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第22話:大隊長室に殴り込んで、赤ひげのおっさんに怒鳴り散らす
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ドラゴンペンダントが入った鞄は、情報省職員が無事に王宮の魔法高等官のアイーダ様に渡したそうだ。
あたしは、情報省の建物を出て、あてもなくさまよう。
情報省の言い分だと、多分、デルフィーノさんは、あたしを通じてクラウディアさんからドラゴンペンダントがある場所を聞きだそうとするため、警備隊に入ったのではとのことらしい。
けど、おかしいよ。
だいたい、何で一人で運ぶんだ。
何であたしが運ぶんだよ。
もし、ドラゴン秘儀団に狙われてるなら、情報省の連中が大勢で鞄を守って行けばいいだけの話じゃないか。
隣の建物に行くだけじゃん。
あたしを囮にしたんじゃないだろうか。
クラウディアさんも天然のふりして、あたしを利用したのかも。
ああ、頭がモヤモヤする。
気がつくと、スポルガ川を渡る橋にさしかかる。
この川で命がけで溺れる子供を助けたデルフィーノさん。
いつも穏やかで、怒ることが無かったデルフィーノさん。
演技だったのか。
違うと思う。
何で、ドラゴン秘儀団なんかに。
あのレッドドラゴン事件の時に、サビーナちゃんをかばって亡くなったロミオ少佐も、評判のいい人だったらしい。
よく分からなくなってきた。
橋の上で人目をはばからず、泣く。
ラブレターはビリビリに破いて、川に捨てた。
涙を拭こうと、ハンカチをポケットから出そうとすると、ウイスキーのミニチュアボトルがあるぞ。
思い出した。
赤ひげのおっさんの机の引き出しから、盗んだものだ。
やけくそになって、ほとんど一気飲み。
瓶を路上に投げて、叩き割る。
お酒は好きだけど、実は弱いあたし。
ん? お酒は楽しく飲まないといけないとか言ってただろって? うるせーよ!
すっかり、酔っぱらう。
そうだ、思い出したぞ、大隊長室の机の下に、ドラゴンがデザインされたマットを足元に置いていた赤ひげのおっさん。
赤ひげのおっさんはドラゴン秘儀団の仲間なんだ。
えい、こうなったら、明日、おっさんと決闘だ。
あたしの百発百中のナイフ投げを見せてやる!
警備隊の庁舎に戻ると、あれ、大隊長室に明かりが点いているぞ。
赤ひげのおっさん、何で居るんだ?
大隊長は夜勤無しだろ。
やっぱり、おっさんはドラゴン秘儀団だ!
ドラゴンペンダントの強奪の結果を待っているんだ!
よし、赤ひげと決闘だ!
突撃!
酔っぱらった勢いで、大隊長室の扉を足で蹴り飛ばす。
「ふざけんな、この野郎!」
あたしは怒鳴りながら部屋に飛び込む。
赤ひげのおっさんが目を丸くして立ち上がった。
「な、何だよ、いったい」
ビビっている赤ひげ大隊長。
「うるさい、赤ひげ!」
ん、赤ひげのおっさん、何か背中に隠しているぞ。
挙動不審だ。
シーフの勘よ。
こいつはドラゴン秘儀団のメンバーだ。
このドラゴン秘儀団野郎がデルフィーノさんに命令したんだ!
何でそんなことをさせたんだ!
「何で、あんなことさせんだよ! この赤ひげ! 理由を教えろ!」
あたしはえらい剣幕で赤ひげのおっさんに詰め寄る。
おっさん、ますますビビってる。
「お、落ち着け、話せば分かる。そんな、鞄を一つ運ぶくらい大したことないじゃないか。隣の建物に運ぶだけだし」
「うるせー! なにが大したことないだよ! おっさん!」
「だいたい、お前に説明しようとしたら、さっさといなくなったじゃないか」
ん? 会話がつながってないぞ。
酔っぱらってるから理解できん。
「しょうがないから、デルフィーノに伝えたんだが、お前聞いてないのかよ」
戸惑ってる赤ひげのおっさん。
「何だと! 極秘情報をペラペラと教えてんじゃねーよ、この赤ひげクソおやじ!」
あたしはますます大声で怒鳴り散らす。
赤ひげのおっさん、ビビって、背中の後ろに持っていたものを落とした。
酒瓶が割れて、アルコールの匂いが漂う。
「あっ、職場で酒飲んでる」
「い、一本だけだよ」
「うそつけ、机の引き出しにいっぱい入ってるじゃねーか!」
「あれ、何でその事を知ってるんだ、お前」
訝しげな顔をする赤ひげのおっさん。
あっ、やばい!
あれ、何だか、頭がはっきりしてきたぞ。
デルフィーノさんからは、あたしは何にも聞いてない。
デルフィーノさんはドラゴン秘儀団のメンバー。
多分、情報省が流した偽情報も知ってたんじゃないかな。
それで、赤ひげのおっさんから、あたしが情報省からの依頼で、地下通路から鞄を運ぶ仕事を依頼されたと聞いて、ドラゴンペンダントを運ぶと見込んだのか。
あれ、そうすると、赤ひげのおっさんがドラゴン秘儀団だとすると、『デルフィーノに伝えた』なんて、あたしに言うわけない。ドラゴン秘儀団やドラゴンペンダントのことなんて、全く知らないから、鞄運びなんて大したことでもないとデルフィーノさんに伝えたんだろう。
つまり、えーと、おっさん、全然関係無いのかな。
これは、やばいぞ!
まずい、実は気の弱いあたし。
ビビッてきた。
「やっぱり、お前か! ウイスキー盗んだのは!」
ひえ、ばれた。
赤ひげのおっさんにボコボコにされちゃう。
怖いよー!
赤ひげのおっさん、怖い顔であたしを睨みつける。
怖くて足が動かない。
「あれは大事な記念品なんだ。瓶だけでも返せ!」
赤ひげのおっさんに怒鳴られる。
「あ、あの、割っちゃいました……」
「何だとー!」
赤ひげのおっさん、怖い顔がますます怖くなる。
ガタガタと震えるあたし。
殺される! もう、失禁しそう。
すると、おっさん、急に椅子に座って、例の野良猫を追い払う仕草をする。
「失礼しました!」
あたしは部屋から逃げだした。
ちらっと後ろを見ると、赤ひげのおっさん、机に座り込んで頭を抱えている。
こりゃ、完璧に嫌われたな。
……………………………………………………
デルフィーノさんについては、実家で不幸があって急に辞めたことにされた。
みんな、びっくりしてたけど。
どうやら、赤ひげのおっさんや小隊長クラスの人たちにも真実は聞かされてないようだ。
あたしは、ただただ、悲しい。
デルフィーノさんの代わりは、臨時にセルジョ小隊長が兼任することになった。
その後、あたしは赤ひげのおっさんから逃げ回る毎日を過ごした。
なるべく近づかないようにしている。
おっさんの方からは何も言ってこないけど。
たまに部屋へおっさんが入ってくると、あたしは机の下に震えて隠れてる。
だって、怖いもん。
そして、ある日、セルジョ小隊長が機嫌悪そうに、あたしに言ってきた。
「プルム、大隊長が呼んでるぞ」
ひえ! ついに赤ひげのおっさんに呼びつけられた。
あわわ、ついに一升瓶でぶん殴られるのか。
ボコボコにされるの?
怖いよー。
「し、失礼します」
恐る恐るあたしは大隊長室に入る。
「ウギャ!」
いきなり丸めた紙を顔面にぶつけられた。
何すんだよー、赤ひげ!
「以上だ!」
赤ひげのおっさんはそれだけ言って、また、しっしっとあたしに野良猫を追い払う仕草をする。
何なんだよ、とムカつきながら、紙を拾って、部屋を出る。
広げると辞令じゃないの。
『分隊長に昇進させる』
えっ、分隊長?
何ですと?
あたしが分隊長になっていいんかい。
ところで、アレサンドロ大隊長の机の下に置いてあった、ドラゴンデザインのマットの件はどうしたんだって? それが、赤ひげのおっさん、ドラゴンが憎くて、毎日、踏んづけていただけなんだって。清掃のおばさんから聞いた。
何で、夜中にいたのかって? 残業だって。
そんで、仕事が片付いたから、つい、お酒飲んじゃったみたい。
赤ひげのおっさん、疑って、ごめんなさい。
あたしは、情報省の建物を出て、あてもなくさまよう。
情報省の言い分だと、多分、デルフィーノさんは、あたしを通じてクラウディアさんからドラゴンペンダントがある場所を聞きだそうとするため、警備隊に入ったのではとのことらしい。
けど、おかしいよ。
だいたい、何で一人で運ぶんだ。
何であたしが運ぶんだよ。
もし、ドラゴン秘儀団に狙われてるなら、情報省の連中が大勢で鞄を守って行けばいいだけの話じゃないか。
隣の建物に行くだけじゃん。
あたしを囮にしたんじゃないだろうか。
クラウディアさんも天然のふりして、あたしを利用したのかも。
ああ、頭がモヤモヤする。
気がつくと、スポルガ川を渡る橋にさしかかる。
この川で命がけで溺れる子供を助けたデルフィーノさん。
いつも穏やかで、怒ることが無かったデルフィーノさん。
演技だったのか。
違うと思う。
何で、ドラゴン秘儀団なんかに。
あのレッドドラゴン事件の時に、サビーナちゃんをかばって亡くなったロミオ少佐も、評判のいい人だったらしい。
よく分からなくなってきた。
橋の上で人目をはばからず、泣く。
ラブレターはビリビリに破いて、川に捨てた。
涙を拭こうと、ハンカチをポケットから出そうとすると、ウイスキーのミニチュアボトルがあるぞ。
思い出した。
赤ひげのおっさんの机の引き出しから、盗んだものだ。
やけくそになって、ほとんど一気飲み。
瓶を路上に投げて、叩き割る。
お酒は好きだけど、実は弱いあたし。
ん? お酒は楽しく飲まないといけないとか言ってただろって? うるせーよ!
すっかり、酔っぱらう。
そうだ、思い出したぞ、大隊長室の机の下に、ドラゴンがデザインされたマットを足元に置いていた赤ひげのおっさん。
赤ひげのおっさんはドラゴン秘儀団の仲間なんだ。
えい、こうなったら、明日、おっさんと決闘だ。
あたしの百発百中のナイフ投げを見せてやる!
警備隊の庁舎に戻ると、あれ、大隊長室に明かりが点いているぞ。
赤ひげのおっさん、何で居るんだ?
大隊長は夜勤無しだろ。
やっぱり、おっさんはドラゴン秘儀団だ!
ドラゴンペンダントの強奪の結果を待っているんだ!
よし、赤ひげと決闘だ!
突撃!
酔っぱらった勢いで、大隊長室の扉を足で蹴り飛ばす。
「ふざけんな、この野郎!」
あたしは怒鳴りながら部屋に飛び込む。
赤ひげのおっさんが目を丸くして立ち上がった。
「な、何だよ、いったい」
ビビっている赤ひげ大隊長。
「うるさい、赤ひげ!」
ん、赤ひげのおっさん、何か背中に隠しているぞ。
挙動不審だ。
シーフの勘よ。
こいつはドラゴン秘儀団のメンバーだ。
このドラゴン秘儀団野郎がデルフィーノさんに命令したんだ!
何でそんなことをさせたんだ!
「何で、あんなことさせんだよ! この赤ひげ! 理由を教えろ!」
あたしはえらい剣幕で赤ひげのおっさんに詰め寄る。
おっさん、ますますビビってる。
「お、落ち着け、話せば分かる。そんな、鞄を一つ運ぶくらい大したことないじゃないか。隣の建物に運ぶだけだし」
「うるせー! なにが大したことないだよ! おっさん!」
「だいたい、お前に説明しようとしたら、さっさといなくなったじゃないか」
ん? 会話がつながってないぞ。
酔っぱらってるから理解できん。
「しょうがないから、デルフィーノに伝えたんだが、お前聞いてないのかよ」
戸惑ってる赤ひげのおっさん。
「何だと! 極秘情報をペラペラと教えてんじゃねーよ、この赤ひげクソおやじ!」
あたしはますます大声で怒鳴り散らす。
赤ひげのおっさん、ビビって、背中の後ろに持っていたものを落とした。
酒瓶が割れて、アルコールの匂いが漂う。
「あっ、職場で酒飲んでる」
「い、一本だけだよ」
「うそつけ、机の引き出しにいっぱい入ってるじゃねーか!」
「あれ、何でその事を知ってるんだ、お前」
訝しげな顔をする赤ひげのおっさん。
あっ、やばい!
あれ、何だか、頭がはっきりしてきたぞ。
デルフィーノさんからは、あたしは何にも聞いてない。
デルフィーノさんはドラゴン秘儀団のメンバー。
多分、情報省が流した偽情報も知ってたんじゃないかな。
それで、赤ひげのおっさんから、あたしが情報省からの依頼で、地下通路から鞄を運ぶ仕事を依頼されたと聞いて、ドラゴンペンダントを運ぶと見込んだのか。
あれ、そうすると、赤ひげのおっさんがドラゴン秘儀団だとすると、『デルフィーノに伝えた』なんて、あたしに言うわけない。ドラゴン秘儀団やドラゴンペンダントのことなんて、全く知らないから、鞄運びなんて大したことでもないとデルフィーノさんに伝えたんだろう。
つまり、えーと、おっさん、全然関係無いのかな。
これは、やばいぞ!
まずい、実は気の弱いあたし。
ビビッてきた。
「やっぱり、お前か! ウイスキー盗んだのは!」
ひえ、ばれた。
赤ひげのおっさんにボコボコにされちゃう。
怖いよー!
赤ひげのおっさん、怖い顔であたしを睨みつける。
怖くて足が動かない。
「あれは大事な記念品なんだ。瓶だけでも返せ!」
赤ひげのおっさんに怒鳴られる。
「あ、あの、割っちゃいました……」
「何だとー!」
赤ひげのおっさん、怖い顔がますます怖くなる。
ガタガタと震えるあたし。
殺される! もう、失禁しそう。
すると、おっさん、急に椅子に座って、例の野良猫を追い払う仕草をする。
「失礼しました!」
あたしは部屋から逃げだした。
ちらっと後ろを見ると、赤ひげのおっさん、机に座り込んで頭を抱えている。
こりゃ、完璧に嫌われたな。
……………………………………………………
デルフィーノさんについては、実家で不幸があって急に辞めたことにされた。
みんな、びっくりしてたけど。
どうやら、赤ひげのおっさんや小隊長クラスの人たちにも真実は聞かされてないようだ。
あたしは、ただただ、悲しい。
デルフィーノさんの代わりは、臨時にセルジョ小隊長が兼任することになった。
その後、あたしは赤ひげのおっさんから逃げ回る毎日を過ごした。
なるべく近づかないようにしている。
おっさんの方からは何も言ってこないけど。
たまに部屋へおっさんが入ってくると、あたしは机の下に震えて隠れてる。
だって、怖いもん。
そして、ある日、セルジョ小隊長が機嫌悪そうに、あたしに言ってきた。
「プルム、大隊長が呼んでるぞ」
ひえ! ついに赤ひげのおっさんに呼びつけられた。
あわわ、ついに一升瓶でぶん殴られるのか。
ボコボコにされるの?
怖いよー。
「し、失礼します」
恐る恐るあたしは大隊長室に入る。
「ウギャ!」
いきなり丸めた紙を顔面にぶつけられた。
何すんだよー、赤ひげ!
「以上だ!」
赤ひげのおっさんはそれだけ言って、また、しっしっとあたしに野良猫を追い払う仕草をする。
何なんだよ、とムカつきながら、紙を拾って、部屋を出る。
広げると辞令じゃないの。
『分隊長に昇進させる』
えっ、分隊長?
何ですと?
あたしが分隊長になっていいんかい。
ところで、アレサンドロ大隊長の机の下に置いてあった、ドラゴンデザインのマットの件はどうしたんだって? それが、赤ひげのおっさん、ドラゴンが憎くて、毎日、踏んづけていただけなんだって。清掃のおばさんから聞いた。
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