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ムカシハ
今の私
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「球技大会お疲れ~!」
私たちは何故かC組、F組、H組、I組のメンバーで打ち上げをしている。しかもほぼクラス全員揃ってるし。
「しょうがないやん。うちのクラスの打ち上げ企画したのが、ここのオーナーやねんから。」
そう話すのはきい。店全部貸切にしたんやって、と情報を添えて。
それにしても、ほぼ120人といったところか。店の規模がスゴすぎる。そこらかしこがどんちゃん騒ぎで、肉を焼く音すらあんまり聞こえない。
同じテーブルには久志、ゆーちゃん、奏っち、楓、きい、音羽。きいは余っている椅子を持ってきて、お誕生日席を築いている。
「それにしても、桜と柚さんが幼なじみやったって意外やな。」
「1年の時、そんな雰囲気ちゃうかったのにね。」
「私もいつ言おうか悩んでたから。」
「私も今日、『ゆーちゃん』って呼ばれるまで気づかんかったし。」
お互いに見た目がだいぶ変わったのだろう。それでも、小さかった頃の面影があるような。
「ちゃんと再会したほうがいいんちゃう?」
頭の中で白兎ちゃんが言っている。
(分かってるって。)
そう答えて、私はゆーちゃんに抱きついた。
「ちょっ、さくちゃん?」
「ゆーちゃんとまた会えてよかった。ゆーちゃんを信じてよかった。ごめんね。連絡つかなくなった時、『あー、私ってそんな存在やったんや』って思っちゃった。本当にごめんね。ゆーちゃんも私が来るって信じて待ってくれてたんでしょ。だから、ほんと、ごめん。」
ゆーちゃんは黙ったままだった。黙って、ただ、私の頭を撫でてくれるだけ。
「………ねぇ、私のRINEの背景知ってる?」
そう言って、ゆーちゃんはスマホを取り出し、自分のRINEの背景を見せてきた。
「これは、桜?」
「うん、桜。小学校卒業の時から変えてない。ずっとさくちゃんのことを忘れないようにって。キザやんな?」
「んーん。めっちゃ嬉しい。ありがと、ゆーちゃん。」
「うん、ちゃんと来てくれてありがと、さくちゃん。ほら、みんな箸止まってないからなくなりそう。食べるよ。」
「うわ、ホンマや。何でみんな待ってくれへんの?」
「肉固くなるし。」
そう言う楓に「それな」と反応する他全員。それでもなんかあったかい気持ちになった。
お肉を食べながら思う。今の私にはみんながいる。楓と音羽は最初から仲良くしてくれたし、久志は私を拾ってくれた。奏っちはなんか必然的に仲良くなった感じ。きいは、歳は同じなのに妹みたいな感じで、いっつも笑顔にしてくれる。新宮君のことはあんま分からんけど、多分いい子。そしてゆーちゃんは、初めこそ気づかなかったけど、話せばまた幼なじみが戻ってきた。
「青春か…」
「ん?桜、なんか言った。」
「んーん、何もないよ、久志。」
これも立派な青春。でも、思春期の私にはなんか物足りないような気がした。
〇〇〇〇〇
「ふぅーん、ここか。」
私たちは何故かC組、F組、H組、I組のメンバーで打ち上げをしている。しかもほぼクラス全員揃ってるし。
「しょうがないやん。うちのクラスの打ち上げ企画したのが、ここのオーナーやねんから。」
そう話すのはきい。店全部貸切にしたんやって、と情報を添えて。
それにしても、ほぼ120人といったところか。店の規模がスゴすぎる。そこらかしこがどんちゃん騒ぎで、肉を焼く音すらあんまり聞こえない。
同じテーブルには久志、ゆーちゃん、奏っち、楓、きい、音羽。きいは余っている椅子を持ってきて、お誕生日席を築いている。
「それにしても、桜と柚さんが幼なじみやったって意外やな。」
「1年の時、そんな雰囲気ちゃうかったのにね。」
「私もいつ言おうか悩んでたから。」
「私も今日、『ゆーちゃん』って呼ばれるまで気づかんかったし。」
お互いに見た目がだいぶ変わったのだろう。それでも、小さかった頃の面影があるような。
「ちゃんと再会したほうがいいんちゃう?」
頭の中で白兎ちゃんが言っている。
(分かってるって。)
そう答えて、私はゆーちゃんに抱きついた。
「ちょっ、さくちゃん?」
「ゆーちゃんとまた会えてよかった。ゆーちゃんを信じてよかった。ごめんね。連絡つかなくなった時、『あー、私ってそんな存在やったんや』って思っちゃった。本当にごめんね。ゆーちゃんも私が来るって信じて待ってくれてたんでしょ。だから、ほんと、ごめん。」
ゆーちゃんは黙ったままだった。黙って、ただ、私の頭を撫でてくれるだけ。
「………ねぇ、私のRINEの背景知ってる?」
そう言って、ゆーちゃんはスマホを取り出し、自分のRINEの背景を見せてきた。
「これは、桜?」
「うん、桜。小学校卒業の時から変えてない。ずっとさくちゃんのことを忘れないようにって。キザやんな?」
「んーん。めっちゃ嬉しい。ありがと、ゆーちゃん。」
「うん、ちゃんと来てくれてありがと、さくちゃん。ほら、みんな箸止まってないからなくなりそう。食べるよ。」
「うわ、ホンマや。何でみんな待ってくれへんの?」
「肉固くなるし。」
そう言う楓に「それな」と反応する他全員。それでもなんかあったかい気持ちになった。
お肉を食べながら思う。今の私にはみんながいる。楓と音羽は最初から仲良くしてくれたし、久志は私を拾ってくれた。奏っちはなんか必然的に仲良くなった感じ。きいは、歳は同じなのに妹みたいな感じで、いっつも笑顔にしてくれる。新宮君のことはあんま分からんけど、多分いい子。そしてゆーちゃんは、初めこそ気づかなかったけど、話せばまた幼なじみが戻ってきた。
「青春か…」
「ん?桜、なんか言った。」
「んーん、何もないよ、久志。」
これも立派な青春。でも、思春期の私にはなんか物足りないような気がした。
〇〇〇〇〇
「ふぅーん、ここか。」
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