死刑通知

守 秀斗

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死刑通知

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 剣と魔法の国。
 アルファポリス王国。
 首都のオメガ市。

 無職の六十才のヒニクサケオイが、ある日、郵便箱を開けると手紙が入っていた。
 開けてみると、中にはヒニクサケオイに対する死刑通知が入っていた。

 仰天するヒニクサケオイ。
 意味不明の文章が書いてある。

『ヒニクサケオイは存在自体が違法である』
 
「いったい、どういう意味なんだ!」

 家の中でわめきちらすヒニクサケオイ。

 ヒニクサケオイが法律に触れているとのことだが、存在自体が法律違反ってどういうことなんだ。さっぱり意味がわからない。

「俺は何も悪い事してないぞ!」

 何かの間違いじゃないかと裁判所へ出向くヒニクサケオイ。

「何ですか、この死刑通知ってのは。だいたい、手紙で死刑通知が来るなんて聞いたことないですけど」
「そうだね、まあ、あなたと同じ存在なのに自由放任の人もいるみたいだけど」

「どういう意味だよ、俺と同じ存在なのに、死刑になる奴と自由放任の奴がいるって。国はどういう区別をしてるんだよ」
「私にもわかりません。とにかくあなたは法律違反なんですよ、死刑相当の」

 ふざけんなと暴れるヒニクサケオイ。
 しかし、職員に取り押さえられた。

「だから、存在自体が死刑って、意味がわからないんだよ」
「そういう法律なんだから仕方ないでしょ、ヒニクサケオイさん」

 ヒニクサケオイは首を吊られて処刑された。

〔END〕
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