愛されることを知らない僕が隣国の第2王子に愛される

鮎瀬ゆう

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 腕を捕まれ、引っ張られる。僕の力では抵抗しても意味がなくて、そのまま連れていかれる。
 ケイトは黙ったままで、どこに連れていかれるのか、どうしてこんなことになっているのか理解が追い付かない。

 ケイトの足が止まったのは、とある外にある倉庫の前だった。

「……あ、の」
「お前、いつまでその演技続けるつもり?……エミリア様から直接聞いたぞ、家でのこと」
「……ぇ」

 どういうことだ、なんでこの二人が一緒にいるんだ。突然のことに頭がうまく回らなくて二人を見つめることしかできない。エミリアは、ケイトの後ろで笑みを浮かべていた。

 そうこうしているうちに、その倉庫の中に押し込まれた。

「エミリア様、話しながら泣いていたんだ。……なんで家族を大切にできないんだ……お前も痛い目をみて反省しろ」
「ぇ、あ、ちょっと」

 そうして倉庫の扉を閉められ、鍵をかけられてしまった。

「あ、開けてっ」

 扉を開けようとしたが、内側からは鍵を開けることができない。扉を手で叩いて叫んでみるが、反応はない。

「ケイト様……。お兄様にこんなことをして、家で何かされないでしょうか……」
「大丈夫。何かあっても僕が君を守るから。それに、これで今日は君が心を落ち着かせて眠れるだろう?」
「……そう、ですね。私のために、ありがとうございます」
「あぁ。今のうちに帰ろう」

 そんな会話が聞こえた。
 帰ろうって、僕はこのまま出してもらえないのか。
 ここは外の倉庫で、用事がない限りきっと誰も来ない。誰かこの辺を通るかもわからない。誰か来たところで、この僕を助けてくれるかなんてわからない。

「―ーっ待って、ごめんなさいっ。開けて、くださいっ」

 そう叫ぶが先ほどと同様、反応はなかった。
 今は冬、外は雪が降っている。倉庫の中に暖房器具なんてあるはずもなく、すごく寒い。こんな中、一晩放置なんてされたら、僕は生きていられるのだろうか。それが、ものすごく怖くて、一生懸命叫んでみるが結果は変わらなかった。

 倉庫は窓もなくて真っ暗で。外で風が吹いているのかガタガタと音が聞こえる。寒くて、寒くて、うずくまって体を温めようとしてみるけれどあまり意味はなかった。
 今日は僕を勇気づけてくれるものも近くになくて心細い。

 このままではお迎えの時間にも間に合わない。今日は帰れないのだろうか。そもそもここから出られなければ意味がないが。
 帰れないのは、困る。ハンカチを出しっぱなしなんだ。もし、今日の夜に誰かが僕の部屋に入って見つかったら。そこまで考えて血の気が引く。そんなことになったら、僕はーー。
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