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第18話:えーと、モンスターを倒したんだけど……、どうしたんすか
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俺と相棒、二人組の冒険者パーティー。
普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。
今日も村から少し離れた山の麓にある森の中でスライム退治。
しかし、何の冒険心をかきたてることもない、そして、何の変哲もない平らな一本道が指定された場所。
つまらん。
「ああ、つまらんなあ」
「そっすねえ、はあ~」
「おいおい、あくびすんなよ。お前には冒険者として気構えが足りないぞ」
「しかし、相手はスライムっすよ」
「他のモンスターが襲ってくるかもしれないじゃないか。冒険者は常に革命的警戒心を持って行動しなきゃいけないんだぞ」
「革命的警戒心を持っている割には、すっかり腹が出てますね、リーダーは」
「うるさいぞ。とにかくちゃんと仕事しろ」
「ういっす」
二手に分かれて、森の中を探索。
全然スライムがいないなあと俺が思っていると、おっと、不穏な雰囲気がするぞ。
長年の冒険者の勘だ。
スライム退治ばかりとは言え、何十年もただぼんやりと冒険者をやっていたわけではない。
木の陰に何者かがいるぞ。
俺はスライムを探す振りをして、周囲に気を配る。
すると、何者かが背後から襲いかかって来た。
俺はさっと振り向いて、剣を振る。
バシッ!
悲鳴をあげて、そのモンスターは倒れた。
「やった、モンスターを倒したぞ!」
と言っても、このモンスターもありきたりな奴だな。
少し離れた場所から相棒が声をかけてきた。
「何かあったんすか」
「おう、今、モンスターが俺に襲いかかってきたんだ。あっという間に倒してやったぞ。えーと、あれ……」
地面に倒れているこん棒を持った小柄な犬の顔をした獣人モンスター。
スライムほどではないが、それでもよく見る平凡なモンスターなのだが。
あれ、名前が出てこない。
「えーと、モンスターを倒したんだが、うーん、何だっけ、こいつ」
「どうしたんすか」
相棒が近づいてきた。
「おっと、久々にスライムじゃないモンスターを倒したじゃないですか、これは……」
「おい、待て」
「なんすか、何を待つんすか」
「名前が出てこないんだよ」
「えっと、このモンスターは……」
「だから、待て、俺が思い出すまで」
「どうしたんすか、ド忘れしちゃったんすか」
うーん、うーん、とにかく名前が出てこない。
この犬顔の獣人面モンスターは、特に珍しくも無い平凡な名前のはずだが。
「うーむ、どうしても名前が出てこないぞ。ああ、俺はもうボケ老人になってしまったのか。俺はもうダメなのか。ああ、イライラする。おい、このモンスターの名前は何だっけ」
「コボルトっすよ。コボル『ド』って説もありますけど」
「おお、そうだ、思い出したぞ。コボルトだ。ああ、けど、俺はもうダメなんじゃないのか。こんな雑魚モンスターの名前まで忘れるなんて」
そう言えば、この前、久々に会った知り合いの名前を思い出せなかった。
他にも昔の知人で顔は覚えているのに名前が出てこないことが多くなってきたぞ。
「うーん。名前は忘れるけど、顔を覚えている場合が多いんだよなあ」
「そんなもんじゃないすか。顔は印象的ですけど、名前は記号みたいなもんすからねえ」
「それにしても、ああ、俺はすっかり老けてしまった。このままだと徘徊老人になってしまうんじゃないのか」
「そんな心配する必要ないんじゃないすか。本当に呆けてしまうと、忘れた事自体を忘れるみたいっすよ」
「そうなのか。しかし、最近、頭の方も回転が鈍くなってきた。若い頃は何事も意欲的に試みて、細かい作業も難なくこなしたものだが、最近は全ての事が面倒だし、同じ事を長く続けてると疲れてくる。年は取りたくないもんだなあ」
「全ての事が面倒だとか言ってますけど、相変わらずドラゴン退治とか美少女とかはいつも言ってますね、リーダーは」
「うるさいぞ」
でも、なんでコボルトが出現したんだろう。
こいつは確か集団戦が得意で、鉱山とかに現れることが多いのだが。
一匹で森の中に現れるとは。
「何でコボルトがこんなところに現れたんだろう」
「確か、最近、ちょっと離れた鉱山で大規模なコボルトと冒険者グループとの戦いがあったって聞いた事がありまっすね。そこから逃げてきた奴じゃないすか」
「何だよ、俺たちはそのコボルトとの戦いに呼んでくれなかったのかよ、冒険者ギルドは」
「まあ、スライム退治専門家みたいに思われてきましたっすねえ、俺っちたちも」
やれやれ。
このままだと本当にスライム退治で人生終わりそうだなあ。
「おい、いいのかよ。ずっとスライムを倒し続けて、最後は自分が倒れてしまうって。こんな人生でいいのか、お前は」
「うーん、まあ、実力を考えると、そんなもんじゃないすか」
「いやだぞ、俺は。スライム退治の専門家で終わるなんて」
「でも、けっこうスライムには詳しくなったんじゃないすか」
「そんなもんに詳しくなってもしょうがないだろ。ああ、ドラゴン退治、魔王退治、そして、美少女姫との出会いはいつになるんだ」
「一生ないんじゃないすか。まあ、とりあえず、その出腹をへこませるのが専決っすね」
「出腹は関係ないだろ」
「でも、一瞬でコボルトを退治したんだから、まだ、リーダーは冒険者としてやっていけそうじゃないすか」
「うむ、そうだな」
「それにコボルトならスライムの十倍の報酬っすね」
「よし、今日の仕事はこれで切り上げるか」
今回はいつもよりも多額の報酬を得たし、それに、まだ俺の剣の腕も落ちていないようだ。
まだ、頑張れるんじゃないのか、俺は。
大した腕じゃないが。
まあ、一応、満足する俺であった。
そう、俺はまだ死んでいない。
まだ、可能性は残ってるぞ。
ほんの少しだろうけど。
普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。
今日も村から少し離れた山の麓にある森の中でスライム退治。
しかし、何の冒険心をかきたてることもない、そして、何の変哲もない平らな一本道が指定された場所。
つまらん。
「ああ、つまらんなあ」
「そっすねえ、はあ~」
「おいおい、あくびすんなよ。お前には冒険者として気構えが足りないぞ」
「しかし、相手はスライムっすよ」
「他のモンスターが襲ってくるかもしれないじゃないか。冒険者は常に革命的警戒心を持って行動しなきゃいけないんだぞ」
「革命的警戒心を持っている割には、すっかり腹が出てますね、リーダーは」
「うるさいぞ。とにかくちゃんと仕事しろ」
「ういっす」
二手に分かれて、森の中を探索。
全然スライムがいないなあと俺が思っていると、おっと、不穏な雰囲気がするぞ。
長年の冒険者の勘だ。
スライム退治ばかりとは言え、何十年もただぼんやりと冒険者をやっていたわけではない。
木の陰に何者かがいるぞ。
俺はスライムを探す振りをして、周囲に気を配る。
すると、何者かが背後から襲いかかって来た。
俺はさっと振り向いて、剣を振る。
バシッ!
悲鳴をあげて、そのモンスターは倒れた。
「やった、モンスターを倒したぞ!」
と言っても、このモンスターもありきたりな奴だな。
少し離れた場所から相棒が声をかけてきた。
「何かあったんすか」
「おう、今、モンスターが俺に襲いかかってきたんだ。あっという間に倒してやったぞ。えーと、あれ……」
地面に倒れているこん棒を持った小柄な犬の顔をした獣人モンスター。
スライムほどではないが、それでもよく見る平凡なモンスターなのだが。
あれ、名前が出てこない。
「えーと、モンスターを倒したんだが、うーん、何だっけ、こいつ」
「どうしたんすか」
相棒が近づいてきた。
「おっと、久々にスライムじゃないモンスターを倒したじゃないですか、これは……」
「おい、待て」
「なんすか、何を待つんすか」
「名前が出てこないんだよ」
「えっと、このモンスターは……」
「だから、待て、俺が思い出すまで」
「どうしたんすか、ド忘れしちゃったんすか」
うーん、うーん、とにかく名前が出てこない。
この犬顔の獣人面モンスターは、特に珍しくも無い平凡な名前のはずだが。
「うーむ、どうしても名前が出てこないぞ。ああ、俺はもうボケ老人になってしまったのか。俺はもうダメなのか。ああ、イライラする。おい、このモンスターの名前は何だっけ」
「コボルトっすよ。コボル『ド』って説もありますけど」
「おお、そうだ、思い出したぞ。コボルトだ。ああ、けど、俺はもうダメなんじゃないのか。こんな雑魚モンスターの名前まで忘れるなんて」
そう言えば、この前、久々に会った知り合いの名前を思い出せなかった。
他にも昔の知人で顔は覚えているのに名前が出てこないことが多くなってきたぞ。
「うーん。名前は忘れるけど、顔を覚えている場合が多いんだよなあ」
「そんなもんじゃないすか。顔は印象的ですけど、名前は記号みたいなもんすからねえ」
「それにしても、ああ、俺はすっかり老けてしまった。このままだと徘徊老人になってしまうんじゃないのか」
「そんな心配する必要ないんじゃないすか。本当に呆けてしまうと、忘れた事自体を忘れるみたいっすよ」
「そうなのか。しかし、最近、頭の方も回転が鈍くなってきた。若い頃は何事も意欲的に試みて、細かい作業も難なくこなしたものだが、最近は全ての事が面倒だし、同じ事を長く続けてると疲れてくる。年は取りたくないもんだなあ」
「全ての事が面倒だとか言ってますけど、相変わらずドラゴン退治とか美少女とかはいつも言ってますね、リーダーは」
「うるさいぞ」
でも、なんでコボルトが出現したんだろう。
こいつは確か集団戦が得意で、鉱山とかに現れることが多いのだが。
一匹で森の中に現れるとは。
「何でコボルトがこんなところに現れたんだろう」
「確か、最近、ちょっと離れた鉱山で大規模なコボルトと冒険者グループとの戦いがあったって聞いた事がありまっすね。そこから逃げてきた奴じゃないすか」
「何だよ、俺たちはそのコボルトとの戦いに呼んでくれなかったのかよ、冒険者ギルドは」
「まあ、スライム退治専門家みたいに思われてきましたっすねえ、俺っちたちも」
やれやれ。
このままだと本当にスライム退治で人生終わりそうだなあ。
「おい、いいのかよ。ずっとスライムを倒し続けて、最後は自分が倒れてしまうって。こんな人生でいいのか、お前は」
「うーん、まあ、実力を考えると、そんなもんじゃないすか」
「いやだぞ、俺は。スライム退治の専門家で終わるなんて」
「でも、けっこうスライムには詳しくなったんじゃないすか」
「そんなもんに詳しくなってもしょうがないだろ。ああ、ドラゴン退治、魔王退治、そして、美少女姫との出会いはいつになるんだ」
「一生ないんじゃないすか。まあ、とりあえず、その出腹をへこませるのが専決っすね」
「出腹は関係ないだろ」
「でも、一瞬でコボルトを退治したんだから、まだ、リーダーは冒険者としてやっていけそうじゃないすか」
「うむ、そうだな」
「それにコボルトならスライムの十倍の報酬っすね」
「よし、今日の仕事はこれで切り上げるか」
今回はいつもよりも多額の報酬を得たし、それに、まだ俺の剣の腕も落ちていないようだ。
まだ、頑張れるんじゃないのか、俺は。
大した腕じゃないが。
まあ、一応、満足する俺であった。
そう、俺はまだ死んでいない。
まだ、可能性は残ってるぞ。
ほんの少しだろうけど。
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【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
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本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
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