カウイーオのスキルは消去

守 秀斗

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カウイーオのスキルは消去

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 剣と魔法の国。
 アルファポリス王国。
 首都のオメガ市。

 ゴミ捨て場で五十才の冒険者、カウイーオがパーティー全員からタコ殴りにされている。

「何考えているんだよ、このアホ、死ね、カウイーオ」
「痛い、痛い、やめてくれ」

 カウイーオは一応剣士なのだが、特殊なスキルを持っている。
 それは、頭に考えているものを消すことができる「消去」。

 使い用によってはすごいスキルなのだが、しかし、カウイーオはバカなので、今のところ、全然、役に立ってない。

 今回も、折れた剣をゴミ捨て場に捨てようとして、つい、頭の中で金属類の「消去」スキルを発動してしまった。
 
 おかげで、パーティー全員の金属類、お金も武器も防具も全部消えてしまった。
 パーティー全員からボコボコにされるカウイーオ。

「お前はバカか、単にゴミ箱に捨てるだけでいいだろ、何で全部削除しちゃうんだよ」

 もう、半死半生になるまでボコボコにされるカウイーオ。

「もう、こんなクズはほっておこうぜ」

 ズタボロになって横たわっているカウイーオをほったらかしで去っていくパーティー。
 自分が悪いのに逆恨みをする性格の悪いカウイーオ。

「こんなに殴らなくてもいいじゃないか、くそ、あいつらを消してやるぞ!」

 カウイーオはなんとか立ち上がった。

 パーティー全員に向かって、手を向けた。
 こいつら消えちまえと、ハアッ! っと手のひらを向けた。

 すると、カウイーオが消えた。
 パーティーのみんなが振り向く。

「あれ、今、カウイーオがハアッとか叫んで消えちゃいましたけど」
「ああ、俺たちを削除しようとしたんだろ。けど、バカだから人間を消そうとしたんだな、そしたら、自分に一番近い人間、つまり自分を消しちゃったってわけだ」

「バカですね」
「そうだな」

「カウイーオはどこにいっちゃったんですかね」
「さあ、バカの国じゃないかな」

 パーティー全員がゲラゲラ笑いながら去って行った。

 カウイーオが立っていた場所には着ていた服だけ残された。
 
〔END〕
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