陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜

136君

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マナツノ

夏休み勉強会1-5

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 ガチャっと音がして玄関が開く。

「ふぃー、あっつかったぁ。ただいまぁー!」
「おかえり~!」
「おかえり。」
「おかえり~!杏ちゃん!」

リビングに入ってきた杏はその光景を見て固まってしまった。そこにはいるはずのないきいがいるのだ。

「きい姉!どうしたん?」
「今日こっち泊まることになりましてぇ。」
「やったー!一緒に寝る?一緒に寝る?」
「いやぁ、なんか3人でオールするって話してて。」
「え?」

いきなりきいに抱きつくと、ぴょんぴょん跳ねながら嬉しがる。けど、オールの話になったら急にテンションが低くなった。

「まあ私頭悪いやん。独自相当やらんと大学行けんから。」
「あーね。じゃあしょうがないかぁ。オールだオール。」
「くっ…」

きいはその場にしゃがみこみ、悔しそうに床を叩く。

「杏ちゃんならこの状況どうにかしてくれると思ったのに…ちくしょう。さすが兄妹。」

どうやらきいは杏に助けて貰えると踏んでいたらしい。まぁ誰かとやると言えどオールは嫌よな。楽しいけど。

「杏、風呂沸いてるから入ってこい。その間に晩飯作っとくから。」
「ありがとバカ兄。あっ、桜さんも一緒に入ろ!」
「ごめん。とりあえずきいにこの問題教えなあかんから。ほら、きいは早く始める。」
「はぁーい。」

いつまでも悔しがっているきいの首根っこを掴んでソファーに移動させると、きいは不貞腐れながらも勉強を始めた。

 杏が風呂に行っている間に晩飯の仕上げをする。時間は6時半と少し早いが、このあとどうせ夜食も食べるんだから問題ない。

 錦糸卵を作って、ハムとキュウリを細く切り、麺を茹でる。そして氷でしめて器に盛る。量は俺と杏が少し多めで桜ときいは少し少なめ。上に具材を持ったら夏の風物詩、冷やし中華の完成だ。

 出来上がると同時に杏が上がってきて、それと同時に2人が勉強を切り上げる。テーブルに持っていくと桜が箸を取り出して、テーブルに置く。

「きいは私の箸使って。」
「はーい!」

パジャマに着替えた杏が戻ってきて、席についた。そしてつゆをかけて、手を合わせる。

『いただきます!』

箸をもって少しかき混ぜてから啜る。セット売りしているやつを買ったから、味に間違いはないが、やはり美味い。

「うまぁ。やっぱ夏といえばこれやな。」
「せやな。ひい君ナイスチョイス。」
「そんな褒めてもオールは確定やからな。」
「ちぇっ」
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