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そうだ、福井に行こう!④
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「あー疲れた。」
「お疲れさん。」
駅前にある足湯に浸かりながら私はくでーっとする。本当にひい君の作ったプランは運動不足の私たちにはキツかった。
東尋坊のあと、まさかのその奥にある雄島まで行くことに。東尋坊まででもギリギリだったのに、さらにそれよりも長い距離を歩かないといけなくなるなんて。
「マジでひい君さ、私の体力のなさ分かってるやろ?」
「うん。分かっててこのプランにした。」
「ガチ最悪。普通に死ぬか思ったで。」
ひい君は笑っているけど普通にしんどかった。まあ、それ以上の景色を見ることはできたけど。
「んで、晩ご飯はそこの横丁やんな?」
「一応そのつもり。他食べたいとこあったら別にええけど。」
みんなもう歩きたくないので、すぐそこにあるあわら横丁で食べることに。けど、お目当ての店は6時に開くからそれまではここで時間を潰そう。
夕陽が中に差し込んできて、オレンジ色に染まっている。お湯で反射する光はまるで夜空のよう。程よい温もりと少しの騒がしさが心地いい。
カップルはカップルで、それぞれいちゃつきながら入っていて、私だけが1人。ひい君の隣に座ってはいるけど、ひい君は桜と喋っているから、実際ひとりぼっち。望んだ関係ではあるけど、少しだけ不満なところはある。
(別にもうちょっと構ってくれてもええやん)
それが出来ないにしても、心がどうしてもそれを望んでしまう。
ちょいちょいとひい君の服を引っ張ってみる。
「どした?」
「ん?そういや部屋割りどうなってるんかなって。」
別にそんな理由ではない。でも、それらしい理由をつける。我ながら何やってるんだって感じだけど、今はこれしか方法がない。
「一応男女で別れるって感じやけど、それでええよな?」
「もちろん。やけど、寝る前はどっちかの部屋に集まらへん?みんなで喋りたいし。」
「そうやな。んじゃ、温泉後は男子部屋ってしとくか。」
少しでも長く一緒にいたいから、少しでも長く喋っていたいから。私は私のためにそう提案しただけなのに、ひい君はその裏を読まずに肯定してくれる。もしかしたら見て見ぬふりしてるだけなのかもしれない。
本当にずるいと思う。私って本当に。
「おっ、もう6時やん。みんな行こーぜ。」
時間に気づいた奏が立ち上がる。私たちもお湯から足を出して、タオルで拭いて、靴を履いた。
晩ご飯は横丁の中にあるラーメン屋。そこのチャーシュー丼だ。男子陣は少し高めのまかない丼にしていて、みんなノンアルのチューハイを頼んでいる。
「んじゃ、乾杯!」
『カンパーイ!』
コの字に机を囲んだ私たちはグラスを突き合わせて、改めて再会を祝った。これでいいんだと信じて。
「お疲れさん。」
駅前にある足湯に浸かりながら私はくでーっとする。本当にひい君の作ったプランは運動不足の私たちにはキツかった。
東尋坊のあと、まさかのその奥にある雄島まで行くことに。東尋坊まででもギリギリだったのに、さらにそれよりも長い距離を歩かないといけなくなるなんて。
「マジでひい君さ、私の体力のなさ分かってるやろ?」
「うん。分かっててこのプランにした。」
「ガチ最悪。普通に死ぬか思ったで。」
ひい君は笑っているけど普通にしんどかった。まあ、それ以上の景色を見ることはできたけど。
「んで、晩ご飯はそこの横丁やんな?」
「一応そのつもり。他食べたいとこあったら別にええけど。」
みんなもう歩きたくないので、すぐそこにあるあわら横丁で食べることに。けど、お目当ての店は6時に開くからそれまではここで時間を潰そう。
夕陽が中に差し込んできて、オレンジ色に染まっている。お湯で反射する光はまるで夜空のよう。程よい温もりと少しの騒がしさが心地いい。
カップルはカップルで、それぞれいちゃつきながら入っていて、私だけが1人。ひい君の隣に座ってはいるけど、ひい君は桜と喋っているから、実際ひとりぼっち。望んだ関係ではあるけど、少しだけ不満なところはある。
(別にもうちょっと構ってくれてもええやん)
それが出来ないにしても、心がどうしてもそれを望んでしまう。
ちょいちょいとひい君の服を引っ張ってみる。
「どした?」
「ん?そういや部屋割りどうなってるんかなって。」
別にそんな理由ではない。でも、それらしい理由をつける。我ながら何やってるんだって感じだけど、今はこれしか方法がない。
「一応男女で別れるって感じやけど、それでええよな?」
「もちろん。やけど、寝る前はどっちかの部屋に集まらへん?みんなで喋りたいし。」
「そうやな。んじゃ、温泉後は男子部屋ってしとくか。」
少しでも長く一緒にいたいから、少しでも長く喋っていたいから。私は私のためにそう提案しただけなのに、ひい君はその裏を読まずに肯定してくれる。もしかしたら見て見ぬふりしてるだけなのかもしれない。
本当にずるいと思う。私って本当に。
「おっ、もう6時やん。みんな行こーぜ。」
時間に気づいた奏が立ち上がる。私たちもお湯から足を出して、タオルで拭いて、靴を履いた。
晩ご飯は横丁の中にあるラーメン屋。そこのチャーシュー丼だ。男子陣は少し高めのまかない丼にしていて、みんなノンアルのチューハイを頼んでいる。
「んじゃ、乾杯!」
『カンパーイ!』
コの字に机を囲んだ私たちはグラスを突き合わせて、改めて再会を祝った。これでいいんだと信じて。
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