616 / 774
マナツノ
夏休み勉強会1-2
しおりを挟む
「そろそろ昼飯にすっか。」
時間は12時を少し回った頃、もうそろそろ腹も空いてくる頃かなと思い、一旦勉強を切り上げて立ち上がる。船戸さんの言うとおり、数Cは早く終わりそうだ。
俺が立ち上がると、みんな集中の糸がぷっつりと切れたように伸びをする。何人かへばって机に突っ伏している奴もいるが。
「何作るん?」
「この人数やし、無難にざるそばやな。簡単やし。」
キッチンのところに置いてあるカゴの中からそばの乾麺を取り出す。
「へぇ~、Qって料理できるんや。」
「まぁ、家事は杏と分担してしていたからな。」
「別に、この人数やねんからデリバリーでもよかったのに。」
「金かかるやん。」
「そりゃそうだ。」
奏はテーブルからこっちを見て、そんなことを言う。元から俺の頭の中にデリバリーの選択肢はなかった。別に料理するのは苦ではないからな。
「久志、なんか手伝おうか?」
「ん~、んじゃ上の棚からざるとあとちょうどいいサイズの皿出して。器もよろしく。てか、7個もあるかな?なかったらちょうどいいやつにしといて。」
「了解。」
そばを茹で始めると、桜が来て俺の隣に立った。俺はネギを切って、使う用と冷凍保存用に分ける。使う用のネギは器に入れて、わさびと一緒に机に持って行った。
きいは机に突っ伏したまんま固まっている。楓は天を見上げている。もちろん2人とも勉強道具は片付けていない。
「きい、楓。片付けてくれ。そっちに置かんと全員座られへんから。」
「おっけー。」
「ちょっと待ってちょっと待って。あとちょっとだけぇ。」
楓はすぐに動き始めたが、きいは全く動く気配すらない。
俺は無言で音羽にGOサインを出す。音羽は頷いて、きいのそばに寄って行った。そして耳元に口を持っていく。その瞬間、きいの肩がビクッと跳ねて、そしていそいそと片付け始めた。
「何言ったんだ?」
「さぁ?」
音羽はとぼけながらそんなことを言う。俺はネギとわさびを置いて、桜が火の番をしてくれているキッチンに戻った。
「てんきゅー。」
「もうそろそろ?」
「せやな。」
タイマーの表示は残り1分ちょい。桜は上の棚にあるボウルを背伸びして取り出した。
「向こう置いとくね。」
「おう。」
桜はボウルを流しのところに置き、俺は湯切りで茹でていたそばを取り出す。そして手早くボウルの中に移していった。
〆るのは桜がやってくれてそのまま盛り付けまでやってくれるようだ。俺は麺つゆを水で割って、器に注いでいく。
「なんか夫婦みたいだな。」
背後の奏がそんな冗談を言う。
「まだ早いね。」
「まだ早いな。」
時間は12時を少し回った頃、もうそろそろ腹も空いてくる頃かなと思い、一旦勉強を切り上げて立ち上がる。船戸さんの言うとおり、数Cは早く終わりそうだ。
俺が立ち上がると、みんな集中の糸がぷっつりと切れたように伸びをする。何人かへばって机に突っ伏している奴もいるが。
「何作るん?」
「この人数やし、無難にざるそばやな。簡単やし。」
キッチンのところに置いてあるカゴの中からそばの乾麺を取り出す。
「へぇ~、Qって料理できるんや。」
「まぁ、家事は杏と分担してしていたからな。」
「別に、この人数やねんからデリバリーでもよかったのに。」
「金かかるやん。」
「そりゃそうだ。」
奏はテーブルからこっちを見て、そんなことを言う。元から俺の頭の中にデリバリーの選択肢はなかった。別に料理するのは苦ではないからな。
「久志、なんか手伝おうか?」
「ん~、んじゃ上の棚からざるとあとちょうどいいサイズの皿出して。器もよろしく。てか、7個もあるかな?なかったらちょうどいいやつにしといて。」
「了解。」
そばを茹で始めると、桜が来て俺の隣に立った。俺はネギを切って、使う用と冷凍保存用に分ける。使う用のネギは器に入れて、わさびと一緒に机に持って行った。
きいは机に突っ伏したまんま固まっている。楓は天を見上げている。もちろん2人とも勉強道具は片付けていない。
「きい、楓。片付けてくれ。そっちに置かんと全員座られへんから。」
「おっけー。」
「ちょっと待ってちょっと待って。あとちょっとだけぇ。」
楓はすぐに動き始めたが、きいは全く動く気配すらない。
俺は無言で音羽にGOサインを出す。音羽は頷いて、きいのそばに寄って行った。そして耳元に口を持っていく。その瞬間、きいの肩がビクッと跳ねて、そしていそいそと片付け始めた。
「何言ったんだ?」
「さぁ?」
音羽はとぼけながらそんなことを言う。俺はネギとわさびを置いて、桜が火の番をしてくれているキッチンに戻った。
「てんきゅー。」
「もうそろそろ?」
「せやな。」
タイマーの表示は残り1分ちょい。桜は上の棚にあるボウルを背伸びして取り出した。
「向こう置いとくね。」
「おう。」
桜はボウルを流しのところに置き、俺は湯切りで茹でていたそばを取り出す。そして手早くボウルの中に移していった。
〆るのは桜がやってくれてそのまま盛り付けまでやってくれるようだ。俺は麺つゆを水で割って、器に注いでいく。
「なんか夫婦みたいだな。」
背後の奏がそんな冗談を言う。
「まだ早いね。」
「まだ早いな。」
0
あなたにおすすめの小説
訳あって学年の三大美少女達とメイドカフェで働くことになったら懐かれたようです。クラスメイトに言えない「秘密」も知ってしまいました。
亜瑠真白
青春
「このことは2人だけの秘密だよ?」彼女達は俺にそう言った―――
高校2年の鳥屋野亮太は従姉に「とあるバイト」を持ちかけられた。
従姉はメイドカフェを開店することになったらしい。
彼女は言った。
「亮太には美少女をスカウトしてきてほしいんだ。一人につき一万でどうだ?」
亮太は学年の三大美少女の一人である「一ノ瀬深恋」に思い切って声をかけた。2人で話している最中、明るくて社交的でクラスの人気者の彼女は、あることをきっかけに様子を変える。
赤くなった顔。ハの字になった眉。そして上目遣いで見上げる潤んだ瞳。
「ほ、本当の私を、か、かかか、可愛いって……!?」
彼女をスカウトしたことをきっかけに、なぜか「あざと系美少女」や「正体不明のクール系美少女」もメイドカフェで働くことに。
フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件
遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。
一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた!
宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!?
※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
負けヒロインに花束を!
遊馬友仁
キャラ文芸
クラス内で空気的存在を自負する立花宗重(たちばなむねしげ)は、行きつけの喫茶店で、クラス委員の上坂部葉月(かみさかべはづき)が、同じくクラス委員ので彼女の幼なじみでもある久々知大成(くくちたいせい)にフラれている場面を目撃する。
葉月の打ち明け話を聞いた宗重は、後日、彼女と大成、その交際相手である名和立夏(めいわりっか)とのカラオケに参加することになってしまう。
その場で、立夏の思惑を知ってしまった宗重は、葉月に彼女の想いを諦めるな、と助言して、大成との仲を取りもとうと行動しはじめるが・・・。
美人生徒会長は、俺の料理の虜です!~二人きりで過ごす美味しい時間~
root-M
青春
高校一年生の三ツ瀬豪は、入学早々ぼっちになってしまい、昼休みは空き教室で一人寂しく弁当を食べる日々を過ごしていた。
そんなある日、豪の前に目を見張るほどの美人生徒が現れる。彼女は、生徒会長の巴あきら。豪のぼっちを察したあきらは、「一緒に昼食を食べよう」と豪を生徒会室へ誘う。
すると、あきらは豪の手作り弁当に強い興味を示し、卵焼きを食べたことで豪の料理にハマってしまう。一方の豪も、自分の料理を絶賛してもらえたことが嬉しくて仕方ない。
それから二人は、毎日生徒会室でお昼ご飯を食べながら、互いのことを語り合い、ゆっくり親交を深めていく。家庭の味に飢えているあきらは、豪の作るおかずを実に幸せそうに食べてくれるのだった。
やがて、あきらの要求はどんどん過激(?)になっていく。「わたしにもお弁当を作って欲しい」「お弁当以外の料理も食べてみたい」「ゴウくんのおうちに行ってもいい?」
美人生徒会長の頼み、断れるわけがない!
でも、この生徒会、なにかちょっとおかしいような……。
※時代設定は2018年頃。お米も卵も今よりずっと安価です。
※他のサイトにも投稿しています。
イラスト:siroma様
静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について
おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である
そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。
なんと、彼女は学園のマドンナだった……!
こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。
彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。
そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。
そして助けられた少女もまた……。
二人の青春、そして成長物語をご覧ください。
※中盤から甘々にご注意を。
※性描写ありは保険です。
他サイトにも掲載しております。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる