に来るとは情けない・・・」
しょげるフリードリヒ。
「魔物との戦い? あぁそういえば15年前はまだ魔王との戦争をしていた頃でしたね」
「え? ・・・まさか15年の間に魔王を打ち倒したのか!?」
「いえ、 魔王とは和解しました」
「和解!? 馬鹿な!? 魔王と!? 何時!?」
「王歴1446年に・・・」
「・・・・・」
驚くフリードリヒ。
「そ、 それじゃあ対魔王の為の聖女制度は一体如何なった!?」
「聖女様? 聖女様なら今も恵まれない人々の為に施しをしていますよ」
「・・・今の聖女は誰だ?」
「聖女様はロザリア様ですね」
ほっ、 と息を吐くフリードリヒ。
自分の婚約者が聖女になっていて安心する。
「良かった・・・」
「?」
首を傾げる白衣の男。
「あぁ、 そうだ、 貴方が目を覚ました事を家族や御友人に伝えておきますか?」
「そうしてくれ」
「分かりました」
白衣の男が外に出て行った。
「・・・ここは病院なのか・・・だけど俺は王子・・・いや
15年後なら・・・父上も還暦を過ぎて居る筈、 王位を俺に譲っているのか?
俺は王になったのか? それならば王室で医療を受けて居る筈・・・
ここは何処の病院だ?」
窓の外を見るフリードリヒ、 外には行きかう人々の姿が見え
ここが街中だと言う事が分かる。
「・・・何で町医者の病院なんかに俺は居るんだ?」
首を傾げるフリードリヒ。
そんな事を考えていると部屋に見知らぬ男が入って来た。
「起きたかフリードリヒ」
「誰?」
「マジで記憶失くしたのか、 お前の親友のジョージだよ」
「ジョージ? 悪いが記憶に無いな・・・何処の家の奴だ?」
「南の方だよ」
「何処だよ、 何家のジョージだ?」
「何家? おいおい俺は貴族じゃないぜ? 見れば分かるだろ」
確かに見てみるとそんなに身形は良くない。
「貴族じゃないのに俺と親友になれたのか?」
「貴族じゃないのはお互い様だろう」
「王族って貴族の上に位置すると知っているか?」
「知っているぞ? でもお前王族でも無いじゃ無いか」
「・・・・・・・え?」
一瞬何を言っているか分からず、 目が点になるフリードリヒ。
「ど、 どういう事だ!? まさか俺が記憶を失った期間に革命でも有ったのか!?」
「いや、 無いけど?」
「じゃあ何で俺は王族を辞めたんだ!?」
「何でって嫁さんの為だろう?」
「嫁!?」
そこまで言ってフリードリヒはハッとなった、 恐らく魔王との戦争が終わった事で
聖女の政治的立ち位置が低くなり、 結婚に反対した父から離れる為に
自分は市井になったのだ、 と把握したのだった。
「そうか・・・そうだったのか・・・俺は市井の人間になったのだな・・・」
「そうだよ、 それも忘れてたのか?」
「らしいな・・・」
「じゃあ息子さんの事は覚えているか?」
「息子!? 俺に息子が!?」
「あぁ、 家計を助ける為に働いている立派な息子さんだよ」
「な、 なんだって!?」
フリードリヒは驚愕した。
「俺は自分の子供も働きに出す様な甲斐性無しになったのか・・・」
「いや、 あの年頃ならもう働いても大丈夫だろう
やっている仕事も見習い程度だし問題無いさ」
「あの年頃? 俺の息子って何歳だ?」
「14だと聞いているぞ」
「14!?」
それが確かならば自分は学生の頃にロザリアを孕ませた事になる。
自分はそこまで見境の無い男だったのか、 と愕然とする。
「親孝行な息子さんだよ、 この花を見て見ろ
息子さんが毎日変えているんだ」
そう言ってジョージは花瓶を指差す。
「そうなのか・・・苦労を掛けるな」
「息子さんに言ってやれよ」
「そうだな・・・息子の名前は何という?」
「ケネスだったかな?」
「ケネス、 か、 センス無いな」
「お前が名付け親だったんじゃないか? と言うかケネスは今は凄い多い名前だぞ?」
「そうなのか?」
「魔王との外交を務めて和解調停をした外交官がケネス、 とかだった気がする」
「そうなのか・・・」
ドタドタと足音が響く。
「何だ?」
「息子さんじゃないか?」
バンッ、 と扉が開く、 そこから桃色の髪の毛をした少年が入って来る。
「父さん!! 目が覚めましたか!!」
「・・・・・誰だ?」
「記憶を失ったって本当だったんですか・・・父さんの息子のケネスです!!」
「・・・・・・・・・・・いや、 そんな訳は無いだろう」
フリードリヒは確信をもってそう答えた。
「お、 おいフリードリヒ、 こいつは間違い無くお前の息子だぞ?
何でそんな事を言うんだ?」
「・・・髪の毛の色だ」
「髪の毛の色?」
「俺の髪の毛は金色、 ロザリアも金髪だ
それなのに何で桃色の髪の毛の息子が生まれるんだ?」
「そりゃ嫁さんが桃色の髪だからだろ?」
「は? いやロザリアって金髪だろ?」
「そうだな、 ロザリア様は金髪だな」
「何でそこでロザリア様の話になるんだよ父さん」
「いや、 俺の妻はロザリアだろ?」
「?」
「???」
首を傾げるジョージとケネス。
「・・・・・え、 違うのか?」
「違うぞ? お前の嫁さんの名前はメメだ」
「母さんの事を忘れてしまったのですか?」
「メメ・・・?」
聞き覚えの無い名前だ、 15年の間に一体何が・・・
いや違う、 ケネスが14歳なら1年の間に自分はメメと言う女と関係を持ったと言う事だ。
「・・・・・そんな馬鹿な!! 俺がロザリアを捨てただと!?」
「急に如何した?」
ロザリアの治癒には魔物との戦いで随分と助けられ
彼女の事は人生をかけて幸せにすると誓った、 筈だった。
にも拘わらず自分は出会って一年もしない女性と子を成した?
何の冗談だ。
「ありえない・・・ありえない・・・そもそもそのメメと言う女は如何した!?」
「母さんは仕事中ですよ、 父さんが倒れたから入院費も支払わなければならないですし・・・」
「・・・・・」
フリードリヒは自分が入院しているのに見舞いにも来ない女を妻にしたのか。
と絶望していた。
「所でフリードリヒ、 お前が居ない間大変だったんだが仕事に戻れるか?」
「仕事? ・・・悪いがどんな仕事だか分からないんだが・・・」
「なぁに馬鹿でも出来る仕事だし問題ねぇよ」
「馬鹿でも出来る仕事だと?」
「そうそう、 俺みたいな馬鹿でも出来る仕事だ」
ジョージは笑って言っていた。
自分はこんな馬鹿と同列の扱いを今受けているのかと絶望していた。
「・・・新聞は有るか?」
「新聞? 貴族様でも無いのにそんなの個人で買える訳無いだろ?」
「・・・・・」
フリードリヒは下を向いていた。
「今の王って誰だ?」
「ロドリゲス様だな、 フリードリヒの弟だっけ?」
「ロドリゲス!? あの臆病者が!?」
ロドリゲスは第二王子だが、 王子は自分とロドリゲスしかいないから
仕方ないのかとフリードリヒは思った。
それでも臆病な彼が王になるのは何の冗談だと思った。
「なぁ・・・何で俺はロザリアと結婚していないんだ?」
「母さんとは恋愛結婚だと聞いてますよ?」
10年以上の付き合いのロザリアを捨てて
出会って1年の娘と結婚するって過去の自分は馬鹿じゃないのか? と打ん殴りたくなった。
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