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成人指定の漫画を売ってたら処刑されるゼギケハイテリ

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 剣と魔法の国。
 アルファポリス王国。
 首都のオメガ市。

 ゼギケハイテリは年齢は三十才。
 独身。
 
 ゼギケハイテリは突然死刑宣告を受けた。
 罪状は、成人指定の漫画を売っていたとのことだった。

 裁判でゼギケハイテリは訴えた。

「成人指定の漫画を売ったら死刑なんて知らなかった。けど、それだとなんで成人指定のマークがあるんだよ。成人指定の漫画は売ったら死刑なんだから、そんなマークいらないだろ」

 すると、検事が言った。

「そんなことはない。社会的に成人指定を受けずに許容されるべきと考えられるものは大丈夫だ。そういう漫画は成人指定ということで販売してもいい」

 ゼギケハイテリは検事の言っている意味がわからなかった。

「ちょっと待ってくれよ、成人指定を受けなくていいものを、成人指定にするって、何を言ってるんだ、あんたは。頭がおかしいのか」
「つまりだな、社会的に成人指定を受けずに許容されるべきと考えられるものは成人指定になるんだよ」

「いや、だから成人指定にしなくていいものを何で成人指定にするんだよ」
「とにかく、社会的に成人指定を受けないものは成人指定になるんだよ」

「いやいや、要するに成人指定の漫画は売ってはいけないんだろ。じゃあ、最初から禁止にすればいいじゃないか」
「ちがう、成人指定の漫画は売っていいんだよ」

「ちょっと待ちやがれ、成人指定の漫画は売っていいんだろ。何で俺は死刑になるんだよ。それにもっと過激な内容の漫画を売っている奴はわんさかいるぞ。俺の売っていた漫画なんて成人夫婦の純愛ものだぞ。ベッドシーンはあったけど。表紙もエロかったけどさあ。女性を強姦して虐殺とか、少年たちを集めてレイプしまくるとか、父親と兄が小学生の弟をレイプする漫画が堂々と売られているのはなんなんだよ」
「何度も言うが、社会的に成人指定を受けずに許容されるべきと考えられるものは大丈夫なんだよ」

「おいおい、成人夫婦が普通に愛し合うのがだめで、親が子供をレイプするのはいいのかよ。別にそういう漫画があってもいいけどさあ。何で俺が死刑になるんだよ」
「だから社会的に許容されるかどうかだよ」

「この国は成人夫婦が普通に愛し合っちゃだめなのかよ」
「要するにだな、社会的に許容されるかどうかだよ」

「それで俺は死刑かよ」
「社会的に許容されたわけだな」

 何を言っているんだ、この検事は。
 狂ってる。
               
 ゼギケハイテリは弁護士に助けを求めるが、弁護士は居眠りをしていた。

「ちょっと、弁護士さん、何とか言ってくださいよ」
「……えーと、被告は罪を認めました。さて、二度寝するかな」

「認めてねーよ、馬鹿野郎! 裁判長、こんな裁判ありなの」
「はい、結審。被告は死刑、閉廷とします」

「ふざけんな! この野郎!」

 ゼギケハイテリは暴れるが警備員に無理矢理法廷から出された。

 三十分後に公開処刑になった。

〔END〕 
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