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僕。田舎へ行く。
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僕。...えーっと。名前は、、そうそう「リョウ」
名前を忘れそうだった。
名前忘れるなよってツッコミが入りそうだな。
いや、入らないか。
元気いっぱいの小学4年生。
お話は、夏休みが始まった午前中から始まる。
「リョウ。ちょっといいかな」
その日お父さんは、仕事が休みだった。
お父さんが用意してくれた食パンと目玉焼きがのっているお皿の前に座り「いただきます」と言ったところだった。
「なあに?」
僕は食パンを口に運びながら答えた。
「今年の夏休みのことなんだが」
お父さんは、少し言いにくそうな口調で続けた。
「夏休み中、伯父さんの家で過ごさないか?」
「?!」
僕は驚いた。パンが喉に詰まるかと思った。
慌てて牛乳を飲む。
そしてなんとか声を出した。
「おじさんって、あの『大木おじさん』のこと?」
「そう、オオキじゃなくて、ダイモクな」
お父さんは、ふざけた僕を正した。真面目な顔をしている。
「どうして?」
お父さんは一呼吸を置いて話を始めた。
「お母さんが長期入院することが決まった。」
「?!」
僕は再び驚くしかなかった。
今度は飲み込んだ牛乳が戻って来るかと思った。
僕のお母さんは、体があまり強くない。時々病院に泊まることがある。
夏が来る少し前も2、3日病院に泊まることはあった。
とても心配だけれど、お母さんはいつもニコニコしていて
本当に病気なんだろうかと疑うくらいだ。
いつも「ちょっと行って来るね。」と、病院に通っていた。
でも、夏休みになる少し前のお母さんの様子はいつもと違った。
突然救急車で運ばれてそのまま入院だった。
お父さんと一緒に急いで僕らも病院に駆けつけたけど
お母さんは病院のベットでいつものようにニコニコして僕らも迎えた。
「ごめんね。リョウ。また心配かけちゃったね。」
そして二の腕を出して細い腕に力こぶが出るわけないのに、
「ほらこの通り全然大丈夫」
と言って笑っていた。
そんな調子だったので、またすぐに帰って来るだろうと思っていたけれど
どうも様子がいつもと違ったようだ。
「お母さんは大丈夫なの?」
僕はやっと声が出てそう尋ねた。
「そうだな。手術はしなければならないけれど、大丈夫だ。お父さんがついてる。
それに、早めに退院できればリョウも帰って来ればいい。
お父さんは仕事で遅くなることが多いからと、伯父さんに相談したら
ウチに来ればいいと言ってくれてな。」
お父さんは真剣な顔で答えた。
突然のダブルパンチに戸惑う。
今年の夏もいろんなところに行って、たくさん遊んで、遊んで。。。
宿題はなるべく早く終わらすようにして…という考えは無駄になりそうだ。
大木おじさんのところは、毎年遊びに行ってるので知らない場所ではない。
山があって川があって、虫取り楽しいし、おばさんの作るご飯は美味しい。
あ、でもお母さんほどではないけど。
それに、いつもより長めに泊まるだけだ。
...問題ない。
「わかった。行くよ。」
僕は、しばらく考えて答えた。
「よし。行こう」
それから準備はあっという間だった。
お父さんはすでに段取りを組んでいたようで
翌日には出発だった。
お父さんの車に乗せられて数時間。
景色がだんだん変わって行く。
都会のビルがなくなり、家がなくなり、緑豊かな自然が現れてきた。
そして、
あっという間に到着した。
こうして、僕のいつもと違う、
いやとんでもなく違う夏休みが始まった。
名前を忘れそうだった。
名前忘れるなよってツッコミが入りそうだな。
いや、入らないか。
元気いっぱいの小学4年生。
お話は、夏休みが始まった午前中から始まる。
「リョウ。ちょっといいかな」
その日お父さんは、仕事が休みだった。
お父さんが用意してくれた食パンと目玉焼きがのっているお皿の前に座り「いただきます」と言ったところだった。
「なあに?」
僕は食パンを口に運びながら答えた。
「今年の夏休みのことなんだが」
お父さんは、少し言いにくそうな口調で続けた。
「夏休み中、伯父さんの家で過ごさないか?」
「?!」
僕は驚いた。パンが喉に詰まるかと思った。
慌てて牛乳を飲む。
そしてなんとか声を出した。
「おじさんって、あの『大木おじさん』のこと?」
「そう、オオキじゃなくて、ダイモクな」
お父さんは、ふざけた僕を正した。真面目な顔をしている。
「どうして?」
お父さんは一呼吸を置いて話を始めた。
「お母さんが長期入院することが決まった。」
「?!」
僕は再び驚くしかなかった。
今度は飲み込んだ牛乳が戻って来るかと思った。
僕のお母さんは、体があまり強くない。時々病院に泊まることがある。
夏が来る少し前も2、3日病院に泊まることはあった。
とても心配だけれど、お母さんはいつもニコニコしていて
本当に病気なんだろうかと疑うくらいだ。
いつも「ちょっと行って来るね。」と、病院に通っていた。
でも、夏休みになる少し前のお母さんの様子はいつもと違った。
突然救急車で運ばれてそのまま入院だった。
お父さんと一緒に急いで僕らも病院に駆けつけたけど
お母さんは病院のベットでいつものようにニコニコして僕らも迎えた。
「ごめんね。リョウ。また心配かけちゃったね。」
そして二の腕を出して細い腕に力こぶが出るわけないのに、
「ほらこの通り全然大丈夫」
と言って笑っていた。
そんな調子だったので、またすぐに帰って来るだろうと思っていたけれど
どうも様子がいつもと違ったようだ。
「お母さんは大丈夫なの?」
僕はやっと声が出てそう尋ねた。
「そうだな。手術はしなければならないけれど、大丈夫だ。お父さんがついてる。
それに、早めに退院できればリョウも帰って来ればいい。
お父さんは仕事で遅くなることが多いからと、伯父さんに相談したら
ウチに来ればいいと言ってくれてな。」
お父さんは真剣な顔で答えた。
突然のダブルパンチに戸惑う。
今年の夏もいろんなところに行って、たくさん遊んで、遊んで。。。
宿題はなるべく早く終わらすようにして…という考えは無駄になりそうだ。
大木おじさんのところは、毎年遊びに行ってるので知らない場所ではない。
山があって川があって、虫取り楽しいし、おばさんの作るご飯は美味しい。
あ、でもお母さんほどではないけど。
それに、いつもより長めに泊まるだけだ。
...問題ない。
「わかった。行くよ。」
僕は、しばらく考えて答えた。
「よし。行こう」
それから準備はあっという間だった。
お父さんはすでに段取りを組んでいたようで
翌日には出発だった。
お父さんの車に乗せられて数時間。
景色がだんだん変わって行く。
都会のビルがなくなり、家がなくなり、緑豊かな自然が現れてきた。
そして、
あっという間に到着した。
こうして、僕のいつもと違う、
いやとんでもなく違う夏休みが始まった。
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