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第一章・1stGame~3rdGame
作業開始。そして、恋発展!?
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「さて……まずは……」
俺はみんなを見渡し口を開いた。
一応俺はリーダーだから、みんなを取り仕切らねばならない。
つまり。
「ねぇー、お腹空いたぁー」
「ちょっと寒いなー、暖房ないの?エアコンとか」
「酒ねぇのか酒ー!」
こうなってるみんなを止めるのも俺だということだ。
何でみんなこう自由なんだろうか。
「うーん、こいつらどうやって黙らせればいいんだ?」
俺は思わず口に出して呟いてしまった。
それを聞いていたクレナイがニンマリとした笑顔でこちらを向く。普通に怖いんだけど。というかなんだ。
「それはね……ハーデスが困ってるのが面白いからだよ」
クレナイが聞いてもいない理由を言った。
俺そんなこと口走った覚えないんだけど……俺が気になるのは対処法なんだが。
しかしまぁ、つまりこいつらは俺をいじめて楽しんでるようなものだろうか?
そう思うと、頭に血がのぼり、苛立ちが込み上げてきた。
「お前ら、今から脳天に雷が落ちる(物理)か、心臓が爆発する(物理)か………どちらか選べ………」
俺が少し低いトーンで怒ったかのように言うと、みんな肩を震わせていた。
笑ってるのかもしれないので油断できない……と思った時、一人の女子が頭を抱えだした。
笑ってる時は普通腹を抱えるものだから…………まさか本当に怖がっている?
しかしまぁ、数人は耐性がついたのか、一切震えていないやつもいた。
「す、すまなかった。話、続けてくれ」
ガランが代表して、謝りながら、続きを促した。
「……よし。じゃあ指示を出すぞ。」
俺は大人しく指示を聞いてもらえる環境になり少しホッとした。
「まずは、ガランとそこの5人は木を切ってくれ。できるだけ資源が欲しい。クレナイとリューネは見張り、警戒組だ。念のため、そこの2人も見張り組に付いてくれ。あとはマーリンとお前ら8人で探索を頼む。どこら辺にいるのか、ここはどのくらい安全なのかを見てくれ。それと、そこの余ってるナードと10人は、探索組と一緒に行って、食料確保・資源確保をしてくれ。荷物持ちと採取・討伐係と別れて行動を頼む。」
俺は1通り指示を出したあと、少し息をついた。
「クウガは俺と一緒に設計と補佐を頼む。たまにアレスの様子も………」
「──その必要はねぇよ」
途端に後ろから聞こえるはずのない声が聞こえた。
その声の主は…………アレスだ。
どうしてだろうか、俺はちゃんと縛り付……捕らえておいたはずなのに、アレスは普通に立っている。もちろん鎖ごと、というわけではなく、鎖は消えていた。
「なんでか知らんけど、鎖が消えたからな……だが安心してくれ。攻撃する気はもうない」
本当だろうか。
というかそれ以前に鎖を俺は解いた覚えがない。となると、意図的に解かれたことになる。どうやって、誰がだ?
しかしそんなことを気にするよりも、今は目の前の男だ。
俺からしてみれば、最初の印象がただの戦闘狂……いや、殺人鬼だったので、未だに信用することが出来ない。
信用してもいいものか…………だが、アレスは俺の気持ちを知らずに言葉を続けた。
「俺はもう負けたんだ。あんたにな。敗北者は敗北者らしく、勝者に対して尽くす」
つまり、どういうことだろうか。
俺は無言で、続きを促した。
「…………つまり、あんたの僕でも何でもなってやるって言ってんだよ」
「…………え?いや……え?」
よく分からない。なんでそうなった?
そもそも敗者は何も考えずに、負けた事実を受け止めるだけでいいのでは………?
しかし、その気持ちすらもアレスは無視する。
「これが勝負のルールだと思うんだが……俺が僕などいやか?」
「あ、いや…………そういう訳じゃなくて……」
そもそも予想外すぎることなのだ。
まだあまり頭が追いついていないように感じる。実際、何を言われているのかよくわかっていない。というか、もう考える気力すら失せている。
「その、敗者は勝者の下僕にならなきゃいけないって、そんなルール初めて聞いたんだけどさ……」
戸惑いを感じながら俺は話した。
「そうなのか?よく聞くが……」
アレスもそれを聞いて、考え込んでいた。
そうなれば当然、沈黙が訪れる。
すると、おずおずとした声がその沈黙を破った。
「あの……ご指示の続きを……」
そうだった……全くもって忘れていた。
アレスが来たことにより、指示を出している途中であったことを忘れていたのだ。
「ああ、すまんな。とにかく、さっきの指示通り、みんな頑張ってくれ!では、開始!」
その合図とともに、みんなが立ち上がり、一斉に解散した。
「よし。じゃあ、俺達は設計……の前に、話の続きか」
まだ話は終わっていない。
「アレス、下僕になるってのがルールなのか?」
俺は疑問に思っていたことを口にした。
僕になること以外に何かないだろうか、と思ったのだ。
「いや………敗者は勝者の言うことを聞く、というのが、ルールらしい」
「ってことは、別に下僕にならなくてもいいんじゃないか?」
「えーと、まぁ、そうなのだが…………なりたいというか……」
まさかこいつ…………マゾか!?
いや、ないな。いくら俺がサドでも……ないわー。
失礼なことを考えている傍らで、アレスは続けた。
「なんでも、そのルールは『勝者の特権』と言うらしくてな。勝者が必ず持つ権利らしい。戦いにもよるが、例えば、サッカーの試合や、野球の試合などは試合に勝ったら勝者の特権として次の戦いに進める。そして勝ち続けたら、優勝という勝者の特権を貰える。つまりはそういうことらしい」
なるほど、分からん。
「我々の場合、勝ったら次に進む、等がないから、なんでもいうことを聞く、という事だな」
もっとわかりやすい例えが欲しいんだが……。
そう思っていると、クレナイが助け舟を出してくれた。
「つまりさ、ジュース買いに行くジャンケンで、負けた人がジュース買いに行くでしょ?」
確かにそうだ。そういうルールなんだから、負けた人が行くのは当たり前だろう。
「勝った人は、『勝者の特権』で、ジュースを買ってきてもらえる。負けた人は、勝った人のいうことを聞く、つまりこの場合ジュースを買いに行く、みたいな感じかな?」
なるほど。つまり、ジャンケンで勝ったらジュースを買ってもらえるのは、『勝者の特権』のお陰だったのか。
「よく分かった。けど、なぜそこまで飛躍したのかがよくわからない。別に僕じゃなくても……」
あ、いや、こいつはマゾだからそっちのがいいんだっけか?
「……悪いけど、マゾはちょっと……」
「え?なんの話だ?マゾ?」
だって自ら進んで嫌なことをされに行くんだからな…………マゾだろ。普通逃げるだろ。
むしろ俺が逃げたい気持ちでいっぱいである。マゾ怖い。
俺はそうアレスに伝えた
「いや……俺は教えてくれた人に言われただけなんだが……」
は……?教えたくれた?
「どゆこと?」
「いや……『勝者の特権』を教えてくれた人は、こうも言っていてな。『お前が負けた場合、何かを聞くというより、僕になった方がいいだろうな』と。だから、僕になろうとしたのだが…………いけなかったか?」
「いや、いけないことはない。いけないことはないんだが……」
むしろ……いい事なんだろうが……。
「何余計なこと言ってんだよ教えた奴ぅ……」
お前のせいか!教えたやつ!お前のせいでこうなったのか!
「そいつはこのゲームにも参加しているぞ……というか、このゲームが始まってから初めて知った」
ん?ということは?
「──俺らのクランメンバーかよ!教えたやつ!」
後でお仕置きだべー!べー!
なんでか知らないけど2回言った。自分でもよくわかってない。
「まぁ、そこはいいではないか。……そういうわけだから、ハーデスよ」
アレスはちゃんとこちらに向き直り、真剣な面差しで口を開いた。
「これからはなんなりとお申し付け下さい、主」
……土下座しおった。
ここまで来ると、むしろ断れない。
断ったら、その気持ちを無下にするということになり、ある意味無礼だ。礼を欠くことはしたくない。
「わ、わかっま……噛んだ!」
噛んじまった……いいところで……くそっ!
「ゴホン!……わかった。それなら、お前を僕とする。これからもよろしく頼む。」
これからも、と言ったが、俺からしたらこれから『は』だな。まぁ、いいか。
「はい。宜しくお願いします、主」
呼び方とか言いたいことはいくつかあるがもういう気も失せた。
俺はこの話を打ち切りにし、次に進むことにした。
実は俺は、昔、あるゲームをするときに、友達と通信をしよう、という話をしていた。
多分みんなも知っているだろう、Mi〇ecraftだ。
そして俺は、Minec〇aftでの戦闘が苦手だったので、建築や農業をやることになった。
その時に、俺はせっかく建築をするんだから、ということで、設計図を書いたのだ。
今でも覚えている、拙い絵で、一生懸命いろんな家を作ろうとしていたのが。
もちろん、高さや強度、使いやすさに関しては一切無視していた。
とどのつまり、デザインだけをしていたのだ。
かと言って、それが役に立たないわけでもない。そんな遊びをしていたのは中学生の頃で、今は高校生。頭も発達してきているところだ。
ならば、以前のような拙い絵ではな…………くもないか、絵心はないから。なんでアン〇ンマンを描いたら細長くなって焦げた色になったんだろう………それほどまでに下手くそな絵ではあった。ちなみに、その焦げたアンパン〇ンは、コゲパンマンと命名していた。だからどうしたという話だが。
話を戻すと、絵は下手くそではあるが、それは単純に『絵』だけだ。設計図は拙い絵ではなかった。
完璧な………『図形』だった。
その図形を、強度や高さなどを計算して、さらに使い勝手などを良くした。
そして完成したものが…………なんと凄く壁が薄そうな、しかし強度はありそうななんとも普通の家だった。
ちなみに、俺の寝るところは、マーリンとクウガの間にしてもらった。なんか幸せ。
とまあそれは置いといて。
「やっとできたねー。いい感じじゃない?ちょっと壁が薄いのが気になるけど……」
「だ、大丈夫だぞ!お前とマーリンの部屋の周りには俺しかいないし!例え自慰行為をしていても……」
「───それ以上言ったらこの作品が規制かかるからやめようか」
だいぶメタイ発言だ。
だがまぁ、その通りである。
これ以上言うのはやめて、次を………と思ったが、設計図を見て、計算する必要があることに気づいた。
「───資材の計算してねえ!」
どれだけ、なんの素材が必要か計算していなかった。
つまり、素材を集めにくい状況だった。
まぁ、数など構わず採れと言って置いたから大丈夫だろうが………
「こりゃやばいねー。というか、この家作るのに資材って…………」
うん。それは思ったよ。
「──めちゃくちゃ必要だからきつい。」
そしてもう一つ。家を作るにあたって、重大なことを見落としていた。
「………そういや、うちのクランで………土木関係のことを出来る人………いるの?」
この質問はクウガに向けてだ。
クウガは一応敵側だったので、こちらの情報は一通り掴んでいる。そのため、こちらのメンバーのことで分からないことがあれば、クウガかナードに聞くことにしていた。
「うーんとね、たしか…………いないはず」
…………嘘だろ?
「──絶望的じゃねぇかぁぁぁぁあ!」
まだ俺は、幼い頃に木工系の事を学んでさいたから少しはできるものの、他にできる人がいないのであれば。
俺は補佐しようと思っていたがそれも叶わず、むしろ……俺がメイン?
「…………無理だろ、俺は木工作品系は作ったことがあるけど、家の建材なんて削ったことないし……ましてや、家の建て方なんて知らねぇぞ!?」
某アイドルが無人島で過ごす番組でも、建築にはちゃんとした土木建築士が教えたりしていた。
つまり、そういう人がいない以上、ただでさえそのような番組でも綺麗とはいえないものを、普通に拠点とする家を作るのが難しいと思えた。
「アレス、お前土木建築とか経験ないよな?流石にないよな………」
ただ、そこで救いの神なのか。
アレスは予想外のことを言った。
「俺、確かにこのゲーム直前で働いてたとこは違いますけど、以前は土木系働いてたことありますよ? それに、うちは自営業ですが建築会社ですし」
なん…………だとっ!?
「あれ? おかしいなー、家族の情報もあるはずなんだけど………」
「あー、建築会社って分かりにくいですから。島慈商事ですよ?普通の会社かと思いますよね。」
確かに、建築要素としては全く関係のなさそうな名前だな。
ただまぁ、それは置いといて、だ。これは俺にとっては救いの手である、
「ならアレス、お前が建築仕切ってくれないか?俺は初心者だから役に立たないだろうけど、一応補佐につくからさ。」
「いいですけど………本当にその設計で行くんですか?」
「なにか悪かったか?作りが悪いとか?」
「いや………作りはいいんですが、その壁の薄さだと、簡単に穴空けられますよ?」
あっはっはっはっは。何を言ってるんだろうなぁアレスは。
「もちろんいいに決まってるじゃないか。」
夜這い………ぐへへへへ。というのは冗談で。
「壁を薄くしたのは一応意味があるんだよ。多分言い訳とか言われるだろうけど。」
果たしてその意味とは。
「壁が薄いと隣の声とかが聞こえるだろ?と言うより、生活音が結構聞こえると思う。それこそ、自慰行為の声から、ベットに座る時の音まで。つまりだ。」
若干、クウガが引き気味になっているがそこはスルーして話を続けた。
「不在や生死の確認がしやすいんだよ。例えば、クウガが夜中にどこかへ出かけようとすると、もちろん音がするから俺は起きる。そうすると、いなくなっているのを知っているわけだから、混乱には陥りにくい。」
だが、俺が考えているのはそれだけではない。
「それに、万が一帰ってこなかった場合、すぐに気づきやすい。帰ってくる時と音はなるわけだから、もちろん気づく。なら、気づかなかったってことは、全然帰ってきてないって分かるわけだ。」
それに、穴を空けられるということは。
スパイ対策にもなりやすい。
例えば、除き穴的なのを作っておけば、誰かが誰かの部屋に来た時誰が来たとかが分かる。
まぁ、多分除き穴の一番の目的は着替えとかだろうけど。もちろん俺は空ける(どやっ)
とまぁ、よく考えれば詭弁だらけだが、気づかれまい。現に、アレスはそのまま気づかずに進めていた。
「なるほど…………そうなると、利点は多いですね。」
「だろ?別に大きな穴が空いたところで、仲間同士なんだし問題は無いだろう。生活音がうるさいとかも気にしなければいい。」
「分かりました、それで行きましょう。」
アレスはなにかに感づいたのか、すぐさま承諾してくれた。
後に『絶死の剣士』と呼ばれた男と、『城壁の破壊者』と言われた男による初の結託であった。
しばらくすると、採取組が狩猟を終えて戻ってきた。
なんか結構肉あるな………あっ、野菜もある。………野菜か?あれ。
野菜と思ったものは動く野花だ。いや、山菜か。とにかく気持ち悪い。
すると今度は、探索組が帰ってきた。
「なにか収穫はあったか?」
「いや、あんまり。敵陣は分からないわ、迷いやすいわで困ったよ。」
マーリンは呆れたかのように言った。
しかしそうなると少し厄介ではある。
だが、逆に考えると幸いでもある。
敵陣がわからず迷いやすいと、攻め込みにくい。
だが、それは向こうも同じ。つまり、こちらは攻め込められにくいのだ。
「おーけー。だれか、伐採組に連絡を頼む。見張り組は多分………」
するとどこで聞き耳を立てていたのか、クレナイがすぐに帰ってきた。
「もう終わっていいの?」
「戻ってきといていうセリフじゃねぇだろそれ………リューネ呼んできてくれ。あと、あの補佐役どうした。」
「わかった、呼んでくる。」
クレナイはそう言うと、姿を消した。
いや………だから、補佐役どうしたよ………。
しばらくすると、伐採組も木材を持って帰ってきた。
「あー……置いといても良かったのに……まぁいいか。とりあえずみんな、お疲れ。休憩しててくれ。」
みんなが休憩する間に、俺は報告を受けた。
しかしそれによると、厄介なことにここら辺は獰猛地帯……危険地帯らしい。
何が危険かって言うと……
「グルルルルルルル」
噂をすればなんとやら、獰猛なブレッドウルフが巣食っているのだ。それだけではない。他にも何種類もの獰猛動物がいるらしい。
とりあえずブレッドウルフはリンチして、飼うことにした。なんか使えそうだし……何より女子が飼いたいと言っていた。ちなみに調べたらメスだった。あと、敵わないと分かった途端、人懐っこくなった。
………なんか腹というか股間?の辺り血がついてるけどなんかあったのかな?………まさか異種かn……
それについては調べないことにした。
その日はもう作業を終了し、すぐにご飯にした。
ブラッドファングの肉、マラードボアの肉など、美味しい肉があった。野菜は………手を食べてきたのでトラウマものだ。怖い。食べれなかった食べられかけた…………意味深じゃないよ?というかそれ野菜って言えるのか?
その後、お風呂にした。もちろん……俺はクウガ担当。
「なぁクウガ」
俺は、ゆったりとドラム缶湯船に浸かっているクウガに聞いた。
「お前、肌綺麗だしスタイルいいのになんで女であることを隠してたんだ?よく見れば可愛いし……」
「……っなぁっ!? な、何を言って…………可愛くなんてない!」
照れてる。めちゃくちゃ照れてる。後、かわいいですよクウガさん。
「俺には肌見せてくれるんだな」
「風呂の担当にお前がされたんだから仕方ないだろ。僕はもう慣れた」
「じゃあ裸見せてよ」
「それは断る黙れ変態」
「冗談なのに……」
ひどい言われようだ。なんか、明日になったら根も葉もない噂が立ちそうだなぁ、『ハーデスはド変態』とかいう噂が……違うのに……。
「じゃあクウガ、俺のこと嫌いか? あ、いや、人間として、だぞ?」
性愛の対象として好きと言われたらもちろん嬉しいが……それは聞く気は無い。
すると意外な答えが返ってきた。
「……僕は異性として、君のことは好きだよ。かっこいいし、ほんとは優しいし。強いし、賢いし、文句無しだよ。惚れない方がおかしい」
珍しい……クウガが素直に告白してくれた……あっいや、告白ではないだろう、多分。
でも、と期待を寄せて、聞いた。
「……じゃあ、俺と付き合ってくれって言ったら、付き合ってくれるのか?」
これは性愛の対象として、ということだ。すると、クウガはどうしたのか、やけに大人しく答えた。
「うん。むしろ願ったり叶ったりかな。こんな世界だ、僕以外にも愛人や妻がいてもいいけど、僕も愛してほしいかな」
うわ……素直すぎる。可愛い。
つまり、みんな平等に愛せということだろう。だがそんなのは俺からしたら当たり前だ。こんな可愛い子、ほっとけるか。
──とまぁ、冗談はこれくらいにして。
「そっか。なら、機会があったら………告白するかもな」
俺は笑ってそう言ってやった。
クウガは……少し照れくさそうにしていた。
「も、もうそろそろ上がるから……もう火はいいよ。ありがとう」
「あ、おう。じゃあ、俺も入ろかな……」
と、思ったが、今思えばクウガは裸。
後ろを向かなきゃならない。俺は素直に後ろを向こうとするとその前にクウガが湯船から出た。
「気持ちよかった……ありがとね、ハーデス」
クウガは可愛くそういうと、にこやかに笑って見せた。
俺は、その笑顔に見蕩れてしまった。
「………はっ!ごめん!」
俺は謝って後ろを向いた。
するとクウガは後ろから抱きついてきた。胸が当たって………それに肌が………あぁ……ダメだダメだ、そんなことを考えては。
俺が興奮を抑えきれないでいると、クウガは俺の前に立ち、顔を持って見上げさせた。もちろん、なるだけ変なところを見ぬようにと、目線だけは逸らしたが……
そしてクウガはゆっくりと顔を近づけると……唇を合わせてきた。
「んむっ!?」
俺は唐突のことですぐには反応出来なかった。
満足したのか、クウガは唇を離すと、すぐに服を着て、走っていった。
俺の初キスの味は………甘酸っぱくいい匂いがした。
俺はみんなを見渡し口を開いた。
一応俺はリーダーだから、みんなを取り仕切らねばならない。
つまり。
「ねぇー、お腹空いたぁー」
「ちょっと寒いなー、暖房ないの?エアコンとか」
「酒ねぇのか酒ー!」
こうなってるみんなを止めるのも俺だということだ。
何でみんなこう自由なんだろうか。
「うーん、こいつらどうやって黙らせればいいんだ?」
俺は思わず口に出して呟いてしまった。
それを聞いていたクレナイがニンマリとした笑顔でこちらを向く。普通に怖いんだけど。というかなんだ。
「それはね……ハーデスが困ってるのが面白いからだよ」
クレナイが聞いてもいない理由を言った。
俺そんなこと口走った覚えないんだけど……俺が気になるのは対処法なんだが。
しかしまぁ、つまりこいつらは俺をいじめて楽しんでるようなものだろうか?
そう思うと、頭に血がのぼり、苛立ちが込み上げてきた。
「お前ら、今から脳天に雷が落ちる(物理)か、心臓が爆発する(物理)か………どちらか選べ………」
俺が少し低いトーンで怒ったかのように言うと、みんな肩を震わせていた。
笑ってるのかもしれないので油断できない……と思った時、一人の女子が頭を抱えだした。
笑ってる時は普通腹を抱えるものだから…………まさか本当に怖がっている?
しかしまぁ、数人は耐性がついたのか、一切震えていないやつもいた。
「す、すまなかった。話、続けてくれ」
ガランが代表して、謝りながら、続きを促した。
「……よし。じゃあ指示を出すぞ。」
俺は大人しく指示を聞いてもらえる環境になり少しホッとした。
「まずは、ガランとそこの5人は木を切ってくれ。できるだけ資源が欲しい。クレナイとリューネは見張り、警戒組だ。念のため、そこの2人も見張り組に付いてくれ。あとはマーリンとお前ら8人で探索を頼む。どこら辺にいるのか、ここはどのくらい安全なのかを見てくれ。それと、そこの余ってるナードと10人は、探索組と一緒に行って、食料確保・資源確保をしてくれ。荷物持ちと採取・討伐係と別れて行動を頼む。」
俺は1通り指示を出したあと、少し息をついた。
「クウガは俺と一緒に設計と補佐を頼む。たまにアレスの様子も………」
「──その必要はねぇよ」
途端に後ろから聞こえるはずのない声が聞こえた。
その声の主は…………アレスだ。
どうしてだろうか、俺はちゃんと縛り付……捕らえておいたはずなのに、アレスは普通に立っている。もちろん鎖ごと、というわけではなく、鎖は消えていた。
「なんでか知らんけど、鎖が消えたからな……だが安心してくれ。攻撃する気はもうない」
本当だろうか。
というかそれ以前に鎖を俺は解いた覚えがない。となると、意図的に解かれたことになる。どうやって、誰がだ?
しかしそんなことを気にするよりも、今は目の前の男だ。
俺からしてみれば、最初の印象がただの戦闘狂……いや、殺人鬼だったので、未だに信用することが出来ない。
信用してもいいものか…………だが、アレスは俺の気持ちを知らずに言葉を続けた。
「俺はもう負けたんだ。あんたにな。敗北者は敗北者らしく、勝者に対して尽くす」
つまり、どういうことだろうか。
俺は無言で、続きを促した。
「…………つまり、あんたの僕でも何でもなってやるって言ってんだよ」
「…………え?いや……え?」
よく分からない。なんでそうなった?
そもそも敗者は何も考えずに、負けた事実を受け止めるだけでいいのでは………?
しかし、その気持ちすらもアレスは無視する。
「これが勝負のルールだと思うんだが……俺が僕などいやか?」
「あ、いや…………そういう訳じゃなくて……」
そもそも予想外すぎることなのだ。
まだあまり頭が追いついていないように感じる。実際、何を言われているのかよくわかっていない。というか、もう考える気力すら失せている。
「その、敗者は勝者の下僕にならなきゃいけないって、そんなルール初めて聞いたんだけどさ……」
戸惑いを感じながら俺は話した。
「そうなのか?よく聞くが……」
アレスもそれを聞いて、考え込んでいた。
そうなれば当然、沈黙が訪れる。
すると、おずおずとした声がその沈黙を破った。
「あの……ご指示の続きを……」
そうだった……全くもって忘れていた。
アレスが来たことにより、指示を出している途中であったことを忘れていたのだ。
「ああ、すまんな。とにかく、さっきの指示通り、みんな頑張ってくれ!では、開始!」
その合図とともに、みんなが立ち上がり、一斉に解散した。
「よし。じゃあ、俺達は設計……の前に、話の続きか」
まだ話は終わっていない。
「アレス、下僕になるってのがルールなのか?」
俺は疑問に思っていたことを口にした。
僕になること以外に何かないだろうか、と思ったのだ。
「いや………敗者は勝者の言うことを聞く、というのが、ルールらしい」
「ってことは、別に下僕にならなくてもいいんじゃないか?」
「えーと、まぁ、そうなのだが…………なりたいというか……」
まさかこいつ…………マゾか!?
いや、ないな。いくら俺がサドでも……ないわー。
失礼なことを考えている傍らで、アレスは続けた。
「なんでも、そのルールは『勝者の特権』と言うらしくてな。勝者が必ず持つ権利らしい。戦いにもよるが、例えば、サッカーの試合や、野球の試合などは試合に勝ったら勝者の特権として次の戦いに進める。そして勝ち続けたら、優勝という勝者の特権を貰える。つまりはそういうことらしい」
なるほど、分からん。
「我々の場合、勝ったら次に進む、等がないから、なんでもいうことを聞く、という事だな」
もっとわかりやすい例えが欲しいんだが……。
そう思っていると、クレナイが助け舟を出してくれた。
「つまりさ、ジュース買いに行くジャンケンで、負けた人がジュース買いに行くでしょ?」
確かにそうだ。そういうルールなんだから、負けた人が行くのは当たり前だろう。
「勝った人は、『勝者の特権』で、ジュースを買ってきてもらえる。負けた人は、勝った人のいうことを聞く、つまりこの場合ジュースを買いに行く、みたいな感じかな?」
なるほど。つまり、ジャンケンで勝ったらジュースを買ってもらえるのは、『勝者の特権』のお陰だったのか。
「よく分かった。けど、なぜそこまで飛躍したのかがよくわからない。別に僕じゃなくても……」
あ、いや、こいつはマゾだからそっちのがいいんだっけか?
「……悪いけど、マゾはちょっと……」
「え?なんの話だ?マゾ?」
だって自ら進んで嫌なことをされに行くんだからな…………マゾだろ。普通逃げるだろ。
むしろ俺が逃げたい気持ちでいっぱいである。マゾ怖い。
俺はそうアレスに伝えた
「いや……俺は教えてくれた人に言われただけなんだが……」
は……?教えたくれた?
「どゆこと?」
「いや……『勝者の特権』を教えてくれた人は、こうも言っていてな。『お前が負けた場合、何かを聞くというより、僕になった方がいいだろうな』と。だから、僕になろうとしたのだが…………いけなかったか?」
「いや、いけないことはない。いけないことはないんだが……」
むしろ……いい事なんだろうが……。
「何余計なこと言ってんだよ教えた奴ぅ……」
お前のせいか!教えたやつ!お前のせいでこうなったのか!
「そいつはこのゲームにも参加しているぞ……というか、このゲームが始まってから初めて知った」
ん?ということは?
「──俺らのクランメンバーかよ!教えたやつ!」
後でお仕置きだべー!べー!
なんでか知らないけど2回言った。自分でもよくわかってない。
「まぁ、そこはいいではないか。……そういうわけだから、ハーデスよ」
アレスはちゃんとこちらに向き直り、真剣な面差しで口を開いた。
「これからはなんなりとお申し付け下さい、主」
……土下座しおった。
ここまで来ると、むしろ断れない。
断ったら、その気持ちを無下にするということになり、ある意味無礼だ。礼を欠くことはしたくない。
「わ、わかっま……噛んだ!」
噛んじまった……いいところで……くそっ!
「ゴホン!……わかった。それなら、お前を僕とする。これからもよろしく頼む。」
これからも、と言ったが、俺からしたらこれから『は』だな。まぁ、いいか。
「はい。宜しくお願いします、主」
呼び方とか言いたいことはいくつかあるがもういう気も失せた。
俺はこの話を打ち切りにし、次に進むことにした。
実は俺は、昔、あるゲームをするときに、友達と通信をしよう、という話をしていた。
多分みんなも知っているだろう、Mi〇ecraftだ。
そして俺は、Minec〇aftでの戦闘が苦手だったので、建築や農業をやることになった。
その時に、俺はせっかく建築をするんだから、ということで、設計図を書いたのだ。
今でも覚えている、拙い絵で、一生懸命いろんな家を作ろうとしていたのが。
もちろん、高さや強度、使いやすさに関しては一切無視していた。
とどのつまり、デザインだけをしていたのだ。
かと言って、それが役に立たないわけでもない。そんな遊びをしていたのは中学生の頃で、今は高校生。頭も発達してきているところだ。
ならば、以前のような拙い絵ではな…………くもないか、絵心はないから。なんでアン〇ンマンを描いたら細長くなって焦げた色になったんだろう………それほどまでに下手くそな絵ではあった。ちなみに、その焦げたアンパン〇ンは、コゲパンマンと命名していた。だからどうしたという話だが。
話を戻すと、絵は下手くそではあるが、それは単純に『絵』だけだ。設計図は拙い絵ではなかった。
完璧な………『図形』だった。
その図形を、強度や高さなどを計算して、さらに使い勝手などを良くした。
そして完成したものが…………なんと凄く壁が薄そうな、しかし強度はありそうななんとも普通の家だった。
ちなみに、俺の寝るところは、マーリンとクウガの間にしてもらった。なんか幸せ。
とまあそれは置いといて。
「やっとできたねー。いい感じじゃない?ちょっと壁が薄いのが気になるけど……」
「だ、大丈夫だぞ!お前とマーリンの部屋の周りには俺しかいないし!例え自慰行為をしていても……」
「───それ以上言ったらこの作品が規制かかるからやめようか」
だいぶメタイ発言だ。
だがまぁ、その通りである。
これ以上言うのはやめて、次を………と思ったが、設計図を見て、計算する必要があることに気づいた。
「───資材の計算してねえ!」
どれだけ、なんの素材が必要か計算していなかった。
つまり、素材を集めにくい状況だった。
まぁ、数など構わず採れと言って置いたから大丈夫だろうが………
「こりゃやばいねー。というか、この家作るのに資材って…………」
うん。それは思ったよ。
「──めちゃくちゃ必要だからきつい。」
そしてもう一つ。家を作るにあたって、重大なことを見落としていた。
「………そういや、うちのクランで………土木関係のことを出来る人………いるの?」
この質問はクウガに向けてだ。
クウガは一応敵側だったので、こちらの情報は一通り掴んでいる。そのため、こちらのメンバーのことで分からないことがあれば、クウガかナードに聞くことにしていた。
「うーんとね、たしか…………いないはず」
…………嘘だろ?
「──絶望的じゃねぇかぁぁぁぁあ!」
まだ俺は、幼い頃に木工系の事を学んでさいたから少しはできるものの、他にできる人がいないのであれば。
俺は補佐しようと思っていたがそれも叶わず、むしろ……俺がメイン?
「…………無理だろ、俺は木工作品系は作ったことがあるけど、家の建材なんて削ったことないし……ましてや、家の建て方なんて知らねぇぞ!?」
某アイドルが無人島で過ごす番組でも、建築にはちゃんとした土木建築士が教えたりしていた。
つまり、そういう人がいない以上、ただでさえそのような番組でも綺麗とはいえないものを、普通に拠点とする家を作るのが難しいと思えた。
「アレス、お前土木建築とか経験ないよな?流石にないよな………」
ただ、そこで救いの神なのか。
アレスは予想外のことを言った。
「俺、確かにこのゲーム直前で働いてたとこは違いますけど、以前は土木系働いてたことありますよ? それに、うちは自営業ですが建築会社ですし」
なん…………だとっ!?
「あれ? おかしいなー、家族の情報もあるはずなんだけど………」
「あー、建築会社って分かりにくいですから。島慈商事ですよ?普通の会社かと思いますよね。」
確かに、建築要素としては全く関係のなさそうな名前だな。
ただまぁ、それは置いといて、だ。これは俺にとっては救いの手である、
「ならアレス、お前が建築仕切ってくれないか?俺は初心者だから役に立たないだろうけど、一応補佐につくからさ。」
「いいですけど………本当にその設計で行くんですか?」
「なにか悪かったか?作りが悪いとか?」
「いや………作りはいいんですが、その壁の薄さだと、簡単に穴空けられますよ?」
あっはっはっはっは。何を言ってるんだろうなぁアレスは。
「もちろんいいに決まってるじゃないか。」
夜這い………ぐへへへへ。というのは冗談で。
「壁を薄くしたのは一応意味があるんだよ。多分言い訳とか言われるだろうけど。」
果たしてその意味とは。
「壁が薄いと隣の声とかが聞こえるだろ?と言うより、生活音が結構聞こえると思う。それこそ、自慰行為の声から、ベットに座る時の音まで。つまりだ。」
若干、クウガが引き気味になっているがそこはスルーして話を続けた。
「不在や生死の確認がしやすいんだよ。例えば、クウガが夜中にどこかへ出かけようとすると、もちろん音がするから俺は起きる。そうすると、いなくなっているのを知っているわけだから、混乱には陥りにくい。」
だが、俺が考えているのはそれだけではない。
「それに、万が一帰ってこなかった場合、すぐに気づきやすい。帰ってくる時と音はなるわけだから、もちろん気づく。なら、気づかなかったってことは、全然帰ってきてないって分かるわけだ。」
それに、穴を空けられるということは。
スパイ対策にもなりやすい。
例えば、除き穴的なのを作っておけば、誰かが誰かの部屋に来た時誰が来たとかが分かる。
まぁ、多分除き穴の一番の目的は着替えとかだろうけど。もちろん俺は空ける(どやっ)
とまぁ、よく考えれば詭弁だらけだが、気づかれまい。現に、アレスはそのまま気づかずに進めていた。
「なるほど…………そうなると、利点は多いですね。」
「だろ?別に大きな穴が空いたところで、仲間同士なんだし問題は無いだろう。生活音がうるさいとかも気にしなければいい。」
「分かりました、それで行きましょう。」
アレスはなにかに感づいたのか、すぐさま承諾してくれた。
後に『絶死の剣士』と呼ばれた男と、『城壁の破壊者』と言われた男による初の結託であった。
しばらくすると、採取組が狩猟を終えて戻ってきた。
なんか結構肉あるな………あっ、野菜もある。………野菜か?あれ。
野菜と思ったものは動く野花だ。いや、山菜か。とにかく気持ち悪い。
すると今度は、探索組が帰ってきた。
「なにか収穫はあったか?」
「いや、あんまり。敵陣は分からないわ、迷いやすいわで困ったよ。」
マーリンは呆れたかのように言った。
しかしそうなると少し厄介ではある。
だが、逆に考えると幸いでもある。
敵陣がわからず迷いやすいと、攻め込みにくい。
だが、それは向こうも同じ。つまり、こちらは攻め込められにくいのだ。
「おーけー。だれか、伐採組に連絡を頼む。見張り組は多分………」
するとどこで聞き耳を立てていたのか、クレナイがすぐに帰ってきた。
「もう終わっていいの?」
「戻ってきといていうセリフじゃねぇだろそれ………リューネ呼んできてくれ。あと、あの補佐役どうした。」
「わかった、呼んでくる。」
クレナイはそう言うと、姿を消した。
いや………だから、補佐役どうしたよ………。
しばらくすると、伐採組も木材を持って帰ってきた。
「あー……置いといても良かったのに……まぁいいか。とりあえずみんな、お疲れ。休憩しててくれ。」
みんなが休憩する間に、俺は報告を受けた。
しかしそれによると、厄介なことにここら辺は獰猛地帯……危険地帯らしい。
何が危険かって言うと……
「グルルルルルルル」
噂をすればなんとやら、獰猛なブレッドウルフが巣食っているのだ。それだけではない。他にも何種類もの獰猛動物がいるらしい。
とりあえずブレッドウルフはリンチして、飼うことにした。なんか使えそうだし……何より女子が飼いたいと言っていた。ちなみに調べたらメスだった。あと、敵わないと分かった途端、人懐っこくなった。
………なんか腹というか股間?の辺り血がついてるけどなんかあったのかな?………まさか異種かn……
それについては調べないことにした。
その日はもう作業を終了し、すぐにご飯にした。
ブラッドファングの肉、マラードボアの肉など、美味しい肉があった。野菜は………手を食べてきたのでトラウマものだ。怖い。食べれなかった食べられかけた…………意味深じゃないよ?というかそれ野菜って言えるのか?
その後、お風呂にした。もちろん……俺はクウガ担当。
「なぁクウガ」
俺は、ゆったりとドラム缶湯船に浸かっているクウガに聞いた。
「お前、肌綺麗だしスタイルいいのになんで女であることを隠してたんだ?よく見れば可愛いし……」
「……っなぁっ!? な、何を言って…………可愛くなんてない!」
照れてる。めちゃくちゃ照れてる。後、かわいいですよクウガさん。
「俺には肌見せてくれるんだな」
「風呂の担当にお前がされたんだから仕方ないだろ。僕はもう慣れた」
「じゃあ裸見せてよ」
「それは断る黙れ変態」
「冗談なのに……」
ひどい言われようだ。なんか、明日になったら根も葉もない噂が立ちそうだなぁ、『ハーデスはド変態』とかいう噂が……違うのに……。
「じゃあクウガ、俺のこと嫌いか? あ、いや、人間として、だぞ?」
性愛の対象として好きと言われたらもちろん嬉しいが……それは聞く気は無い。
すると意外な答えが返ってきた。
「……僕は異性として、君のことは好きだよ。かっこいいし、ほんとは優しいし。強いし、賢いし、文句無しだよ。惚れない方がおかしい」
珍しい……クウガが素直に告白してくれた……あっいや、告白ではないだろう、多分。
でも、と期待を寄せて、聞いた。
「……じゃあ、俺と付き合ってくれって言ったら、付き合ってくれるのか?」
これは性愛の対象として、ということだ。すると、クウガはどうしたのか、やけに大人しく答えた。
「うん。むしろ願ったり叶ったりかな。こんな世界だ、僕以外にも愛人や妻がいてもいいけど、僕も愛してほしいかな」
うわ……素直すぎる。可愛い。
つまり、みんな平等に愛せということだろう。だがそんなのは俺からしたら当たり前だ。こんな可愛い子、ほっとけるか。
──とまぁ、冗談はこれくらいにして。
「そっか。なら、機会があったら………告白するかもな」
俺は笑ってそう言ってやった。
クウガは……少し照れくさそうにしていた。
「も、もうそろそろ上がるから……もう火はいいよ。ありがとう」
「あ、おう。じゃあ、俺も入ろかな……」
と、思ったが、今思えばクウガは裸。
後ろを向かなきゃならない。俺は素直に後ろを向こうとするとその前にクウガが湯船から出た。
「気持ちよかった……ありがとね、ハーデス」
クウガは可愛くそういうと、にこやかに笑って見せた。
俺は、その笑顔に見蕩れてしまった。
「………はっ!ごめん!」
俺は謝って後ろを向いた。
するとクウガは後ろから抱きついてきた。胸が当たって………それに肌が………あぁ……ダメだダメだ、そんなことを考えては。
俺が興奮を抑えきれないでいると、クウガは俺の前に立ち、顔を持って見上げさせた。もちろん、なるだけ変なところを見ぬようにと、目線だけは逸らしたが……
そしてクウガはゆっくりと顔を近づけると……唇を合わせてきた。
「んむっ!?」
俺は唐突のことですぐには反応出来なかった。
満足したのか、クウガは唇を離すと、すぐに服を着て、走っていった。
俺の初キスの味は………甘酸っぱくいい匂いがした。
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