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稲本友里がセクシーな姿で列車内を歩いていたら

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 夜中。
 稲本友里は駅の個室に入ると服を着替える。
 
 上は白い普通のシャツ。
 下は黒いタイトスカート。

 超ミニ。
 スリットも深い。
 下着は履いてるわよ。
  
 そして、トイレを出て電車に乗る。
 この電車は都心に向かっているので、帰宅する人たちは満員電車に乗っているが、この電車は逆方向でガラガラ。

 その列車内を友里は端から悠々と歩いていく。
 スカートから伸びたきれいな脚を見せつけるように歩く。

 友里は今、二十五才。会社員。
 美人でスタイル抜群だ。

 そして、友里の趣味。
 それは他人に自分のセクシーな姿を見てもらうこと。
 まあ、ストレス解消でもあるわね。

 ガラガラとは言え、男性客が少しは座っている。
 友里は自分の色っぽい姿態を見せながらゆっくりと歩く。

 皆、例外なく友里の身体をチラチラと見ている。
 特にミニスカートから伸びたきれいな脚を。

 友里は見られるのが好き。
 女性客は不快な顔をしてるけどね。

 いいじゃないの。
 きれいなんだから。

 若い時にしかこんなこと出来ないし。

 ああ、もっと私の身体を見て。
 もっと、じっくり見てほしい。
 
 他人に見られるって快感よね。

 とは言え、おじさんばかりから見られてもいまいちね。
 若い子はいないかしら。

 友里は列車の車両の途中で、高校生くらいのかわいい男の子を見つけた。
 端っこに座っている。

 スマホを見ている。
 ちょっと、からかってやろうっと。
 友里はわざとその子の正面に座る。

 足を組んでうつむく。
 仕事に疲れて眠ったって感じで演技。

 その子の反応を見る。

 しかし、その子はじっと座ったまま。
 友里を見ない。
 あれ、セクシーな私を見てくれないの。

 友里は少し色っぽく喘ぎ声みたいな感じでため息を出す。

「ああ……」

 そして足を組むのをやめる。
 普通に膝をそろえて座りなおす。

 徐々に足を広げていく。 

 しかし、前の子はスマホに夢中。
 がっかり。

 私には女として魅力がないのかなあ。
 ちょっと、ショック。
 
 がっかりして、電車を降りようとしたら、男の子はいまだにスマホに夢中。
 背後の窓にスマホの内容が映っている。

 漫画みたい。
 それも、いわゆるBLもの。

 男性が好きな男の子か。
 そりゃ、私に興味持つわけないか。

 さっさと電車を降りた。
 そして、トイレで着替えた。
 普通の格好に戻る。

 地元の駅に帰るかな。
 つまんないの。

 いや、決めたぞ。
 あの男性が好きなかわいい男の子でも、振り返ってしまうほどのいい女になってやろうっと。

〔END〕
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